株式会社ヨークベニマル(英: YORK BENIMARU CO.,LTD.)は、福島県郡山市に本社を置く、スーパーマーケット事業を行う日本の企業。本拠地である福島県を中心に東北南部から関東北部の5県にかけてチェーン展開を行う。セブン&アイ・ホールディングスの完全子会社である。
ヨークベニマルの「ヨーク」は、Ito Yokado のYokをアレンジしたYorkであり、「ベニマル」は、かつての紅丸商店のBenimaruを合わせたもの。
概要
食料品を中心に衣料、雑貨などを扱うスーパーマーケットで、店舗数は246店である(2023年2月現在、休業中の2店舗含む)[広報 1]。福島県、宮城県、山形県、栃木県、茨城県でドミナント出店している。2000年代以降は、ヨークタウンと呼ばれるドラッグストアやホームセンターなどと複合したオープンモール型のショッピングセンターによる出店が多い。
月の初めの3日間に行われる「いち・に・さんの市」(同社商標。後述)などの、特定の日に行われるセールが古くから行われていた。月の中間の3日間で「どまんなか得の市」も行われている。
他のスーパーマーケット企業のM&A・再建に関しても積極的で、マルトミ(福島県会津若松市)、藤越(福島県いわき市)、みどりやスーパー(福島県双葉郡富岡町)、サンライフ(山形県山形市)、東京セルフコーナー(宮城県石巻市)、マルニ(宮城県気仙沼市)、カドヤ(茨城県)を買収し、マルニが運営する「デイリーポート新鮮館」を除いてすべてヨークベニマル店舗に転換した実績を持つ[1][2]。
2018年(平成30年)11月16日、宮城県仙台市若林区大和町に位置した、老朽化した既存店を大規模小売店舗立地法の対象外で建て替え、商品を絞り込んで販売する新タイプの店舗である「ヨークマルシェ大和町店」を出店した。ヨークベニマルでは同店の出店を「将来の積極的な出店を見据え、ノウハウを構築したい」と説明している[3][4][5]。
セブン&アイホールディングスとの関係
セブン&アイホールディングス(セブン&アイHD、旧・IYグループ)の一員で、イトーヨーカ堂との提携関係により安定した店舗展開を進めてきた(イトーヨーカ堂が31.4%出資)。セブン&アイHDのスーパーマーケットであるヨークマート・ヨークフーズが関東地方南部のみに展開しているため、地域的に住み分けている状況にある。関東地方では茨城県・栃木県のみに出店し、他の都県はヨークマート・ヨークフーズが出店している。
ただし2008年(平成20年)4月、セブン&アイHDは2009年(平成21年)からヨークマートをヨークベニマルに事業統合することを発表した。すでにカドヤのヨークベニマル転換が完了しており、ヨークマート(現在[いつ?]のヨークフーズを含む)については店舗の転換は行わず出店地域の棲み分けもこれまで通り維持される見通しだが、システムなどの管理部門を統合し店舗のデザインなどを共有化することでコストの削減を図る方針とされていた[6](他にはそごう・西武系列のザ・ガーデン自由が丘があるが、こちらは百貨店や駅ビルの食品売り場を構成する出店形態が主である)。
一方、同じくIYグループのデニーズジャパンとフランチャイズ契約を行って1985年(昭和60年)10月から福島県で外食産業を展開したが、1997年(平成9年)3月にはデニーズジャパンに営業譲渡し、本業であるスーパーマーケットに集約している。
セブン&アイ・ホールディングスの発足後も東京証券取引所市場第一部に上場していたが、2006年(平成18年)9月1日に株式交換により同社の完全子会社となることから、直前の8月28日に上場廃止となった。ただし完全子会社後も本店、資本金、代表、業態はそのまま続行しており、ロゴも鳩のマークを継続使用している。
商品開発
セブン&アイグループで展開されているプライベートブランド、「セブンプレミアム」の開発においては、同社・大高善興会長がグループMD改革プロジェクトリーダーを務め、開発の主体として行っている[7]。
キャッシュレス決済・電子マネー
2012年(平成24年)4月以降、セブン&アイホールディングスグループの電子マネー・nanacoを順次導入している。福島県郡山市の富久山店で同年4月17日に先行導入され、試験的に実施した。5月15日に福島市や郡山市など中通り地区、同22日に会津、いわき両地区で導入された。その後、茨城、栃木、宮城各県などを含め、6月26日に全店舗への導入が完了した。なお、nanaco導入以前から店内に設置されているセブン銀行ATMは、セブン-イレブン等に設置されているものと同様、nanacoへのチャージや残高照会に対応している。
