水島 広子(みずしま ひろこ、1968年3月21日 - )は、日本の精神科医、医学者(精神神経科)、政治家[1][2]。学位は医学博士(慶應義塾大学)[2]。
水島広子こころの健康クリニック院長。アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン(AHJ)代表、対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人。精神科専門医、精神科専門医制度指導医(日本精神神経学会)、精神保健指定医、国際対人関係療法学会(ISIPT)理事、日本うつ病学会監事、日本認知療法学会幹事、日本摂食障害学会評議員、日本ストレス学会評議員[1][2]。衆議院議員(2期5年)[1]、鳩山由紀夫内閣下での総務省顧問[3]などを歴任した[1]。
来歴
東京都に生まれる[1]。桜蔭高等学校を経て慶應義塾大学医学部卒業、同大学院博士課程修了[2]。慶應義塾大学医学部精神神経科に勤務した[1][2]。指導教授の大野裕に紹介され[4]、米国から対人関係療法を導入した。
日本における対人関係療法の第一人者と称している[1][2]。摂食障害、気分障害、トラウマ関連障害、思春期前後の問題や家族の病理、漢方医学などを専門とする[1]。
2000年の第42回衆議院議員総選挙で、民主党候補として栃木1区から出馬、船田元を破って初当選[1]。この選挙では不人気の森内閣のもと自民党が苦戦し、民主党から多くの新人議員が当選した(1区現象)。
2003年、静岡空港建設反対の国会議員署名活動では署名者に加わった[5]。
2003年(平成15年)第43回衆議院議員総選挙では、上記の船田元に敗れるも、比例で復活当選した。在職中は、主に厚生労働委員会と青少年問題に関する特別委員会に所属し[1]、質問、議員立法を行った。児童虐待防止法改正時には、超党派の作業チームの一員として、議論をリードした。民主党「次の内閣」では雇用担当大臣をつとめ、パート労働者の均等待遇推進法案を提出したほか、国会で初めて「ニート」という言葉を紹介し、民主党の若年雇用政策をまとめた。この他、民主党男女共同参画調査会会長時代には、党の男女共同参画政策である「多様なライフスタイルを生きる時代の自立と安心の政策」、次世代育成支援プロジェクトチーム座長時代には民主党の少子化対策政策である「育ちはぐくむ応援プラン」をまとめた。水島の質問は、BCG予防接種の期間の変更や乳児院と児童養護施設の断絶問題を改善する法改正の端緒となった。
2005年(平成17年)9月11日第44回衆議院議員総選挙に落選後、アメリカ合衆国カリフォルニア州にてアティテューディナル・ヒーリングを学ぶ[1]。2006年2月、一時帰国した際に後援会にむけて栃木1区からの次期衆院選不出馬を表明した[6]。また、前原誠司の民主党代表就任を機に党籍の更新手続きを行わず党を離れた[7]。
2006年7月末に帰国。対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表、対人関係療法勉強会代表世話人[1]。
2009年10月、鳩山由紀夫内閣において総務大臣の原口一博の要請により、総務省顧問に任命された[3]。
人物・主張
政党に対する主張
2017年10月25日のしんぶん赤旗によると、安倍政権に対抗する野党共闘を推進する日本共産党に対して、「立憲主義と民主主義を守るために、本当に『身を切る改革』をした共産党には敬意を表する」とした[8]。
2022年6月27日に翌月の第26回参議院議員選挙に際し、立憲民主党か国民民主党どちらかで迷っている有権者に対して、「自信をもって立憲民主党をお勧めします。」とした[9]。
夫との関係・選択的夫婦別姓離再婚
議員当選以前から選択的夫婦別姓制度導入のための活動を行っている。2000年の投稿によると「私たち夫婦が実践している「夫婦別姓」を守るため」として、同年時点で3-5回夫とペーパー離再婚を繰り返している[10]。後年に海外のメディアでも取り上げられた[11][12]。
2000年に「民法の改正は、別姓夫婦の利益のためだけではなく、あらゆる人々が他人の価値観を尊重しながら生きていくという、人間としての基本的な考え方の確立につながるものである。多様な価値観を尊重できる社会づくりのために、まずは率先して法改正をして、国を構成する一番のかなめである家族に関する法律を、人々が生き生きと暮らしていける方向に整備することこそが、国民のための政治の第一歩ではないかと思う。」と述べている[10]。
2022年12月2日時点で娘(24歳)・息子(20歳)の2児の母である[13]。水島は息子と娘へDVする夫を「毒夫」としている。国会議員時代は旦那に子育てを任せていた。旦那を「毒夫」と例える理由について、2021年に「本邦初、すごいカミングアウト」とし、「私の毒夫は、結婚後5年間様子をみて『まあよい親になるだろう』と思って子どもを作ったにも関わらず、3歳の娘の顔に12連発の蹴りを入れて(仕事帰りの私が目撃した)息子の顔もよく殴ったし、家族を支配した」と明かした。刑事事件化せずに隠していた理由について、当時は自身は国会議員かつ男女共同参画の旗振り役であったため、「『ほらね、男に子育てを任せるとこうなるでしょ』と言われたくなかった。」「男の問題ではなく性格に難ある夫の問題に過ぎなかったので」などと、当時の自身の立場と影響を考慮して事件化しなかったと述べている。「なぜ止めなかったか?」とのリプライに対して、水島は「仕事から帰った私が、たまたま『12』を見たのです」「帰宅して気づいたのが12発目だったからです」と理由をリプライした[14]。その後も「気付くまでの11発は誰が数えていたのか」「成人男性が3歳児の頭部を12回も蹴ったら殺してしまうのでは」「12連続もの足技を使う夫は何者なのか」「自宅にコンボゲージでもあるのか」などの指摘や疑問が相次いだが、水島はこれらを黙殺し、のちに一連のツイートを削除している。
著書・訳書
- 「怖れを手放す アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ」(星和書店)
- 「『うつ』が楽になるノート ― みんなの対人関係療法」(PHP研究所)
- 「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」(紀伊國屋書店)
- 「自分でできる対人関係療法」(創元社)
- 「国会議員を精神分析する」(朝日選書)
- 「親子不全<キレない>子どもの育て方」(講談社現代新書)
- 「専門医がやさしく教える『うつ病』」(PHP研究所)
- 「やりたいことは、やってみよう!」(大和書房)
- 「セクハラ これが正しい対応です」(共著、中央経済社)
- 「自己肯定感、持っていますか?」(大和出版)
- 『「他人の目」が気になる人へ』 光文社、光文社知恵の森文庫、2016年8月
翻訳書
- 「探すのをやめたとき愛は見つかる」(創元社)
- 「対人関係療法総合ガイド」(岩崎学術出版社)
- 「臨床家のための対人関係療法クイックガイド」(創元社)
- 「グループ対人関係療法」(創元社)
- 「対人関係療法でなおす 双極性障害」(創元社)
親族
父水島裕は元参議院議員(自民党)で聖マリアンナ医大名誉教授[15]、祖父水島三一郎は東京大学名誉教授で文化勲章受章者(分子化学)。祖母水島勅子は正田英三郎(日清製粉名誉会長)の妹であり、上皇后美智子の叔母に当たる。
他に作家の近藤富枝・森まゆみ、水島恭愛(ハクビ京都きもの学院理事長)らは、水島家での遠戚に当たる。
脚注
外部リンク