エイダン・オブライエン(Aidan Patrick O'Brien、1969年10月16日 - )は、アイルランド・ティペラリー県のバリードイル調教場を本拠地とする調教師。イギリス・ニューマーケットを拠点とするジョン・ゴスデンやゴドルフィンの専属調教師であるチャーリー・アップルビーと並び、現代の世界競馬を代表する調教師のひとりである。
長男のジョセフ・オブライエン、次男のドナカ・オブライエンは共に元騎手で現在は調教師[1]。バリードイルの設立者である大調教師ヴィンセント・オブライエンとは同姓だが、血縁関係はない。
略歴
1969年にアイルランド・ウェックスフォード県で農場の息子として誕生する。カラ競馬場近くの厩舎で働いたのち、アイルランドの名伯楽ジム・ボルジャー調教師のもとで調教助手として働き始める。
その後、将来の妻となるアン・マリー・クローリー調教師の調教助手となり、1991年に結婚する。1993年に調教師免許を取得し、妻の厩舎を引き継ぐ形で調教師生活をスタートさせた。当初は障害調教師として名を上げ、1993-1994年シーズンから1997-1998年シーズンまで5年連続でアイルランド障害リーディング・トレーナーに輝く。また障害のアマチュア騎手としても活躍し、1993-1994年シーズンにはアイルランドのアマチュア騎手チャンピオンとなった。
その腕をクールモアグループの総帥ジョン・マグナーに認められ、引退したヴィンセント・オブライエンの後任に抜擢されてバリードイルに厩舎を開業。クールモアの専属調教師として平地競走でも活躍し始める。ガリレオ、ジャイアンツコーズウェイ、ロックオブジブラルタルなど幾多の名馬を育て上げ、1997年から2006年まで10年連続でアイルランド平地リーディング・トレーナーを獲得。さらに2001年、2002年にはイギリス平地リーディング・トレーナーにも輝いている。
バリードイルでは日本人スタッフも数名働いているが、管理馬を日本に遠征させることはほとんどなく、実際に出走したのは2004年ジャパンカップのパワーズコート、2010年ジャパンカップのジョシュアツリー、2017年ジャパンカップのアイダホ、2018年のカプリ、2021年のジャパン (競走馬)、ブルーム (競走馬)の6頭である。そのうちジャパンとブルームはクールモアと日本のキーファーズとの共同所有馬である。2007年のジャパンカップに出走予定だった同年のヨーロッパ年度代表馬ディラントーマスは検疫段階で入国が認められず出走出来ず、また2023年もコンティニュアスで参戦予定で招待も受諾されたが来日前の調教で後肢に違和感が出たため同レースを回避している。
2016年の凱旋門賞には3頭を出走させ、その3頭が上位を独占という史上初の快挙を成し遂げた。しかもその3頭全てが、自身が管理したガリレオ産駒であった。
2017年にはG1レース計28勝をあげ、故ロバート・フランケル元調教師が持つ平地G1年間世界最多勝記録を塗り替える快挙を成し遂げた。
2022年6月18日ハードウィックステークスをブルームで勝利して、重賞900勝目を達成した[2]。
おもな管理馬
おもな専属騎手
脚注
- ^ 平松さとし. 【世界の騎手列伝 vol.135】ドナカ・オブライエン(PART-2). UMAJiN(2018年5月17日付). 2018年7月31日閲覧
- ^ “ブルームが英G2ハードウィックSで昨年2着の雪辱、オブライエン師は重賞900勝を達成”. JRA-VAN ver.World. 2022年6月20日閲覧。
- ^ ムーア騎手、オブライエン厩舎の主戦騎手へ(アイルランド) - ジャパン・スタンドブック・インターナショナル 2015年11月5日閲覧