なお、その他の決済手段としてはクレジットカードが使用できるものの、それ以外のキャッシュレス決済やQRコード決済(PayPayなど)には対応していない。
いち・に・さんの市
月1回開催されるセールで、商標登録もなされている(商標登録番号第4750299号)。
毎月1、2、3日に開催(例外として新春は4 - 7日、4日が日曜の場合稀に1、2、3、4日と4日間開催するパターンがある)。その期間中、特別商品が安くなったり、個数限定で値段が安くなったりする。
また、本社がある福島県や多くの店舗を展開する宮城県などでは、以前から浸透しているCMソングをのせたテレビコマーシャルも長く放送されている。姉妹セールとして、毎月第3金曜日から月曜日ごろに開催の「どまんなか得の市」があり、こちらも商標登録されている(商標登録番号第5231022号)。
なお、富岡店は各セールは実施していない。
沿革
- 1947年(昭和22年)6月12日:大高善雄が株式会社紅丸商店設立[8]。
- 1948年(昭和23年)9月1日:福島県郡山市中町で創業[9]。
- 1963年(昭和38年):本社を中町から富久山町善宝池そばに移転(2代目)[広報 2]。
- 1963年(昭和38年)10月:紅丸商事株式会社へ商号変更。
- 1969年(昭和44年)6月:日の丸食品(後のライフフーズ)を設立、食品加工部門を独立させる。
- 1972年(昭和47年)11月:山形県に進出、米沢市に米沢店を開業。
- 1973年(昭和48年)
- 3月:株式会社イトーヨーカ堂と業務提携開始、IYが既に出店していた福島県内のIY食品売場を譲受、ヨークベニマル運営に転換[広報 3][10]。
- 9月1日:商号を株式会社ヨークベニマルに変更[11]。
- 1977年(昭和52年)
- 4月23日:福島県会津地方に進出、会津若松市に花春店を開業[12]。
- 6月:地域子会社として会津ヨークベニマルを設立。
- 8月1日:会津若松市内でスーパーマーケットを展開していた株式会社マルトミ所有の6店舗を譲受、ヨークベニマルに転換[広報 4][13]。
- 12月:宮城県に進出、仙台市の商業施設荒巻セントラルプラザに荒巻店を開業。
- 1979年(昭和54年)2月:地域子会社の会津ヨークベニマルを吸収合併。
- 1980年(昭和55年)
- 1981年(昭和56年)7月 - 本部(本社)を富久山町の善宝池付近から朝日二丁目に移転(3代目)[広報 5]。2代目本部敷地内には社員寄宿舎とトレーニングセンターが所在。
- 1984年(昭和59年)8月:東京証券取引所、市場第一部指定。
- 1985年(昭和60年)11月15日:善雄の妻で創業に関わった大高さたが73歳で死去[15]。創業時、行商への苦労から生まれた企業理念『野越え山超え』や「ヨークベニマル十二章」の由来となった[広報 6]。
- 1989年(平成元年)2月:栃木県に進出、黒磯市に黒磯店を開業。
- 1992年(平成4年)11月:地域社会への貢献事業(CSR)として地域歴史書の発刊事業に参入[16]
- 1995年(平成7年)4月:地域子会社の株式会社東北ヨークベニマルを吸収合併。
- 1998年(平成10年)2月:直営化に伴い福島県内のIY食品売場から撤退。
- 2002年(平成14年)9月1日:株式交換実施、株式会社みどりやスーパーを完全子会社化。
- 2005年(平成17年)
- 4月:茨城県に進出、水戸市に赤塚店を開業。
- 9月1日:株式交換実施、株式会社スーパーカドヤを完全子会社化。
- 12月:合理化により東北地方から撤退したダイエーから2店舗を譲受。
- 2006年(平成18年)
- 3月1日:完全子会社の株式会社みどりやスーパーを吸収合併。
- 8月28日:上場廃止。
- 9月1日:株式交換実施、セブン&アイ・ホールディングスの完全子会社化。
- 2007年(平成19年)
- 9月1日:完全子会社の株式会社スーパーカドヤを吸収合併。
- 11月1日:株式会社藤越の株式取得、藤越を完全子会社化[広報 7]。
- 2010年(平成22年)
- 2月:完全子会社の株式会社藤越を吸収合併。
- 8月:カドヤをヨークベニマルに転換。
- 2011年(平成23年)3月11日:東日本大震災により多くの店舗が被災。
