堀井学
堀井 学(ほりい まなぶ、1972年〈昭和47年〉2月19日 - )は、日本の政治家、元スピードスケート選手、元1000m世界記録保持者。1994年のリレハンメルオリンピックで銅メダルを獲得した。 衆議院議員(4期)、内閣府副大臣、外務大臣政務官、北海道議会議員(2期)、北海道オリエンテーリング協会会長などを歴任。 来歴北海道室蘭市輪西町に市役所の職員だった父・治年と、母・和子の長男として生まれる[1][2]。小学4年からスピードスケートを始める。室蘭市立白鳥台小学校、本室蘭中学校を卒業後、白樺学園高等学校に入学。その後専修大学商学部へ進学。1994年3月、専修大学商学部商業学科を卒業し同年4月に王子製紙入社[2]。 リレハンメル五輪で銅メダル獲得1994年、リレハンメルオリンピック500mで銅メダルを獲得した。大学卒業後は王子製紙を経てPJMジャパンに所属して競技生活を続け、1996年にはワールドカップの500mで総合優勝、1000mで世界記録を樹立した[3]。 1997年から導入されたスラップスケートへの対応に苦しみ、1998年長野オリンピックでは、500mと1000mでいずれも惨敗に終わった。2002年ソルトレークシティオリンピックでは、500mと1000mで再び入賞を逃し、同オリンピックを最後に現役を引退した[4]。 政界進出北海道議会議員時代2007年4月執行の第16回統一地方選挙の北海道議会議員選挙に向け、自民党登別支部の役員が堀井と会談し北海道議会議員選挙への出馬を打診、堀井は「(出馬を)前向きに検討したい」と語ったとされる[5]。数日後、自民党北海道連会長の橋本聖子から出馬を直接要請された後、堀井が立候補を表明[6]。 北海道議会議員選挙に登別市選挙区から自由民主党公認で立候補[7]し、北海道議会議員に当選[8]。 2011年4月執行の第17回統一地方選挙において北海道議会議員に再選[9]。 衆議院議員時代2期目途中の2012年、元内閣総理大臣である鳩山由紀夫への対抗馬として第46回衆議院議員総選挙に北海道9区から自民党公認で立候補することが決定[10]。なお北海道9区は1996年に小選挙区制が導入されて以来、自民党が過去一度も小選挙区で議席を獲得できない選挙区であった[11]。 鳩山は民主党(当時)、連合、自身の後援会による合同選挙対策本部をつくり立候補を示唆していたが、公示直前になり立候補を取りやめ政界引退[12][13]。 同年12月の第46回衆議院議員総選挙にて民主党公認山岡達丸らを比例復活を許さぬ大差で初当選[14]。これにより、日本のオリンピックメダリストとして初となる代議士(衆議院議員)に選出された[14]。2014年12月の第47回衆議院議員総選挙で再選。 2017年8月、第3次安倍第3次改造内閣において外務大臣政務官に就任[15]。2018年スウェーデンで開催された「子どものための2030アジェンダ:ソリューションズ・サミット」に日本政府代表で出席するなど主に欧州・アフリカ地域の外交を担当した。2021年6月、それまで顧問を務めていた日本オリエンテーリング協会の会長に就任[16][17]。2018年首相官邸に設置されるアイヌ推進会議の座長代理に就任[18]。 2021年10月執行の第49回衆議院議員総選挙に北海道9区から自民党公認(公明党推薦)で出馬したが、小選挙区において山岡に敗れ、初めて比例北海道ブロックで比例復活での当選となった[19]。 2023年9月13日、第2次岸田第2次改造内閣が発足。9月15日付で内閣府副大臣に就任[20]。これに伴い日本オリエンテーリング協会会長を辞任[21]。 裏金問題、公職選挙法違反、議員辞職同年12月14日、自民党5派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、岸田文雄首相は清和政策研究会(安倍派)の閣僚4人と副大臣5人を事実上更迭。堀井は内閣府副大臣を辞任した[22]。同日、堀井は取材に応じ、ノルマの超過分に対する安倍派からのキックバックとして、2018~22年の5年間に1200万円を受け取り裏金にしていたことを認めた[23]。 2024年1月22日、堀井の裏金の総額は2196万円であることが明らかとなった[24]。同年2月、苫小牧市内で、堀井のポスターや掲示板計12カ所で黒色塗料で落書きされる事件が発生した[25]。同年2月17日に苫小牧市内で開かれた党支部の定期大会に堀井は欠席した[25]。 →詳細は「§ 不祥事」を参照
