キリスト教SFというジャンルの初期の作品としてはビクター・ルソー(英語版)の The Messiah of the Cylinder (1917) があるが[5]、ジョン・モートによれば最も重要なキリスト教SF作家はC・S・ルイスであり[6]、「平凡な人々のためにキリスト教SFと神学作品を書いた多作な作家」との評価もある[7]。編集者のジョン・ピアース(英語版)は著書 When World Views Collide: A Study in Imagination and Evolution の中で、ルイスの『マラカンドラ 沈黙の惑星を離れて』などの作品に見られる考え方は、H・G・ウェルズの世界観(ルイスが "Wellsianity" すなわち「ウェルズ主義」と称した人間中心の進化的神話[8])が間違っていて冒涜的だと非難し、そのような考えを表明した面もあるとしている[9]。ルイスの影響については論者によって様々にいわれているが、モートはたとえばマデレイン・レングルの『五次元世界のぼうけん』はキリスト教SF作品であり「ルイスの『ナルニア国物語』を思い起こさずにはいられない」としている[3](もちろん『ナルニア国物語』はSFというよりもファンタジーだが、モートが注目しているのは作風と物語の展開だけである)。その他にキリスト教SFの発展に寄与したとしている作家として、モートはJ・R・R・トールキン、ジョージ・マクドナルド、チャールズ・ウィリアムズ(英語版)を挙げている[3](この3人もやはりファンタジー作家だが、モートは彼らのキリスト教SFへの影響は明らかだとしている)。
このような困難がジャンルの境界についての懸念を生じさせる。キリスト教SFは一定の市場を獲得しているが[16]、ドイルはキリスト教SFとされている作品が本当にそのジャンルに属するものなのか疑問を呈している。キリスト教的な終末ものについて調べたドイルは、それらがキリスト教SFに分類されることが多いが、そのような分類は不適切だと結論付けた。科学的なテーマを装ってはいるが、キリスト教的な終末ものは(ドイルによれば)科学的問題に対して、理性的な科学的方法や人道主義ではなく、「聖書の権威や予言的解釈、原理主義的考え方」で対応する傾向があり、キリスト教SFではないと主張した[14]。ただしドイルはブライアン・カルドウェル(英語版)の We All Fall Down について(キリスト教の終末ものであるにもかかわらず)例外的にSFに分類したいとしている[14]。
^Mort 2002, p. 159 例外としてスティーブン・ロウヘッドとオースン・スコット・カードを挙げたあと、モートは「どちらも大物であり、少なくともロウヘッドの初期作品を除いてはC・S・ルイスに大きな影響を受けていない。この2人以外の場合、C・S・ルイスの影響について語ればきりがない」と記している。
^Wallace 2001. "The anxiously awaited ninth book in the 'Left Behind' Christian science-fiction series came out Tuesday, and, like its predecessors, sent devotees streaming to local bookstores".
^(Unger 2005) にて、《レフトビハインド》シリーズを "multi-volume apocalyptic fantasy thriller composed in the breezy, fast-paced style of airport bodice rippers but based on biblical prophecy" と評している。
^Garrison 2004, p. 243 "In 1962, Christian science fiction writer Madeline L'Engle introduced millions of readers to the concept of wrinkling time".
Bowling, Anne; Schweer, Michael; Lyman, Vanessa (2007), Novel & Short Story Writer's Market: 2,000+ Places to Get Your Fiction Into Print, Writer's Digest, p. 294, ISBN1582971935
Bramlett, Perry C. (1996), C.S. Lewis: Life at the Center, Smyth & Helwys Publishing, Inc., p. 3, ISBN1573120545