日本の多目的ダム一覧
日本最大の多目的ダム・徳山ダム (岐阜県 ・揖斐川 )
日本の多目的ダム一覧 (にほんのたもくてきダムいちらん)は、2024年 現在日本で完成または建設が進められている多目的ダム について、一覧としたものである。また、47都道府県 における多目的ダム事業の歴史についても解説する。
多目的ダムの本論や用語、分類についての解説は多目的ダム の項目を参照のこと。
掲載対象
掲載対象は治水 (洪水調節 、不特定利水 )および利水 (灌漑 、上水道 ・工業用水道 供給、水力発電 、消流雪用水 、レクリェーション)を目的とするダムおよび堰 である。洪水調節と不特定利水の二つを目的とするダムは治水ダム であるため対象外。ただし複数の利水目的を有するダムについては掲載する。ダムの基準は1964年 施行の河川法 及び1976年 施行の河川管理施設等構造令に基づき高さ15.0メートル 以上のものを「ダム」とし、それ以外は「堰」とする。従って砂防法 に基づき建設される砂防堰堤 は、河川法上のダムとは見なされないので、複数の目的を有していても対象からは除外する。
表の見方
一覧表の順序は五十音順 で示す。複数の所在地にまたがるダムについては財団法人 日本ダム協会 『ダム便覧』および建設省 河川局 監修・財団法人ダム技術センター 編『日本の多目的ダム』に準じ、河川の源流点から河口 ・合流点を見た場合におけるダム左岸 の所在都道府県に掲載する[ 1] 。なお、モバイル環境で閲覧する場合は横向きを推奨する。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
A川
A川
Aダム
特定
FNAWIP
重力
150.0
100,000
国土交通省
2000
水特法指定
二級
B川
B川
Bダム
補助
FNW
アーチ
100.0
10,000
B県
2015
工事中
一級
C川
C川
Cダム
利水
AWIP
ロックフィル
50.0
1,000
C県
2020
事業見直し
河川等級
河川法に基づく等級。「一級」は一級河川 、「二級」は二級河川 。
水系
ダムが建設されている河川 が属する水系 。
河川
ダムが建設されている河川。「河道外」は河川以外の谷間などに建設されているダムを指す。
種別
多目的ダムの河川関連法規における種別。
特定
1957年 に施行された特定多目的ダム法 に基づき建設された特定多目的ダム 。
補助
国土交通省 (建設省)が国庫 補助対象の治水事業として指定した地方自治体 施工の多目的ダム。一般に補助多目的ダム と呼ばれる。
水機構法
1962年 に施行された水資源開発促進法 に基づき、水資源機構 (水資源開発公団)が施工した多目的ダム。ダムの管理・施工は水資源機構法で定められる。
利水
国土交通省(建設省)が所管していない治水を目的に有しない多目的ダム。農林水産省直轄ダム などがこれに当たる。
無印は河川法第17条に基づく「兼用工作物 」に指定された多目的ダム、地方自治体が事業者である土地改良事業の一環として建設された農地防災 と灌漑 を目的としたダム(目的欄にF・Aと記される)などが該当する。
目的
可読性の観点から、略号で表記する。
「F 」洪水調節、「N 」不特定利水、「A 」灌漑、「W 」上水道供給、「I 」工業用水道供給、「P 」水力発電、「S 」消流雪用水、「R 」レクリェーション。
型式
ダムの型式 。詳細は個々の記事を参照。
高さ
ダムの高さ。単位はメートル。
総貯水容量
ダムによって形成される人造湖 の総貯水容量 。単位は1,000立方メートル 。
事業者
ダムを管理、施工する事業者。ただし北海道開発局 と内閣府 沖縄総合事務局 が管理する多目的ダムについては、その事業を所管する主務省庁(開発建設部:国土交通省、農業水産部:農林水産省 )で記す。カッコ内に記されている事業者は、ダム再開発事業(再編事業・再生事業)の事業者であり、現時点での管理者とは異なる場合に記載する。
完成年
ダムの完成年。
備考
特記することを記す。
水特法
1973年 施行の水源地域対策特別措置法 に指定されたダム。
水特法9条指定
水源地域対策特別措置法指定ダムのうち、水没戸数150戸 以上または水没農地面積150ヘクタール 以上と水没補償対象が大規模だったダム。同法9条により補償が厚く実施される。
工事中
現在建設が行われている未完成の多目的ダム事業。緑色欄で表示する。
事業見直し
民主党 政権によって2009年 12月 に事業継続の再検討を求められた未完成の多目的ダム事業。桃色欄で表示する。
一覧
北海道
総貯水容量では道内最大の夕張シューパロダム (夕張川 )
北海道最初の多目的ダムは、石狩川 水系 雨竜川 に1953年 (昭和28年)完成した鷹泊ダム である[ 2] 。旧農林省 (農林水産省 )による国営農業水利事業(灌漑 )と北海道企業局 の道営水力発電 事業の共同事業として建設され、利水専用の多目的ダムであった。1961年 (昭和36年)には農業用ダムとしては日本屈指の規模を持つ大夕張ダム が夕張川 に建設された。一方北海道開発庁 設置に伴う北海道総合開発計画の一環として、道内最大の河川である石狩川の河川総合開発事業 が計画され、その第一弾として三笠市 で石狩川に合流する支流 ・幾春別川に桂沢ダム が1957年 (昭和32年)に完成。治水 目的を有する多目的ダムの第一号となった。桂沢ダムは2024年 (令和6年)ダム再開発事業 である幾春別川総合開発事業に伴いダム本体を取り込む形のかさ上げを実施、新桂沢ダム として強化された[ 3] 。
桂沢ダム完成以降は旧建設省 (国土交通省 )の直轄事業として石狩川本流のほか空知川 ・豊平川 ・漁川 ・小樽内川 ・忠別川 に特定多目的ダム が、道営事業として美唄ダム (美唄川)が1982年 (昭和57年)に最初に完成[ 4] したほか、愛別川流域・夕張川流域・徳富川流域・当別川 に補助多目的ダム が完成・施工されている。
北海道第二の大河・天塩川 水系では天塩川本流に岩尾内ダム と支流名寄川 に注ぐサンル川 にサンルダム が、第三の大河・十勝川 には十勝川本流に十勝ダム 、支流札内川 に札内川ダムが、オホーツク海 に注ぐ河川唯一の多目的ダムとして常呂川 に鹿ノ子ダム が、日高 では沙流川 に二風谷ダム と平取ダム (額平川 )が、留萌 では留萌ダム (チバベリ川)が、渡島半島 では後志利別川 に美利河ダム がそれぞれ建設省により完成。一方北海道営では二級河川 である厚真川 ・静内川 ・庶路川 ・小平蘂川などの河川に多目的ダムを完成させた。利水専用としては十勝川に屈足ダム が電源開発 と北海道の共同事業で完成している。
完成した多目的ダムの中で最大の規模を有するのは夕張川に国土交通省・農林水産省・北海道企業局などの共同事業として2015年 (平成27年)に完成させた夕張シューパロダム で、人造湖 規模が日本第4位という有数の規模となったが、完成に伴い大夕張ダムは水没した。夕張シューパロダム完成以前に道内最大規模を有した高見ダム (静内川)は、補助多目的ダムとして日本最大規模、ダムの高さでは引き続き道内最大のダムである。
施工中のダムは何れも既存の水力発電専用ダムに治水目的を追加して多目的ダムとするダム再生事業 として実施されている。石狩川水系では最初に河川総合開発に着手しながら治水目的を有するダムが存在しなかった水系屈指規模の支流・雨竜川流域において、2000年以降頻発する水害に備えるため北海道電力 が管理する雨竜第一ダム (雨竜川)と雨竜第二ダム (ウツナイ川)に治水目的を付加する雨竜川ダム再生事業が2018年 (平成30年)より事業に着手している。具体的には雨竜第一ダムでは貯水池である朱鞠内湖 の容量配分を変更し治水容量を新設、雨竜第二ダムでは2.4メートルダム本体をかさ上げして貯水池である宇津内湖の容量を増やし、増加分を治水容量に充てるというものであり[ 5] 2033年(令和15年)の完成に向けて施工中である。なお同事業に伴い雨竜第一・第二ダムは国土交通省と北海道電力が共同管理する兼用工作物となった[ 6] 。
また十勝川水系では1956年 (昭和31年)に十勝糠平系電源一貫開発計画の中心事業として電源開発が建設した糠平ダム (音更川 )について治水目的を追加して多目的ダム化する糠平ダム再生事業が着手された。計画内容は糠平ダムを6メートルかさ上げして治水容量を増設し、音更川と合流先である十勝川の洪水調節を行い帯広市 など流域の治水安全度を高めるというものである。完成すれば糠平ダム(糠平湖)は総貯水容量が2億3300立方メートルと高見ダム(高見湖)を超える北海道第三の規模を擁する人造湖となる[ 7] 。
中止事業としては1961年に赤岩ダム(鵡川 )が占冠村 の反対[ 8] で建設中止 したのを始め、美瑛(美瑛川 )・松倉(松倉川 )・白老(白老川 )・トマム(八戸沢川)・嶮淵(嶮淵川)・安平(勇払川)などの各ダム事業が中止となっている(詳細は中止したダム事業#北海道 を参照)。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
石狩川
狩布川
愛別ダム
補助
FNWI
重力
39.0
9,500
北海道
1986
水特法 指定
二級
朝里川
朝里川
朝里ダム
補助
FNW
重力
73.9
8,800
北海道
1993
一級
石狩川
芦別川
芦別ダム
AWP
重力
22.8
1,598
国土交通省
1957
二級
厚真川
厚真川
厚幌ダム
補助
FNAW
台形CSG
47.2
47,400
北海道
2018
一級
石狩川
漁川
漁川ダム
特定
FNW
ロックフィル
45.5
15,300
国土交通省
1980
一級
天塩川
天塩川
岩尾内ダム
特定
FAWIP
重力
58.0
107,700
国土交通省
1970
一級
石狩川
雨竜川
雨竜第一ダム
兼用
FP
重力
45.5
244,700
国土交通省 北海道電力
2033
再生事業 中[ 6]
一級
石狩川
ウツナイ川
雨竜第二ダム
兼用
FP
重力
35.7
21,600
国土交通省 北海道電力
2033
再生事業中[ 6]
二級
大椴子川
大椴子川
大椴ダム
FA
アース
34.0
1,729
北海道
2003
二級
大野川
中二股沢川
大野ダム
利水
AW
重力
47.5
1,600
北海道
2002
二級
小平蘂川
小平蘂川
小平ダム
補助
FNAW
重力
42.4
33,400
北海道
1992
一級
石狩川
空知川
金山ダム
特定
FAWP
中空重力
57.3
150,450
国土交通省
1967
一級
常呂川
常呂川
鹿ノ子ダム
特定
FNAW
重力
55.5
39,800
国土交通省
1983
二級
天野川
目名川
上ノ国ダム
補助
FNW
重力
51.3
3,730
北海道
2002
一級
石狩川
夕張川
川端ダム
利水
AP
重力
21.4
6,479
農林水産省
1962
一級
十勝川
十勝川
屈足ダム
利水
AP
ロックフィル
27.5
3,130
北海道電源開発
1988
一級
石狩川
ポンウエンベツ川
栗山ダム
補助
FNW
重力
31.9
3,200
北海道
1994
一級
十勝川
札内川
札内川ダム
特定
FNAWP
重力
114.0
54,000
国土交通省
1990
一級
天塩川
サンル川
サンルダム
特定
FNWP
台形CSG
46.0
57,200
国土交通省
2018
一級
石狩川
夕張川
清水沢ダム
利水
AP
重力
27.1
5,576
北海道
1940
1994年再開発
一級
石狩川
小樽内川
定山渓ダム
特定
FWP
重力
117.5
82,300
国土交通省
1989
二級
庶路川
庶路川
庶路ダム
補助
FNI
重力
48.9
36,500
北海道
2004
一級
石狩川
幾春別川
新桂沢ダム
特定
FNAWIP
重力
75.5
147,300
国土交通省
2024
桂沢ダム 再開発
二級
亀田川
亀田川
新中野ダム
補助
FNW
重力
74.9
3,300
北海道
1984
一級
石狩川
石狩川
大雪ダム
特定
FNAWP
ロックフィル
86.5
66,000
国土交通省
1975
一級
石狩川
雨竜川
鷹泊ダム
利水
AP
重力
35.0
21,518
北海道
1953
二級
静内川
静内川
高見ダム
補助
FP
重力
120.0
229,000
北海道
1983
補助ダム日本一
一級
石狩川
空知川
滝里ダム
特定
FNAWP
重力
50.0
108,000
国土交通省
1990
水特法9条指定
一級
石狩川
忠別川
忠別ダム
特定
FNAWP
複合
86.0
93,000
国土交通省
2006
水特法指定
一級
石狩川
当別川
当別ダム
補助
FNAW
台形CSG
52.4
72,500
北海道
2012
水特法9条指定
一級
十勝川
十勝川
十勝ダム
特定
FP
ロックフィル
84.3
112,000
国土交通省
1984
一級
石狩川
徳富川
徳富ダム
補助
FNAW
重力
78.4
36,000
北海道
2013
一級
沙流川
沙流川
二風谷ダム
特定
FNAWIP
重力
32.0
31,500
国土交通省
1997
水特法指定
一級
十勝川
音更川
糠平ダム
FP
重力
82.0
233,300
電源開発 (国土交通省)
未定
再生事業中
一級
石狩川
美唄川
美唄ダム
補助
FNWI
重力
34.5
1,500
北海道
1982
一級
沙流川
額平川
平取ダム
特定
FNW
重力
56.5
44,800
国土交通省
2022
水特法指定
一級
後志利別川
後志利別川
美利河ダム
特定
FNAP
複合
40.0
18,000
国土交通省
1991
水特法指定
一級
石狩川
豊平川
豊平峡ダム
特定
FWP
アーチ
102.5
47,100
国土交通省
1972
一級
石狩川
夕張川
夕張シューパロダム
兼用
FNAWP
重力
110.6
427,000
国土交通省 農林水産省 北海道
2015
大夕張ダム 再開発 水特法9条指定
一級
留萌川
チバベリ川
留萌ダム
特定
FNW
ロックフィル
41.2
23,300
国土交通省
2009
東北地方
青森県
青森県最大の多目的ダム・津軽ダム (岩木川 )
青森県 は日本において早い段階で河川総合開発事業に着手した地方自治体の一つである。岩木川 水系 浅瀬石川(あせいしがわ)に1933年 (昭和8年)より着手された沖浦ダム は、日本で最初に着手された多目的ダム である[ 9] 。沖浦ダムは1945年 (昭和20年)に完成したが、その後1950年 (昭和25年)の国土総合開発法 施行に伴い岩木川水系は十和田岩木川特定地域総合開発計画 の対象地域に指定されたことから、岩木川水系の総合開発が計画され1959年 (昭和34年)岩木川本流に目屋ダムが建設省によって完成した[ 10] 。以降岩木川支流の各河川に県営の多目的ダムが完成するが[ 11] [ 12] 、弘前市 ・黒石市 など流域の人口増加に伴い治水安全度が低下したことから沖浦ダム直下に建設省が浅瀬石川ダム を1988年 (昭和63年)に完成させた。これにより沖浦ダムは水没し現存しない。一方太平洋 側に注ぐ河川では新井田川 に世増(よまさり)ダム が2004年 (平成16年)に完成する。農林水産省による国営かんがい排水事業に青森県が治水、八戸市 などが上水道 事業者として参入したものであるが、反対運動が激しく計画発表から完成まで35年を費やしている[ 13] 。
青森県で最大の規模を持つ多目的ダムは高さ・総貯水容量 共に岩木川の津軽ダム である。津軽ダムは目屋ダムの再開発事業であり2016年完成した。しかし直上流の目屋ダムは浅瀬石川ダムにおける沖浦ダムと同様に水没した。建設中のダム事業は駒込ダム(駒込川 )が県営事業として施工中[ 14] であるが、ダム事業見直しにより奥戸(おこっぺ)川に計画されていた奥戸ダムは事業中止が決定している[ 15] 。また小川原湖 を多目的ダム化する小川原湖総合開発事業(高瀬川 )[ 16] と中村ダム(中村川 )[ 17] 、磯崎ダム(磯崎川)[ 18] が建設中止になっている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
岩木川
浅瀬石川
浅瀬石川ダム
特定
FNWP
重力
91.0
53,100
国土交通省
1988
水特法9条指定
一級
岩木川
飯詰川
飯詰ダム
補助
FNW
アース
38.0
2,380
青森県
1973
二級
小泊川
小泊川
小泊ダム
補助
FNW
重力
33.5
400
青森県
1996
二級
堤川
駒込川
駒込ダム
補助
FNP
重力
84.5
7,800
青森県
2031
二級
堤川
堤川
下湯ダム
補助
FNW
ロックフィル
70.0
12,600
青森県
1988
一級
岩木川
作沢川
相馬ダム
FA
ロックフィル
52.4
6,560
青森県
2003
一級
岩木川
岩木川
津軽ダム
特定
FNAWIP
重力
97.2
140,900
国土交通省
2016
水特法9条指定
一級
岩木川
津刈川
久吉ダム
補助
FNW
重力
57.0
6,730
青森県
1995
二級
新井田川
新井田川
世増ダム
補助
FAW
重力
52.0
36,500
青森県
2003
水特法指定
岩手県
岩手県で最大の総貯水容量を有する田瀬ダム (猿ヶ石川 )
岩手県 は南北を東北随一の大河・北上川 が貫流する。戦前より内務省 が北上川水系の河川開発を実施しこの時に北上川五大ダム計画 が登場する[ 19] 。戦後カスリーン ・アイオン の両台風 が北上川流域に深刻な被害を与えたこと、また戦後の食糧・電力不足を解消させるため北上川は隣接する鳴瀬川 水系を包括した地域開発計画である北上特定地域総合開発計画 が策定され、五大ダム計画は強力に推進される。1953年 (昭和28年)完成の石淵ダム (胆沢川 )を皮切りに田瀬 (猿ヶ石川 )、湯田 (和賀川 )、四十四田 (北上川本流)の各ダムが建設され、1981年 (昭和56年)の御所ダム (雫石川 )完成により五大ダム事業は完結する。一方岩手県営のものとしては北上川水系では農林省の国営農業水利事業に電気事業者として参画した岩洞ダム (丹藤川)のほか早池峰ダム (稗貫川 )、入畑ダム(夏油川)、綱取ダム(中津川 )、簗川ダム (簗川)や、太平洋側の二級河川である久慈川水系、盛川水系、綾里川水系などに多目的ダムを建設している。
岩手県最大の多目的ダムは高さでは胆沢ダム (胆沢川)、総貯水容量では田瀬ダム である。胆沢ダムは石淵ダムの再開発事業であり、完成に伴い日本で最初に着手されたロックフィルダム [ 20] である石淵ダムは水没した。事業中のダムとして国土交通省直轄ダムでは北上川上流ダム再生事業があり、北上川本流の四十四田ダムをかさ上げて貯水容量を増加させ、御所ダムの貯水容量配分を変更して治水能力の向上を図る[ 21] 。なお北本内ダム(北本内川)[ 22] など幾つかのダム事業が中止されている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
北上川
胆沢川
胆沢ダム
特定
FNAWP
ロックフィル
132.0
143,000
国土交通省
2013
石淵ダム 再開発 水特法指定
一級
北上川
夏油川
入畑ダム
補助
FNWIP
重力
80.0
15,400
岩手県
1990
一級
北上川
丹藤川
岩洞ダム
利水
AP
ロックフィル
40.0
65,600
岩手県
1960
農林省施工
一級
北上川
岩崎川
煙山ダム
FA
アース
21.8
1,410
岩手県
1967
農林省施工
一級
北上川
雫石川
御所ダム
特定
FNWP
複合
52.5
65,000
国土交通省
1981
水特法9条指定 再生事業中
一級
北上川
北上川
四十四田ダム
特定
FP
複合
50.0
47,100
国土交通省
1968
再生事業中
二級
久慈川
長内川
滝ダム
補助
FNP
重力
70.0
7,600
岩手県
1982
二級
盛川
鷹生川
鷹生ダム
補助
FNW
重力
77.0
9,680
岩手県
2006
一級
北上川
猿ヶ石川
田瀬ダム
FAP
重力
81.5
146,500
国土交通省
1954
直轄ダム第一号
一級
北上川
中津川
綱取ダム
補助
FNW
重力
59.0
15,000
岩手県
1982
一級
北上川
稗貫川
早池峰ダム
補助
FNWIP
重力
73.5
17,250
岩手県
2000
一級
北上川
簗川
簗川ダム
補助
FNW
重力
77.2
19,100
岩手県
2021
水特法指定[ 23]
二級
新井田川
雪谷川
雪谷川ダム
FA
重力
28.4
2,662
岩手県
1977
一級
北上川
和賀川
湯田ダム
特定
FAP
重力アーチ
89.5
114,160
国土交通省
1964
二級
綾里川
綾里川
綾里川ダム
補助
FNW
重力
43.0
486
岩手県
2000
宮城県
宮城県で最大の総貯水容量を有する七ヶ宿ダム (白石川 )
北上川下流に位置する宮城県 は古くは伊達政宗 以来北上川の改修が続けられてきた。しかしカスリーン・アイオン両台風による深刻な被害を機に北上川全体の総合開発が求められ北上特定地域総合開発計画 が策定。北上川支流の江合川 と迫川 が対象となり鳴子ダム (江合川)や花山ダム (迫川)などの多目的ダム群が建設された。また東北最大の都市である仙台市 の人口増加や塩竈市 など沿岸工業地帯 拡充による水道供給も課題となり、名取川 水系を開発する仙塩特定地域総合開発計画 が策定され[ 24] 大倉ダム (大倉川 )や釜房ダム (碁石川)が完成、その後阿武隈川 水系に七ヶ宿ダム (白石川 )、七北田川 に七北田(ななきた)ダム が建設されて仙台市の水がめとなった。鳴瀬川 水系では北上川の総合開発と包括して開発が行われ、本流に内野ダム[ 25] が建設省によって計画され、その後県営のダム事業となり1980年 (昭和55年)に漆沢ダム として完成する。また洪水被害が頻発する支流の吉田川 流域の総合開発が行われ、南川 (南川)、宮床 (宮床川)の両ダムが建設された。
宮城県最大の多目的ダムは高さでは鳴子ダム 、総貯水容量では仙台市など宮城県大半の水がめとして利用されている七ヶ宿ダム である。宮城県のダムの中で特色のあるダムとしては、自然の湖沼である長沼をダム化した長沼ダム がある。この長沼ダムは日本では兵庫県 の石井ダム(石井川)と当ダムしか有しないレクリェーション目的がある。宮城県漕艇場が長沼に設置されているため、ローイング競技 (ボート競技)の水位維持を目的とする[ 26] 。事業中止のダムとしては新月ダム(大川)[ 27] などがある。また鳴瀬川支流の田川を中心にした総合開発計画である「鳴瀬川総合開発事業」であるが、当初は田川に田川第一・田川第二の2ダムを建設する計画だったが田川第二ダムは中止となり[ 28] 、田川第一ダムを田川ダムに名称変更して事業を継続していた。しかしダム事業再検証対象となり再検証が行われた結果、同時期に宮城県が同じ鳴瀬川の支流・筒砂子川に計画し、やはり再検証対象となっていた筒砂子ダムと事業を統合し、筒砂子ダムの規模拡大と既設漆沢ダムの治水専用ダム 変更を軸とした代替案が費用対効果に優れるという結論に達した。これにより県営としての筒砂子ダム事業は中止、鳴瀬川総合開発事業自体は事業継続とされたが田川ダムは統合拡大された新筒砂子ダム計画に吸収されて田川におけるダム計画は消滅し、今後は筒砂子ダムから名称を改めた鳴瀬川ダムと漆沢ダム再開発(治水専用ダム化)を両輪とする鳴瀬川総合開発として再出発することになった[ 29] [ 30] 。
なお大倉ダムは建設省により特定多目的ダムとして施工されたが、完成後は宮城県に管理が移管されている。また釜房ダムの人造湖である釜房湖 は湖沼水質保全特別措置法 (湖沼法)に人造湖では唯一指定されており、厳重な水質管理が行われている。荒砥沢ダム(二迫川 )は岩手宮城内陸地震 でダム湖畔が大規模な山腹崩壊を起こし湖に大量の土砂が流入し対策が講じられている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
北上川
二迫川
荒砥沢ダム
補助
FA
ロックフィル
74.4
14,130
宮城県
1998
農林水産省施工
一級
鳴瀬川
鳴瀬川
漆沢ダム
補助
FNWIP
ロックフィル
80.0
18,000
宮城県 (国土交通省)
1980
再開発事業中
一級
名取川
大倉川
大倉ダム
特定
FNAWIP
多連式アーチ
82.0
28,000
宮城県
1961
建設省施工
一級
名取川
碁石川
釜房ダム
特定
FNWIP
重力
45.5
45,300
国土交通省
1970
湖沼法 指定
一級
北上川
上大沢川
上大沢ダム
補助
FW
アース
19.0
410
宮城県
2003
一級
北上川
北上川
北上大堰
NAWI
堰
-
-
国土交通省
1980
一級
北上川
三迫川
栗駒ダム
FAP
重力
57.0
13,715
宮城県
1962
一級
北上川
長崎川
小田ダム
補助
FA
ロックフィル
43.5
9,720
宮城県
2005
農林水産省施工
一級
阿武隈川
白石川
七ヶ宿ダム
特定
FNAWI
ロックフィル
90.0
109,000
