木崎 さと子(きざき さとこ、1939年11月6日[1] - )は、日本の小説家。芥川賞作家。
経歴・人物
旧満洲国の新京(現在の長春)に生まれる[2]。本名は原田正子[1]。父は応用化学者の横山辰雄(1904年 - 1993年、1927年東京帝国大学理学部応用化学科卒業、1961年工学博士、富山大学名誉教授)。4歳で母を失い、継母に育てられる。皆川博子は従姉(父の妹の長女)で、少女時代に文学を教えられた[3]。敗戦時、満洲でソ連兵や中国人の横暴を目の当たりにする。引き揚げ後、沼津、富山へ移る。富山県高岡市で少女期を送り、1958年、富山県立高岡高等学校を経て、1960年、東京女子大学短期大学部英文科卒業[4][5]。帝人に就職する。1962年、植物発生生理学者の原田宏(1930年6月1日 - 2023年1月7日、筑波大学名誉教授)と結婚し、渡仏する。1963年、米国カリフォルニア州パサディナ、1964年再度フランス。二女を儲け、パリ大学で比較文学などを学ぶ。1974年、夫の筑波大学就職により帰国し、松戸市岩瀬に居住する[5]。1976年、夫のユネスコ本部出向で渡仏する。1979年、帰国、創作を始める。1980年、「裸足」で第51回文學界新人賞を受賞する(この時、木崎さと子の筆名を用いる)[6]。1982年、カトリック受洗。1984年、親友の叔母をモデルに、自然死を選んだ癌患者の生き方を描いた短編『青桐』で第92回芥川賞を受賞する[7][5]。1988年、『沈める寺』で芸術選奨新人賞を受賞する[8]。
著作
小説
- 『裸足』(1982年11月 文藝春秋)
- 『青桐』(1985年3月 文藝春秋 / 1988年2月 文春文庫)
- 『海と蝋燭』(1985年6月 福武書店)
- 『沈める寺』(1987年6月 新潮社)
- 『波 ハーフ・ウェイ…』(1988年7月 文藝春秋)
- 『山賊の墓』(1989年5月 講談社)
- 『幸福の谷』(1990年4月 文藝春秋)
- 『鏡の谷』(1990年10月 新潮社)
- 『跡なき庭に』(1991年6月 文藝春秋)
- 『時の雫』(1991年7月 中央公論社)
- 『幸福の小さな扉』(1994年2月 河出書房新社)
- 『光る沼』(1996年6月 新潮社)
- 『誕生石物語』(1999年8月 河出書房新社)
- 『星降る街の物語』(1999年9月 河出書房新社)
- 『蘇りの森』(1999年12月 文藝春秋)
- 『緋の城』(2002年2月 新潮社)
- 『小説 聖書の女性たち』(2004年9月 日本キリスト教団出版局)
児童書
- 『うみをわたったこぶた』黒井健絵(2004年4月 岩崎書店)
- 『ダーチャのいのり』黒井健絵(2005年10月 女子パウロ会)
- 『キリシタンの祈り』小山硬画(2008年8月 女子パウロ会)
エッセイ・ノンフィクションなど
- 『もうひとつの幸福』(1987年2月 海竜社)
- 『愛の聖母子』(1988年2月 講談社)
- 『美しい出会い 道ひとすじの人々を訪ねて』(1988年7月 女子パウロ会)
- 『いのちの波にかがやく』(1991年10月 女子パウロ会)
- 『自分らしく生きること 自分らしく死ぬこと』(1995年12月 海竜社)
- 『夢の記憶 ある神父への手紙』(1997年12月 岩波書店)
- 『聖書物語 ビジュアル版』(2000年10月 講談社)角川ソフィア文庫、2017
- 『今を生きる女子修道会 現代社会への挑戦』(2006年5月 女子パウロ会)
- 『路上からの復活』(2010年6月 女子パウロ会)
共著
英訳された作品
- The Phoenix Tree and Other Stories(『青桐』他)、Carol A.Flath 訳 (1990年3月 講談社インターナショナル)
- The Sunken Temple(『沈める寺』)Carol A.Flath訳 (1993年1月 講談社インターナショナル)
脚注
- ^ a b 木崎さと子(キザキサトコ)とは - コトバンク
- ^ 楽天ブックス: キリシタンの祈り - 木崎さと子 - 4789606511
- ^ 『芥川賞直木賞150回全記録』p.155
- ^ 木崎 さと子|著者|河出書房新社
- ^ a b c まつど文学散歩 木崎さと子松戸市役所、広報まつど第722号、平成2年1月20日、p7
- ^ 幸福の小さな扉 :木崎 さと子|河出書房新社
- ^ 青桐(アオギリ)とは - コトバンク
- ^ 県広報とやま
関連項目
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1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回) |
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1960年代 - 1970年代(第43回 - 第82回) |
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1980年代 - 1990年代(第83回 - 第122回) |
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1980年代 |
- 第83回 該当作品なし
- 第84回 尾辻克彦「父が消えた」
- 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人」
- 第86回 該当作品なし
- 第87回 該当作品なし
- 第88回 加藤幸子 「夢の壁」/ 唐十郎「佐川君からの手紙」
- 第89回 該当作品なし
- 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
- 第91回 該当作品なし
- 第92回 木崎さと子「青桐」
- 第93回 該当作品なし
- 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」
- 第95回 該当作品なし
- 第96回 該当作品なし
- 第97回 村田喜代子「鍋の中」
- 第98回 池澤夏樹「スティル・ライフ」/ 三浦清宏「長男の出家」
- 第99回 新井満 「尋ね人の時間」
- 第100回 南木佳士「ダイヤモンドダスト」/ 李良枝「由煕」
- 第101回 該当作品なし
- 第102回 大岡玲「表層生活」/瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」
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2000年代 - 2010年代(第123回 - 第162回) |
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