東海南部線
東海南部線(トンヘナンブせん)は、大韓民国釜山広域市東区の釜山鎮駅から慶尚北道浦項市にある浦項駅までの区間を結ぶ、韓国鉄道公社(KORAIL)の鉄道路線。2016年12月30日付で東海線へ編入された[1]。 路線データ概要→経路図については「東海線」を参照
元は、日本統治時代の1919年から1922年にかけて、朝鮮中央鉄道(後の朝鮮鉄道)が特殊狭軌線(軌間762mm)の慶東線(蔚山駅 - 浦項駅 - 鶴山駅間、約73.2km)として開業させた路線である。 釜山から慶州や江陵を経て、現在は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の実効支配下にある元山までを結ぶ東海線の建設にともない、朝鮮総督府による買収を経て1936年から1945年にかけて順次1435mmの標準軌に改軌された。また、釜山鎮駅 - 蔚山駅間(約72.6km)が朝鮮総督府鉄道によって順次建設され、1934年から1935年までの間に開通した。しかし、浦項駅以北は未開業であった為、開通区間は東海南部線として暫定的に運用される事となった。なお、1945年7月10日に浦項駅 - 鶴山駅間が旅客数の減少から廃止されている。 しかし、第二次世界大戦の終戦後、連合軍の軍政によって朝鮮半島が北緯38度線を境に南北に分断されると、朝鮮戦争(1950年 - 1953年)を経て軍事境界線が策定され南北の分断が固定化したこともあって、重要性が低かった東海線の工事はその後頓挫して現在に至った。その為、東海線は日本の興浜線等と境遇が似ている。ただし、東海線のその他の区間は、日本統治時代に東海北部線(安辺 - 襄陽間)と三陟線、1962年に嶺東線の一部区間(東海 - 江陵間)として部分的に開業している。 以前は釜山鎮駅から慶州駅までの区間は中央線と共に半島縦断鉄道の一部に組み込まれ、セマウル号やムグンファ号といった優等列車も走っていたものの、慶州駅以北は大部分の列車が京釜線・東大邱駅との間を往復する通勤列車(トングン列車)だけというローカル線となっていた(ソウル方面からのセマウル号も2往復運行されていた)。また、釜山駅から釜山鎮駅までの区間では、京釜線に乗り入れて釜山駅を実質的なターミナル駅としていたが、2004年のKTX(韓国高速鉄道)開業後は釜山駅がKTX主体の駅になったため、東海南部線の列車は全列車が釜田駅(釜山広域市釜山鎮区所在)発着に変更され、朝晩のみの運行になった(貨物列車は釜山鎮駅などから発着している)。2010年KTX(韓国高速鉄道)の釜山開通時、蔚山駅は高速鉄道に新しい駅ができたため、太和江駅に改称された。 その後、釜山駅発だったソウル方面行きのセマウル号・ムグンファ号の多くが京釜線経由から東海南部線経由に変更され、釜田駅始発に変更された。そのため東海南部線を走るセマウル号・ムグンファ号は増発され、1時間から2時間間隔で運転されるようになった。また、一部路線を除き通勤列車が廃止されたため、従来は通勤列車だった慶州から浦項や東大邱への区間列車もムグンファ号化され、運転本数が増やされている。 現状では釜山の中心部から慶州・浦項へは、釜山都市鉄道1号線との乗り継ぎを含めても、高速バスや市外バスのほうが所要時間が短い上に運転本数が非常に多く、しかも運賃が安いため、現状では海雲台駅や太和江駅から慶州駅、あるいは以北への利用や、釜田駅から太和江駅等の途中駅への利用が中心となっている。 現在、ロシア連邦などは「シベリア・ランドブリッジ」構想として、シベリア鉄道を使い大韓民国・日本からヨーロッパ諸国への貨物輸送ルート(アジア横断鉄道)を形成する計画を推し進めている。その一環に、東海線経由で釜山とロシアの沿海地方を結ぶ経路(北部回廊の経路iv-b)も含まれており、2000年の南北首脳会談とそれを踏まえた第1回南北閣僚級会談で、東海線を全通させる事が合意されている。 2010年には釜山駅から慶州駅までの区間に並行して韓国高速鉄道(KTX)京釜高速線が敷設された。2013年12月2日には海雲台付近の路線が山側に移設され、3駅が移転した。2015年4月2日(正確には同年3月31日に仮開業)には扶助信号場 - 浦項間が新線の東海線に移設され、ソウル駅方面から浦項駅へのKTXの乗り入れが開始された。なお、旧線は扶助信号場 - 孝子駅間が槐東線に接続する貨物線として存続したほかは閉鎖された。 複線電化事業釜田駅 - 太和江駅までの区間については複線化・電化する工事が進んでおり、釜田駅 - 日光駅間が2016年12月30日に釜田駅 - 日光駅間が、2021年12月28日に日光駅 - 牟梁駅間の工事が完成した。さらに、浦項駅から江陵駅までの区間(東海中部線)の工事も推し進められており、2020年に全線開通予定である。 当初は首都圏電鉄のように広域電鉄とする予定だったが、自治体負担(約25%)を強いられることで財政の悪化を懸念する蔚山広域市が消極的で、結局広域電鉄の法的指定から外されることとなり、全額国費での着工となった[2]。 釜山広域市内については正式な複線電化開業を待たずに2013年以降段階的に高架上の新ルートに切り替わっている[3]。 年表
駅一覧
脚注・出典
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