国土交通省
1991
水特法9条指定
二級
勿来川
砂押川
惣の関ダム
補助
FNW
重力
23.5
1,100
宮城県
1999
一級
名取川
増田川
樽水ダム
補助
FW
ロックフィル
43.0
4,700
宮城県
1976
一級
鳴瀬川
筒砂子川
鳴瀬川ダム
特定
FNAP
台形CSG
105.0
45,700
国土交通省
2036
工事中[ 31]
一級
北上川
長沼
長沼ダム
補助
FNR
アース
15.3
31,800
宮城県
2014
水特法9条指定
二級
七北田川
七北田川
七北田ダム
補助
FNW
ロックフィル
74.0
9,200
宮城県
1984
一級
北上川
江合川
鳴子ダム
特定
FNP
アーチ
94.5
50,000
国土交通省
1958
一級
北上川
迫川
花山ダム
補助
FNWP
重力
48.5
36,600
宮城県
1957
2004年再開発
二級
伊里前川
伊里前川
払川ダム
補助
FNW
重力
38.9
950
宮城県
2012
一級
鳴瀬川
南川
南川ダム
補助
FNW
重力
46.0
10,000
宮城県
1987
水特法指定
一級
鳴瀬川
宮床川
宮床ダム
補助
FNW
重力
48.0
5,000
宮城県
1998
秋田県
秋田県最大の多目的ダム・玉川ダム (玉川 )
日本における多目的ダム事業の発案者である物部長穂 (内務省土木試験所 長・東京帝国大学 教授 )の出身地である秋田県 では、戦前より水力発電と玉川毒水 解消を目的とした玉川 河水統制事業が1938年 (昭和13年)より実施されていたが、治水を中心とした河川総合開発事業は終戦後雄物川 水系と米代川 水系で行われた。1950年の国土総合開発法制定以降、東北地方の他県と同様に秋田県においても両水系を一括した阿仁田沢特定地域総合開発計画 が発足する。雄物川・米代川とも本流にダム建設可能な地点がないことから、主要な支流に多目的ダムを建設して治水と灌漑、水力発電を行う方針とした。雄物川水系では建設省が中心となり玉川のほか役内川、皆瀬川 と支流の成瀬川 に四箇所のダム[ 32] を、米代川水系では最大の支流である阿仁川 流域に二箇所のダム[ 33] を建設する計画を立てた。この計画により完成したダムとして鎧畑ダム (玉川)、皆瀬ダム (皆瀬川)、森吉ダム (小又川)、萩形ダム (小阿仁川)がある。その後県によって雄物川・米代川水系の各支流に多目的ダムが建設される[ 34] [ 35] が、秋田市 などの人口増加に伴い上水道需要と治水安全度を確保するため建設省は鎧畑ダムの上流に玉川ダム (玉川)を1990年 (平成2年)に完成させた。玉川ダムの完成により雄物川水系の治水・利水が向上したほか、長年の懸案であった玉川毒水がほぼ解消するに至った[ 36] 。さらに米代川水系最大のダムとして森吉山ダム (小又川)が2012年に完成した。
秋田県最大の多目的ダムは玉川ダム であり、その規模は奥只見 ・田子倉 (只見川 )の両ダムに次ぐ貯水容量を誇り東北屈指である。しかし施工中の成瀬ダム (成瀬川)が完成すると高さでは県内一になる。成瀬ダムは当初ロックフィルダムとして計画されたが台形CSGダムに変更され、完成すれば日本最大規模となる。施工中のダムとしては成瀬ダムのほか、総合開発事業が行われていなかった子吉川 水系でも本流に鳥海ダム が計画されている。両ダムとも2009年のダム事業見直し対象になったが、事業は継続されている。また中止したダム事業としては役内川の川井ダム・成瀬川の肴沢ダム[ 32] 、玉川支流斉内川の真木ダムなどがある[ 37] 。
なお皆瀬川の皆瀬ダムは、建設省により特定多目的ダムとして施工されたが、完成後は秋田県に管理が移管されている。また森吉ダムは太平鉱業(三菱金属鉱業→三菱マテリアル の前身)との共同事業で建設されており、発電事業は三菱マテリアルが引き続き行っている[ 38] [ 39] 。東北電力 が管理する神代ダム(玉川)は発電専用ダム であるが、田沢疏水 の水源として灌漑にも目的外利用されている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
雄物川
皆瀬川
板戸ダム
補助
NP
重力
28.7
1,598
秋田県
1984
一級
雄物川
三内川
岩見ダム
補助
FNP
重力
66.5
19,300
秋田県
1978
一級
子吉川
畑川
大内ダム
補助
FNW
重力
27.5
724
秋田県
2007
一級
雄物川
松川
大松川ダム
補助
FNAWP
重力
65.0
12,150
秋田県
1998
水特法指定
一級
雄物川
淀川
協和ダム
補助
FNW
重力
49.3
7,800
秋田県
1997
一級
米代川
砂子沢川
砂子沢ダム
補助
FNW
重力
78.5
8,650
秋田県
2010
一級
米代川
粕毛川
素波里ダム
補助
FNAP
重力
72.0
42,500
秋田県
1970
一級
雄物川
玉川
玉川ダム
特定
FNAWIP
重力
100.0
254,000
国土交通省
1990
水特法指定
一級
子吉川
子吉川
鳥海ダム
特定
FNWP
台形CSG
81.0
46,800
国土交通省
2028
工事中[ 40]
一級
雄物川
成瀬川
成瀬ダム
特定
FNAWP
台形CSG
113.5
78,700
国土交通省
2026
秋田県より移管 水特法指定 工事中[ 41]
一級
雄物川
西の又川
南外ダム
FA
アース
21.4
1,724
秋田県
1978
一級
米代川
小阿仁川
萩形ダム
補助
FNP
重力
61.0
14,950
秋田県
1966
一級
米代川
早口川
早口ダム
補助
FP
重力
61.0
6,550
秋田県
1976
二級
水沢川
水沢川
水沢ダム
FA
ロックフィル
46.5
3,001
秋田県
1994
一級
雄物川
皆瀬川
皆瀬ダム
特定
FNAP
ロックフィル
66.5
31,600
秋田県
1963
建設省施工
一級
米代川
小又川
森吉ダム
FP
重力
62.0
37,200
秋田県
1952
太平鉱業 と共同施工
一級
米代川
小又川
森吉山ダム
特定
FNAWP
ロックフィル
89.9
78,100
国土交通省
2012
水特法9条指定
一級
米代川
岩瀬川
山瀬ダム
補助
FNWIP
ロックフィル
62.0
12,900
秋田県
1991
一級
雄物川
玉川
鎧畑ダム
FP
重力
58.5
51,000
秋田県
1957
建設省施工
山形県
山形県で最大の総貯水容量を有する寒河江ダム (寒河江川 )
大河・最上川 を抱える山形県 では、国土総合開発法施行により最上特定地域総合開発計画 が策定、最上川支流の置賜野川流域にて多目的ダム計画が立案され、1949年 (昭和24年)に管野ダム が県内初の多目的ダムとして完成したが、治水・利水強化の観点より上流に木地山ダム が1960年 (昭和35年)完成した。続いて鮭川 流域でダム計画が立案され、当初は支流の真室川 に釜淵ダム[ 42] が計画されたが費用対効果などの問題から鮭川本流に移され、高坂ダム が1967年 (昭和42年)に完成する。しかし1967年の羽越豪雨 による深刻な被害を機に建設省による最上川水系の治水計画が改訂され、寒河江ダム (寒河江川 )、白川ダム (置賜白川)が建設された。赤川 水系では県営事業の荒沢ダムが本流に1955年 (昭和30年)、国直轄事業として月山ダム が支流の梵字川に2001年 (平成13年)に完成した。新潟県 で日本海 に注ぐ荒川 では羽越豪雨による壊滅的被害を機に一級河川に昇格後、ダムによる洪水調節 が求められ支流の横川に横川ダム が2008年完成している。利水専用多目的ダムとしては水窪ダム (刈安川)が農林省の国営かんがい排水事業および米沢市 などの水がめとして建設されている。
山形県最大の多目的ダムは高さでは長井ダム (置賜野川)、貯水容量では寒河江ダム が最大である。施工中の多目的ダムはない。なお長井ダム完成により直上流にある県内初の多目的ダム・管野ダムは水没した。長井ダムは民主党 政権によるダム事業見直しにより一時完成見込みが不透明な状況となり、吉村美栄子 山形県知事 などが反発していた[ 43] が見送り対象からは最終的に外された。中止したダム事業としては先述の釜淵ダムのほか、乱川ダム(乱川)がある。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
温海川
温海川
温海川ダム
補助
FNP
重力
60.0
5,700
山形県
1986
一級
赤川
赤川
荒沢ダム
補助
FAP
重力
63.0
41,420
山形県
1955
一級
赤川
梵字川
月山ダム
特定
FNWP
重力
123.0
65,000
国土交通省
2001
一級
最上川
金山川
神室ダム
補助
FNW
重力
60.6
7,400
山形県
1993
一級
最上川
置賜野川
木地山ダム
補助
FNP
中空重力
46.0
8,200
山形県
1960
一級
最上川
馬見ヶ崎川
蔵王ダム
補助
FNW
中空重力
66.0
7,300
山形県
1970
一級
最上川
寒河江川
寒河江ダム
特定
FNAWP
ロックフィル
112.0
109,000
国土交通省
1990
水特法指定
一級
最上川
置賜白川
白川ダム
特定
FNAIP
ロックフィル
66.0
50,000
国土交通省
1981
一級
最上川
白水川
白水川ダム
補助
FNA
重力
54.5
5,300
山形県
1990
一級
最上川
鬼面川
杉沢溜池
FA
アース
22.5
460
用水組合
1937
一級
最上川
鮭川
高坂ダム
補助
FP
重力
57.0
19,050
山形県
1967
一級
最上川
田沢川
田沢川ダム
補助
FNW
重力
81.0
9,100
山形県
2001
一級
最上川
綱木川
綱木川ダム
補助
FNW
ロックフィル
74.0
9,550
山形県
2007
一級
最上川
置賜野川
長井ダム
特定
FNAWP
重力
125.5
51,000
国土交通省
2010
山形県より移管
一級
最上川
刈安川
水窪ダム
利水
AWI
ロックフィル
62.0
31,000
土地改良区
1975
農林省施工
一級
荒川
横川
横川ダム
特定
FNIP
重力
72.5
24,600
国土交通省
2007
水特法指定
福島県
福島県最大の多目的ダム・摺上川ダム (摺上川 )
福島県 における河川開発は豊富な流量を誇る阿賀野川 ・只見川の水力発電事業が大正 時代から行われ、戦後只見特定地域総合開発計画 において奥只見・田子倉などの大ダム・発電所が国策として建設され、治水や灌漑などの河川総合開発は行われていなかった。戦前内務省が治水と常磐炭鉱 への利水を目的に現在のいわき市 を流れる鮫川 のダム計画を1937年 (昭和12年)より計画していたが太平洋戦争 により中止した経緯がある[ 44] 。高度経済成長 期において阿賀野川水系で河川総合開発事業が着手され、本流に建設省が大川ダム を建設したほか日中ダム(押切川 )、東山ダム (湯川 )、田島ダム (高野川)が県営ダムとして建設された。また浜通り地方 を流れる二級河川である鮫川に高柴ダム が県営事業として建設されたほか木戸川 、真野川、四時川、富岡川などで多目的ダムが建設されている。一方阿武隈川水系では戦後羽鳥ダム などの農業用ダムが建設されていたが、県都 福島市 などの人口増加による水道需要に対処するため主要な支流である摺上川 と大滝根川に多目的ダムを建設する計画が建設省によって進められ、三春ダム (大滝根川)、摺上川ダム (摺上川 )が完成している。
県内最大の多目的ダムは2005年に完成した摺上川ダム である。施工中の多目的ダムは北須川の千五沢ダム再開発事業のみであり、ダム事業の見直し対象にはなっていない。中止したダム事業としては只見川支流伊南川 に建設予定だった大桃ダム[ 45] のほか、久慈川ダム(久慈川 )[ 46] 、新田川ダム(新田川 )[ 47] 、水原ダム(水原川 )[ 48] や猪苗代湖 の治水容量を拡大する日橋川 上流総合開発事業(日橋川)[ 49] などがある。
なお福島県では天然湖沼の多目的ダム化も福島県によって進められており、猪苗代湖は1914年に完成した十六橋水門 (日橋川)を2005年 (平成17年)に治水目的を追加したほか、磐梯山噴火 により生成された桧原湖 ・小野川湖 ・秋元湖 についても1989年 (平成元年)8月の水害を契機にダムが建設され、自然湖ではあるが多目的ダムとして運用されている[ 50] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
阿賀野川
長瀬川
秋元湖
FP
複合
10.6
37,924
福島県
1999
天然湖沼開発[ 50]
一級
阿賀野川
日橋川
猪苗代湖
FWP
堰
2.8
3,860,000
福島県
1914
天然湖沼開発[ 50]
一級
阿賀野川
阿賀野川
大川ダム
特定
FNAWIP
複合
75.0
57,500
国土交通省
1987
水特法指定
一級
阿賀野川
小野川
小野川湖
FP
アース
4.9
13,640
福島県
1999
天然湖沼開発[ 50]
二級
木戸川
木戸川
木戸ダム
補助
FNWI
重力
93.5
18,470
福島県
2007
二級
夏井川
小玉川
小玉ダム
補助
FNWIP
重力
102.0
13,930
福島県
1996
二級
夏井川
黒森川
こまちダム
補助
FNW
重力
37.0
772
福島県
2006
二級
熊川
大川原川
坂下ダム
利水
AP
重力
43.0
2,840
福島県
1973
二級
鮫川
四時川
四時ダム
補助
FWI
ロックフィル
83.5
12,100
福島県
1983
一級
阿武隈川
摺上川
摺上川ダム
特定
FNAWIP
ロックフィル
105.0
153,000
国土交通省
2006
水特法9条指定
一級
阿武隈川
北須川
千五沢ダム
補助
FNA
ロックフィル
43.0
13,000
福島県
2023
農林省施工 再開発中
二級
鮫川
鮫川
高柴ダム
補助
FI
重力
59.5
12,700
福島県
1961
一級
阿武隈川
原瀬川
岳ダム
FA
重力
60.0
1,100
福島県
1979
一級
阿賀野川
高野川
田島ダム
補助
FNW
重力
36.0
523
福島県
1998
一級
阿賀野川
押切川
日中ダム
補助
FAWP
ロックフィル
101.0
24,600
福島県
1991
農林省施工
一級
阿賀野川
湯川
東山ダム
補助
FNW
重力
70.0
12,500
福島県
1982
一級
阿賀野川
桧原川
桧原湖
FP
重力
3.4
127,590
福島県
1999
天然湖沼開発[ 50]
二級
新田川
野手上川
風兼ダム
利水
AP
アース
17.3
381
南相馬市
1937
一級
阿武隈川
堀川
堀川ダム
補助
FNW
ロックフィル
57.0
5,500
福島県
2000
二級
真野川
真野川
真野ダム
補助
FNWIP
重力
69.0
36,200
福島県
1991
水特法指定
一級
阿武隈川
大滝根川
三春ダム
特定
FNAWI
重力
65.0
42,800
国土交通省
1997
水特法9条指定
二級
太田川
太田川
横川ダム
利水
AI
重力
78.5
13,650
福島県
1984
一級
阿武隈川
釈迦堂川
龍生ダム
FA
重力
32.5
939
福島県
1961
関東地方
茨城県
茨城県で最大の総貯水容量を有する利根川河口堰 (利根川 )
茨城県 における多目的ダム事業は1966年 (昭和41年)に完成した水沼ダム (花園川 )が最初であり、他の都道府県 に比べ着手時期は遅い。水沼ダム完成以降主に県北部の二級河川で開発が行われたが、その目的は治水のほか日立市 などへの利水が主となっている。日立市周辺は日立製作所 の一大生産拠点となっており、工場進出に伴う工業用水道 や人口増加に伴う上水道需要の増大が主な理由である[ 51] 。県北部では花貫 (花貫川)、十王(十王川)、小山(大北川 )といったダムが二級河川に建設されたほか、久慈川水系唯一のダムとして竜神ダム(竜神川)が建設され、日立市、高萩市 、北茨城市 、常陸太田市 に水道用水を供給している。一方水戸市 を中心とする那珂川 水系では1978年 (昭和53年)に藤井川ダム (藤井川)が治水ダム を多目的化する形で完成している[ 52] 。その後1990年には支流涸沼川 に合流する飯田川に飯田ダム が完成し、県都水戸市とその周辺の治水と利水を司っている。県南地域では利根川・荒川水資源開発基本計画 に基づき日本第二の大湖沼・霞ヶ浦 の総合開発が行われ、首都圏 の水がめとして利用されている。霞ヶ浦は天然の湖であるが水資源開発促進法 に拠る「湖沼水位調節施設 」に位置づけられ、多目的ダムとしての扱いも受ける[ 53] 。
茨城県最大の多目的ダムは高さでは2005年完成の小山ダム 、総貯水容量では霞ヶ浦を除けば利根川河口堰 (利根川)である。現在新規のダム事業はないが、水質汚濁 の進む霞ヶ浦の浄化と首都圏への新規利水を目的とした霞ヶ浦導水事業 が国土交通省により施工中である。これは那珂川と霞ヶ浦を全長44キロメートル のトンネル で連結し、那珂川の河水を霞ヶ浦に導水する計画であるが那珂川の漁業環境悪化を恐れる茨城・栃木両県の那珂川漁業協同組合 が猛反対しており、事業は進捗していない。中止したダム事業としては32年間の反対運動の末に中止となった緒川ダム(緒川)[ 54] と、藤井川ダム上流に建設予定であった大谷原川ダム(大谷原川)[ 55] 、そして遊水池 である稲戸井調節池を掘削して多目的ダム化する稲戸井調節池総合開発事業(利根川)[ 56] がある。なお茨城県には国土交通省直轄ダム は存在せず、水力発電を目的とする多目的ダムも存在しない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
那珂川
飯田川
飯田ダム
補助
FNW
重力
33.0
2,440
茨城県
1991
一級
利根川
常陸利根川
霞ヶ浦
水機構法
FAWI
-
1,253,000
水資源機構
1995
天然湖沼開発 水特法9条指定
二級
大北川
大北川
小山ダム
補助
FNWI
重力
65.0
16,600
茨城県
2005
二級
十王川
十王川
十王ダム
補助
FNWI
重力
48.6
2,860
茨城県
1993
一級
利根川
利根川
利根川河口堰
水機構法
FAWI
堰
7.0
90,000
水資源機構
1970
二級
花貫川
花貫川
花貫ダム
補助
FNWI
重力
45.3
2,880
茨城県
1972
一級
那珂川
藤井川
藤井川ダム
補助
FNAW
重力
37.5
4,462
茨城県
1977
2009年再開発
二級
大北川
花園川
水沼ダム
補助
FNWI
重力
33.7
2,230
茨城県
1966
一級
久慈川
竜神川
竜神ダム
補助
FNWI
重力
45.0
3,000
茨城県
1978
栃木県
栃木県で最大の総貯水容量を有する川俣ダム (鬼怒川 )
栃木県 は那珂川、鬼怒川 、渡良瀬川 といった大河川を流域に持つが、最初に開発が行われたのは鬼怒川である。1926年 (大正15年)に当時の内務省によって鬼怒川支流の男鹿川に多目的ダムを建設する構想が持たれ、1941年 (昭和16年)に着手された。これが五十里(いかり)ダム であり、基礎地盤の不具合で建設地点を移動し1957年 (昭和32年)に完成した[ 57] 。続いて鬼怒川本流に川俣ダム と川治ダム が建設省の手でそれぞれ完成し、治水および県都宇都宮市 、千葉県と茨城県南部の水がめとして機能している。那珂川水系では旧農林省による国営那須野ヶ原開拓建設事業 の一環として那珂川本流に計画された深山ダム が、栃木県の上水道事業と電源開発による揚水発電 の下部調整池としても利用され利水専用の多目的ダムとして1973年 (昭和48年)完成する[ 58] 。その後は県営事業として支流の箒川 、荒川 に多目的ダムが建設されている。渡良瀬川では足尾鉱毒事件 を契機に建設された渡良瀬遊水地 の中に貯水池を建設して首都圏の水がめとする渡良瀬貯水池 (谷中湖)が2002年 (平成14年)完成し利根川上流ダム群 の一つとなっている。このほか支流の松田川に松田川ダムが利根川・荒川水系水資源開発基本計画の一環として県営事業として完成している[ 59] [ 60] 。
県内最大の多目的ダムは高さでは川治ダム 、総貯水容量では川俣ダム がそれぞれ最大である。施工中のものとしては、南摩ダム (南摩川)が水資源機構 によって建設中であり、2025年 (令和7年)の完成を予定している[ 61] 。中止したダム事業としては南摩ダムと連携して行われる思川開発の一環として建設される予定であった行川(なめがわ)ダム(行川)[ 62] や那珂川支流の大室川に建設が予定されていた大室川ダム[ 63] などがある。
なお日光 の観光地である中禅寺湖 は出口に中禅寺ダム (大谷川 )が建設されており、治水、水力発電と華厳滝 の年間流量安定確保を目的としている[ 64] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
利根川
男鹿川
五十里ダム
FNP
重力
112.0
55,000
国土交通省
1956
一級
利根川
鬼怒川
岡本頭首工
利水
AWI
堰
-
-
土地改良区
1981
[ 65]
一級
利根川
鬼怒川
川治ダム
特定
FNAWI
アーチ
140.0
83,000
国土交通省
1983
水特法9条指定
一級
利根川
鬼怒川
川俣ダム
特定
FNP
アーチ
117.0
87,600
国土交通省
1966
一級
利根川
鬼怒川
佐貫頭首工
利水
AP
堰
-
-
土地改良区
1966
一級
那珂川
箒川
塩原ダム
補助
FNA
重力
60.0
8,760
栃木県
1978
一級
利根川
大谷川
中禅寺ダム
補助
FNP
重力
6.4
25,100
栃木県
1956
1998年再開発
一級
那珂川
宮川
寺山ダム
補助
FNW
ロックフィル
62.2
2,550
栃木県
1984
一級
利根川
南摩川
南摩ダム
水機構法
FNWI
ロックフィル
86.5
51,000
水資源機構
2025
水特法9条指定
一級
那珂川
荒川
東荒川ダム
補助
FNAWP
重力
70.0
6,100
栃木県
1990
一級
利根川
松田川
松田川ダム
補助
FNW
重力
56.0
1,900
栃木県
1995
一級
利根川
三河沢川
三河沢ダム
補助
FNW
重力
48.5
899
栃木県
2003
一級
那珂川
那珂川
深山ダム
利水
AWP
ロックフィル
75.5
25,800
栃木県
1973
農林省施工
一級
利根川
湯西川
湯西川ダム
特定
FNAWI
重力
119.0
75,000
国土交通省
2012
水特法9条指定
一級
利根川
渡良瀬川
渡良瀬貯水池
特定
FNW
堰
8.5
26,400
国土交通省
2002
群馬県
関東地方最大の総貯水容量を有する矢木沢ダム (利根川 )
利根川上流部を流域に持つ群馬県 では、カスリーン台風による利根川の大水害を契機に経済安定本部 と建設省が利根川水系に多数の多目的ダムを建設して洪水調節を行う利根川改訂改修計画 が立案され、利根川本流のほか支流の烏川 、吾妻川 、片品川 、赤谷川などにダムが計画された[ 66] 。さらに1951年の国土総合開発法による利根特定地域総合開発計画 、1963年の水資源開発促進法による利根川・荒川水系水資源開発基本計画により事業が拡充され、矢木沢 ・藤原 (利根川)、相俣 (赤谷川)、薗原 (片品川)、下久保 (神流川 )、草木 (渡良瀬川)、奈良俣 (楢俣川 )の各ダムが建設された。これら利根川上流ダム群の水は利根大堰 を経由して荒川 に送水され、東京都を始めとする上水道の水源となっている。また四万川 、桐生川 など利根川の二次支流については群馬県によって中小規模の多目的ダムが建設され、県内の治水・利水を司っている。県内で最後に完成した八ッ場ダム (吾妻川)は1952年の計画発表以降移転住民による長年の強固な反対運動や、民主党 政権がマニフェスト で中止を明言し、工事の停滞や関係自治体との意見対立など事態は二転三転した。最終的に野田内閣 において事業再開が決断され2020年(令和2年)に68年の歳月を経て完成した。
県内最大の多目的ダムは高さでは奈良俣ダム 、総貯水容量では矢木沢ダム がそれぞれ最大であり、矢木沢ダムの人造湖・奥利根湖 は関東地方最大の貯水容量を有する。施工中のダムは藤原ダム・奈良俣ダムの治水機能を向上させるため両ダムの容量を交互に振り替える藤原・奈良俣再編ダム再生事業が施工中である[ 67] 。中止したダム事業としては「日本最大の多目的ダム事業」であった沼田ダム (利根川)[ 68] を始め、戸倉ダム (片品川)[ 69] など多数存在する。なお、吾妻川支流の湯川に建設された品木ダム は、当時河水酸性 度の平均がpH 4.0であった酸性河川・吾妻川の中和 を主目的として建設され、付随して水力発電を行う目的を有している。ダムの完成により吾妻川の酸性度は改善され、魚類も棲息するようになった[ 70] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
