豊川 孝弘(とよかわ たかひろ、1967年2月20日 - )は、将棋棋士。東京都杉並区出身。棋士番号200。関屋喜代作八段門下。
棋歴
- 将棋のルールを覚えたのは小学3~4年の頃であったが、本格的に指し始めたのは、クラスで将棋が流行った中学1年の頃であり、その後にプロとなった人物としては、かなり遅い部類に入る。友人達と一緒に将棋会館の道場に通うようになり、中学2年の夏に早くもアマ四段となる。
- 高校1年時(1982年12月)に奨励会に入会[注 1]。高校を中退し、連盟に泊り込みのような状態で将棋の修行に励んだ。
- 奨励会では6級から3級に上がるのに1年2ヶ月、二段から三段に上がるのに4年をそれぞれ費やすなど、大きな足踏みを経験したものの、それ以外は順調に昇級・昇段を続けた。
- 第6回(1989年後期)より三段リーグに出場。4期目となる第9回(1991年前期)で13勝5敗(1位[注 2])の成績を挙げ、24歳でプロ入り。
- 順位戦には第51期(1992年度)より参加。
- 第58期順位戦(C級2組)では奨励会同期の飯塚祐紀の昇級の一番を深夜まで粘って見事に勝利、飯塚の昇級を阻止した[注 3]。
- しかし4年後の第62期順位戦(C級1組)最終局、自身の昇級の一番で今度は飯塚に敗れ昇級を逃してしまう。4年越しで借りを返される形になった。
- 2004年6月20日放送のNHK杯テレビ将棋トーナメント(対田村康介戦)において、二歩を打ってしまい反則負け。二歩は比較的よく見られる反則負けだが、テレビ中継のあるNHK杯で打ってしまったことから「ニフティ」なる愛称が付くなど話題になった[1][2]。さらに2006年1月18日にはフジテレビ・トリビアの泉でも取り上げられ「78へぇ」を獲得[3]。
- 初参加から16年目の第66期順位戦(C級1組)において、8勝2敗の成績を挙げ、ついにB級2組への昇級を決める。
- 第67期順位戦B級2組でも8勝2敗の成績を挙げ、2年連続昇級でB級1組に上がる。最終局を1敗のトップで迎え、自身は敗れて2敗になったものの、ライバル2名のうちの1名(先崎学)も敗れたために昇級するという展開であった。棋戦優勝の経験がなく、竜王ランキング戦でも3組が最高の豊川にとっては、A級の一歩手前のB級1組への昇級は、棋歴の中で大きな意味を持つ。
- 2015年度の第74期順位戦B級2組では2勝8敗の成績に終わり、降級点2となりC級1組へ降級となった。
人物
- 「ファイター」の愛称を持ち、NHK将棋講座(1999年度後期)で講師を務めたときの講座名は「ファイター豊川のパワーアップ戦法塾」であった。他に「マンモス」の愛称でも知られているが、これは『あしたのジョー』に登場するキャラクターの「マンモス西」に由来する[4]。
- 2014年後期の将棋フォーカスでも、「豊川孝弘のパワーアップ手筋塾」の講師を務めた。
- 趣味は囲碁とウェイトトレーニングで、同じくウェイトトレーニングを趣味とする丸山忠久九段とは奨励会時代から非常に仲が良い。また、銭湯通いも趣味の一つで、都内の銭湯事情に非常に詳しいとされる。
- 同じく順位戦でB級1組に昇級した際、同時に昇級したのは松尾歩。くしくも、NHK杯テレビ将棋トーナメントで二歩を打った経験のある二人が偶然にも同時に昇級することとなった。
- 「オヤジギャグの名手」として知られ、大盤解説会などでは矢継ぎ早にギャグを飛ばすことで知られる[5]。その様子は『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系、2014年4月16日放送分)でも取り上げられ、有吉弘行やマツコ・デラックスなど出演者から絶賛された[6]。将棋の解説の仕事で地方に行くと、現地の人からギャグを提案されることも多いという[4]。後述するように、2017年にはそれらのギャグをまとめた書籍も出版されている。
- もともとは関東に所属していたが、2016年度より関西に移籍した。2018年現在は福岡市在住[7]。九州地方での将棋の普及活動に力を入れており、2016年1月より福岡市に開設された九州研修会では、同じく福岡在住の中田功と共に幹事を務めている[8]。
弟子
棋士となった弟子
名前 |
四段昇段日 |
段位、主な活躍
|
渡辺和史 |
2019年10月1日
|
七段
|
(2024年5月9日現在)
昇段履歴
- 1982年00月00日 : 6級 = 奨励会入会
- 1985年00月00日 : 初段
- 1989年06月00日 : 三段(第6回奨励会三段リーグ<1989年度後期>からリーグ参加)
- 1991年10月01日 : 四段(第9回奨励会三段リーグ成績1位) = プロ入り
- 1996年02月27日 : 五段(勝数規定 /公式戦100勝)
- 2002年05月22日 : 六段(勝数規定 /五段昇段後公式戦120勝)[9]
- 2009年03月19日 : 七段(順位戦B級1組昇級)[10]
主な成績
在籍クラス
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
1991
|
17 |
13 |
4 |
0.7647 |
[13]
|
1992
|
41 |
25 |
16 |
0.6098 |
[14]
|
1993
|
37 |
22 |
15 |
0.5946 |
[15]
|
1994
|
39 |
25 |
14 |
0.6410 |
[16]
|
1995
|
36 |
17 |
19 |
0.4722 |
[17]
|
1996
|
31 |
14 |
17 |
0.4516 |
[18]
|
1997
|
32 |
21 |
11 |
0.6563 |
[19]
|
1998
|
32 |
16 |
16 |
0.5000 |
[20]
|
1999
|
37 |
19 |
18 |
0.5135 |
[21]
|
2000
|
36 |
23 |
13 |
0.6389 |
[22]
|
1991-2000 (小計)
|
348 |
195 |
153 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2001
|
32 |
23 |
9 |
0.7188 |
[23]
|
2002
|
35 |
19 |
16 |
0.5429 |
[24]
|
