スペース・ウェスタン(英: Space Western)は、サイエンス・フィクション(SF)のサブジャンルの一つで、SFのストーリーに西部劇の要素が盛り込まれている作品を指す。基本的な設定としては、宇宙空間のフロンティアを探索し、ロボット馬に乗り光線銃を持つカウボーイが登場するというものである。当初は人気ジャンルだったもののハック・ライティング(英語版)が反発を呼び、それは1980年代に人気が回復するまでジャンルに大きな悪影響を及ぼした。2000年代に入り『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』が放送されると、スペース・ウェスタンへの再評価の動きが起きた。
この未来のフロンティアの視点は、全てのSF作家に受け入れられたわけではなかった。ターキー・シティ・ライターズ・ワークショップ(英語版)が作成した『The Turkey City Lexicon』では、スペース・ウェスタンは新しい世界を創造することを避けるために、すでに確立されているバックグラウンドを利用した「最も悪質な形」と述べている[10]。『ギャラクシー・サイエンス・フィクション』ではバット・ダーストンというキャラクターが登場するスペース・ウェスタン小説の広告を「ギャラクシーでは決して見ることはできない」という表現で掲載している[11]。これらのスペース・ウェスタンへの批判はスペースオペラにも波及した。このようなサブジャンルへの批判は、スペース・ウェスタンはハック・ライティング(英語版)であり、「真のSF小説ではない」という認識を生むことになった[6]。スペース・ウェスタンにある根底のテーマは強い影響力を維持したものの、こうした認識は1980年代まで続いた。1980年代に入ると『アウトランド』『BraveStarr』『The Adventures of the Galaxy Rangers』の公開でスペース・ウェスタンのテーマが再認識され、1990年代には『カウボーイビバップ』『星方武侠アウトロースター』『トライガン』などの作品が登場した。2000年代には『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』が登場し、同作は高い評価を得てスペース・ウェスタンを再評価する契機となった[6]。また、『スタークラフト』や『Borderlands』といったゲーム作品もスペース・ウェスタンの普及に貢献している[12][13][14]。
^Abbott, Jon (2006). Irwin Allen Television Productions, 1964-1970: A Critical History of Voyage to the Bottom of the Sea, Lost in Space, The Time Tunnel and Land of the Giants. Jefferson, N.C: McFarland Publishing. p. 131. ISBN0786486627