利根川
赤谷川
相俣ダム
FNP
重力
67.0
25,000
国土交通省
1959
群馬県より移管
一級
利根川
大仁田川
大仁田ダム
補助
FNW
重力
54.4
437
群馬県
2001
一級
利根川
桐生川
桐生川ダム
補助
FNWP
重力
60.5
12,200
群馬県
1982
水特法指定
一級
利根川
渡良瀬川
草木ダム
水機構法
FNAWIP
重力
140.0
60,500
水資源機構
1976
建設省より移管
一級
利根川
塩沢川
塩沢ダム
補助
FNW
重力
38.0
303
群馬県
1995
一級
利根川
湯川
品木ダム
補助
NP
重力
43.5
1,668
国土交通省
1965
群馬県より移管
一級
利根川
四万川
四万川ダム
補助
FNWP
重力
89.5
9,200
群馬県
1999
一級
利根川
神流川
下久保ダム
水機構法
FNWIP
重力
129.0
130,000
水資源機構
1968
建設省より移管
一級
利根川
片品川
薗原ダム
特定
FNP
重力
76.5
20,310
国土交通省
1965
一級
利根川
道平川
道平川ダム
補助
FNW
重力
70.0
5,100
群馬県
1992
一級
利根川
利根川
利根大堰
水機構法
AWI
堰
-
-
水資源機構
1968
一級
利根川
楢俣川
奈良俣ダム
水機構法
FNAWIP
ロックフィル
158.0
90,000
水資源機構
1990
再生事業中
一級
利根川
利根川
藤原ダム
FNP
重力
95.0
52,490
国土交通省
1958
再生事業中
一級
利根川
利根川
矢木沢ダム
水機構法
FNAWP
アーチ
131.0
204,300
水資源機構
1967
建設省より移管
一級
利根川
吾妻川
八ッ場ダム
特定
FNWIP
重力
116.0
107,500
国土交通省
2020
水特法9条指定
埼玉県
埼玉県で最大の総貯水容量を有する滝沢ダム (中津川)
埼玉県 では県内最大の河川である荒川が総合開発の対象となった。古くより水害を繰り返す荒川の治水を主目的に県内最初の多目的ダムとして1961年荒川本流に二瀬ダム が完成する。その後首都圏の人口増加による上水道需要のひっ迫に対処するため、荒川水系は1974年に利根川水系と連携する形で水資源開発促進法に基づく開発水系に指定された[ 71] 。この利根川・荒川水資源開発基本計画 に基づき建設されたのが浦山ダム (浦山川)と滝沢ダム (中津川)である。さらに遊水地である荒川第一調節池 を多目的ダム化する荒川調節池総合開発事業が行われ、彩湖として1996年完成している。一方県営事業としては利水専用多目的ダムとして荒川本流に玉淀ダム が完成したほか、荒川支流の入間川 流域と赤平川 流域に多目的ダムが計画され、それぞれ有間ダム(有間川 )、合角ダム (吉田川)が完成している。また流域のほとんどを平地で占める中川 の治水と利水を目的に、「平地ダム」として権現堂調節池 が完成している。
埼玉県内で最大の多目的ダムは高さでは浦山ダム 、総貯水容量では滝沢ダム である。新規のダム事業は現在存在しないが二瀬・滝沢・浦山の荒川上流ダム群運用を治水面でより合理化するための荒川上流ダム再開発事業が計画されている[ 72] 。中止したダム事業としては二つ目の彩湖をさいたま市 に建設する荒川第二調節池総合開発事業[ 73] 、赤平川支流の小森川に建設を予定していた小森川ダム、都幾川 上流に計画された大野ダムがある。また滝沢、浦山、合角の三ダムについてはダム建設に対する反対運動が強く、完成までに滝沢ダムでは40年を費やすなど日本の長期化ダム事業に名を連ねている。
なお、滝沢ダムについてはダム本体は2008年に完成したが試験湛水中に山腹に亀裂が発生し、2011年に全事業が完了した。また玉淀ダムについては環境保護団体 が撤去を求めて活動している[ 74] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
荒川
荒川
荒川調節池
特定
FW
調整池
-
11,100
国土交通省
1996
一級
荒川
有間川
有間ダム
補助
FNW
ロックフィル
83.5
7,600
埼玉県
1985
一級
荒川
浦山川
浦山ダム
水機構法
FNWP
重力
156.0
58,000
水資源機構
1999
水特法指定
一級
荒川
吉田川
合角ダム
補助
FNW
重力
60.9
10,250
埼玉県
2001
水特法指定
一級
利根川
権現堂川
権現堂調節池
補助
FNWI
堰
14.5
4,113
埼玉県
1991
一級
荒川
中津川
滝沢ダム
水機構法
FNWP
重力
132.0
63,000
水資源機構
2008
水特法指定
一級
荒川
荒川
玉淀ダム
利水
AP
重力
32.0
3,501
埼玉県
1964
一級
荒川
荒川
二瀬ダム
特定
FNP
重力アーチ
95.0
26,900
国土交通省
1961
千葉県
千葉県で最大の総貯水容量を有する亀山ダム (小櫃川 )
千葉県 の多目的ダム事業は47都道府県では最も遅い部類に入るが、これは水源の多くを利根川水系に求めているためで、利水受益者として利根川水系にある多数の多目的ダム事業に参加しており、県都・千葉市 や成田空港 を抱える成田市 など千葉県北部・中部の主要都市は利根川上流ダム群、鬼怒川上流ダム群が主な水源となっている。一方で県内を流れる主要な二級河川である小櫃川 と養老川 は蛇行 を繰り返す河川で水害が頻発していた。このため補助多目的ダムを建設して治水と東京湾 沿岸地域への上水道供給を図ることを計画。小櫃川本流に亀山ダム が県内初の多目的ダムとして完成したほか支流笹川に片倉ダム、養老川本流に高滝ダムを建設する。南房総では上水道、または灌漑単独のダムが多数建設されているが、利水専用の多目的ダムとして保台ダムが待崎川に完成している。
千葉県最大のダムは高さでは片倉ダム 、総貯水容量では亀山ダム がそれぞれ最大である。現在千葉県で新規施工中の多目的ダムは存在しない。中止したダム事業としては国直轄事業では印旛沼 を掘削・拡張して多目的ダム化する印旛沼総合開発事業[ 75] と行徳可動堰 ・江戸川水閘門改築による貯水容量増大を目的とした江戸川 総合開発事業[ 76] が、県営事業としては亀山ダム上流の小櫃川に計画していた追原ダム[ 77] と夷隅川 水系西部田川に建設が予定されていた大多喜ダム [ 78] が中止となっている。なお千葉県内には治水と利水を目的とした人工河川 (流況調整河川)として北千葉導水路 と野田導水路 が存在する。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
小櫃川
笹川
片倉ダム
補助
FNW
重力
42.7
8,410
千葉県
2000
二級
小櫃川
小櫃川
亀山ダム
補助
FNW
重力
34.5
14,750
千葉県
1980
水特法指定
二級
養老川
養老川
高滝ダム
補助
FNW
重力
24.5
14,300
千葉県
1990
水特法指定
二級
待崎川
待崎川
保台ダム
利水
AW
重力
41.0
2,740
千葉県
1998
東京都
東京都唯一の多目的ダム・小河内ダム (多摩川 )
首都・東京都 にある多目的ダムは多摩川 の小河内ダム が唯一である。主目的は上水道の供給であるが、副次的に水力発電も行う。ダム直下にある多摩川第一発電所で発電された電力は下流にある白丸ダム を経て多摩川第三発電所に送電され、ここで発電された電力は東京電力 に売電される。ダムに関連する水力発電所群は何れも東京都交通局 が管理している[ 79] 。
小河内ダムは戦前より計画され、戦争による中断を挟んで完成したが、ダムの建設により旧小河内村 全村が水没。水没世帯数945世帯 と日本のダムにおける最大の水没世帯数となった。このことは完成後行幸した昭和天皇 が水没に伴い移転した住民の生活がどのようになっているのか事業者である東京都水道局に下問するなど当時の関心事にもなっており、ダム補償における一つの代表例である[ 80] 。また水利権を巡り神奈川県の二ヶ領用水 組合との間で紛争が起こり[ 81] 、このことも水没住民を悩ませている。
なお東京都の水源として利用されている多目的ダムには利根川水系の矢木沢・下久保・奈良俣・草木・渡良瀬貯水池、荒川水系の浦山・滝沢・荒川調節池といったダム群があり、物議を醸している八ッ場ダムにも治水・水道受益者として参加している。都内で計画されているダム事業は存在しない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
多摩川
多摩川
小河内ダム
利水
WP
重力
149.0
189,100
東京都水道局
1957
神奈川県
神奈川県最大の多目的ダム・宮ヶ瀬ダム (中津川 )
県都横浜市 を始め川崎市 、横須賀市 といった大都市を抱える神奈川県 は明治 時代以降人口が増加し、上水道の供給と整備が課題となっていた。1938年 (昭和13年)神奈川県議会は県下最大の河川である相模川 の河川開発による上水道・工業用水道・電力需要の補給を議決[ 82] 。県営事業として初の多目的ダムである沼本ダム を1937年より、相模ダム を1941年より建設する。横須賀海軍工廠 への電力供給も視野に入れていたこともあり、建設に反対する住民に対し陸軍 と海軍 が合同閲兵式を水没予定地で行って圧力を掛ける[ 83] など半ば強引な手法で建設が進み1944年 (昭和19年)完成する。戦後神奈川県の人口は爆発的に増大し相模ダムでは到底賄えず、相模ダム下流に1964年 (昭和39年)城山ダム が完成する。だがそれでもなお神奈川県の人口増加は進行し、相模川だけではなく県西部を流れる酒匂川 水系も利用することになり支流の河内川に1978年三保ダム が完成する。相模・城山・三保の各ダムはダム・人造湖の規模としては比較的巨大な部類に入るが、神奈川県の人口は1980年には700万人に迫る勢いであり三ダムの供給量を以ってしても不足が生じていた[ 84] 。このため建設が急がれたのが相模川支流中津川 の宮ヶ瀬ダム である。完成まで31年を費やしたこのダムの完成により相模、城山、道志 (道志川 )各ダムとの間に建設された導水路を通じ水を相互融通して神奈川県全域の水需要と相模川の治水に貢献している。
神奈川県最大の多目的ダムは宮ヶ瀬ダム である。宮ヶ瀬ダムは2003年の国土交通省調査により国土交通省直轄ダムにおいて年間訪問者数が日本一 [ 85] となり、年間延べ120万人が訪れる一大観光地に成長している。新規のダム事業は存在しておらず、ダム事業の見直しの影響も受けていない。しかし相模川上流ダム群の建設に伴う湘南海岸 の砂州 後退が問題となっている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
相模川
相模川
相模ダム
WIP
重力
58.4
63,200
神奈川県
1947
一級
相模川
相模川
寒川取水堰
利水
WI
堰
6.0
-
神奈川県
1971
一級
相模川
相模川
城山ダム
補助
FWIP
重力
75.0
62,300
神奈川県
1964
一級
相模川
相模川
沼本ダム
利水
WIP
重力
34.5
2,330
神奈川県
1943
二級
酒匂川
河内川
三保ダム
補助
FWP
ロックフィル
95.0
64,900
神奈川県
1978
一級
相模川
中津川
宮ヶ瀬ダム
特定
FNWP
重力
156.0
193,000
国土交通省
2001
水特法9条指定
一級
相模川
中津川
石小屋ダム
特定
FNWP
重力
34.5
557
国土交通省
2000
中部地方
新潟県
新潟県で最大の総貯水容量を有する奥三面ダム(三面川 )
新潟県 における多目的ダムの建設は、村上市 を流れる三面(みおもて)川 水系が最初であり、1952年に三面ダム が完成する。しかし1967年 (昭和42年)の羽越豪雨 による新潟県下越地方 の壊滅的な被害を機に荒川 、胎内川 、加治川 などの治水計画が改訂され、大石ダム (大石川)、内の倉ダム (内の倉川)、奥三面ダム (三面川)が建設された。一方信濃川 水系では支流の五十嵐川 で開発が始まり、笠堀ダム (笠堀川)が1964年に完成したが1969年 (昭和44年)の集中豪雨で五十嵐川や刈谷田川 、魚野川 流域が被害を受け、また関越自動車道 ・上越新幹線 建設による人口の増加が見込まれたことで信濃川水系の河川総合開発が見直され、魚野川流域に三国川(さぐりがわ)ダム (三国川)、破間川(あぶるまがわ)ダム (破間川 )が、五十嵐川流域では笠堀ダム改良[ 86] のほか本流に大谷ダム が完成。刈谷田川には刈谷田川ダムが完成した。関川 水系では農林省が土地改良事業の一環として本流に笹ヶ峰ダム を建設、完成後新潟県へ管理を移行させている。中越地方 ・上越地方 を流れるその他の二級河川にも多目的ダムが建設され、佐渡地方 でも羽越豪雨を機に国府川 水系、久知川水系で多目的ダムが完成している。
新潟県最大の多目的ダムは高さでは三国川ダム 、総貯水容量では奥三面ダム が最大である。現在建設が行われているダムは新保川ダム再開発(新保川)があるが、ダム事業見直し対象で再検証された結果事業は継続となった。この他笠堀ダムが度重なる豪雨災害に対応するためダムのかさ上げを主とした2度目の再開発事業に着手している。中止したダム事業としては清津峡 に建設予定であった新潟県最大規模の清津川ダム(清津川)[ 87] 、電源開発が湯之谷揚水発電計画を断念したことで中止となった佐梨川ダム(佐梨川)[ 88] 、赤芝発電所 との水利権 調整が付かず中止となった荒川第一ダム・荒川第二ダム(荒川)[ 89] など幾つかのダム計画が存在する。
なお、新発田市 にある内の倉ダムは北陸地方 唯一の中空重力式コンクリートダム である。また妙見堰 は国土交通省北陸地方整備局と東日本旅客鉄道 が共同事業として建設する珍しい形態をとっている。笹ヶ峰ダムは治水目的を持たない利水専用多目的ダムである。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
信濃川
破間川
破間川ダム
補助
FNP
重力
93.5
15,800
新潟県
1986
二級
桑谷川
綱子川
後谷ダム
利水
WP
重力
20.3
86
新潟県
1968
二級
加治川
内の倉川
内の倉ダム
補助
FAWP
中空重力
82.5
24,800
新潟県
1972
農林省施工
一級
荒川
大石川
大石ダム
特定
FP
重力
87.0
22,800
国土交通省
1978
一級
信濃川
五十嵐川
大谷ダム
補助
FNW
ロックフィル
75.5
21,100
新潟県
1993
二級
国府川
大野川
大野川ダム
補助
FNW
重力
47.0
1,390
新潟県
1979
二級
胎内川
胎内川
奥胎内ダム
補助
FP
重力
82.0
10,000
新潟県
2019
二級
三面川
三面川
奥三面ダム
補助
FNP
アーチ
116.0
125,500
新潟県
2001
二級
柿崎川
柿崎川
柿崎川ダム
補助
FNW
ロックフィル
54.0
5,000
新潟県
2003
一級
信濃川
笠堀川
笠堀ダム
補助
FNWP
重力
74.5
15,400
新潟県
1964
2017年再開発
一級
信濃川
刈谷田川
刈谷田川ダム
補助
FWIP
重力
83.5
4,450
新潟県
1980
二級
久知川
久知川
久知川ダム
補助
FNW
重力
51.0
1,660
新潟県
1985
一級
信濃川
三国川
三国川ダム
特定
FNWP
ロックフィル
119.5
27,500
国土交通省
1993
一級
関川
関川
笹ヶ峰ダム
利水
AP
ロックフィル
48.6
10,600
新潟県
1983
農林省施工
一級
関川
正善寺川
正善寺ダム
補助
FNW
重力
47.0
4,600
新潟県
1984
一級
信濃川
城川
城川ダム
補助
FNW
重力
21.7
297
新潟県
1996
二級
国府川
新保川
新保川ダム
補助
FNW
重力
38.0
1,150
新潟県
未定
再開発中
一級
信濃川
曽根川
長福寺ダム
FA
アース
27.2
193
新潟県
1999
一級
阿賀野川
早出川
早出川ダム
補助
FAP
重力
82.5
14,900
新潟県
1979
一級
信濃川
和田川
広神ダム
補助
FNP
重力
80.5
12,400
新潟県
2010
一級
信濃川
小海川
松葉沢ダム
FA
アース
24.5
171
新潟県
2007
二級
三面川
三面川
三面ダム
補助
FNP
重力
82.5
47,800
新潟県
1953
一級
信濃川
信濃川
妙見堰
NW
堰
-
-
国土交通省東日本旅客鉄道
1990
[ 90]
富山県
富山県最大の多目的ダム・境川ダム (境川)
富山県 の河川開発は大正時代 より浅野総一郎 や高峰譲吉 らによる水力発電事業が主であり、治水事業は常願寺川 の砂防 事業が行われていた程度であった。多目的ダム建設は富山県によって神通川 支流の井田川 に室牧ダム が1961年完成したのが最初であり、その後は神通川、庄川 、小矢部川 といった一級河川では支流に、上市川 、白岩川 、小川 といった二級河川には本流に多目的ダムを建設している。富山県内の県営多目的ダムのほとんどは富山県土木局が管理[ 91] する補助多目的ダムであるが、刀利ダム (小矢部川)と支流の臼中ダム(打尾川)については富山県農業水産部耕地課が管理しており[ 92] 、補助多目的ダムではない。一方建設省による特定多目的ダム事業は1969年8月の集中豪雨災害を契機に、黒部ダム を筆頭とした水力発電事業が著名でありながら治水事業が遅れていた黒部川 に対して行われ、宇奈月ダム が宇奈月温泉 街の直上流に2000年完成している。富山県内の補助多目的ダムの幾つかは目的の一つに道路などの積雪を溶かすための用水を供給する消流雪用水 目的を有している。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に境川ダム (境川)である。建設中のダムとしては国土交通省が利賀ダム(利賀川)を施工している。ダムに関する問題としては日本初の恒久堆砂 対策として関西電力 管理の出し平ダム と宇奈月ダムで実施している連携排砂 について、下流の黒部川・富山湾漁業関係者との間で行政訴訟 (黒部川ダム排砂被害訴訟)が係争されていた。中止したダム事業としては片貝川ダム(片貝川 )[ 93] 、湯道丸ダム(湯道丸川)[ 94] 、黒川ダム(黒川)[ 95] などがある。なお庄川合口ダム (庄川)は国の登録有形文化財 に登録されている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
小川
小川
朝日小川ダム
補助
FNP
重力
84.0
5,280
富山県
1990
一級
小矢部川
打尾川
臼中ダム
FA
ロックフィル
68.9
6,950
富山県
1993
一級
黒部川
黒部川
宇奈月ダム
特定
FWP
重力
97.0
24,700
国土交通省
2000
一級
黒部川
大谷川
大谷ダム
補助
FNS
ロックフィル
29.5
325
富山県
1998
二級
上市川
上市川
上市川ダム
補助
FNP
重力
64.0
4,850
富山県
1964
二級
上市川
上市川
上市川第二ダム
補助
FNP
ロックフィル
67.0
7,800
富山県
1985
一級
神通川
久婦須川
久婦須川ダム
補助
FNPS
重力
95.0
10,000
富山県
2002
一級
神通川
熊野川
熊野川ダム
補助
FNP
重力
89.0
9,100
富山県
1984
一級
小矢部川
子撫川
子撫川ダム
補助
FNW
ロックフィル
45.0
6,600
富山県
1978
一級
庄川
境川
境川ダム
補助
FAWIPS
重力
115.0
59,900
富山県
1993
一級
庄川
庄川
庄川合口ダム
利水
AWP
重力
18.5
625
富山県関西電力
1939
登録有形文化財
一級
小矢部川
山田川
城端ダム
補助
FNS
重力
59.0
3,000
富山県
1992
二級
白岩川
白岩川
白岩川ダム
補助
FNW
複合
50.0
2,200
富山県
1974
一級
小矢部川
小矢部川
刀利ダム
FAP
アーチ
101.0
31,400
富山県
1966
農林省施工
一級
庄川
利賀川
利賀ダム
特定
FNI
重力
112.0
31,100
国土交通省
2033
工事中[ 96]
一級
庄川
利賀川
利賀川ダム
補助
FP
重力
37.0
2,700
富山県
1974
二級
片貝川
布施川
布施川ダム
補助
FNS
ロックフィル
58.5
1,350
富山県
1992
二級
小川
舟川
舟川ダム
補助
FNS
重力
49.8
600
富山県
2012
一級
神通川
井田川
室牧ダム
補助
FNP
アーチ
80.5
17,000
富山県
1961
一級
庄川
和田川
和田川ダム
補助
FAWIP
重力
21.0
3,070
富山県
1967
石川県
石川県最大の多目的ダム・手取川ダム (手取川 )
石川県 の多目的ダム事業は県営事業として推進され、県南部を流れる大聖寺川 に建設された我谷ダム が最初である。続いて県都・金沢市 を流れる犀川 水系の総合開発が実施された。金沢市内には犀川と浅野川 が流れているが水害が頻発し対策が迫られ、また人口増加に伴う上水道・電力需要が増大したことにより総合開発が企図されたが浅野川はダムを建設することが地質的に不可能であったことから犀川と支流の内川 にダムを建設することになり、犀川ダム (犀川)、内川ダム ・新内川ダム(内川)が建設された。この他能登半島 を流れる小河川にも治水と上水道を目的に多目的ダムが建設されている。一方県内最大の手取川 については石川県と電源開発、北陸電力 が本流上流部にダム建設を計画していたが、手取川が1966年に一級河川に指定されたのを契機に建設省が多目的ダムの建設を計画。電源開発・石川県との共同事業として1979年県内唯一の国直轄ダム・手取川ダム を完成させた。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に手取川ダム であり、日本屈指の規模を有するダムの一つでもある。建設中の多目的ダムはない。中止したダム事業としては能登半島を流れる河川群に計画されていた河内ダム(熊木川)[ 97] 、伊久留川ダム(伊久留川)[ 98] 、所司原ダム(子浦川)[ 99] があり、当初多目的ダムとして計画されていた辰巳ダム (犀川)は穴あきタイプの治水専用ダム として計画変更されている。2006年 (平成18年)に完成した九谷ダム (大聖寺川)は強い反対運動により完成まで36年を費やしており、日本の長期化ダム事業の一つに名を連ねている。
なお、手取川ダムは河川法 第17条に基づく「兼用工作物」として国土交通省・電源開発・石川県が共同管理しているため、特定多目的ダムではない(詳細は多目的ダム の項目を参照のこと)。また大日川ダム (大日川)は県営の多目的ダムではあるが農業水産部が管理しており[ 100] 、補助多目的ダムではない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
大野川
森下川
医王ダム
FA
ロックフィル
58.8
3,188
石川県
2001
二級
金川
岩坂川
岩坂ダム
FA
アース
31.7
850
石川県
1984
二級
犀川
内川
内川ダム
補助
FNWP
重力
81.0
9,500
石川県
1974
二級
鵜飼川
鵜飼川
小屋ダム
補助
FNW
ロックフィル
56.5
3,050
石川県
1992
二級
町野川
町野川
北河内ダム
補助
FNW
重力
47.0
2,860
石川県
2010
二級
大聖寺川
大聖寺川
九谷ダム
補助
FWP
重力
75.8
24,900
石川県
2005
水特法指定
二級
犀川
犀川
犀川ダム
補助
FNWIP
重力
72.0
14,300
石川県
1965
二級
犀川
内川
新内川ダム
補助
NP
重力
18.9
61
石川県
1984
一級
手取川
大日川
大日川ダム
FAP
重力
59.9
27,200
石川県
1967
農林省施工
一級
手取川
手取川
手取川ダム
FWIP
ロックフィル
153.0
231,000
国土交通省 電源開発 石川県
1979
水特法9条指定
二級
寺田川
寺田川
寺田川ダム
利水
AW
ロックフィル
26.7
460
石川県
2007
二級
八ヶ川
八ヶ川
八ヶ川ダム
補助
FNWI
重力
52.0
3,130
石川県
1994
二級
諸橋川
諸橋川
諸橋ダム
FA
ロックフィル
35.2
1,725
石川県
1986
二級
大聖寺川
大聖寺川
我谷ダム
補助
FNP
重力
56.6
10,100
石川県
1964
福井県
北陸地方最大の総貯水容量を有する九頭竜ダム (九頭竜川 )