2003
|
29 |
17 |
12 |
0.5862 |
[25]
|
2004
|
35 |
19 |
16 |
0.5429 |
[26]
|
2005
|
37 |
19 |
18 |
0.5135 |
[27]
|
2006
|
35 |
24 |
11 |
0.6857 |
[28]
|
2007
|
38 |
25 |
13 |
0.6879 |
[29]
|
2008
|
27 |
15 |
12 |
0.5556 |
[30]
|
2009
|
27 |
10 |
17 |
0.3704 |
[31]
|
2010
|
27 |
9 |
18 |
0.3333 |
[32]
|
2001-2010 (小計)
|
322 |
180 |
142 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2011
|
26 |
9 |
17 |
0.3462 |
[33]
|
2012
|
31 |
13 |
18 |
0.4194 |
[34]
|
2013
|
25 |
12 |
13 |
0.4800 |
[35]
|
2014
|
30 |
14 |
16 |
0.4667 |
[36]
|
2015
|
29 |
8 |
21 |
0.2759 |
[37]
|
2016
|
26 |
7 |
19 |
0.2692 |
[38]
|
2017
|
29 |
12 |
17 |
0.4138 |
[39]
|
2018
|
29 |
15 |
14 |
0.5172 |
[40]
|
2019
|
30 |
10 |
20 |
0.3333 |
[41]
|
2020
|
27 |
11 |
16 |
0.4074 |
[42]
|
2011-2020 (小計)
|
282 |
111 |
171 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
29 |
10 |
19 |
0.3448 |
[43]
|
2022
|
24 |
4 |
20 |
0.1667 |
[44]
|
2023
|
29 |
10 |
19 |
0.3448 |
[45]
|
2021-2023 (小計)
|
82 |
24 |
58 |
|
|
通算
|
1024 |
510 |
514 |
0.4980 |
[46]
|
2023年度まで
|
著書
脚注
注釈
- ^ 同期入会は、羽生善治・森内俊之・佐藤康光・郷田真隆など。
- ^ 最終2局を残した時点で、1番手が深浦康市・2番手が真田圭一・3番手豊川という状態だったが、深浦及び真田がそれぞれ1敗を喫し、豊川は2局とも勝った為、順位が逆転し、1位の豊川・2位の深浦が四段に昇段した。
- ^ 飯塚は次期、豊川は次々期に昇級した。
出典
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【33名】 | |
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七段 【45名】 | |
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六段 【27名】 | |
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五段 【21名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 八段 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 八段 中座真 (2024年6月19日 引退)
- 七段 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
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現役棋士 全174名(2024年11月6日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 【 ▼降級 4名 】 | |
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2組
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3組
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4組
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5組
|
【在籍 31名(棋士30名・奨励会員1名) / 定員 32名 (欠員1) 】
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6組 【 △昇級 5名 】 |
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次期から出場 |
- 2025年4月昇段者(2-3名)
- 2025年10月昇段者(2-3名)
- (いずれも第39期からの出場)
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
- 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 中座真 (2024年6月19日 引退)
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次期から の出場者
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フリークラスからの昇級者 | |
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2024年10月1日昇段者 | |
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点2回で降級、C級2組は降級点3回で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |