村山 慈明(むらやま やすあき、1984年5月9日 - )は、将棋棋士。桜井昇九段門下。棋士番号は249。東京都日野市出身。
棋歴
1995年、日野市立日野第三小学校5年時に小学生将棋名人戦で優勝し、奨励会に入る。
2001年後期から参加した三段リーグを2年・4期で抜け、2003年秋にプロデビュー。それから間もなく頭角を現す。2004年度、第23回朝日オープン将棋選手権で予選を勝ち抜き本戦出場。さらに、同年度に行われた第53期(2005年度)王座戦の予選では、松尾歩、橋本崇載、阿久津主税、島朗らを相手に6連勝して本戦出場にあと一歩と迫るが、予選決勝(二次予選決勝)で先崎学に敗れる。
第19期(2006年度)竜王戦6組で準優勝し、5組へ昇級。
2007年度、第38期新人王戦で棋戦初優勝。さらには第66期順位戦C級2組(在位4期目)で、1敗の後の9連勝で1位となり、C級1組に昇級。この年度は全棋士中で1位の勝率(36勝10敗、0.783)も挙げ、将棋大賞で勝率1位賞と新人賞を同時受賞。
第23期(2010年度)竜王戦で4組優勝し、初めて決勝トーナメントに進出(初戦敗退)。
2011年度、第52期王位戦でリーグ入り。佐藤康光、三浦弘行に勝つなど第4回戦まで無敗で単独トップに立ったが、最終の第5回戦で羽生善治(1敗)に負けて並ばれる。プレーオフでも羽生に敗れ挑戦者決定戦進出を逃したものの、陥落しやすいリーグとして知られる王位リーグでの残留は果たした。翌第53期は2勝3敗で陥落。翌第54期は予選からの再出発となったものの、そこを再び勝ち抜き3年連続でリーグ入りを果たした(リーグでは最終局で佐々木慎に1勝を挙げたのみで陥落)。
第71期順位戦C級1組(在位5期目)で、8回戦(金井恒太戦)以外をすべて勝利し、稲葉陽に次ぐ2位でB級2組に昇級。続く第72期順位戦B級2組でも佐藤天彦に次いで2位となり、B級1組に昇級、規定により七段に昇段した。
2015年には将棋電王戦FINALの第4局でponanzaと対局。自ら立候補しての参加であったが[1]、相横歩取りの末に分の悪い変化に持ち込まれて敗れた[2]。
2015年度のNHK杯テレビ将棋トーナメントでは、1回戦で初出場の八代弥、2回戦で菅井竜也を下し、3回戦で前年度優勝の森内俊之を相手に勝利。準々決勝で豊島将之、準決勝で広瀬章人と、ともに自身より若くタイトル挑戦経験がある二人を倒し、決勝で初出場の千田翔太を下し、初優勝を達成した。一方、第74期順位戦B級1組は3勝9敗で12位に終わり、B級2組へ降級となった。
2017年2月11日、2016年度の第10回朝日杯本戦トーナメントで決勝進出。八代弥との対局は、終盤にもつれ形勢不明の展開になったが、敗れて準優勝[3]。
第30期(2017年度)竜王戦で3組優勝し、7年ぶりに決勝トーナメントに進出。佐藤康光(2組2位)を破ったが、羽生善治(1組2位)に敗れた。
2018年度、第59期王位戦で5年ぶりとなるリーグ入りを果たし、3勝2敗と健闘するも陥落。
棋風
居飛車党。序盤戦の深い研究で知られ、同じ名字の村山聖が存命で新鋭の頃に「終盤は村山に聞け」と呼ばれたことにあやかり、「序盤は村山に聞け」(あるいは「終盤は聖に聞け、序盤は慈明に聞け」とも)と呼ばれる[1]。電王戦での二つ名も漢字違いの「序盤は村山に訊け」であった。
人物
棋界では渡辺明、戸辺誠と共に『酷評三羽烏』と言われ、歯に衣着せぬ物言いで知られる。ちなみに、村山は雛鳥らしい。
仲間内では名前を音読みした“じめい”の愛称で呼ばれている[1]。ニコ生中継で「聞き手・じめこ女流7級」と名乗ったこともある[4]。
2014年、30歳のときに結婚[5]。多くの棋士が披露宴に出席した。[6]
2016年度には『NHK将棋講座』で「知って得する序盤術」と題して、講師を半年間にわたり担当した[7]。
2019年度より、目標とする順位戦A級昇級とタイトル挑戦の達成のために、活気ある環境を求めて関東から関西に移籍した。これに伴い、羽生善治・木村一基・松尾歩と行っていた「羽生研」(後任は青嶋未来)、藤井猛・行方尚史・佐藤天彦との研究会(2018年度末解散)など10件の練習将棋・研究会を全て終えた[5][8]。
昇段履歴
- 1995年00月00日 : 6級 = 奨励会入会
- 1998年00月00日 : 初段
- 2000年10月00日 : 二段
- 2001年07月00日 : 三段(第30回奨励会三段リーグからリーグ参加)
- 2003年10月01日 : 四段(第33回奨励会三段リーグ成績1位) = プロ入り
- 2007年12月14日 : 五段(勝数規定 /公式戦100勝、通算100勝53敗)[9]
- 2012年05月17日 : 六段(勝数規定 /五段昇段後公式戦120勝、通算220勝120敗)[10]
- 2014年03月13日 : 七段(順位戦B級1組昇級、通算277勝140敗)[11]
- 2023年06月21日 : 八段(勝数規定 /七段昇段後公式戦190勝、通算467勝283敗)[12][13]
主な成績
棋戦優勝
- 優勝合計2回
将棋大賞
- 第35回(2007年)勝率1位賞、新人賞
- 第41回(2013年)勝率1位賞
在籍クラス
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2003
|
9 |
6 |
3 |
0.6667 |
[16]
|
2004
|
38 |
21 |
17 |
0.5526 |
[17]
|
2005
|
35 |
22 |
13 |
0.6286 |
[18]
|
2006
|
41 |
28 |
13 |
0.6829 |
[19]
|
2007
|
46 |
36 |
10 |
0.7826 |
[20]
|
2008
|
39 |
23 |
16 |
0.5897 |
[21]
|
2009
|
36 |
21 |
15 |
0.5833 |
[22]
|
2010
|
44 |
34 |
10 |
0.7727 |
[23]
|
2003-2010 (小計)
|
288 |
191 |
97 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2011
|
45 |
25 |
20 |
0.5556 |
[24]
|
2012
|
43 |
29 |
14 |
0.6744 |
[25]
|
2013
|
43 |
33 |
10 |
0.7674 |
[26]
|
2014
|
32 |
18 |
14 |
0.5625 |
[27]
|
2015
|
46 |
27 |
19 |
0.5870 |
[28]
|
2016
|
38 |
21 |
17 |
0.5526 |
[29]
|
2017
|
38 |
25 |
13 |
0.6579 |
[30]
|
2018
|
38 |
22 |
16 |
0.5789 |
[31]
|
2019
|
38 |
22 |
16 |
0.5789 |
[32]
|
2020
|
31 |
15 |
16 |