福井県の多目的ダム事業は、県内最大の河川である九頭竜川 水系を中心に実施されている。その端緒となったのが支流・真名川に1957年完成した笹生川ダム である。続いて九頭竜川本流に開発の対象は移され、当初電源開発と北陸電力が競願していた奥越電源開発計画の中心事業として計画されていた九頭竜ダム (九頭竜川)が1959年の伊勢湾台風 と1961年の第二室戸台風 による九頭竜川の水害を機に建設省による直轄事業として事業が拡大、1968年に完成した。しかし1965年 (昭和40年)9月の奥越豪雨 で笹生川ダムでは計画高水流量 を三倍近く上回る洪水を記録、ダムは治水機能を喪失し決壊の危機に瀕し直下流の西谷村 中島集落は壊滅した[ 101] 。この奥越豪雨を機に笹生川ダム再開発事業が実施され、ダム右岸にトンネル式洪水吐きが増設されたほか、建設省により笹生川ダム下流に真名川ダム が建設された。さらに老朽化した鳴鹿頭首工 が洪水流下を阻害することが判明したことで新たに可動堰が計画され、2003年に九頭竜川鳴鹿大堰 (九頭竜川)として完成している。福井県でも支流の日野川 に広野ダム (日野川)や桝谷ダム (桝谷川)を建設したのを始め、竹田川 、浄土寺川、永平寺川 などに多目的ダムを建設して治水対策を強化した。
2004年に発生した平成16年7月福井豪雨 では福井市 内が足羽川 の氾濫によって死者を出す大水害を被ったが、真名川については真名川ダムと笹生川ダムの洪水調節機能によって浸水被害がほぼ皆無となり、ダムのない足羽川との浸水被害の差が顕著に現れている[ 102] 。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に九頭竜ダム であり、日本屈指の規模を誇るがさらなる治水機能向上のため、九頭竜ダムを始めとする九頭竜川上流のダムを有効活用する九頭竜川上流ダム再生事業が施工中である[ 103] 。中止した多目的ダム事業は存在しない。ただし足羽川ダム (部子川)については1983年 (昭和58年)の計画当時は足羽川本流に計画された多目的ダムであったが、反対運動の激化で1997年に一旦凍結された。しかし福井豪雨の甚大な被害を契機に福井県・福井市・被害住民の要望もあって現在は穴あきタイプの治水専用ダムとして計画されている。なお九頭竜ダムについては手取川ダム同様、河川法第17条に基づく「兼用工作物」として国土交通省と電源開発が共同管理しており、特定多目的ダムには該当しない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
九頭竜川
永平寺川
永平寺ダム
補助
FNW
重力
55.0
770
福井県
2001
二級
佐分利川
大津呂川
大津呂ダム
補助
FNW
重力
40.6
485
福井県
2012[ 104]
一級
九頭竜川
九頭竜川
九頭竜ダム
FP
ロックフィル
128.0
353,000
国土交通省 電源開発
1968
再生事業中
一級
九頭竜川
九頭竜川
九頭竜川鳴鹿大堰
特定
FNW
堰
5.7
667
国土交通省
2003
一級
北川
河内川
河内川ダム
補助
FNAWI
重力
77.5
8,800
福井県
2019
[ 105]
一級
九頭竜川
真名川
笹生川ダム
補助
FNWP
重力
76.0
58,806
福井県
1957
1977年再開発
一級
九頭竜川
浄土寺川
浄土寺川ダム
補助
FNWS
重力
72.0
2,160
福井県
2008
一級
九頭竜川
日野川
広野ダム
補助
FNIP
重力
63.0
11,300
福井県
1976
一級
九頭竜川
日野川
二ッ屋分水堰
FNAWI
重力
24.7
-
福井県
2005
農林水産省施工
一級
九頭竜川
桝谷川
桝谷ダム
FAWI
ロックフィル
100.4
25,000
福井県
2005
農林水産省施工
一級
九頭竜川
真名川
真名川ダム
特定
FNP
アーチ
127.5
115,000
国土交通省
1977
一級
九頭竜川
竹田川
龍ヶ鼻ダム
補助
FNWP
重力
79.5
10,200
福井県
1988
山梨県
山梨県で最大の総貯水容量を有する広瀬ダム (笛吹川 )
山梨県 では甲府盆地の東西を笛吹川・釜無川の二大河川が流れ、盆地南部で合流して富士川 となり、有史以来水害が多発していた。
山梨県では明治期に山林荒廃が起こり明治40年の大水害 に代表される大規模な水害が多発しており、戦前から河川改修が課題となっていた。戦後の八ヶ岳 山麓開拓や首都圏のベッドタウン として人口が増加し上水道需要も急増し、こうした観点から戦後県政においては主に富士川水系での河川総合開発が検討され、1974年 (昭和49年)富士川水系の主要な支流の一つである笛吹川 に広瀬ダム が完成した。その後も笛吹川流域や塩川流域に多目的ダムが多数建設されている。一方県東部の相模川[ 106] 流域では大月市 を中心に人口が増加し治水安全度低下・上水道需要急増という状況になったことから、支流の葛野川を開発することになり深城ダム が県内同水系では唯一の多目的ダムとして完成する。
県内最大の多目的ダムは高さでは荒川ダム (荒川)、総貯水容量では広瀬ダム がそれぞれ最大となる。建設中の多目的ダムは存在しない。中止したダム事業としては富士川水系では早川 の角瀬ダムが1955年に費用対効果が乏しいことを理由に中止した[ 107] のを皮切りに、塩川本流に計画されていたアーチダム である大渡ダム[ 108] 、笛吹川支流芦川に計画されていた芦川ダム[ 109] が、相模川水系では笹子ダム(奥野沢川)[ 110] がある。なお、山梨県内には国土交通省直轄ダムは存在しない[ 111] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
富士川
荒川
荒川ダム
補助
FNW
ロックフィル
88.0
10,800
山梨県
1985
水特法指定
一級
富士川
琴川
琴川ダム
補助
FNWP
重力
64.0
5,150
山梨県
2007
一級
富士川
塩川
塩川ダム
補助
FNAW
重力
79.0
11,500
山梨県
1997
水特法指定
一級
富士川
大門川
大門ダム
補助
FNWP
重力
65.5
3,660
山梨県
1987
一級
富士川
笛吹川
広瀬ダム
補助
FAWP
ロックフィル
75.0
14,300
山梨県
1974
一級
相模川
葛野川
深城ダム
補助
FNW
重力
87.0
6,440
山梨県
2004
長野県
長野県で最大の総貯水容量を有する牧尾ダム (王滝川)
北に信濃川(千曲川 )水系、南に天竜川 水系、西に木曽川 水系を抱える長野県 では、天竜川支流の三峰川 において最初の多目的ダム事業が行われた。1941年 (昭和16年)より河水統制事業としてダム計画は立てられたが、戦後当時の長野県知事 であった林虎雄 は1949年、キティ台風 による水害後TVAにならい河川総合開発を実施するため長野県庁 に総合開発局を設置。三峰川に二箇所の多目的ダムを計画した[ 112] 。これが美和ダム と高遠ダム であるが美和ダムは建設省に事業が移管され、1959年に特定多目的ダム法 適用第一号として完成する。しかし天竜川は1961年の昭和36年6月梅雨前線豪雨 により飯田市 など流域が致命的被害を受けたことから、水害の最大要因に挙げられた小渋川の河川総合開発が計画され、1969年に小渋ダム が完成する。長野県も松川 、片桐松川 、沢川に補助多目的ダムを建設し伊那盆地 の治水と利水に充てた。一方信濃川水系では本流にダム建設の適地がなく、長野県内最大の支流である犀川 も上流から下流まで発電専用ダムが連綿と建設されていたことから、主にその他の信濃川支流及び犀川の二次支流に多目的ダムが建設された。最初に開発されたのが県都・長野市 を流れる裾花川 で、治水と上水道、そして不安定な電力供給解消を目的に1969年裾花ダム が完成。以後奈良井川 、内村川 、神川などに多目的ダムが多数建設された。また1969年8月豪雨災害を機に建設省は1974年信濃川水系工事実施基本計画 を改定し、高瀬川 に大町ダム を建設する。木曽川水系では木曽川水系水資源開発基本計画 の一環として水資源機構 [ 113] が本流源流部に味噌川ダム を、支流王滝川 に牧尾ダム を建設。愛知用水 の水源の一つとして名古屋市 の水がめになっている。
長野県最大の多目的ダムは高さでは味噌川ダム 、総貯水容量では牧尾ダム がそれぞれ最大である。施工中のダム事業としては新規事業は無いが、貯水池の深刻な堆砂進行を防除することでダム機能の維持・治水能力向上を図るダム再開発・再編・再生事業が長野県下では多く進められている。美和ダム、小渋ダムや松川ダム (松川 )ではダム湖上流よりバイパストンネルによる下流への排砂事業が実施・施工されている[ 114] [ 115] [ 116] ほか、想定以上の堆砂によりダム機能が支障を来した裾花・奥裾花ダム (裾花川)においても排砂バイパストンネルを用いたダム再生事業が計画されている[ 117] 。また牧尾ダムでは1984年の長野県西部地震 で大量に流入した土砂除去を目的とした再開発事業が行われた[ 118] 。さらに、信濃川水系河川整備計画に明記された大町ダム等再編事業では、大町ダムの上水道容量を治水容量に振り替えるだけでなく、大町ダム上流にある日本有数の揚水発電 所・新高瀬川発電所 の上部・下部ダムである高瀬ダム ・七倉ダム (高瀬川)の発電容量を一部治水容量に切り替えて多目的ダム化し、併せて深刻な堆砂が進む高瀬ダムの貯水容量を確保するためバイパストンネルを建設する事業が進められている[ 119] 。
長野県のダム事業では当時の田中康夫 知事が在任中に発表した脱ダム宣言 による下諏訪ダム(砥川)など県営7ダム事業の中止が有名で、日本のダム事業の在り方に多大な影響を与えたが2006年の平成18年7月豪雨 で長野県内が被害を受け、直後の知事選で落選。後任の村井仁 知事が脱ダム宣言を撤回し角間(角間川)、黒沢(黒沢川)、駒沢(駒沢川)のダム計画を一旦復活させたが2009年ダム事業の見直し対象にされ、最終的に中止となった。この他大仏ダム(薄川 )[ 120] の中止がある。国直轄では信濃川本流に1982年より計画されていた千曲川上流ダムがあり、高さ80メートル、総貯水容量8,000万立方メートルと完成すれば長野県最大の多目的ダムになる計画であったが、水没予定地の南牧村 と川上村 の反対で2002年に中止された[ 121] 。また戸草ダム (三峰川)も一旦中止となったが、このダムでは伊那市 など流域市町村が中止方針に反発[ 122] し一度は事業が再開されたものの、再度民主党政権のダム事業見直し対象になり結局中止された[ 15] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
信濃川
内村川
内村ダム
補助
FNW
重力
51.3
2,000
長野県
1985
一級
信濃川
宮川
大沼ダム
利水
AW
アース
17.0
80
長野県
1964
一級
信濃川
高瀬川
大町ダム
特定
FNWP
重力
107.0
33,900
国土交通省
1985
再編事業中
一級
信濃川
裾花川
奥裾花ダム
補助
FWP
重力
59.0
5,400
長野県
1979
再生事業中
一級
信濃川
小仁熊川
小仁熊ダム
補助
FNW
重力
36.5
1,930
長野県
2003
一級
天竜川
片桐松川
片桐ダム
補助
FNW
重力
59.2
1,840
長野県
1989
一級
信濃川
金原川
金原ダム
補助
FNW
ロックフィル
36.5
388
長野県
1999
一級
信濃川
宮川
北山ダム
補助
FNW
重力
43.0
213
長野県
1999
一級
天竜川
小渋川
小渋ダム
特定
FNAP
アーチ
105.0
58,000
国土交通省
1969
2018年再開発
一級
信濃川
産川
沢山池
FA
アース
25.5
1,082
土地改良区
1936
一級
信濃川
神川
菅平ダム
利水
AWP
重力
41.8
3,451
長野県
1961
一級
信濃川
裾花川
裾花ダム
補助
FWP
アーチ
83.0
15,000
長野県
1969
再生事業中
一級
信濃川
高瀬川
高瀬ダム
FP
ロックフィル
176.0
76,200
東京電力 (国土交通省)
1979
再編事業中
一級
天竜川
三峰川
高遠ダム
利水
AP
重力
30.9
2,310
長野県
1958
一級
信濃川
灰野川
豊丘ダム
補助
FNW
重力
81.0
2,580
長野県
1994
一級
信濃川
高瀬川
七倉ダム
FP
ロックフィル
125.0
32,500
東京電力 (国土交通省)
1979
再編事業中
一級
信濃川
奈良井川
奈良井ダム
補助
FNW
ロックフィル
60.0
8,000
長野県
1982
一級
木曽川
王滝川
牧尾ダム
水機構法
AWIP
ロックフィル
105.0
75,000
水資源機構
1961
2006年再開発
一級
天竜川
松川
松川ダム
補助
FNWP
重力
84.3
7,400
長野県
1974
再開発中
一級
信濃川
水上沢川
水上ダム
補助
FNW
重力
38.0
276
長野県
2000
一級
木曽川
木曽川
味噌川ダム
水機構法
FNWIP
ロックフィル
140.0
61,000
水資源機構
1996
一級
天竜川
沢川
箕輪ダム
補助
FNW
重力
72.0
9,500
長野県
1992
一級
天竜川
三峰川
美和ダム
特定
FNIP
重力
69.1
34,300
国土交通省
1959
再開発中
一級
信濃川
裾花川
湯の瀬ダム
利水
WP
重力
18.0
330
長野県
1969
一級
信濃川
余地川
余地ダム
補助
FNW
重力
42.0
523
長野県
2003
岐阜県
戦後の大規模ダム事業の先駆けとなった丸山ダム (木曽川 )
木曽三川 (木曽川・長良川 ・揖斐川 )を抱える岐阜県 では、輪中 や宝暦治水 など度重なる治水事業が実施されたが洪水被害は減ることがなかった。他方豊富な水量は福澤桃介 や松永安左エ門 らにより水力発電事業として開発され、大井ダム (木曽川)など多くの水力発電所・発電用ダムが建設されたが河川総合開発は戦後になって実施された。1951年の国土総合開発法により木曽川水系は木曽特定地域総合開発計画 の対象地域に指定され、木曽川、揖斐川、長良川、飛騨川 などに多目的ダムを建設する計画が立てられた[ 123] 。その中で最初に着手されたのが丸山ダム (木曽川)であり、日本発送電 が施工していた発電用ダムに洪水調節目的を付加し1955年に完成、揖斐川本流にも横山ダム が1964年完成した。しかし1959年の伊勢湾台風で流域は大きな被害を受け、さらに名古屋市を中心とした中京圏 は中京工業地帯 の拡大、東海道新幹線 ・東名高速道路 ・名神高速道路 の完成で人口が急増。治水安全度低下と上水道需要のひっ迫を招いた。これに対し木曽川水系水資源開発基本計画 が立てられ、徳山ダム (揖斐川)、岩屋ダム (馬瀬川 )、阿木川ダム (阿木川 )などが建設されて愛知用水や木曽川用水 の水源として中京圏の水需要に貢献している。一方庄内川 水系では本流にダム建設の適地が存在しないため、瑞浪市 で庄内川に合流する小里川に同水系唯一の多目的ダムである小里川ダムが2003年完成する。県営事業としては木曽川水系の小河川のほか、発電用ダムが多数建設されているため多目的ダムが建設されていない飛騨地方 の河川に多目的ダムを建設している。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に徳山ダム であり、多目的ダムとしては日本最大 であるが建設に伴い旧徳山村 全村が水没。強固な反対運動が長年続いた。建設中のダムとしては日本最大のダムかさ上げ事業となる新丸山ダム (木曽川)が国土交通省によって進められており、完成すれば丸山ダムは水没する。このほか内ヶ谷ダム(亀尾島川)[ 124] と水無瀬ダム(水無瀬川)が県営事業として施工中であるが、水無瀬ダムについてはダム事業見直しにより事業進捗が不透明になっている。中止したダム事業では犬山ダム(木曽川)・久田見ダム(飛騨川)・洞戸及び板取川ダム (板取川 )・黒津ダム(根尾川 )・一之瀬ダム(牧田川 )など木曽特定地域総合開発計画で計画されたダム群[ 125] のほか、矢作川水系上村川 に計画されていた上矢作ダムがある[ 126] 。
なお木曽川本流の兼山ダム と落合ダム は関西電力が管理する発電用ダムだが、それぞれ愛知用水と東濃用水 の取水元として利用され、取水された水は名古屋市、多治見市 などの上水道に利用されている。また、御母衣ダム (庄川)は発電用ダムであるが建設省河川局長通達・建河発第一七八号 に基づく第一類ダムとして、義務ではないが異常気象時は洪水到達時間を遅らせるための洪水調節操作を行う。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
木曽川
阿木川
阿木川ダム
水機構法
FNWI
ロックフィル
101.5
48,000
水資源機構
1990
建設省より移管 水特法指定
一級
木曽川
岩村川
岩村ダム
補助
FNW
重力
35.8
180
岐阜県
1997
一級
木曽川
馬瀬川
岩屋ダム
水機構法
FAWIP
ロックフィル
127.5
173,500
水資源機構
1976
建設省より移管
一級
木曽川
東谷川
打上調整池
水機構法
AWI
アース
29.7
2,260
水資源機構
1987
一級
木曽川
亀尾島川
内ヶ谷ダム
補助
FP
重力
84.2
11,500
岐阜県
2026
工事中[ 127]
一級
木曽川
大ヶ洞川
大ヶ洞ダム
補助
FNW
重力
42.5
450
岐阜県
1998
一級
庄内川
小里川
小里川ダム
特定
FNP
重力
114.0
15,100
国土交通省
2003
一級
木曽川
木曽川用水
上飯田調整池
水機構法
AW
アース
16.1
70
水資源機構
1975
一級
木曽川
木曽川
新丸山ダム
特定
FNP
重力
118.4
131,350
国土交通省
2029
水特法指定 工事中
一級
木曽川
揖斐川
徳山ダム
水機構法
FNWIP
ロックフィル
161.0
660,000
水資源機構
2008
日本最大 建設省より移管 水特法9条指定
一級
木曽川
中野方川
中野方ダム
補助
FNW
重力
41.7
411
岐阜県
2005
一級
神通川
荒城川
丹生川ダム
補助
FNW
重力
69.5
6,200
岐阜県
2012
一級
木曽川
可児川
松野ダム
水機構法
FA
アース
26.7
3,313
土地改良区 防災組合
1961
一級
木曽川
木曽川
丸山ダム
FP
重力
98.2
79,520
国土交通省
1955
再開発中
一級
木曽川
水無瀬川
水無瀬ダム
補助
FW
重力
43.5
1,042
岐阜県
未定
事業見直し
一級
木曽川
揖斐川
横山ダム
特定
FP
中空重力
80.8
43,000
国土交通省
1964
2010年再開発
静岡県
静岡県最大の多目的ダム・長島ダム (大井川 )
静岡県 には東から狩野川 、富士川、安倍川 、大井川 、菊川 、天竜川と6本の一級河川が流れる。河川開発は大井川と天竜川の水力発電事業が先行し、戦後大井川用水 の建設などが進められたが基本的には水力発電事業が継続されていた。河川総合開発が開始されたのは1951年、国土総合開発法施行に伴い天竜川流域が天竜東三河特定地域総合開発計画 の指定を受けたことに始まる。水力発電と共に三方原台地 など遠州南部の台地灌漑、及び豊川用水 建設に伴う水資源開発に天竜川を利用する計画が立てられ[ 128] 、電源開発が建設した佐久間ダム ・秋葉ダム ・船明ダム (天竜川)が水源として[ 129] 浜松市 などの上水道・工業用水道・灌漑用水に利用された。一方大井川では1972年の七夕豪雨 を機に治水を主目的とした多目的ダムの建設が計画され、榛原郡 本川根町 [ 130] に長島ダム が大井川唯一の多目的ダムとして建設省の手で完成する。一方県内の二級河川では狩野川台風 で甚大な被害を受けた伊東市 を流れる伊東大川に奥野ダム が伊豆半島 初のダムとして完成し、続いて南伊豆町 の鈴野川に青野大師ダムが完成。県中央部を流れる太田川 には太田川ダムが建設され、2009年に県内最新のダムとして完成。県西部には都田川ダム(都田川 )が建設されている。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に長島ダム である。事業が中止されたダムは県営の布沢川ダム(布沢川)がある。佐久間ダムについては発電専用ではあるものの天竜川の治水の要として建設省河川局長通達・建河発第一七八号により第一類ダムに指定され、治水にも重要な役割を持つほか豊川用水の水源にも利用され事実上多目的ダムとして機能しているが、2004年より洪水調節目的の追加と堆砂防除に伴う遠州灘 沿岸の海岸侵食 防止を目的とした再開発事業が国土交通省中部地方整備局により計画され[ 131] 、多目的ダム化される予定である。この事業は前原誠司国土交通大臣によるダム事業見直し対象からも除外されている。
なお大井川に建設されている畑薙第一ダム や井川ダム は発電専用であるが、建設省河川局長通達により第一類ダムに指定され義務ではないものの緊急時に洪水調節操作を行うほか、県都・静岡市 などの水源として重要な役割を担っている。残る一級河川である安倍川、狩野川、菊川には多目的ダムが本流・支流の何れにも全く建設されていない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
青野川
鈴野川
青野大師ダム
補助
FNW
重力
39.5
295
静岡県
2005
一級
天竜川
天竜川
秋葉ダム
利水
AWIP
重力
89.0
39,703
電源開発
1958
二級
太田川
太田川
太田川ダム
補助
FNW
重力
70.0
11,600
静岡県
2009
二級
伊東大川
伊東大川
奥野ダム
補助
FNW
ロックフィル
63.0
5,100
静岡県
1989
一級
天竜川
天竜川
佐久間ダム
FP
重力
155.5
326,848
電源開発 (国土交通省)
1956
再開発中
一級
大井川
大井川
長島ダム
特定
FNAW
重力
109.0
78,000
国土交通省
2001
水特法指定
一級
天竜川
天竜川
船明ダム
利水
AWIP
重力
24.5
14,578
電源開発
1976
二級
都田川
都田川
都田川ダム
FAW
ロックフィル
55.0
12,020
静岡県
1984
愛知県
愛知県で最大の総貯水容量を有する矢作ダム (矢作川 )
愛知県 の多目的ダム建設は主に県東部、三河地方の河川で実施されている。端緒は天竜東三河特定地域総合開発計画 の主要事業として豊川用水 が建設されたことに始まる。天竜川の佐久間ダムより導水した水を豊川 水系を経て豊橋市 や渥美半島 へ送水する豊川用水の水源として宇連ダム (宇連川 )が県内最初の多目的ダムとして建設されたのを皮切りに大野頭首工(宇連川)、大島ダム(大島川)などが建設された。続く矢作川水系では昭和36年6月梅雨前線豪雨による水害やトヨタ自動車 などの工場建設、それに伴う豊田市 など流域人口の増加により河川総合開発が建設省により計画され、最上流部に矢作ダム が建設されたほか支流にも小規模な多目的ダムが県営事業として建設された。天竜川水系では電源開発が発電用として計画していた新豊根ダム が、愛知県による治水事業を加えた多目的ダムとして規模が拡大され、さらに建設省に事業移管されて1972年完成した。一方愛知用水関連では愛知池 (前川)が調整池 として建設されたほか、1633年 に建設された入鹿池 が治水機能を追加する再開発事業が行われた。
愛知県最大のダムは高さでは新豊根ダム 、総貯水容量では矢作ダム がそれぞれ最大であるが、国土交通省が施工中の設楽ダム が完成すると高さ・総貯水容量共に県下最大となる。設楽ダムは民主党政権によるダム事業見直しの対象となったが、流域自治体の強い要望により事業の継続が決定した[ 132] 。また矢作ダムでは放流設備を新設することで治水能力を増強させる矢作ダム再生事業が着手された[ 133] 。中止したダム事業としては矢作川河口に建設が予定されていた矢作川河口堰[ 134] がある。なお新豊根ダムは当初愛知県と電源開発の共同事業として計画され、特定多目的ダム法の適用を受けていないため、国土交通省管理ではあるが特定多目的ダムではない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
境川
前川
愛知池
水機構法
AWIP
アース
31.0
9,000
水資源機構
1961
一級
矢作川
雨山川
雨山ダム
補助
FNW
重力
21.5
251
愛知県
1995
一級
庄内川
五条川
入鹿池
FA
ロックフィル
25.7
18,523
愛知県
1633
1991年再開発
一級
豊川
宇連川
宇連ダム
水機構法
AWI
重力
65.0
29,110
水資源機構
1958
農林省施工
一級
豊川
大島川
大島ダム
水機構法
AW
重力
69.4
12,300
水資源機構
2003
農林水産省施工
一級
豊川
宇連川
大野頭首工
水機構法
AWI
重力
26.0
1,096
水資源機構
1961
一級
豊川
豊川用水
大原調整池
利水
AW
ロックフィル
47.9
2,020
農林水産省
1993
二級
西田川
山林川
蒲郡調整池
利水
AW
ロックフィル
43.2
611
農林水産省
1996
一級
矢作川
木瀬川
木瀬ダム
補助
FNW
重力
33.0
644
愛知県
1999
一級
木曽川
木曽川
木曽川大堰
水機構法
AWI
堰
-
-
水資源機構
1974
一級
豊川
豊川用水
駒場調整池
水機構法
AWI
アース
24.6
900
水資源機構
1968
一級
豊川
豊川
設楽ダム
特定
FNAW
重力
129.0
98,000
国土交通省
2034
工事中
一級
天竜川
大入川
新豊根ダム
FP
アーチ
116.5
53,500
国土交通省 電源開発
1972
愛知県より移管
一級
豊川
豊川用水
万場調整池
利水
AWI
ロックフィル
28.6
5,390
農林水産省
1994
水特法指定
一級
矢作川
矢作川
矢作ダム
特定
FNAWIP
アーチ
100.0
80,000
国土交通省
1970
再生事業中
近畿地方
三重県
三重県で最大の総貯水容量を有する宮川ダム (宮川 )
三重県 の多目的ダム事業は、県南部を流れる宮川 より始まった。宮川の治水と県営水力発電を目的に最上流部に宮川ダム が1957年完成したのが最初である。宮川ダム下流には1967年三瀬谷ダム が完成し、宮川水系は一大電源地帯 となった。1959年の伊勢湾台風では三重県内の河川はほぼ全て氾濫し、流域に被害を与えたが宮川流域だけは宮川ダムの洪水調節によって河口の高潮による被害を除いて浸水被害がほぼ皆無であった[ 135] 。このことからダムによる治水が再認識され、雲出川 水系に君ヶ野ダム(八手俣川)、櫛田川 水系に蓮ダム (蓮川)が建設された。蓮ダムは松阪市 や伊勢市 、鳥羽市 など県南部の水がめであるが、離島である神島 の水源でもあり、水洗トイレ 普及などに役立っている。一方県北部では木曽特定地域総合開発計画 の一環で建設された三重用水 の水源として中里ダム (砂子谷川)など4箇所のダムが建設され、それらを連結して安定した水供給を図ることで四日市市 、鈴鹿市 などの農業用水、上水道や工業用水道供給に資している。伊賀地方 では淀川 水系屈指の規模を有する支流・木津川 流域の最大支流である名張川 の総合開発が実施され、三重県内では本流に比奈知ダム 、支流の青蓮寺川には青蓮寺ダム が建設され、大阪府 や兵庫県 の水がめになっている。
三重県最大の多目的ダムは高さは川上ダム (前深瀬川)、総貯水容量については宮川ダム となる。建設中のダムは存在しないが川上ダムは民主党のダム事業見直しの対象になり三重県、伊賀市 そして三重県選出の中井洽 国家公安委員長 (当時)が反発。中井国家公安委員長は前原誠司国土交通大臣に直接抗議する[ 136] など錯綜したが、最終的に事業継続と決定した[ 15] 。また長良川河口堰 (長良川)は公共事業 と自然保護 の整合性を世に問い、全国的にも話題となった。中止したダム事業としては伊勢路川ダム(伊勢路川)[ 137] などがある。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
鈴鹿川
椎山川
加佐登調整池
水機構法
AWI
アース
28.7
3,047
水資源機構
1982
一級
淀川
前深瀬川
川上ダム
水機構法
FNWP
重力
91.0
33,000
水資源機構
2023
水特法指定
一級
雲出川
八手俣川
君ヶ野ダム
補助
FNWI
重力
73.0
23,300
三重県
1971
二級
三滝川
赤川
菰野調整池
水機構法
AWI
アース
28.4
1,650
水資源機構
1989
一級
淀川
青蓮寺川
青蓮寺ダム
水機構法
FNAWP
アーチ
82.0
27,200
水資源機構
1970
一級
淀川
滝川
滝川ダム
補助
FNW
重力
29.8
282
三重県
1999
二級
員弁川
砂子谷川
中里ダム
水機構法
AWI
アース
46.0
16,400
水資源機構
1976
一級
木曽川
長良川
長良川河口堰
水機構法
FWI
堰
-
36,700
水資源機構
1994
一級
櫛田川
蓮川
蓮ダム
特定
FNWP
重力
78.0
32,600
国土交通省
1991
水特法指定
一級
淀川
名張川
比奈知ダム
水機構法
FNWP
重力
70.5
20,800
水資源機構
1998
一級
宮川
宮川
三瀬谷ダム
利水
IP
重力
39.0
13,101
三重県
1966
一級
宮川
宮川
宮川ダム
補助
FNP
重力
88.5
70,500
三重県
1956
滋賀県
滋賀県最大の多目的ダム・永源寺ダム (愛知川 )
滋賀県 の河川開発は、琵琶湖 を抜きに語れない。淀川水系全流域面積 の半分以上53パーセント を占める琵琶湖及び流入河川の利水は明治時代の琵琶湖疏水 に遡り、治水は瀬田川洗堰 (淀川)建設と瀬田川 浚渫より始まる。戦後爆発的に増大する関西圏 の人口に対処すべく、1962年8月水資源開発促進法 による水資源開発水系に淀川水系は利根川水系と共に指定され、琵琶湖の総合開発事業が本格化する。1972年、琵琶湖総合開発特別措置法 が制定され琵琶湖の治水と利水、及び流入河川の河川総合開発事業が計画された[ 138] 。これに伴い計画・建設されたのが国直轄では丹生ダム (高時川 )や大戸川ダム (大戸川 )、県営では青土ダム(野洲川 )がある。また、近江盆地 は近畿地方 有数の穀倉地帯であるが河川は天井川 で水量も少なく、旱魃 による被害は多く水争いが多発していた。こうした用水供給を解決するため農林省は永源寺ダム (愛知川 )や犬上ダム(犬上川 )などの利水専用多目的ダムを建設、灌漑用水を安定供給するに至った。琵琶湖は河川法・水資源開発促進法により霞ヶ浦と同様「湖沼水位調節施設 」とされ、多目的ダムの扱いを受ける。
滋賀県最大の多目的ダムは琵琶湖を除外すれば高さ・総貯水容量共に永源寺ダム である。建設が計画されていた丹生ダムは嘉田由紀子 滋賀県知事の登場により建設凍結の方向に動き[ 139] 、最終的に中止となった。新規に計画・建設されているダム事業は存在しない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
淀川
犬上川
犬上川ダム
利水
AP
重力
45.0
3,890
滋賀県
1946
一級
淀川
愛知川
永源寺ダム
利水
AP
複合
73.5
22,741
滋賀県
1972
農林省施工
一級
淀川
野洲川
青土ダム
補助
FNWI
ロックフィル
43.5
7,300
滋賀県
1987
一級
淀川
淀川
琵琶湖
水機構法
FWI
堰
-
27,000,000
水資源機構
1991
瀬田川洗堰
京都府
西日本最大の河川・淀川 本流に建設された天ヶ瀬ダム (淀川)
京都府 は北部を由良川 、南部を淀川が流れるが、特に淀川の治水・利水が重要であった。淀川本流(宇治川 )に桂川 と木津川、鴨川 が合流する県南部は古くより水害常襲地帯であり、白河法皇 をして延暦寺 の僧兵 、サイコロ 賭博 と共に鴨川の洪水を悩みに挙げているほどであった。淀川水系の治水が本格的に検討されたのは1953年の台風13号 による淀川の大洪水であり、これに対応すべく建設省は淀川水系改修基本計画 を策定。淀川本流と木津川支流の名張川に多目的ダムを建設する計画を立てた。これが天ヶ瀬ダム (淀川)と高山ダム (名張川)である。さらに伊勢湾台風の被害を機に桂川の河川開発が計画され、京都市 や大阪市など淀川流域の人口増加に伴い水資源開発も急務となったことから1962年淀川水系は水資源開発水系に指定。淀川水系水資源開発基本計画 策定に伴い桂川本流に多目的ダムが計画された。これが日吉ダム である。現在天ヶ瀬・高山・日吉の三ダムは淀川の治水及び関西圏の水がめとして重要な位置を占めている。また天ヶ瀬ダムは喜撰山ダム (寒谷川)との間で揚水発電 を行い、関西地方の電力需要にも資している。一方由良川では戦前より由良川の治水と舞鶴海軍工廠 への電力供給を目的とした多目的ダム建設が計画されていたが太平洋戦争 の激化により中断。戦後相次ぐ水害を受け再度ダム建設が実施された。これが県下初の多目的ダム・大野ダム であり、反対運動は強かったが当時の蜷川虎三 京都府知事 が強力に事業を推進、反対派を説得する[ 140] などして1961年に完成する。建設省が施工したこのダムは完成後京都府に管理が移管されている。
京都府最大の多目的ダムは高さでは天ヶ瀬ダム 、総貯水容量では日吉ダム がそれぞれ最大であり、日吉ダムは事業者と水没予定地、周辺市町村間で計画的な周辺整備を行った結果京都府有数の行楽地に成長している[ 141] 。建設中のダムは存在せず、ダム事業再検証を積極的に推進した前原誠司国土交通大臣(当時)のお膝元である京都ではダム事業見直し対象がない。中止したダム事業としては鴨川ダム(鴨川)[ 142] 、南丹ダム(園部川)[ 143] がある。なお、天ヶ瀬ダム建設により大正時代に建設された関西電力志津川ダムが水没、日吉ダム建設に伴い関西電力世木ダム が半分以上水没している[ 144] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
淀川
淀川
天ヶ瀬ダム
特定
FWP
アーチ
73.0
26,280
国土交通省
1964
2023年再開発
一級
由良川
由良川
大野ダム
FP
重力
61.4
28,550
京都府
1960
建設省施工
一級
淀川
名張川
高山ダム
水機構法
FNWP
重力アーチ
67.0
56,800
水資源機構
1968
建設省より移管
一級
由良川
畑川
畑川ダム
補助
FNW
重力
34.0
1,960
京都府
2012
一級
淀川
桂川
日吉ダム
水機構法
FNW
重力
67.4
66,000
水資源機構
1997
水特法9条指定
大阪府
大阪府最大の多目的ダム・滝畑ダム (石川 )
大阪府 は戦後人口が爆発的に増加したことで住宅地が急増し堤防 建設や河道拡張に着手しづらい状況下であったが、1967年に府北部を襲った北摂豪雨 による被害を機に多目的ダムによる河川開発を検討した。当時の黒田了一 大阪府知事は淀川水系神崎川 の二次支流である安威川 と箕面川 にダムを建設して治水を強化する方針を立てた。箕面川は治水ダムの建設(箕面川ダム )であったが安威川については多目的ダムとして建設し治水のほか大阪府北部の上水道供給を行う方針とし、これにより安威川ダム が計画された。一方府南部では大和川 水系の灌漑用水補給と農地防災を強化するため支流の石川 に滝畑ダム を建設し、616年 に完成した日本最古のダム・狭山池 (西除川 )に治水機能を付加する再開発事業を計画、2001年に完成させた。また二級河川である大川に逢帰ダムを建設する。一方建設省は淀川本流に淀川大堰 を1983年完成させるが、これは直下流に建設されていた長柄可動堰を撤去する代わりに淀川大堰を建設して機能を強化。さらに水質汚濁 の著しい大阪市内の道頓堀川 などに旧淀川経由で河川維持放流 を行い水質改善を図る。
大阪府最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に滝畑ダム である。当初多目的ダムとして計画されていた安威川ダムは水需要減少に伴い規模を縮小、工期も延長したが橋下徹 大阪府知事(当時)は安威川ダムのうち上水道事業からの撤退を決定しており、今後の事業継続が焦点となっていたが最終的に2012年に治水ダムへ変更した上で事業継続となっている[ 145] 。また淀川大堰建設に伴う湛水域拡大によりイタセンパラ の生息数が減少する問題が発生している。中止したダム事業としては建設省が猪名川 流域の治水及び上水道供給の強化、そして水質汚濁が深刻な猪名川の水質改善を目的とした余野川ダム (余野川 )[ 146] がある。なお滝畑ダムは大阪府環境農林水産部が管理しており、補助多目的ダムではない[ 147] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
大川
大川
逢帰ダム
FAW
重力
33.2
1,024
大阪府
1967
一級
大和川
石川
滝畑ダム
FAW
重力
62.0
9,340
大阪府
1981
水特法指定
一級
淀川
淀川
淀川大堰
NWI
堰
-
-
国土交通省 水資源機構
1983
兵庫県
兵庫県最大の多目的ダム・黒川ダム (市川 )
兵庫県 には大小様々な河川が南北を流れるが、明治時代より布引五本松ダム (生田川 )などの上水道専用ダム が建設され、神戸市 を中心にコンクリートダム が比較的早期より建設されていたが、河川総合開発も戦前より計画されていた。内務省は揖保川 と猪名川に多目的ダムを建設する構想を立てていた[ 148] が、太平洋戦争で中止となった。戦後揖保川での総合開発が再開され、支流引原川に引原ダムが兵庫県初の多目的ダムとして1957年完成する。高度経済成長以後神戸市を中心とした播磨灘 沿岸都市の人口増加と沿岸工業地帯の拡充は水道需要のひっ迫を招き、さらに農地拡大による農業用水需要も増大していった。これに対し利水に重点を置いた河川総合開発が計画され、加古川 水系では農林水産省 の呑吐ダム (志染川 )・大川瀬ダム(東条川)や建設省の加古川大堰(加古川)、市川 水系では県営の生野ダム (市川)や奥多々良木発電所 の上部調整池として建設された関西電力黒川ダム (市川)に兵庫県企業庁が利水事業者として参加し多目的ダム化、武庫川 水系には県営の青野ダム (青野川)、淀川水系では淀川水系水資源開発基本計画の一環として水資源開発公団により建設された猪名川支流一庫大路次川 の一庫ダム など、これらのダムを相互に連携させて兵庫県南部の水需要に貢献している[ 149] 。また県西部の千種川 や県北部の円山川 、淡路島 の三原川 など各水系の支流にも多目的ダムを建設し治水と利水を司っている。2008年に完成した石井ダム(烏原川)は日本で二箇所しかないレクリェーション目的 を持つダムの中では西日本で唯一運用されているダムである[ 150] 。
兵庫県最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に市川最上流部に建設された黒川ダム である。建設中のダムとしては引原ダムのかさ上げなどによる治水能力向上を図る引原ダム再生事業が行われている[ 151] 。2015年に栗柄ダムと名称変更して完成した西紀ダムは事業見直し対象となったが、事業継続と決定している[ 15] 。中止した多目的ダム事業には武庫川本流中流部に予定されていた武庫川ダムがあり、反対運動が強く武庫川流域委員会で議論された末[ 152] ダム事業見直しの対象となり事業中止が決定した。このほか八鹿ダム(小佐川)[ 153] などが事業中止となっている。なお、小堰堤ではあるが伊丹市 にある昆陽池 (こやいけ)は731年 行基 によって建設されたが、洪水調節と灌漑の目的を有しており、「日本最古の多目的ダム 」である[ 154] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
武庫川
青野川
青野ダム
補助
FNW
重力
29.0
15,100
兵庫県
1987
水特法指定
二級
洲本川
鮎屋川
鮎屋川ダム
FA
重力
46.2
1,800
兵庫県
1970
二級
市川
市川
生野ダム
補助
FNWI
重力
56.5
18,000
兵庫県
1972
二級
新湊川
石井川
石井ダム
補助
FNR
重力
66.2
2,200
兵庫県
2008
二級
三原川
牛内川
牛内ダム
補助
FNW
重力
59.0
2,100
兵庫県
1997
一級
加古川
東条川
大川瀬ダム
利水
AW
重力
50.8
9,300
農林水産省
1991
一級
円山川
大路川
大路ダム
補助
FNW
重力
32.1
375
兵庫県
1998
一級
加古川
加古川
加古川大堰
特定
FNW
堰
6.0
1,960
国土交通省
1988
二級
三原川
北富士川
北富士ダム
補助
FNW
重力
52.5
1,300
兵庫県
1999
一級
由良川
滝の尻川
栗柄ダム
補助
FNW
重力
26.7
383
兵庫県
2015
旧名西紀ダム
二級
市川
市川
黒川ダム
利水
WIP
ロックフィル
98.0
33,390
関西電力
1974
一級
加古川
仕出原川
糀屋ダム
利水
AI
ロックフィル
44.1
13,500
農林水産省
1989
二級
武庫川
天神川
昆陽池
FA
アース
-
-
伊丹市
731
日本最古の 多目的小堰堤
二級
三原川
大日川
大日ダム
補助
FNW
重力
36.0
1,050
兵庫県
1997
一級
円山川
横谷川
但東ダム
補助
FNW
重力
25.7
450
兵庫県
2006
一級
加古川
志染川
呑吐ダム
利水
AW
重力
71.5
18,860
農林水産省
1987
水特法指定
二級
三原川
成相川
成相ダム
補助
FNW
重力
61.0
4,050
兵庫県
1999
一級
揖保川
引原川
引原ダム
補助
FNIP
重力
66.0
21,950
兵庫県
1957
再生事業中
一級
淀川
一庫大路次川
一庫ダム
水機構法
FNW
重力
75.0
30,800
水資源機構
1983
水特法指定
二級
本庄川
本庄川
本庄川ダム
FAW
重力
47.7
1,720
兵庫県
2004
一級
加古川
三熊川
みくまりダム
補助
FNW
重力
27.0
380
兵庫県
2008
一級
由良川
三井庄川
三宝ダム
補助
FNW
重力
35.1
271
兵庫県
1994
二級
千種川
安室川
安室ダム
補助
FNW
重力
50.0
4,300
兵庫県
1991
二級
武庫川
山田川
山田ダム
利水
AW
重力
15.8
174
三田市
1968
一級
円山川
与布土川
与布土ダム
補助
FNW
重力
54.4
1,080
兵庫県
2015
奈良県
奈良県最大の多目的ダム・大滝ダム (紀の川 )
奈良県 は奈良市 など県北部の大和盆地 に人口と農地が集中するが、古来より慢性的な水不足に悩まされており「大和豊年米食わず」と揶揄されるほど旱魃被害が頻発していた。唯一の大河川である大和川も水量は決して多くなく、農民達は県南部の紀の川 から取水することが江戸時代よりの300年来の悲願であった。しかし紀の川下流の和歌山県 は奈良県北部への分水を断じて容認せず、明治以降四度にわたる水利権紛争をひき起こした[ 155] 。戦後TVA方式の河川総合開発が導入されたことでにわかに紀の川分水の開発機運が高まり、1949年農林省は十津川紀の川総合開発計画 を策定する。さらに1951年には国土総合開発法の制定に伴い紀の川・熊野川 流域は吉野熊野特定地域総合開発計画 の対象地域となり、熊野川(十津川)から紀の川に分水し、さらに紀の川から大和盆地へ分水する計画が立案された。この計画で熊野川からの分水を図る猿谷ダム (熊野川)が建設省により、大和盆地に水を供給する水源として大迫ダム (紀の川)と津風呂ダム (津風呂川)が農林省によって建設され、悲願であった紀の川の水が大和盆地に供給された。また淀川水系水資源開発基本計画に基づき名張川支流の宇陀川 に室生ダム が建設され、室生ダムより大和川へ宇陀川分水が供給され、淀川水系の水も利用可能となった。さらに大和川水系の開発も行われ、初瀬ダム(大和川)や天理ダム(布留川)が完成し奈良市、橿原市 、天理市 など県北部の都市は以前より格段に水需要が改善した。一方紀の川は伊勢湾台風により壊滅的な被害を受け、これを機に利水優先だった紀の川の開発は治水重点となり、洪水調節と上水道供給、水力発電を目的とした特定多目的ダムの建設が重要視され、本流に大滝ダム が建設される。
奈良県最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に大滝ダム である。1962年の計画発表以来地元である川上村 は水没戸数が399戸487世帯と極めて多いことから猛烈な反対運動を繰り広げ、本体着工まで29年を費やし群馬県の八ッ場ダム(吾妻川)に比肩する補償交渉の難航を見せた。さらにダム完成直前に至り地すべり が発生、対策が完了しない限り貯水が不可能であることから地すべり対策を実施し2013年に全事業が完成したが[ 156] 、計画発表から完成まで51年を費やす長期化ダム事業となった。中止したダム事業としては建設省による熊野川総合開発計画 に基づき計画された風屋・鹿測(熊野川)、前鬼口 ・北山 ・大沼・小松(北山川 )、大瀬(東ノ川)のダム群がある[ 157] 。治水と灌漑を主目的とした計画だったが費用対効果が得られず1953年一斉に中止となった。しかし計画自体は熊野川開発全体計画 として電源開発の水力発電計画に継承され、風屋・二津野 (熊野川)、池原 ・七色 ・小森(北山川)、坂本(東ノ川 )の各ダムとして完成している[ 158] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
熊野川
池津川
池津川取水ダム
NP
重力
16.8
-
国土交通省
1956
一級
紀の川
紀の川
大迫ダム
利水
AWP
アーチ
70.5
27,750
農林水産省
1973
一級
紀の川
紀の川
大滝ダム
特定
FNWIP
重力
100.0
84,000
国土交通省
2013
水特法9条指定
一級
淀川
遅瀬川
上津ダム
利水
AW
重力
63.5
5,600
農林水産省
2000
一級
熊野川
熊野川
猿谷ダム
NP
重力
74.0
23,300
国土交通省
1957
一級
紀の川
津風呂川
津風呂ダム
利水
AW
重力
54.3
24,650
農林水産省
1962
一級
大和川
布留川
天理ダム
補助
FNW
重力
60.5
2,500
奈良県
1978
一級
淀川
布目川
布目ダム
水機構法
FNW
重力
72.0
17,300
水資源機構
1991
水特法指定
一級
大和川
大和川
初瀬ダム
補助
FNW
重力
55.0
4,390
奈良県
1987
一級
淀川
宇陀川
宮奥ダム
利水
AW
重力
36.5
580
奈良県
1998
一級
淀川
宇陀川
室生ダム
水機構法
FNW
重力
63.5
16,900
水資源機構
1973
建設省より移管
和歌山県
和歌山県で最大の総貯水容量を有する椿山ダム (日高川 )
和歌山県において多目的ダムが建設される契機となったのは、1953年7月17日 から7月18日 に掛けて県全域を襲った紀州大水害 (7.18大水害、南紀豪雨とも呼ばれる)である。一日雨量500ミリを超える猛烈な豪雨を記録し、和歌山県内で死者・行方不明者1,046名を記録[ 159] する日本の戦後に発生した集中豪雨では最悪の被害を出した。この災害では和歌山県内を流れる紀の川を始め有田川 、日高川 、日置川 、古座川 、熊野川など全ての河川が過去に例を見ない大洪水をひき起こし、日高川流域だけでも死者298名・負傷者1,470名を出している[ 160] 。この大災害を機に和歌山県では県内を流れる主要な二級河川に多目的ダムを建設する計画を立案。その第一号として1956年古座川本流に七川ダム が完成する。続いて有田川本流に二川ダムが1966年完成し、日高川に椿山ダム が1988年 (昭和63年)完成する。一方紀の川では和歌山市 の工業地帯拡充、さらに関西国際空港 建設により人口増加が見込まれることから水資源開発が課題となり、大滝ダムと連携した治水・利水を図るため河口より約6キロメートル上流に紀の川大堰 を建設。和歌山市や大阪府泉南地域への上水道・工業用水道供給を図ろうとした。
和歌山県最大の多目的ダムは高さでは二川ダム 、総貯水容量では椿山ダム がそれぞれ最大。建設中のダムはない。民主党政権によるダム事業見直しの余波を受けた切目川ダム (切目川)は和歌山県が国庫 補助が凍結されても建設を進める方針を示し[ 161] 、事業継続となり2015年完成した[ 15] 。椿山ダムは水没予定地住民の反対運動が激烈で計画から完成まで22年を費やし、補助多目的ダムとしては初となる水源地域対策特別措置法 第9条等指定ダムとなった。紀の川大堰では受益者である大阪府の橋下徹知事が水余りを理由に水利権を返上している。中止した多目的ダム事業としては建設省による熊野川総合開発計画に基づき計画された檜杖ダム(熊野川)がある。仮に完成すれば和歌山県最大の貯水容量を有するダムとなっていたが、費用対効果が見込めず1953年中止されている[ 157] 。また、紀の川支流の紀伊丹生川に国土交通省が計画していた紀伊丹生川ダムは、完成すれば近畿地方で最も高いダムとなる予定であったがダム地点の地質が悪く、掘削による工事費が増大し通常の河川改修のほうが割安になることから費用対効果の面で中止されている[ 162] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
紀の川
紀の川
紀の川大堰
特定
FNW
堰
7.1
2,900
国土交通省
2009
二級
切目川
切目川
切目川ダム
補助
FNW
重力
44.5
3,960
和歌山県
2015
二級
古座川
古座川
七川ダム
補助
FP
重力
58.5
30,800
和歌山県
1956
二級
日高川
日高川
椿山ダム
補助
FNP
重力
56.5
49,000
和歌山県
1988