- 2012年(平成24年)6月26日:未導入となっていた電子マネーnanaco運用開始。
- 2014年(平成26年)8月3日:社長として31年にわたりYBを率いた大高善兵衛が死去[17]。
- 2015年(平成27年)3月1日:創業家ではない真船幸夫が社長に就任[18]。
- 2018年(平成30年)11月16日:新業態の小型店「ヨークマルシェ」の1号店(大和町店)を開業[広報 8]。
- 2021年(令和3年)2月16日:本社を郡山市谷島町へ移転、社屋は4代目となる[広報 5]。
- 2023年(令和5年)6月1日:株式会社マルニの株式を取得、岩手県・北東北に事業範囲を拡大[2]。
- 2025年(令和7年)3月頃:イトーヨーカ堂から石巻あけぼの店の事業継承を受ける予定[広報 9][19]。
本社
2021年(令和3年)から利用を開始した本社はJR郡山駅東口にあり、敷地面積9,949 m2、建築面積:6,034 m2、延床面積15,213 m2の鉄骨構造3階建ての建物である[20]。1階は執務室、2階は700人収容の大会議室や従業員食堂、3階は技術研修施設(トレーニングセンター)がある[20]。従業員用駐車場は立体駐車場である[20]。
店舗
店舗業態
- ヨークベニマル - 標準業態。基本的に食品スーパー(SM)として展開されているが、一部の店舗はイトーヨーカドー同様総合スーパー(GMS)として展開されている他、後述の「衣料館」を敷地内に展開している店舗もある。
- ヨークベニマル衣料館 - 一部の大型店(ヨークタウン等)にて展開されている衣料品店。
- ヨークマルシェ - 小型店舗[5]。2018年11月に1号店となる大和町店を開店。しかし、今泉店のように、従来通りヨークベニマルブランドで小型店舗を展開するところもある[21]。
- ヨークタウン - ヨークベニマルを核店舗とするネイバーフッド型ショッピングセンター(NSC)。基本的に平屋の建物で平面の大型駐車場を有し、一部店舗(ひたちなか店等)では衣料館が併設されている。
2024年5月現在の店舗
店舗数 - 248店舗(実質稼動は246店舗、2024年5月現在)[注釈 2]
過去に存在した店舗
- ×は建物が解体された店舗。
福島県
中通り
郡山市
福島市
二本松市
- 二本松店(二本松市本町1-218[33]、1956年(昭和31年)開店[33]、?閉店)
- 店舗面積330m2[33]
- 本町店×(1970年(昭和45年)2月20日開店[23] - 1995年(平成7年)閉店、二本松市本町1-212[34])
- 売場面積470m2[23][34]。
- (初代)二本松インター店×(1982年(昭和57年)2月開店 - 2021年(令和3年)1月23日閉店、二本松市成田町一丁目810[広報 27])
- 建物の老朽化による建て替えのため一旦閉店。2022年(令和4年)2月26日に「ヨークタウン二本松インター」の核店舗として新築開業[広報 28]。
本宮市
須賀川市
伊達市
白河市
三春町
- (初代)三春店×(1974年(昭和49年)12月1日開店[23] - 2012年(平成24年)2月11日閉店[広報 31]、三春町中町)
- 店舗面積924m2[23]
- 建物の老朽化のため閉店。同年2月17日に、三春店(現店舗)として新築移転。
会津
会津若松市
浜通り
いわき市
富岡町
- (初代)富岡店(2011年 (平成23年) 3月11日まで営業、双葉郡富岡町大字小浜中央416)
- 「さくらモールとみおか」の前身である「Tom-とむ」にあった店舗。2011年(平成23年)3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故により、警戒区域設定で立ち入りが制限されたため休業していた。
- 2017年(平成29年)4月1日に富岡町の避難指示解除に伴い、先行する同年3月30日に改装の上、新富岡店として開店[広報 44]。原発事故により休業していた店舗では初の営業再開となった。
- 2022年(令和4年)3月1日、店名が原発事故以前の店名である富岡店に戻された[広報 13]。
- 夜の森店×(2011年 (平成23年) 3月11日まで営業、双葉郡富岡町夜の森南二丁目10-1)
- 福島第一原子力発電所事故により休業していた店舗。
- 新富岡店への統合、ならびに帰還困難区域内[50]により営業再開の見通しが立たないため閉店。