自民党苫小牧支部(支部長・板谷良久道議)が次期衆院選に向け、堀井を北海道9区(胆振、日高管内)支部長と認めず、新支部長を選出するよう呼びかける文書をまとめたことが同年4月26日に分かった[26]。苫小牧支部は堀井の政治姿勢を問題視する意見書を3月に堀井に提出したが、回答が「不誠実」だったとして応援できないと判断したという[26]。4月6日の同支部との会合で堀井は「回答すれば報道されて自分に不利になる」などと述べたという[27]。同年6月25日、札幌市内で記者会見した堀井は次期衆院選で自身が地盤とする北海道9区(胆振、日高管内)に「出馬しない」と正式に表明した[28]。 同年7月5日、選挙区内の有権者に対して堀井名義の香典を秘書を通じて配っていた疑いがあり、公職選挙法違反(寄付行為)にあたる疑いがあることが報じられた[29]。同月18日、東京地検特捜部はこの疑いで堀井の衆院議員会館事務所や北海道登別市の地元事務所の家宅捜索に入った[30]。同日、堀井は自民党に離党届を提出し[31]、受理された[32]。同月21日、東京地検特捜部が堀井から任意で事情聴取を行ったことが報じられた[33]。聴取に対し、「違法な寄付を行った」ことを認めているという[34]。同月23日付で自民党北海道9区支部長を解任される[35]。 8月28日午前、議員辞職する意向を文書で表明し、コメントを発表、「選挙民の皆様から託された1票を踏みにじる結果となった。全て私の順法精神の欠如が原因だ。深くおわび申し上げる」と辞職理由を説明した[36]。同日、議員辞職願を衆院に提出、国会閉会中のため、額賀福志郎議長により許可された[37]。 8月29日、東京地検特捜部は、違法に香典を配布した公職選挙法違反の罪と、安倍派の政治資金パーティーのキックバック分を収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反の罪で、堀井を略式起訴した[38]。同日、東京簡易裁判所は二つの罪を認定し、罰金100万円と公民権停止3年の略式命令を出した[39]。 9月6日、中央選挙管理会で行われた選挙会で堀井の議員辞職に伴う繰上補充として、同ブロックで次点であった参議院議員の船橋利実(前回北海道第1区から立候補)が繰上当選の対象者として決定したが、船橋は参議院議員を辞職せず、繰上当選を辞退することを表明しており[40]、当選告示から5日以内に参議院議員を辞職しなかったため繰上当選の権利を喪失した。このため次々点であった北海道議会議員の前田一男(前回北海道第8区から立候補)が繰上当選の権利を得ることになるが、前田も繰上当選辞退の意向を示しているため、最終的にはさらなる次点者で前回の総選挙で北海道第2区で立候補した高橋祐介が繰上当選となる見通しとなった[41]。 有罪確定公職選挙法違反と政治資金規正法違反の罪で罰金と公民権停止3年の略式命令を受けた堀井は、期限までに公開の法廷での裁判を開くよう求める手続きを行わなかったため、同年9月13日付で有罪が確定した[42][43]。 政策・主張コロナ感染対策のため消費税引き下げコロナ感染症収束後の景気回復として時限的な消費税引き下げを導入すべき[44]とするほか、雇用調整助成金の延長や持続化給付金の再給付を主張している[45]。 また、「消費税0%の検討」を掲げた『国民を守るための「真水100兆円」令和2年度第2次補正予算に向けた提言』に賛同するなど積極財政派である[46]。 安定安価な電気確保による鉄鋼業の競争力復活、原子力発電所の再稼働鉄鋼業が盛んであった室蘭市の復活のためには、原発の活用による安定安価な電源供給により競争力確保がやむをえないとしている[47]。「原子力発電はエネルギー安全保障、経済性、CO2排出面で優れており、石炭、水力、地熱と並んでコストが安く、出力が一定の重要な電源」であると主張する[48]。 原子力規制委員会の審査に合格した原発は再稼働すべきで、原子力撤廃に反対[49]であり、北海道電力泊原発はすぐに再稼働すべきとしている[48][50]。 鉄鋼業への研究開発費助成によりカーボンニュートラル達成また、政府が掲げる脱炭素社会の目標達成に向けて、鉄鋼業がカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に苦しまぬよう、設備投資や研究開発費への助成にも取り組んでいくとしている[47]。 北方領土の4島一括返還北方領土問題で日本はロシアに4島一括返還を求め続けるべきとしている[51]。また、北方領土でのロシアとの共同経済活動は北方四島の返還につながると思うとする[52]。 外務大臣政務官の担当地域はロシアを含めたヨーロッパ、中東、アフリカ。特に力を入れたのは北方領土の帰属問題を抱えるロシアとの関係強化[53]。 カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致カジノを含む統合型リゾート(IR)に賛成しており[54]、自身の選挙区内の苫小牧市への誘致による雇用創出を目指している[55]。 その他