水特法9条指定
二級
有田川
有田川
二川ダム
補助
FP
重力
67.4
30,100
和歌山県
1966
中国地方
鳥取県
鳥取県で最大の総貯水容量を有する菅沢ダム (印賀川)
千代川 、天神川 、日野川 と三本の一級河川が流れる鳥取県 では、日野川において最初の河川総合開発計画が実施された。1951年の国土総合開発法を機に日野川水系および中海 は大山出雲特定地域総合開発計画 の対象となり、中海干拓事業に加えて水力発電と米子市 などへの工業用水道供給を主体とした日野川流域の河川開発を実施すべく県によって中海・日野川総合開発調査局が設置され[ 163] 調査が行われた。その後日野川が1961年国直轄の河川改修対象に指定される[ 164] に及び建設省によって特定多目的ダムによる河川開発が計画された。日野川本流にはダム建設の適地がなく、支流の印賀川に1968年菅沢ダム が鳥取県初の多目的ダムとして完成する。その後は県による補助多目的ダム事業が進められ、日野川支流の法勝寺川に賀祥ダムが建設されたほか、千代川水系初の多目的ダムとして支流の佐治川に佐治川ダム、二級河川の宇坪谷川に東郷ダムが完成。また鳥取市内を流れる千代川支流・袋川の治水と利水を目的に、千代川水系唯一の特定多目的ダムである殿ダム が2011年 (平成23年)に完成した。
鳥取県下最大の多目的ダムは総貯水容量では菅沢ダム が、ダムの高さでは殿ダム が最大である。建設・計画中の多目的ダム事業はない。また中止したダム事業としては天神川支流の加茂川に計画されていた中部ダムがある。この中部ダムでは当時の片山善博 鳥取県知事が水没予定地の住民に中止を謝罪、住民本位の地域活性化策をダム中止後も進めると表明[ 165] 。知事を会長とした「旧中部ダム予定地地域振興協議会」が設置された。ダム事業の中止後水没予定地をどう再生するかについて、一つの試金石となっている。なお先の日野川をはじめ千代川、天神川何れにも本流にはダムが存在せず、天神川水系には多目的ダムが全く建設されていない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
日野川
法勝寺川
賀祥ダム
補助
FNW
重力
46.4
7,450
鳥取県
1988
水特法指定
一級
千代川
佐治川
佐治川ダム
補助
FNP
重力
46.5
2,310
鳥取県
1981
一級
日野川
印賀川
菅沢ダム
特定
FAIP
重力
73.5
19,800
国土交通省
1967
二級
橋津川
宇坪谷川
東郷ダム
補助
FNA
重力
39.5
720
鳥取県
2003
一級
千代川
袋川
殿ダム
特定
FNWIP
ロックフィル
75.0
12,400
国土交通省
2011
水特法指定
島根県
島根県最大の多目的ダム・尾原ダム (斐伊川 )
島根県 では中国地方最大の河川・江の川 において総合開発計画が計画された。1947年経済安定本部が総合開発調査の対象河川として指定されたのを機に、治水と灌漑、及び日本発送電による水力発電計画と連携した水力発電を目的とした河川開発が計画されたが、最終的には島根県内でのダム計画はなくなり、県営事業として二級河川の浜田川 本流に浜田ダム が県内初の多目的ダムとして建設され、斐伊川 支流の飯梨川 にも布部ダムが建設された。しかし1965年7月の梅雨前線豪雨と1972年7月の昭和47年7月豪雨 、さらに1983年7月の昭和58年7月豪雨 によって県内を流れる多くの河川が氾濫し大きな被害を受けたため、斐伊川・江の川だけでなく二級河川である周布川 、三隅川 、静間川 水系の河川開発が検討され、本流や支流に多目的ダムが建設されている。また慢性的な水不足と水害に悩まされていた隠岐島 にも美田(美田川)・銚子(銚子川)の多目的ダムが建設されている。
県都・松江市 を流れる斐伊川水系では昭和47年7月豪雨で斐伊川・宍道湖 や隣接する神戸川 が氾濫し松江市内が7日間浸水する大きな被害を機に、斐伊川と神戸川を一体化した治水対策が1976年より計画された。この斐伊川・神戸川総合開発事業は上流に尾原ダム (斐伊川)と志津見ダム(神戸川)、中流に斐伊川放水路を建設し下流部では大橋川 河道拡張による宍道湖の排水能力増強を柱としており、斐伊川放水路で斐伊川と連結したことで2008年には二級河川だった神戸川水系が斐伊川水系に編入されて一級河川となった。志津見ダムは2011年、尾原ダムは2012年に完成したが大橋川の河道拡張計画は沿岸住民や中海 を擁する下流の鳥取県が反対し、計画は下流部のみ停滞している[ 166] 。
島根県最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に斐伊川本流に建設された尾原ダム である。施工中のダム事業は無いが、県下初の多目的ダムであった浜田ダムは再開発事業により流水型の治水専用ダムに変更された[ 167] 。中止したダム事業としては先述の江の川総合開発計画で計画された都賀行ダム・段原ダム(江の川)があり、特に都賀行ダムは総貯水容量が5億8,010万立方メートルと、完成すれば広島県の三次盆地の大半が水没する巨大ダム計画であった[ 168] 。斐伊川水系でも川手ダム(斐伊川)と掛合ダム(三刀屋川)が立ち消え[ 169] となっている。なお県西部を流れる一級河川・高津川 水系には多目的ダムは全く建設されていない。また八戸ダム建設に伴い直上流に建設されていた発電専用の旧・八戸ダムが水没している[ 170] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
周布川
周布川
大長見ダム
補助
FNW
重力
71.5
19,270
島根県
2003
一級
斐伊川
斐伊川
尾原ダム
特定
FNW
重力
90.0
60,800
国土交通省
2012
水特法指定
二級
三隅川
三隅川
御部ダム
補助
FNP
重力
63.0
16,800
島根県
1990
二級
静間川
三瓶川
三瓶ダム
補助
FNW
重力
54.5
7,120
島根県
1996
一級
斐伊川
神戸川
志津見ダム
特定
FNIP
重力
85.5
50,600
国土交通省
2011
水特法指定
二級
八尾川
銚子川
銚子ダム
補助
FNW
重力
39.7
2,530
島根県
1999
隠岐島
一級
斐伊川
飯梨川
布部ダム
補助
FWIP
重力
55.9
7,100
島根県
1967
二級
美田川
美田川
美田ダム
補助
FNW
重力
26.8
539
島根県
1978
隠岐島 2002年再開発
一級
江の川
八戸川
八戸ダム
補助
FNWIP
重力
72.0
26,800
島根県
1976
一級
斐伊川
山佐川
山佐ダム
補助
FW
重力
56.0
5,050
島根県
1980
岡山県
岡山県最大の多目的ダム・新成羽川ダム (成羽川 )
東から吉井川 、旭川 、高梁川 と三本の大河川が流れる岡山県 では、旭川から河川開発が開始された。旭川は宇喜多秀家 や熊沢蕃山 による河川改修が行われていたが洪水被害が後を絶たず、かつ県都・岡山市 を貫流することから治水対策の必要性が早くから論じられていた。戦後旭川水系の総合開発計画が県営で進められ、本流上流部に湯原ダム 、中流部に旭川ダム が建設された。その後1972年7月梅雨前線豪雨による計画高水流量を上回る洪水被害と岡山市の人口増加による水不足を機に旭川ダムの機能強化が検討され、1983年には旭川ダム再開発事業が実施され治水・上水道供給機能が強化された。続いて開発されたのが高梁川水系で、農林省により小阪部川ダム (小阪部川)が利水専用多目的ダムとして建設されたが高度経済成長に伴う水島臨海工業地帯や笠岡臨海工業地帯などの拡大で工業用水道と電力需要が急増。県は中国電力 が施工していた新成羽川ダム (成羽川 )に水道事業者として参加すると共に河本 (西川)、高瀬川 (高瀬川)、千屋 (高梁川)などのダムを建設して工業用水と電力供給、並びに高梁川水系の治水対策を強化した。最後に着手された吉井川水系では1981年本流中流部に坂根堰が完成し岡山市の水がめとして利用され、2004年には本流上流部に苫田ダム が完成し岡山市のほか津山市 など県東部の水がめとして利用されている。また県でも各河川の支流に補助多目的ダムのほか、黒木ダム(倉見川)など補助事業ではない土地改良関連の多目的ダムを建設している。なお瀬戸内海 沿岸で養殖されているノリ の色落ち防止のため、苫田ダムなどでは県の要請による河川維持放流が行われる[ 171] 。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に新成羽川ダム であり、重力式アーチダム として日本一の高さを有する。建設・計画中のダムとして国土交通省による旭川中上流ダム再生事業がある。中国地方に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨 を契機に、県営ダムである旭川本流の湯原ダムの貯水容量配分変更と、旭川ダムの放流設備増設による治水機能増強を柱としたダム再開発事業であり、ダム管理者である岡山県ではなく国土交通省の直轄事業として施工される[ 172] 。苫田ダムは水没戸数470戸と中国地方では大規模な移転戸数となり1972年の計画発表以来旧奥津町 官民一体の反対運動が起こり、事業取消訴訟も起こるなど完成まで32年を費やす長期化事業となった[ 173] 。また新成羽川ダムではダム放流被害訴訟が起こっている。中止したダム事業としては吉井川本流の吉岡ダム[ 174] や高梁川本流の方谷ダム[ 175] と支流小田川 の柳井原堰[ 176] などがある。なお湯原ダムは岡山県と中国電力が共同管理を行うダムであり、新成羽川ダムや小阪部川ダム、西原ダムは利水専用の多目的ダムである。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
旭川
旭川
旭川ダム
補助
FNWP
重力
45.0
57,383
岡山県 (国土交通省)
1954
1983年再開発 再生事業中
一級
高梁川
小阪部川
大佐ダム
FAP
重力
43.7
3,505
岡山県
1981
一級
高梁川
小阪部川
小阪部川ダム
利水
AP
重力
67.2
15,625
土地改良区
1954
農林省施工
一級
高梁川
美山川
鬼ヶ岳ダム
FA
重力
39.0
1,414
岡山県
1969
一級
吉井川
香々美川
香々美ダム
FAP
重力
39.0
1,853
岡山県
1974
一級
吉井川
山家川
柿ヶ原ダム
FA
アース
16.0
129
岡山県
1970
一級
旭川
日山谷川
河平ダム
補助
FNW
重力
38.5
769
岡山県
2005
一級
吉井川
梶並川
久賀ダム
FAP
重力
36.5
4,400
岡山県
1973
一級
吉井川
倉見川
黒木ダム
FAWP
重力
53.5
6,000
岡山県
1966
二級
笹ヶ瀬川
足守川
黒谷ダム
FA
ロックフィル
43.6
1,334
岡山県
1931
1989年再開発
一級
高梁川
西川
河本ダム
補助
FIP
中空重力
60.0
17,350
岡山県
1964
一級
吉井川
吉井川
坂根堰
FNAWI
堰
4.9
2,200
国土交通省
1982
一級
高梁川
成羽川
新成羽川ダム
利水
IP
重力アーチ
103.0
127,500
中国電力
1968
一級
高梁川
高瀬川
高瀬川ダム
補助
FNW
重力
67.0
4,530
岡山県
1982
一級
旭川
竹谷川
竹谷ダム
補助
FNW
重力
38.0
498
岡山県
2003
一級
高梁川
高梁川
千屋ダム
補助
FNWI
重力
97.5
28,000
岡山県
1998
一級
吉井川
津川川
津川ダム
補助
FNWP
重力
76.0
5,990
岡山県
1995
一級
吉井川
吉井川
苫田ダム
特定
FNAWIP
重力
74.0
84,100
国土交通省
2004
水特法9条指定
一級
高梁川
右の谷川
楢井ダム
補助
FNWI
重力
38.2
470
岡山県
1996
一級
旭川
加茂川
鳴滝ダム
補助
FNW
重力
34.0
1,680
岡山県
1981
一級
吉井川
長谷川
西原ダム
利水
AWI
ロックフィル
46.1
2,003
土地改良区
1976
農林省施工
一級
吉井川
八塔寺川
八塔寺川ダム
補助
FNW
重力
44.0
5,700
岡山県
1989
一級
吉井川
日笠川
日笠ダム
FA
重力
39.0
1,239
岡山県
1983
一級
吉井川
落合川
槙谷ダム
FA
重力
45.0
2,190
岡山県
1988
一級
高梁川
三室川
三室川ダム
補助
FNWP
重力
74.5
8,200
岡山県
2005
[ 177]
一級
旭川
大成川
山手ダム
利水
AW
アース
24.0
333
岡山県
1984
一級
旭川
旭川
湯原ダム
補助
FP
重力
73.5
99,600
岡山県 中国電力 (国土交通省)
1954
再生事業中
広島県
アーチダムとして日本で2番目の高さをもつ温井ダム (滝山川)
広島県 において最初に建設された多目的ダムは利水専用では1917年 (大正6年)に旧海軍によって建設された本庄ダム (二河川 )、河水統制事業としては1942年 (昭和17年)に完成した二級ダム (黒瀬川 )であるが、これらは呉鎮守府 や呉海軍工廠 への利水を目的として建設されており、広島県の多目的ダム事業は軍事都市であった呉市 を舞台に始まった。戦後河川総合開発事業による多目的ダム計画がまず江の川水系で始まり、土師ダム (江の川)など4ダムが計画され1973年土師ダムが完成。2006年には灰塚ダム (上下川)も完成する。一方県都・広島市 を流れる太田川 では太田川放水路 が既に建設されていたが1972年7月梅雨前線豪雨による被害を機に太田川水系工事実施基本計画 が1974年に建設省によって策定され、支流の滝山川に温井ダム が2001年完成する。治水事業の一方で中国地方最大の都市として急成長する広島市の水需要がひっ迫したことから、江の川の土師ダムより中国電力可部発電所を経て太田川に導水、高瀬堰 (太田川)より広島市などに上水道や工業用水道を供給する太田川総合開発事業が建設省によって実施された。県東部の芦田川 水系では福山市 など備後工業整備特別地域への工業用水・上水道供給を目的に1959年三川ダム 、1980年芦田川河口堰 、1997年八田原ダム が本流に完成する。県西部の山口県境を流れる小瀬川 では1964年に小瀬川ダム 、1990年に弥栄ダム が完成。沼田川 などの二級河川では1968年の椋梨ダム(椋梨川)を皮切りに多くの多目的ダムが建設され、芸予諸島 では江田島 に海軍が建設した三高ダム(木下川)を再開発して多目的ダムとしている。
県内最大の多目的ダムは高さでは温井ダム 、総貯水容量では弥栄ダム がそれぞれ最大。このうち温井ダムはアーチダムとして日本で2番目の高さをもち、補償交渉における地域活性化策の成功により50万人の観光客を集める一大観光地に成長した[ 178] 。本庄ダムは「本庄水源地堰堤水道施設」として国の重要文化財 に指定されている 。一方強固な反対運動により灰塚ダムでは計画発表から完成まで32年、八田原ダムでは24年と事業が長期化している。また高瀬堰では太田川を遡上するアユ への影響が太田川漁業協同組合 などより指摘され、改善策が行われている[ 179] 。
施工中のダムとしては太田川総合開発事業に基づく樽床ダム 再生事業がある。樽床ダムは中国電力が1957年 (昭和32年)に完成させた水力発電専用ダムであるが、流域である広島市などの治水安全度を向上させるため太田川水系河川整備計画が2023年 (令和5年)に変更され新規流水型治水ダム と既存利水ダムの治水目的追加による治水計画が明記された。その一環として樽床ダムの貯水容量配分を変更して治水容量を新設することで洪水調節機能を追加する樽床ダム再生事業が2024年 (令和6年)に着手されている[ 180] 。中止したダム事業としては江の川総合開発計画の一環であった木屋原ダム(西城川)[ 168] などがある。なお温井ダムと共に計画されていた吉和郷ダム(太田川)は事実上立ち消えとなっていたが、先述した太田川総合開発事業における新規治水ダム計画の位置が吉和郷ダム地点で水没予定地の住民や安芸太田町が建設を容認しており、流水型ダムとして再検討されている[ 180] [ 181] [ 182] [ 183] 。
なお小瀬川ダムは隣接する山口県との間で水利権調整が付かず、建設省に施工を委託し完成後は山口県との共同管理体制を採っている[ 184] 。また八田原ダム建設に伴い中国電力宇津戸川ダムが水没している[ 185] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
芦田川
芦田川
芦田川河口堰
特定
FI
堰
6.0
5,460
国土交通省
1981
二級
八幡川
八幡川
魚切ダム
補助
FNWP
重力
79.8
8,460
広島県
1981
一級
小瀬川
小瀬川
小瀬川ダム
補助
FI
重力
49.0
11,400
広島県 山口県
1964
建設省施工
一級
江の川
大戸川
庄原ダム
補助
FNW
重力
42.0
701
広島県
2016
工事中
一級
太田川
太田川
高瀬堰
特定
FWP
堰
5.5
1,980
国土交通省
1975
一級
太田川
柴木川
樽床ダム
FP
重力
42.0
20,600
中国電力 (国土交通省)
未定
再生事業中
二級
黒瀬川
黒瀬川
二級ダム
WIP
重力
32.0
1,295
広島県 中国電力
1942
一級
太田川
滝山川
温井ダム
特定
FNWP
アーチ
156.0
82,000
国土交通省
2001
一級
江の川
上下川
灰塚ダム
特定
FNW
重力
50.0
52,100
国土交通省
2006
水特法9条指定
一級
江の川
江の川
土師ダム
特定
FNAWIP
重力
50.0
47,300
国土交通省
1973
一級
芦田川
芦田川
八田原ダム
特定
FNWI
重力
84.9
60,000
国土交通省
1997
水特法指定
二級
沼田川
沼田川
福富ダム
補助
FNW
重力
58.0
10,900
広島県
2009
水特法指定
一級
芦田川
父尾川
藤尾ダム
FA
ロックフィル
32.5
870
広島県
1974
二級
二河川
二河川
本庄ダム
利水
WI
重力
25.4
2,000
呉市
1917
旧海軍 施工 国の重要文化財
一級
芦田川
芦田川
三川ダム
利水
AWI
重力
53.0
12,698
広島県
1959
農林省施工
二級
木下川
木下川
三高ダム
利水
AW
重力
44.0
584
広島県
1944
江田島 旧海軍施工 2004年再開発
二級
沼田川
椋梨川
椋梨ダム
補助
FNWIP
重力
39.5
7,540
広島県
1968
一級
小瀬川
小瀬川
弥栄ダム
特定
FNWIP
重力
120.0
112,000
国土交通省
1990
水特法指定
一級
芦田川
山田川
山田川ダム
補助
FNW
重力
32.1
700
広島県
2005
二級
藤井川
木門田川
竜泉寺ダム
利水
AW
重力
35.0
1,016
土地改良区
1965
山口県
日本で最初に完成した多目的ダム・向道ダム (錦川 )
山口県 は青森県と同様に日本で最初に河川総合開発事業に着手した都道府県である。1940年 (昭和15年)県下最大の河川である錦川 上流に向道ダム が河川総合開発に基づく多目的ダムとしては日本で最初に完成 、また木屋川 、厚東川 でも多目的ダムの建設が開始された。戦後キジア台風 により錦帯橋 が流失するなど深刻な被害を受けた錦川は治水、および周防灘 沿岸の工業地帯に工業用水や電力を供給する重要な水源に位置づけられ、1951年の国土総合開発法による錦川特定地域総合開発計画 の対象となった。この計画に沿い本流に菅野ダム と逆調整池として水越ダム、支流の生見川(いきみがわ)に生見川ダムが建設される。以後県営事業として阿武川 、椹野川 、島田川 、末武川など二級河川に多目的ダムが多数建設された。一方一級河川である佐波川 には1955年に佐波川ダム 、小瀬川には1964年に小瀬川ダムが県営事業として完成するが両河川が河川法による一級河川に指定され、また岩国市 などの工業地帯の発展による治水安全度低下や水道需要増大を機に国直轄の総合開発計画が立てられ、これに伴い島地川ダム (島地川)、弥栄ダム(小瀬川)が建設された。
県下最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に阿武川ダム (阿武川)であり、阿武川ダムは補助多目的ダムとして日本屈指の規模を有する。現在建設中のダムとしては平瀬ダム(錦川)、大河内川ダム(大河内川)[ 186] と木屋川ダム (木屋川)再開発事業があるが、民主党政権によるダム事業見直しの影響を受けている。特に平瀬ダムは1973年の計画発表以来37年経過してようやく本体工事に取り掛り、見直し検討の結果事業は継続となったものの、長期化ダム事業の一つである[ 187] 。また小瀬川ダムは小瀬川の水利権を巡り隣県である広島県と鋭く対立。交渉が不調に終わりダム建設が暗礁に乗り上げたことから国に裁定を求め、結果建設省中国地方建設局が受託施工を行うという異例の事態になった。完成後は山口・広島両県が共同管理する形態を採っており、多目的ダムとしては日本唯一である。中止したダム事業としては錦川特定地域総合開発計画の一環で支流宇佐川に計画された深須ダム[ 188] や西万倉ダム(小河内川 )[ 189] 、竹尾ダム(田布施川)[ 190] がある。
なお山口県内の多目的ダムには日本で最初に完成した向道ダムやダムの合理化工法であるRCD工法 (Roller Compacted Dam Concrete Method)を世界で最初に採用・施工 した島地川ダム、日本屈指のダム本体16.5メートルかさ上げを行った川上ダム (冨田川)といった日本のダムの歴史 に記されるダムが存在している。また阿武川ダム建設に伴い阿武川温泉 が発見されている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
阿武川
阿武川
阿武川ダム
補助
FNP
重力アーチ
95.0
153,500
山口県
1974
二級
椹野川
椹野川
荒谷ダム
補助
FNW
重力
56.0
5,200
山口県
1987
二級
錦川
生見川
生見川ダム
補助
FNIP
重力
90.0
30,800
山口県
1984
水特法指定
二級
柳井川
柳井川
石井ダム
利水
AW
アース
36.3
1,160
山口県
1992
二級
木屋川
歌野川
歌野川ダム
FA
重力
44.0
1,614
山口県
1980
二級
厚東川
薬師川
宇部丸山ダム
利水
WI
重力
32.0
4,500
山口県
1978
二級
深川川
大河内川
大河内川ダム
補助
FNW
重力
64.0
4,330
山口県
2026
工事中
一級
小瀬川
小瀬川
小瀬川ダム
補助
FI
重力
49.0
11,400
山口県 広島県
1964
建設省施工
二級
富田川
富田川
川上ダム
補助
FWI
重力
63.0
13,720
山口県
1962
1979年再開発
二級
錦川
錦川
向道ダム
FWIP
重力
43.3
7,030
山口県
1940
河川総合開発 では日本初
二級
厚東川
厚東川
厚東川ダム
補助
FNWIP
重力
38.8
23,788
山口県
1948
二級
木屋川
木屋川
木屋川ダム
補助
FNWI
重力
41.0
21,750
山口県
1955
再開発中
一級
佐波川
佐波川
佐波川ダム
補助
FNAIP
重力
54.0
24,600
山口県
1955
建設省施工
一級
佐波川
島地川
島地川ダム
特定
FNWI
重力
89.0
20,600
国土交通省
1981
二級
末武川
末武川
末武川ダム
補助
FNWIP
ロックフィル
89.5
19,570
山口県
1991
水特法指定
二級
錦川
錦川
菅野ダム
補助
FWIP
重力
87.0
95,000
山口県
1965
二級
島田川
中山川
中山川ダム
補助
FNW
重力
37.0
7,500
山口県
1995
水特法指定
二級
末武川
末武川
温見ダム
利水
AWI
重力
36.0
4,520
山口県
1960
二級
椹野川
四十八瀬川
羽根越ダム
利水
AW
重力
18.0
105
山口市
1928
二級
錦川
錦川
平瀬ダム
補助
FNWP
重力
73.0
29,500
山口県
2023
水特法指定 工事中[ 191]
二級
大谷川
大谷川
見島ダム
補助
FNW
重力
31.0
125
山口県
2001
見島
二級
木屋川
木屋川
湯の原ダム
利水
WI
重力
18.5
2,930
山口県
1990
水特法指定
二級
三隅川
辻並川
湯免ダム
補助
FNW
重力
46.0
740
山口県
2006
四国地方
徳島県
徳島県最大の多目的ダム・長安口ダム (那賀川 )