南相馬市
- (初代)原町店×(1982年(昭和57年)7月16日開店[要出典] - 2011年(平成23年)3月11日休業(閉店)、南相馬市原町区旭町三丁目65-1、開店当時は原町市)
- 福島第一原子力発電所事故により休業していた店舗。
- 2018年12月より旧店舗を解体し、2019年3月より建築工事開始、「ヨークタウン原町」の核店舗として2020年(令和2年)2月28日に新築開業[広報 45]。
宮城県
仙台市
太白区
泉区
- 泉八乙女店(仙台市泉区)
- 子会社の「サンライフ八乙女店」として開業。 真美沢店に移転の形で閉店[要出典]。
- 現在は、ゲオ仙台八乙女店。
青葉区
若林区
- (初代)大和町店×(1981年(昭和56年)4月開店 - 2018年(平成30年)1月21日閉店[広報 46]、仙台市若林区大和町四丁目)
- 建物の老朽化による建て替えのため一旦閉店。同年11月16日に300坪の小型店舗である「ヨークマルシェ大和町店」として開店[広報 8]。
名取市
大崎市
- (初代)古川店×(1984年(昭和59年)7月開店 - 2017年(平成29年)1月22日閉店[広報 48]、開店当時は古川市)
- 建物の老朽化による建て替えのため閉店。2018年(平成30年)2月16日に新築開業[広報 49]。
登米市
- (初代)佐沼店×(1985年(昭和60年)6月開店 - 2021年(令和3年)1月31日閉店[広報 50]、開店当時は登米郡迫町)
- ジョイプラザの核店舗として営業していた店舗。建物の老朽化による建て替えのため閉店。建て替えた後の2022年(令和4年)4月9日に「ヨークタウン佐沼」の核店舗として新築開業[広報 51]。
塩釜市
- (初代)塩釜店×(1984年(昭和59年)4月開店 - 2022年(令和4年)10月23日閉店[広報 52]、塩竈市野田14-34)
- 建物の老朽化による建て替えのため閉店。建て替えた後の2023年(令和5年)12月1日に新築開業[広報 53]。
岩沼市
- (初代)岩沼店(1994年(平成6年)2月開店 - 2024年(令和6年)6月9日閉店[広報 54]、岩沼市藤浪2丁目4-10)
- 「ブルームワールド岩沼」の核店舗として開業した店舗。建物の老朽化による建て替えのため閉店。建て替えた後の2025年(令和7年)秋に新築開業予定。
山形県
米沢市
- 米沢店→米沢中央店×(1972年(昭和47年)11月2日開店[23] - 1994年(平成6年)1月閉店[41]、米沢市中央)
- 店舗面積1,002m2[23]
- 福島県外初の店舗として、1972年(昭和47年)11月に米沢ファミリーデパート(後のサンホーユー米沢店)内のテナントとして出店。
- 現在の米沢店開店後、米沢中央店に名称を変更。サンホーユー閉店と同時に、1994年(平成6年)1月閉店[41]。
山形市
長井市
- 長井店×(1988年(昭和63年)7月29日開店 - 2016年(平成28年)2月21日閉店、長井市本町二丁目)
- タウンセンターが運営する商業ビルの核店舗としてオープン。
- 2014年、同市郊外にヨークベニマルが新店舗として長井小出店を開設したことに伴い、2016年(平成28年)2月閉店[53]。
東根市
南陽市
- (初代)南陽店×(1982年(昭和57年)9月10日開店 - 2006年(平成18年)11月3日閉店[広報 58]、南陽市三間通字東蕨田19-2[広報 59])
- 建物の老朽化に伴い、2006年(平成18年)11月10日に南陽店(新店舗)に新築移転[広報 58]。
茨城県
ひたちなか市
栃木県
那須塩原市
関連会社
ヨークベニマルの子会社は、以下の1社。
- 株式会社ライフフーズ
- 福島県郡山市。ヨークベニマルの食品加工部門から独立した、惣菜等の製造・販売の会社。
- 2022年3月1日付けにて吸収合併された。
- 同名の大阪市に本社をおく外食産業事業者である株式会社ライフフーズとは無関係である。
企業スポーツ
都市対抗野球に8回出場し、1987年(昭和62年)と1994年(平成6年)の2度ベスト8に進出したが、1999年(平成11年)の夏に解散している。
脚注
注釈
出典
広報など1次資料
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
ヨークベニマルに関連するメディアがあります。