人物人柄
旧統一教会との関わり
家族不祥事秘書による横領2023年3月7日、堀井の登別市の事務所から預かった120万円を着服したとして、横領の疑いで堀井の元公設秘書が逮捕された。2022年に事務所が警察に被害届を提出。元秘書は行方不明になっていたが、岐阜市内にいるところを発見された[80][81]。同年5月29日、元公設秘書は札幌地方裁判所室蘭支部から懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡された[82][83]。 政治資金パーティー収入の裏金問題2023年12月1日、朝日新聞が、自民党5派閥が開いた政治資金パーティーをめぐる問題で、清和政策研究会(安倍派)が、所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を裏金として議員側にキックバックする運用を組織的に続けてきた疑いがあるとスクープした[84]。安倍派は2018~2022年に毎年1回パーティーを開き、計6億5884万円の収入を政治資金収支報告書に記載している[85]。一方、収入・支出のいずれにも記載していない裏金の総額は直近5年間で1億円を超えるとされ(のちに5億円に修正[86])、共同通信は「実際のパーティー収入は少なくとも8億円前後に膨らむ可能性がある」と報じた[87]。清和政策研究会の政治資金収支報告書の記載内容は下記のとおり[注 2]。
パーティー券は通常1枚2万円であるため、販売枚数が推計できるが、枚数に対する購入者の比率は2018年から2022年にかけてすべて「0.675」で統一されている。日本大学名誉教授の岩井奉信は「絶対にあり得ない」とし、安倍派は政治資金収支報告書に架空の購入者数を記入したとみられる[97][98]。 同年12月10日、岸田文雄首相は、安倍派所属の閣僚4人、副大臣5人、大臣政務官6人の政務三役15人について、全員交代させる意向を固めた(政務官6人については2日後に訂正)[99][注 3]。 同年12月14日、堀井は内閣府副大臣の辞表を提出し受理された[22]。同日、堀井は取材に応じ、ノルマの超過分に対する安倍派からのキックバックとして、2018~22年の5年間に1200万円を受け取り裏金にしていたことを認めた。キックバックは秘書が受け取り、管理していたと述べたが、当時秘書だった一人は前述の横領罪で有罪判決が確定し、この秘書の前にキックバックを管理していた別の秘書も事務所との金銭トラブルで辞め、連絡が取れないと説明した[103][23]。12月20日頃、堀井は、苫小牧市にある事務所を同月31日付で閉鎖すると選挙区内の首長や党員、党所属の議員らに通知した。派閥のパーティー自粛で、運営資金が不足することが背景にあるとされ、堀井の地元の北海道9区の事務所は、登別市の1か所になった[104]。 2024年1月22日、堀井の裏金の総額は2196万円であることが明らかとなった[24]。堀井は「お金のことは秘書に任せていたが、派閥からキックバックは受けていた」と2196万円の還流を認めた[24]。また、自ら現金約500万円を道内に運んだことを認め、「当初は何の金かは分からず、秘書にLINEで尋ねて、キックバックであることがわかった」と説明している[24]。 同年1月27日、堀井は登別市で記者会見を開き、安倍派から過去5年間に2196万円のキックバックを受け取り、収支報告書に記載していなかったことを認めて謝罪した[105]。堀井は還流分について「道内の事務所の運営費などに充てられた」と説明した[25]。進退について「現段階では辞職も離党もせず、次の選挙も出馬するつもりだ」と述べた[105]。 同年4月4日、自民党は党紀委員会を開き、堀井を党役職停止1年とするなどの処分を決定した[106]。 →「政治資金パーティー収入の裏金問題」も参照
選挙歴
所属団体・議員連盟
スケート選手としての主な成績
著書
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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