徳島県 の河川開発は、四国最大の吉野川 水系と県内最大の那賀川 水系でほぼ同時に進められた。吉野川では吉野川総合開発計画 に沿って多目的ダム計画が進められたが吉野川の慣行水利権を巡り徳島県当局が他県への分水に難色を示し、計画は迷走を続けた[ 192] 。最終的に吉野川水系水資源開発基本計画 に従い中流部の旧池田町 に池田ダム (吉野川)が建設され、香川用水 と吉野川北岸用水の水源として重要な役割を担っている。また県北部の阿讃山脈 を水源とする吉野川支流は下流で伏流水 となるため用水の確保に難渋していたが、宮川内谷川 などに多目的ダムが建設され治水のほか灌漑に供されている。那賀川水系では1951年の国土総合開発法により那賀川特定地域総合開発計画 の対象となり、TVAをモデルとした河川開発が県当局により計画。その中心事業として県内初の多目的ダムとして長安口ダム が本流に完成した。また徳島市 、小松島市 などの工業地帯発展に伴う工業用水道需要の増大に対処するため、旧吉野川河口堰 (旧吉野川 )・今切川河口堰(今切川 )や二級河川である勝浦川 に正木ダム が建設されている。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に長安口ダム である。那賀川流域は深刻な水不足と極端な集中豪雨に度々悩まされており、これに対処するため長安口ダムは2006年より県営ダムから国土交通省に管理が移管され、新たな放流ゲートの設置を中心とした長安口ダム改造事業が行われた。さらに、長安口ダム上流にある四国電力 の小見野々ダム (那賀川)に洪水調節目的を持たせるため、ダム直下に新しいダムを建設する小見野々ダム再生事業が国土交通省により進められている[ 193] 。
中止したダム事業としては吉野川総合開発計画の中心事業として計画されていた小歩危ダム (吉野川)と岩戸ダム (銅山川 )、及び両ダム計画を統合した大佐古ダム(吉野川)があり何れも巨大な貯水容量を有するダム計画であった[ 194] 。また那賀川水系では本流最上流部に計画されていた細川内ダム [ 195] があり、藤田恵 村長(当時)を中心とした旧木頭村 の強固な反対運動により計画が長期化、1996年第2次橋本内閣 の亀井静香 建設大臣(当時)が建設凍結を発表し2000年中止となった。この細川内ダム中止以降、日本において「聖域」でもあったダム事業の中止が相次ぐようになる。なお正木ダムは水需要低下の理由から1965年より4年間事業休止となっていた[ 196] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
吉野川
吉野川
池田ダム
水機構法
FNAWIP
重力
24.0
12,650
水資源機構
1974
一級
吉野川
今切川
今切川河口堰
水機構法
FWI
堰
6.0
-
水資源機構
1974
一級
吉野川
旧吉野川
旧吉野川河口堰
水機構法
FWI
堰
7.3
4,930
水資源機構
1976
一級
吉野川
九頭宇谷川
高西ダム
FA
アーチ
16.8
21
徳島県
1958
一級
那賀川
那賀川
小見野々ダム
FP
アーチ
62.5
20,150
四国電力 (国土交通省)
1965
再生事業中
一級
那賀川
那賀川
長安口ダム
補助
FNP
重力
85.5
54,278
国土交通省
1956
徳島県より移管 2022年再開発
二級
勝浦川
勝浦川
正木ダム
補助
FNAIP
重力
67.0
15,050
徳島県
1978
一級
吉野川
宮川内谷川
宮川内ダム
補助
FNA
重力
36.0
1,350
徳島県
1963
香川県
多目的ダムとして香川県で最大の総貯水容量を有する内場ダム (内場川)
香川県 には大河川がなく、瀬戸内海気候 の要因もあって古くより深刻な水不足に悩まされており満濃池 (金倉川 )を始めおびただしい数のため池が建設されていた。一方で大雨が降れば鉄砲水 として下流に大きな被害を与えており、治水と灌漑用水の供給が最大の課題となっていた。このような理由から香川県では青森県や山口県と時を同じくして戦前より河川総合開発に着手。1952年に四国初・県内初の多目的ダムとして内場ダム (内場川)が完成する。その後も県営事業として鴨部川 や財田川 など県内の中小二級河川に多目的ダムが建設され、小豆島 の小河川にも多目的ダムが建設され、特に1958年 (昭和33年)に上水道専用ダムをかさ上げ再開発して完成した内海ダム(別当川)は、貯水容量増大を目的に2度目のかさ上げ再開発事業を実施し、2013年完成した。1975年には香川用水が完成し県下全域の上水道・灌漑用水供給が強化されたが、洪水被害が減少する一方で未だに水不足に悩まされている。
県内最大の多目的ダムは高さ、総貯水容量ともに椛川ダム (椛川)が第一位である。建設中のダムは五名ダム再開発(湊川 )があるが、民主党政権によるダム事業見直し対象となっており、五名ダム再開発は検証が続けられていたが継続となった[ 15] 。中止したダム事業としては国直轄で計画されていた前の川ダム(前の川)などがある。なお日本唯一の石積み五連マルチプルアーチダム である豊稔池ダム (柞田川)は1994年の再開発によって多目的ダムとなったが、その希少性と歴史的価値が認められ2006年に国の重要文化財に指定 されている[ 197] 。
なお香川県に建設された多目的ダムは全て二級河川に建設されており、国土交通省直轄ダムは存在しない。また、水力発電を目的とする多目的ダムが存在しない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
柞田川
粟井川
粟井ダム
補助
FNW
重力
42.0
590
香川県
2001
二級
安田大川
安田大川
粟地ダム
補助
FNW
重力
46.0
780
香川県
1980
小豆島
二級
別当川
別当川
内海ダム
補助
FNW
重力
43.0
1,060
香川県
1958
小豆島 2013年再開発
二級
与田川
様松川
大内ダム
補助
FNW
重力
26.0
1,000
香川県
1966
二級
伝法川
伝法川
蛙子池
FNW
アース
15.3
698
香川県
1960
小豆島
二級
香東川
椛川
椛川ダム
補助
FNW
重力
88.5
10,560
香川県
2021
二級
湊川
湊川
五名ダム
補助
FNW
重力
56.0
6,750
香川県
未定
再開発中
二級
馬宿川
千足川
千足ダム
補助
FNW
重力
41.4
1,850
香川県
1987
二級
財田川
谷道川
戸川ダム
FA
アース
19.6
211
香川県
1957
二級
伝法川
殿川
殿川ダム
補助
FW
重力
35.6
690
香川県
1974
小豆島
二級
香東川
内場川
内場ダム
補助
FNW
重力
50.0
8,175
香川県
1952
二級
財田川
財田川
野口ダム
FA
重力
35.0
1,150
香川県
1966
二級
柞田川
柞田川
豊稔池ダム
FA
多連式アーチ
30.4
1,643
香川県
1930
1994年再開発 国の重要文化財
二級
鴨部川
鴨部川
前山ダム
補助
FNW
重力
38.8
2,130
香川県
1974
二級
津田川
栴檀川
門入ダム
補助
FNW
重力
47.3
2,900
香川県
1998
二級
吉田川
吉田川
吉田ダム
補助
FNW
重力
74.5
2,360
香川県
1996
小豆島
愛媛県
愛媛県最大の多目的ダム・富郷ダム (銅山川 )
愛媛県 も香川県と同様に慢性的な水不足に悩まされており、肱川 以外の河川は流量に乏しく水量が豊富な吉野川・仁淀川 水系からの導水が求められていた。県内で手掛けられた最初の河川総合開発は銅山川の開発であり、県東部の宇摩地域(四国中央市 、新居浜市 )は江戸時代より銅山川からの分水を希求していた[ 198] 。分水に反対する徳島県との協議を経て1954年柳瀬ダム (銅山川)が県内初の多目的ダムとして完成し、住民の悲願であった銅山川分水が現実化する。その後吉野川水系水資源開発基本計画 に基づき新宮 ・富郷 (銅山川)が建設され銅山川分水は強化された。仁淀川水系からの分水では農林省の国営道前道後かんがい排水事業 により仁淀川最上流部の支流・割石川に面河ダムが建設され、貯水された水は四国山地 を横断し西条市 を流れる中山川に分水され用水として利用される。肱川水系では建設省により治水と水力発電を主目的とした鹿野川ダム が1959年、治水に加え佐田岬半島 ・宇和地域への灌漑・上水道供給を目的とした野村ダム が1981年本流に完成。県都・松山市 の水がめとして石手川ダム (石手川 )が重信川 水系唯一の多目的ダムとして建設省の手で完成している。県営事業でも主に中予・南予地域、大三島 の二級河川で治水と水道用水供給を目的とした多目的ダムが建設されている。愛媛県の河川開発は銅山川分水のように複数の河川を連結し流路変更する分水事業が特徴的であり、ダムを介して高度な水利用が行われている。
愛媛県最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に富郷ダム である。建設中の多目的ダム事業はない。中止したダム事業としては中山川ダム(中山川)[ 199] などがあり、多目的ダムとして計画されていた山鳥坂ダム (河辺川)は中予分水 事業の中止で治水ダムに変更されている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
重信川
石手川
石手川ダム
特定
FAW
重力
87.0
12,800
国土交通省
1972
二級
台本川
台本川
台ダム
補助
FNW
重力
42.3
1,410
愛媛県
1991
大三島
二級
僧都川
大久保川
大久保山ダム
利水
AW
アース
55.8
750
愛媛県
1978
一級
仁淀川
割石川
面河ダム
利水
AIP
重力
73.5
28,300
愛媛県
1967
農林省施工
一級
肱川
肱川
鹿野川ダム
特定
FNP
重力
61.0
48,200
国土交通省
1958
2019年再開発
二級
加茂川
加茂川
黒瀬ダム
補助
FNIP
重力
61.7
36,000
愛媛県
1972
二級
岩松川
御代の川
山財ダム
補助
FNAW
重力
64.0
6,500
愛媛県
1980
二級
国領川
国領川
鹿森ダム
補助
FIP
重力
57.8
1,590
愛媛県
1962
一級
吉野川
銅山川
新宮ダム
水機構法
FAIP
重力
42.0
13,000
水資源機構
1975
二級
須賀川
須賀川
須賀川ダム
補助
FNW
重力
40.2
3,050
愛媛県
1975
二級
蒼社川
蒼社川
玉川ダム
補助
FNWI
重力
56.0
9,900
愛媛県
1970
一級
吉野川
銅山川
富郷ダム
水機構法
FWIP
重力
106.0
52,000
水資源機構
2000
建設省より移管 水特法指定
一級
肱川
肱川
野村ダム
特定
FAWP
重力
60.0
16,000
国土交通省
1981
水特法指定
一級
吉野川
銅山川
別子ダム
利水
IP
重力
71.0
5,628
住友共同電力
1965
一級
吉野川
銅山川
柳瀬ダム
補助
FAWIP
重力
55.5
32,200
国土交通省
1953
愛媛県より移管
高知県
多目的ダムとして西日本最大の総貯水容量を有する早明浦ダム (吉野川 )
高知県 は徳島・香川・愛媛の各県に比べ水不足の影響は少なく、むしろ台風 や集中豪雨による水害に対処するための治水事業が主眼となっていた。最初に手掛けられたのは物部川 水系であり、県内初の多目的ダムとして永瀬ダム が本流上流部に完成する。続いて吉野川水系上流部が吉野川総合開発計画 や吉野川水系水資源開発基本計画 に基づき開発され、早明浦ダム (吉野川)が建設され四国全域の水がめとして、また高知分水事業として鏡川 の鏡ダム経由で県都・高知市 の上水道に利用された。その後仁淀川本流に大渡ダム が建設され仁淀川の治水、高知市への利水が強化され、最後に渡川 水系[ 200] の開発が計画された。四万十川本流にはダム建設の適地がないため、河口付近で合流する支流・中筋川流域が開発対象とされ中筋川ダム (中筋川)・横瀬川ダム (横瀬川)が建設された。県営事業としては小規模な多目的ダムが二級河川に幾つか建設されている。
県内最大の多目的ダムは高さ・総貯水容量共に早明浦ダム であり、西日本最大の貯水容量を有する多目的ダム として四国の水需要に貢献しているが少雨傾向による取水制限が2000年以降多発しており、また異常気象に対応する必要が生じた。このため治水機能の向上を図る事を目的に放流施設の新設や貯水容量の振り替えなどを柱とした早明浦ダム再生事業が着手されている[ 201] 。県内で施工中の春遠第一(家ノ谷川)、和食(わじき。和食川)の2ダム事業はダム事業見直し対象とされたが、全て事業継続が決定している[ 15] 。中止したダム事業としては吉野川総合開発計画で計画された吉野川本流の敷岩ダム[ 202] があり、四国電力 穴内川ダム (穴内川)は当初多目的ダムとして計画されたが発電専用ダムに変更となっている。なお永瀬ダムは建設省が施工したが完成後高知県に管理が移管されている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
仁淀川
仁淀川
大渡ダム
特定
FNWP
重力
96.0
66,000
国土交通省
1986
二級
鏡川
鏡川
鏡ダム
補助
FNWIP
重力
47.0
9,380
高知県
1966
二級
香宗川
鎌井谷川
鎌井谷ダム
補助
FNA
重力
27.3
186
高知県
1995
一級
吉野川
吉野川
早明浦ダム
水機構法
FNAWIP
重力
106.0
316,000
水資源機構
1978
建設省より移管 再生事業中
一級
渡川
中筋川
中筋川ダム
特定
FNAWI
重力
73.1
12,600
国土交通省
1998
一級
物部川
物部川
永瀬ダム
FNP
重力
87.0
49,090
高知県
1956
建設省施工
二級
貝ノ川川
家ノ谷川
春遠第一ダム
補助
FNW
重力
33.0
770
高知県
未定
工事中[ 203]
一級
渡川
横瀬川
横瀬川ダム
特定
FNW
重力
72.1
7,300
国土交通省
2020
二級
和食川
和食川
和食ダム
補助
FNW
重力
51.0
730
高知県
2025
工事中[ 204]
九州地方
福岡県
福岡県で最大の総貯水容量を有する五ケ山ダム (那珂川 )
福岡県 の河川開発は1953年6月に発生した昭和28年西日本水害 による壊滅的な被害を機に進められた。筑後川 以下県内全域の河川が氾濫し県都・福岡市 をはじめ北九州市 、久留米市 など県全域の市町村が浸水し多数の死者と県予算二年分の被害額を出した。県はまず筑後地方 を流れる矢部川 上流に県内初の多目的ダムである日向神(ひゅうがみ)ダム を1961年に完成させ、続いて遠賀川 ・今川 水系の多目的ダム建設に着手した。一方九州最大の河川・筑後川水系では筑後川水系治水基本計画 に従い本流上流部のダム群建設に加え支流でのダム計画と分水路、大規模堤防建設を進めていたが北九州工業地帯 の発展や福岡都市圏 の人口増加に伴う水需要ひっ迫を機に水資源開発も重要な課題となり、筑後川水系水資源開発基本計画 が策定され筑後川、遠賀川 、矢部川 、嘉瀬川 、菊池川 を含めた広域水資源開発が計画され筑後大堰 (筑後川)、江川ダム (小石原川)、寺内ダム (佐田川)、合所ダム (隈上川)が建設された。しかし1978年の昭和53-54年福岡市渇水 (福岡沙漠)で福岡市は287日間の給水制限を受けたことからさらなる水資源開発が計画され、県営事業として多々良川 水系や那珂川 水系において新規のダム事業や南畑ダム再開発事業(那珂川)が行われた。
県内最大の多目的ダムは高さでは小石原川ダム (小石原川)、総貯水容量では五ケ山ダム (那珂川)である。施工中のダムは存在しない。五ケ山ダム・小石原川ダム・伊良原ダム (祓川 )は何れも民主党政権によるダム事業見直しの対象となったが、検証の結果全て事業継続が決定している[ 15] 。中止したダム事業としては真名子ダム(星野川 )[ 205] 、寒田ダム(城井川)[ 206] などがある。なお筑後大堰をはじめとする筑後川中下流域の治水事業と同時にミヤイリガイの生息域壊滅が行われ[ 207] 、長年流域住民を悩ませていた日本住血吸虫症 が2000年に撲滅されている[ 208] [ 209] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
今川
今川
油木ダム
補助
FNWIP
重力
54.6
18,200
福岡県
1971
一級
遠賀川
犬鳴川
犬鳴ダム
補助
FNWI
重力
76.5
5,000
福岡県
1994
二級
多々良川
猪野川
猪野ダム
補助
FNW
重力
79.9
5,110
福岡県
2000
二級
祓川
祓川
伊良原ダム
補助
FNW
重力
81.3
28,700
福岡県
2017
水特法指定
一級
筑後川
小石原川
江川ダム
水機構法
AWI
重力
79.2
25,326
水資源機構
1972
農林省施工
一級
遠賀川
遠賀川
遠賀川河口堰
特定
FWI
堰
6.5
11,140
国土交通省
1983
二級
御笠川
北谷川
北谷ダム
補助
FNW
重力
39.0
251
福岡県
1998
一級
遠賀川
久保川
久保白ダム
利水
AWI
アース
25.0
4,164
福岡県
1970
一級
筑後川
小石原川
小石原川ダム
水機構法
FNW
ロックフィル
139.0
40,000
水資源機構
2021
水特法指定
一級
筑後川
隈上川
合所ダム
利水
AW
ロックフィル
60.7
7,660
福岡県
1990
農林水産省施工
二級
那珂川
那珂川
五ケ山ダム
補助
FNW
重力
102.5
40,200
福岡県
2017
水特法指定
一級
遠賀川
中元寺川
陣屋ダム
補助
FNWI
重力
48.5
2,650
福岡県
1974
二級
瑞梅寺川
瑞梅寺川
瑞梅寺ダム
補助
FNW
重力
64.0
2,420
福岡県
1977
一級
筑後川
筑後川
筑後大堰
水機構法
FNW
堰
13.8
5,500
水資源機構
1984
一級
筑後川
佐田川
寺内ダム
水機構法
FNAW
ロックフィル
83.0
18,000
水資源機構
1986
一級
遠賀川
河道外
頓田第一ダム
利水
WI
アース
21.6
5,011
北九州市
1968
一級
遠賀川
河道外
頓田第二ダム
利水
WI
アース
21.6
5,293
北九州市
1968
二級
多々良川
鳴淵川
鳴淵ダム
補助
FNW
重力
67.4
4,400
福岡県
2001
一級
矢部川
矢部川
日向神ダム
補助
FNP
重力
79.5
27,900
福岡県
1959
一級
遠賀川
福地川
福智山ダム
補助
FNW
重力
64.5
2,710
福岡県
2003
一級
山国川
山国川
平成大堰
特定
FNW
堰
3.2
278
国土交通省
1990
二級
紫川
紫川
ます渕ダム
補助
FNW
重力
60.0
13,600
福岡県
1973
二級
那珂川
那珂川
南畑ダム
補助
FNWP
重力
63.5
6,000
福岡県
1965
1985年再開発
一級
筑後川
山口川
山神ダム
補助
FNW
複合
59.0
2,980
福岡県
1979
一級
遠賀川
八木山川
力丸ダム
補助
FWI
重力
49.5
13,200
福岡県
1965
建設省より移管
佐賀県
佐賀県で最大の総貯水容量を有する嘉瀬川ダム (嘉瀬川 )
佐賀県 初の多目的ダムは嘉瀬川に1956年完成した北山ダム である。農林省による国営嘉瀬川農業水利事業 の根幹施設として建設されたものであるが、治水機能は有していない。治水を主目的とした河川総合開発事業は昭和28年西日本水害を機にまず県北部を流れる有田川 で実施され、支流に有田 (白川)・竜門 (広瀬川 )の両ダムが建設された。その後県営事業として松浦川 水系、六角川 水系や県内の二級河川で補助多目的ダムが建設されている。一方国直轄の特定多目的ダムとしては松浦川支流の厳木(きゅうらぎ)川 に1986年に完成した厳木ダムが最初である。
佐賀県最大の多目的ダムは高さでは厳木ダム 、総貯水容量は北山ダム下流に2012年完成した嘉瀬川ダム (嘉瀬川)である。建設中のダムはない。建設が予定されていた猿川ダム(猿川)は2005年の段階で補助事業としての予算計上が見送られて凍結状態となり[ 210] 、さらに事業見直し対象ダムに指定され検証の結果事業中止となった[ 15] 。嘉瀬川ダムについてはダム事業見直し当時より見直し対象にはされていない。城原川ダム (城原川)については当初計画では多目的ダムであったが、治水ダムに変更されている。なお松浦川支流の狩立川・日ノ峯川に建設されている狩立ダムと日ノ峯ダムについては、二つの河川をダムでせき止め貯水池を導水路で連結する珍しいダムであり[ 211] 、「夫婦ダム」とも呼ばれている。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
有田川
白川
有田ダム
補助
FNW
重力
27.5
1,880
佐賀県
1961
一級
松浦川
左伊岐佐川
伊岐佐ダム
補助
FNW
重力
58.5
1,940
佐賀県
1979
一級
松浦川
井手口川
井手口川ダム
補助
FNW
重力
43.7
2,180
佐賀県
2012
一級
嘉瀬川
嘉瀬川
嘉瀬川ダム
特定
FNAWIP
重力
97.0
71,000
国土交通省
2012
水特法9条指定
一級
松浦川
狩立川
狩立ダム
補助
FNW
重力
28.4
1,330
佐賀県
2001
一級
筑後川
安良川
河内防災ダム
FA
アース
35.0
1,195
佐賀県
1970
一級
松浦川
厳木川
厳木ダム
特定
FNWIP
重力
117.0
13,600
国土交通省
1986
二級
鹿島川
中川
中木庭ダム
補助
FNW
重力
69.5
6,800
佐賀県
2006
一級
松浦川
日ノ峯川
日ノ峯ダム
補助
FNW
重力
28.4
460
佐賀県
2001
一級
松浦川
町田川
平木場ダム
補助
FNW
重力
29.5
1,080
佐賀県
1983
二級
有田川
有田川
古木場ダム
利水
AW
アース
26.8
1,172
佐賀県
1998
一級
嘉瀬川
嘉瀬川
北山ダム
利水
AP
重力
59.3
22,250
土地改良区
1956
農林省施工
二級
伊万里川
都川内川
都川内ダム
補助
FNI
重力
31.5
1,130
佐賀県
2002
一級
松浦川
本部川
本部ダム
補助
FNW
重力
42.1
1,140
佐賀県
1988
一級
六角川
六角川
矢筈ダム
補助
FNWI
重力
32.5
1,290
佐賀県
1993
二級
有田川
広瀬川
竜門ダム
補助
FNW
重力
42.2
2,350
佐賀県
1975
長崎県
長崎大水害 を機に多目的ダムとして再開発された本河内高部ダム(中島川)。直下に旧堤体がある。
長崎県 の河川は流路延長・流域面積が小さい河川がほとんどであり、豪雨による洪水と旱魃による水不足が極端に現れる。河川開発の契機になったのは1957年7月25日 の諫早豪雨 であり、記録的集中豪雨により県下で甚大な被害が発生したことから長崎県では郡川 に萱瀬ダム を建設したのを皮切りに雪浦川 、神浦川 、東大川 などで補助多目的ダムが建設された。一方長崎市 は日本初の上水道専用ダムである本河内高部ダム(本河内川)など明治時代より上水道整備を実施していたが、河川流量が乏しく人口増加による水不足が慢性化していた。このため鹿尾川 の鹿尾ダムなど新規の水資源開発を進めていたところ1982年7月23日 に長崎大水害 が発生。長崎市は時間雨量187ミリという記録的豪雨になり死者・行方不明者299名、被害額約3,000億円という壊滅的被害を受けた。この大水害を機に長崎県では長崎水害緊急ダム事業 [ 212] [ 213] を計画、特に被害の大きかった中島川 水系にある本河内高部・本河内低部ダム(中島川)、西山ダム(西山川)、浦上ダム(大井手川)の上水道専用ダムに治水機能を有する多目的ダムとして再開発し、雪浦川と中尾川には治水に加え再開発4ダムの利水機能を補填するための多目的ダムを建設する方針を立てた。緊急ダム事業のうち本河内高部、西山、中尾ダムは完成したが本河内高部と西山ダムについては旧ダムが土木学会選奨土木遺産 であることから解体・水没させず、新ダムの機能を維持しながら旧ダムを保存する方法を採っている。このほか壱岐 、対馬 、五島列島 の小河川にも多目的ダムが建設されている。長崎県の多目的ダムの特徴としては、治水・利水問わず全てのダムに上水道目的が付与されている ことであり、水不足に悩む長崎県の水需要が垣間見える。一方水力発電目的は全く有していない。
長崎県最大の多目的ダムは高さでは萱瀬ダム 、総貯水容量では神浦ダム (神浦川 )であるが、長崎県内の多目的ダムについては総貯水容量が1,000万立方メートルを超えるものが無く、小規模なダムが多い。建設中のダムとしては石木ダム(石木川)と長崎水害緊急ダム事業の浦上ダム再開発事業があるが、何れも民主党政権によるダム事業見直しの対象とされた。特に石木ダムについては治水と佐世保市への利水を目的に1973年より計画されたが地元の反対運動が熾烈であり現在本体工事にも着手できない状態となっているが、長崎県はダム事業再検証の末事業継続を決めている[ 214] 。中止したダム事業としては轟ダム(境川)[ 215] や長崎水害緊急ダム事業の一つであった雪浦第二ダム(雪浦川)[ 216] などがある。なお、海軍第三海軍区佐世保鎮守府 が施工した相当ダム(牟田川)では太平洋戦争中捕虜となったアメリカ軍 捕虜が強制労働 に従事させられ、200名中31名が死亡した負の歴史を持つ[ 217] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