0.4839 |
[33]
|
2011-2020 (小計)
|
392 |
237 |
155 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
28 |
14 |
14 |
0.5000 |
[34]
|
2022
|
35 |
21 |
14 |
0.6000 |
[35]
|
2023
|
36 |
21 |
15 |
0.5833 |
[36]
|
2021-2023 (小計)
|
99 |
56 |
43 |
|
|
通算
|
779 |
484 |
295 |
0.6213 |
[37]
|
2023年度まで
|
著書
単著
共著
脚注
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【34名】 | |
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七段 【44名】 | |
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六段 【28名】 | |
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五段 【20名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 八段 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 八段 中座真 (2024年6月19日 引退)
- 七段 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
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現役棋士 全174名(2025年1月16日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 【 ▼降級 4名 】 | |
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2組
| |
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3組
| |
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4組
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5組
|
【在籍 31名(棋士30名・奨励会員1名) / 定員 32名 (欠員1) 】
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6組 【 △昇級 5名 】 |
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次期から出場 |
- 2025年4月昇段者(2-3名)
- 2025年10月昇段者(2-3名)
- (いずれも第39期からの出場)
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
- 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 中座真 (2024年6月19日 引退)
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次期から の出場者
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フリークラスからの昇級者 | |
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2024年10月1日昇段者 | |
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点2回で降級、C級2組は降級点3回で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |
一般棋戦優勝 2回 |
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1950年代 | |
---|
1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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名誉NHK杯 |
- 羽生善治 ( 通算10回優勝者が該当 / 計11回優勝={ 第38回,41,45,47,48,50,58,59,60,61,第68回 } )
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司会者 | |
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関連項目 | |
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将棋大賞 |
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1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
前年度の活躍が対象 |
|
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
前年度の活躍が対象 |
|
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叡王戦創設前 |
第1回 |
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第2回 |
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第3回 |
棋士 | |
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コンピュータ |
- 習甦 (先鋒)
- やねうら王 (次鋒)
- YSS (中堅)
- ツツカナ (副将)
- ponanza (大将)
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FINAL |
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叡王戦創設後 |
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関連項目 | |
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太字は勝者 |