伊木力川
山川内川
伊木力ダム
補助
FNW
重力
41.7
880
長崎県
2007
二級
川棚川
石木川
石木ダム
補助
FNW
重力
55.4
5,580
長崎県
未定
水特法指定 工事中
二級
浦上川
大井手川
浦上ダム
補助
FNW
重力
21.0
1,895
長崎県
1945
再開発中
一級
本明川
小ヶ倉川
小ヶ倉ダム
利水
AW
アース
22.6
2,200
長崎県
1975
二級
鹿尾川
鹿尾川
鹿尾ダム
補助
FNW
重力
34.6
1,140
長崎県
1987
二級
郡川
郡川
萱瀬ダム
補助
FNW
重力
65.5
6,810
長崎県
1961
2000年再開発
二級
相浦川
相浦川
川谷ダム
利水
AW
重力
46.0
1,721
佐世保市
1954
二級
神浦川
神浦川
神浦ダム
補助
FNW
重力
51.0
6,840
長崎県
1969
二級
小浦川
樫塚川
小浦ダム
補助
FNW
重力
29.5
400
長崎県
2004
対馬
二級
相浦川
小川内川
菰田ダム
利水
AW
重力
40.0
1,475
佐世保市
1939
海軍施工土木遺産
二級
相浦川
転石川
転石ダム
利水
AW
重力
22.7
233
佐世保市
1926
海軍施工 土木遺産
二級
式見川
式見川
式見ダム
補助
FW
重力
45.5
2,150
長崎県
1980
二級
相浦川
牟田川
相当ダム
利水
AW
重力
34.0
400
長崎県
1944
海軍施工
二級
江川
江川
高浜ダム
補助
FNW
重力
35.0
187
長崎県
2007
二級
小佐々川
つづら川
つづらダム
補助
FNW
重力
21.6
315
長崎県
2003
二級
八郎川
中尾川
中尾ダム
補助
FNW
重力
40.0
1,580
長崎県
2000
二級
子々川川
子々川川
中山ダム
補助
FNW
重力
24.5
530
長崎県
1984
二級
長与川
長与川
長与ダム
補助
FNW
重力
36.0
600
長崎県
1985
二級
多以良川
二股川
鳴見ダム
補助
FNW
重力
53.5
2,250
長崎県
1991
二級
中島川
西山川
西山ダム
補助
FW
重力
40.0
1,580
長崎県
1904
1999年再開発
二級
東大川
楠原川
土師野尾ダム
補助
FNW
重力
31.5
1,090
長崎県
1986
二級
志佐川
笛吹川
笛吹ダム
補助
FNW
重力
59.8
2,010
長崎県
2006
二級
船津川
船津川
船津ダム
補助
FNW
重力
30.0
370
長崎県
2000
二級
千々石川
加持川
別所ダム
利水
AW
重力
23.8
1,923
長崎県
1968
二級
中島川
中島川
本河内高部ダム
補助
FNW
重力
28.2
496
長崎県
1891
2009年再開発
二級
中島川
中島川
本河内低部ダム
補助
FNW
重力
27.8
616
長崎県
1903
2012年再開発
二級
宮ノ川
宮ノ川
宮ノ川ダム
補助
FNW
重力
32.0
194
長崎県
2000
五島列島 (中通島 )
二級
谷江川
角川
男女岳ダム
補助
FNW
重力
20.3
103
長崎県
1997
壱岐
二級
雪浦川
雪浦川
雪浦ダム
補助
FNW
重力
44.0
3,900
長崎県
1976
熊本県
コンバインダム として日本一の高さを有する竜門ダム (迫間川)
熊本県 は北から菊池川、白川 、緑川 、球磨川 と一級河川が四河川流れ、筑後川水系も一部流れている。治水事業は加藤清正 による白川の改修が知られているが、台風や梅雨前線による水害は一再ではなく、特に昭和28年西日本水害では県都・熊本市 を中心に死者339名、行方不明者198名、被害額約850億円と九州では最悪の被害を出した。このため河川総合開発事業も戦後早期より推進され、1960年球磨川上流に市房ダム が県下最初の多目的ダムとして完成する。続いて筑後川支流の津江川に下筌(しもうけ)ダム が建設され筑後川水系治水基本計画 の一翼をなし、さらに福岡都市圏の利水を視野に入れた筑後川水系水資源開発基本計画 の一環として菊池川支流の迫間川に竜門ダム が建設され、下筌ダムとの間で水を融通している。県中央部の緑川では緑川ダム が本流に建設され、緑川の治水と八代平野 への灌漑に供されている。県営事業としては県内の二級河川、特に水不足に悩まされている天草諸島 へのダム建設が行われた。
熊本県最大のダムは高さでは竜門ダム 、総貯水容量では緑川ダム であり、竜門ダムはコンバインダム (複合ダム)として、清願寺ダム(免田川)はアースダム としてダムの高さが日本最高である。施工中のダムはない。中止したダム事業としては特定多目的ダム初の地下ダム であった高遊原地下浸透ダム(加勢川 )[ 218] 、ダム事業見直しの末に中止が決定された七滝ダム(御船川)[ 15] と県営の釈迦堂ダム(釈迦堂川)[ 219] 、高浜ダム(大河内川)[ 220] などがある。また熊本県におけるダム事業は反対運動が激烈なものが多く、多目的ダムとして計画されていた川辺川ダム (川辺川 )[ 221] は1967年より続く反対闘争や流域外からのダム建設の是非 が問われ、民主党のマニフェストにも掲げられた。竜門ダムでは計画発表から完成まで31年を費やす長期化ダム事業となっている。
なお宇城市 にある石打ダム (八柳川)近傍にはJR九州 三角線 ・石打ダム駅 があるが、JR の駅名でダム名が付くのは石打ダム駅が日本唯一である[ 222] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
波多川
八柳川
石打ダム
補助
FNW
重力
38.5
1,200
熊本県
1992
一級
球磨川
球磨川
市房ダム
FNAP
重力
78.5
40,200
熊本県
1959
建設省施工
二級
亀川
亀川
亀川ダム
補助
FNW
重力
37.0
2,650
熊本県
1982
天草下島
二級
教良木川
祝口川
教良木ダム
利水
AW
ロックフィル
29.3
1,691
熊本県
1976
天草上島
二級
方原川
方原川
楠浦ダム
利水
AW
アース
32.0
1,068
熊本県
1966
天草下島
二級
上津浦川
上津浦川
上津浦ダム
補助
FNW
重力
54.0
467
熊本県
2004
天草上島
一級
球磨川
球磨川
幸野ダム
利水
AP
重力
21.2
326
熊本県
1959
一級
球磨川
免田川
清願寺ダム
FA
重力
60.5
3,301
熊本県
1978
二級
都呂々川
都呂々川
都呂々ダム
利水
AWI
重力
41.8
1,360
熊本県
1990
天草下島
二級
氷川
氷川
氷川ダム
補助
FNAW
重力
58.5
7,100
熊本県
1973
2010年再開発
一級
緑川
緑川
緑川ダム
特定
FNAP
重力
76.5
46,000
国土交通省
1970
一級
菊池川
迫間川
竜門ダム
特定
FNAI
重力
99.5
42,500
国土交通省
2001
水特法9条指定
二級
路木川
路木川
路木ダム
補助
FNW
重力
53.0
2,290
熊本県
2014
天草下島
大分県
総貯水容量で大分県最大の多目的ダム・下筌ダム (津江川)
大分県 の河川総合開発事業は九州地方 で宮崎県に次いで二番目に早く、県下最大の河川である大野川 本流に灌漑と水力発電を目的にした百枝ダム が1951年に完成している[ 223] 。その後県内に大きな被害を出した昭和28年西日本水害を契機に大分川 水系で河川総合開発が進められ、支流の芹川 に芹川ダム が建設され、県南部の五ヶ瀬川 水系でも支流の北川 に北川ダム が建設された。一方県西部を流れる筑後川水系では筑後川水系治水基本計画 や筑後川水系水資源開発基本計画 によって筑後川本流と支流に多目的ダムの建設計画が進められ、検討の結果松原ダム (筑後川)と下筌ダム(津江川)が建設された。両ダムは1986年にダム再開発事業が行われ、日田市 への上水道目的が追加されたほか有明海 のノリ養殖において色落ちを防止するための河川維持放流が行われる[ 224] 。県北部、耶馬渓 で知られる山国川 では北九州市への上水道供給と山国川の治水を目的に本流に平成大堰 、支流の山移川に耶馬渓ダム が建設されている。
大分県最大の多目的ダムは総貯水容量では下筌ダム 、高さでは赤石川 の大山ダム がそれぞれ県下最大である。建設中のダムは存在しない。ななせダム (七瀬川 。旧称大分川ダム)は民主党政権によるダム事業見直しの対象になったが2012年に事業継続が決定されている。中止したダム事業は筑後川水系では筑後川本流の久世畑[ 225] ・杖立[ 205] 、支流玖珠川 の猪牟田[ 226] ・玖珠川[ 205] 、大野川水系の大野川(大野川)と矢田(平井川)[ 227] ・知原(緒方川)[ 228] などのダムがある。松原・下筌ダムでは日本最大のダム反対闘争である蜂の巣城紛争 が室原知幸 らにより13年間続けられ、流血闘争や法廷闘争を通じ公共事業と基本的人権 の整合性を問うた[ 229] [ 230] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
筑後川
赤石川
大山ダム
水機構法
FNW
重力
99.0
19,600
水資源機構
2012
水特法指定
二級
臼杵川
臼杵川
乙見ダム
FA
重力
39.9
1,880
大分県
1970
一級
五ヶ瀬川
北川
北川ダム
補助
FP
アーチ
82.0
41,000
大分県
1962
一級
番匠川
木立川
小中尾ダム
FA
アース
22.3
188
大分県
1966
二級
志生木川
志生木川
志生木ダム
FA
アース
22.9
400
大分県
1965
一級
筑後川
津江川
下筌ダム
特定
FNP
アーチ
98.0
59,300
国土交通省
1972
1986年再開発
二級
末広川
末広川
末広ダム
FA
重力
45.5
2,098
大分県
1991
一級
大分川
芹川
芹川ダム
補助
FAP
重力
52.2
27,500
大分県
1956
一級
番匠川
道の内川
直川ダム
FA
重力
24.9
740
大分県
1970
二級
末広川
中の川
中の川ダム
FA
重力
37.3
881
大分県
1987
一級
大分川
七瀬川
ななせダム
特定
FNW
ロックフィル
91.6
24,000
国土交通省
2019
水特法指定 旧称大分川ダム
二級
臼杵川
田井ヶ迫川
野田ダム
FA
重力
38.7
452
大分県
1991
一級
大野川
垣河内川
野津ダム
補助
FNW
重力
34.9
331
大分県
2000
一級
筑後川
筑後川
松原ダム
特定
FNWP
重力
83.0
54,600
国土交通省
1972
1986年再開発
一級
大野川
大野川
百枝ダム
NP
重力
8.9
520
大分県
1951
一級
山国川
山移川
耶馬溪ダム
特定
FNWIP
重力
62.0
23,300
国土交通省
1984
水特法指定
一級
大分川
白滝川
若杉防災ダム
FA
重力
33.5
750
大分県
1965
宮崎県
多目的ダムとして宮崎県で最大の総貯水容量を有する岩瀬ダム(岩瀬川)
宮崎県 における多目的ダム事業は九州地方で最も早く行われ、県中部を流れる小丸川 で実施された。本流に松尾ダム 、支流の渡川に渡川ダムが戦争による中断を挟んで建設され松尾ダムは1951年県内で最初に完成した。続いて県都・宮崎市 を流れる大淀川 水系で多目的ダムが計画され、大淀川水系最大の支流である本庄川 がその対象にまず挙げられた。本庄川本流に綾南ダム 、支流の綾北川 に綾北ダム と古賀根橋ダム が建設され、綾北ダム上流には田代八重ダム が1999年完成する。本庄川に続いて岩瀬川が対象になり、1967年に岩瀬ダムが完成した。五ヶ瀬川水系では延岡市 の治水と旭化成 工場への工業用水道供給を目的とした祝子(ほうり)ダム・浜砂ダム(祝子川)が、一ツ瀬川 水系では支流の三納川流域に立花ダム(三財川)が建設された。
宮崎県最大の多目的ダムは高さでは綾北ダム 、総貯水容量では岩瀬ダム がそれぞれ最大。建設中のダムとしては岩瀬ダムの治水能力向上を目的とした岩瀬ダム再生事業が、国土交通省によって手掛けられている。中止した多目的ダム事業は存在しない。宮崎県の河川は水力発電事業が先行しており小丸川以外の主要河川である耳川 、五ヶ瀬川、一ツ瀬川、大淀川では本流に発電用ダムが多数建設されているため多目的ダムは存在しない。このため建設省河川局長通達・建河発第一七八号により上椎葉ダム (耳川)と一ツ瀬ダム (一ツ瀬川)は第一類ダムに指定され、発電専用ダムではあるが治水の責務を有する。また宮崎県の多目的ダムは全て県営の補助多目的ダムであり、国土交通省直轄ダムは存在しない。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
一級
大淀川
綾北川
綾北ダム
補助
FP
アーチ
75.3
21,300
宮崎県
1960
一級
大淀川
本庄川
綾南ダム
補助
FP
重力
64.0
38,000
宮崎県
1958
一級
大淀川
岩瀬川
岩瀬ダム
補助
FP
重力
55.5
57,000
宮崎県 (国土交通省)
1967
再生事業中
一級
大淀川
綾北川
古賀根橋ダム
利水
AP
重力
32.0
1,381
宮崎県
1958
一級
大淀川
綾北川
田代八重ダム
補助
FNWP
重力
64.6
19,270
宮崎県
1999
一級
一ツ瀬川
三財川
立花ダム
補助
FNP
重力
71.3
10,000
宮崎県
1963
一級
小丸川
渡川
渡川ダム
補助
FNP
重力
62.5
33,900
宮崎県
1955
一級
五ヶ瀬川
祝子川
浜砂ダム
利水
IP
重力
42.7
2,430
宮崎県
1991
一級
五ヶ瀬川
祝子川
祝子ダム
補助
FNIP
重力
60.0
5,774
宮崎県
1972
一級
小丸川
小丸川
松尾ダム
補助
FNP
重力
68.0
45,202
宮崎県
1951
鹿児島県
鹿児島県最大の多目的ダム・鶴田ダム (川内川 )
鹿児島県 では県内最大の一級河川である川内川 で河川総合開発が最初に手掛けられた。下流に比べ上流部の流域面積が広い川内川は台風や集中豪雨が上流域を襲うと、膨大な洪水は下流へ一気に押し寄せ、度重なる被害をもたらしていた。建設省は川内川の治水対策として中流の狭窄部に多目的ダムを建設して上流からの洪水を抑え、あわせて豊富な水量を利用した水力発電事業を目的に九州地方初の特定多目的ダムを建設する。これが鶴田ダム であり、九州最大の重力式コンクリートダム として、また一般水力発電所として九州最大級の出力を有する多目的ダムが1966年に完成した。一方鹿児島県営のダム事業は他県に比べて余り実施されておらず、万之瀬川 本流の川辺ダム など数は多くない。その中でも慢性的な水不足に悩む奄美大島 や徳之島 など離島での利水を主とした多目的ダム事業が目に付く。
県内最大の多目的ダムは鶴田ダムであるが、2006年の平成18年7月豪雨 において川内川上流は多いところで総雨量が1,000ミリを超え、予想を大幅に超えた洪水が鶴田ダムに流入し洪水調節機能を喪失。下流の薩摩川内市 、さつま町 などが浸水被害を受けたことから被害住民より鶴田ダムの治水ダム化が要望され、国土交通省は住民との対話集会を経て2007年より鶴田ダム再開発事業に着手。利水容量を治水容量に振り替え洪水調節機能を増強することになった[ 231] 。建設中のダムや中止した多目的ダム事業は存在しない。なお鶴田ダムの人造湖である大鶴湖 では、渇水期になると水没した旧曽木発電所の遺構を期間限定で見ることができる。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
鹿浦川
鹿浦川
伊仙中部ダム
利水
AW
アース
29.0
1,220
鹿児島県
1987
徳之島
二級
大川
大川
大川ダム
利水
AW
ロックフィル
49.2
2,320
奄美市
1980
奄美大島 1988年再開発
二級
万之瀬川
万之瀬川
川辺ダム
補助
FNWI
重力
53.5
2,920
鹿児島県
2002
二級
西京川
又延川
西京ダム
利水
AW
ロックフィル
29.7
2,301
鹿児島県
1987
種子島
二級
亀徳川
亀徳川
神嶺ダム
利水
AW
アース
33.8
808
鹿児島県
1981
徳之島
二級
須野川
須野川
須野ダム
利水
AW
アース
27.5
990
鹿児島県
1998
奄美大島
一級
川内川
川内川
鶴田ダム
特定
FP
重力
117.5
123,000
国土交通省
1965
2017年再開発
二級
面縄川
面縄川
東部ダム
利水
AW
アース
19.0
153
鹿児島県
1970
徳之島
二級
永吉川
二俣川
永吉ダム
FA
ロックフィル
37.0
1,174
鹿児島県
1979
二級
秋利神川
麦野川
南部ダム
利水
AW
アース
25.2
374
鹿児島県
1969
二級
大和川
三田川
大和ダム
補助
FNW
重力
45.0
784
鹿児島県
2006
奄美大島
沖縄県
沖縄県最大の多目的ダム・福地ダム (福地川 )
沖縄県 の多目的ダム事業は、1972年の沖縄返還 で沖縄開発庁 と沖縄総合事務局 が設置された時より始まる。従って47都道府県の中では比較的新しい時期より河川総合開発事業に着手されたが、その萌芽は琉球列島米国民政府 統治時代の1963年に遡る。アメリカ陸軍工兵隊 は沖縄本島 北部を流れる新川川 などの河川にダムを建設するマスタープランに着手[ 232] 。さらに琉球水道公社による上水道用ダム計画が合併し多目的ダム事業として進められた[ 233] 。その第一号が福地ダム (福地川 )と新川ダム(新川川)であり、沖縄返還によりそれらのダム事業は日本政府に継承されたが発足間もない沖縄県は財政事情が芳しくなく、大規模な河川開発を行う余裕はなかった。既に建設省は沖縄返還以前に調査団を1970年に派遣し、翌1971年に積極的な水資源開発財政措置の必要性を報告していた[ 234] 。
このため沖縄振興特別措置法 第107条に基づき、沖縄県の河川は二級河川であっても必要がある場合は河川法第10条の例外規定として建設大臣(現在は国土交通大臣 )が河川改修を実施できると定め、多目的ダムについても重要な事業については同法第107条第7項・第8項の規定で二級河川に国直轄で建設・管理される多目的ダムは特定多目的ダム法の規定を援用できると定めた[ 235] 。これにより琉球列島米国民政府より承継された福地ダム、新川ダムと普久川(ふんがわ)ダム(普久川)は特定多目的ダムとして施工され、後に完成した安波ダム(安波川)・辺野喜ダム(辺野喜川)と共に沖縄北部河川総合開発事業 として進められ、沖縄本島の重要な水がめとなった。しかし慢性的な水不足が起こる沖縄本島では取水制限が五ダムの完成後も頻発。このため建設省は沖縄北西部河川総合開発事業 を計画し倉敷ダム (与那原川)、漢那ダム (漢那福地川 )、羽地ダム (羽地大川 )、そして日本初の台形CSGダム施工例である金武(きん)ダム(億首川)を建設した。このうち沖縄県に管理が移管された倉敷ダムを除いた8ダムは統合管理され、県都・那覇市 などの水需要に応えている。なお、沖縄県は九州地方整備局 の管轄外であり、国が管理する特定多目的ダムについては沖縄総合事務局が国土交通省より権限委譲をされ管理実務を行う[ 236] 。以上のことから福地ダムなど7ダムは沖縄総合事務局の上部機関である内閣府 直轄ダムではなく、国土交通省直轄ダムである。一方沖縄県でも座間味ダム(内川)を皮切りに補助多目的ダムを建設したほか、恩納村 と宜野座村 は村営の利水専用多目的ダムを建設している。
沖縄県最大のダムは高さ・総貯水容量共に福地ダム である。建設中の多目的ダムは存在しない。中止したダム事業には白水ダム(名蔵川 )[ 237] 、座津武(ざつん)ダム(座津武川)[ 238] などがある。なお倉敷ダムと、日本最南端の多目的ダムである石垣島 の真栄里ダム (宮良川 )は建設省・農林水産省が施工し、完成後沖縄県へ管理が移管されている[ 239] 。
等級
水系
河川
ダム
種別
目的
型式
高さ
総貯水容量
事業者
完成年
備考
二級
安波川
安波川
安波ダム
特定
FNWI
重力
86.0
18,600
国土交通省
1982
二級
新川川
新川川
新川ダム
特定
FNWI
重力
44.5
1,650
国土交通省
1976
二級
億首川
億首川
金武ダム
特定
FNAW
台形CSG
39.0
8,560
国土交通省
2013
旧名億首ダム
二級
新川
新川
恩納ダム
NA
重力
28.5
370
恩納村
1985
二級
中の川
シチフ川
我喜屋ダム
補助
FNW
重力
33.0
273
沖縄県
2004
伊平屋島
二級
慶武原川
慶武原川
潟原ダム
利水
AW
重力
32.5
267
宜野座村
1985
二級
漢那川
漢那福地川
漢那ダム
特定
FNAW
重力
45.0
8,200
国土交通省
1993
二級
大川
宜野座福地川
宜野座大川ダム
利水
AW
重力
21.7
355
宜野座村
1993
二級
儀間川
儀間川
儀間ダム
補助
FNW
アース
24.5
575
沖縄県
2014
久米島
二級
比謝川
与那原川
倉敷ダム
特定
FNW
ロックフィル
33.5
7,100
沖縄県
1994
建設省施工
二級
内川
内川
座間味ダム
補助
FNW
重力
30.0
66
沖縄県
1989
座間味島
二級
大保川
大保川
大保ダム
特定
FNW
重力
77.5
20,050
国土交通省
2010
二級
新川
当袋川
当袋川ダム
FA
アース
31.0
423
恩納村
1980
二級
羽地大川
羽地大川
羽地ダム
特定
FNAW
ロックフィル
66.5
19,800
国土交通省
2004
二級
福地川
福地川
福地ダム
特定
FNWIP
重力
91.7
55,000
国土交通省
1974
1990年再開発
二級
安波川
普久川
普久川ダム
特定
FNWI
重力
41.5
3,050
国土交通省
1982
二級
辺野喜川
辺野喜川
辺野喜ダム
特定
FNWI
複合
42.0
4,500
国土交通省
1987
二級
宮良川
宮良川
真栄里ダム
FNA
アース
27.0
2,300
沖縄県
1982
石垣島 建設省・農林水産省施工
多目的ダム水力発電所一覧
本項では、多目的ダムに付随する水力発電所を一覧としてまとめる。基礎出典は一般社団法人電力土木技術協会『水力発電所データベース』・全国小水力発電利用推進協議会『小水力発電データベース』(発電所諸元)および一般財団法人日本ダム協会『ダム便覧』(ダム諸元)とし、必要に応じて備考欄に出典を追記する。
一覧表の順序は都道府県 順→五十音順 で示す。複数の所在地にまたがるダムについては『ダム便覧』に準じ、河川の源流点から河口 ・合流点を見た場合におけるダム左岸 の所在都道府県に掲載する。工事中のダム(再開発・再生事業中のダムを含む)は薄緑色で記す。ただし、掲載対象は一般へ供給するための電気事業用(他電気事業者への全量・余剰分売電を含む)として発電を行う水力発電所とし、ダム管理用発電所など一般への電力供給を行わない自家発電専用として供される水力発電所は除外する。
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
A県
A川
A川
Aダム
国土交通省
AAA
100,000
ダム水路式
一般
A電力
1980
B県
B川
B川
Bダム
B県
BBB
50,000
ダム式
揚水上部
B県企業局
2025
所在 :ダムが所在する都道府県。北海道については総合振興局・振興局を掲載するが順番については 北海道庁ホームページ の記載順に準拠する。
水系 :ダムが建設されている河川 が属する水系 。
河川 :ダムが建設されている河川。「河道外」は河川以外の谷間などに建設されているダムを指す。
ダム :水力発電所が付設されている多目的ダム名。水色欄は水力発電目的が計画・完成時には無かったが、後に追加で付与されたダム。
ダム事業者 :ダムを管理または施工している事業者。
発電所 :ダムを取水元とする水力発電所の名称。
認可出力 :発電所が発電できる最大出力。単位はキロワット 。
発電形式 :その発電所の発電する形式。水路式・ダム式・ダム水路式がある。詳細は水力発電 の項目を参照。小水力発電では発電形式が不明な場合があり、その際は空欄とする。
発電種類 :その発電所が一般水力発電所か揚水式水力発電所かの種別。「揚水上部」は揚水発電所の上部調整池、「揚水下部」は揚水発電所の下部調整池を指す。詳細は水力発電・揚水発電 の項目を参照。
電気事業者 :発電所を管理、施工する事業者。
運開年 :発電所の運転が開始された年。
備考 :特記することを記す。
北海道
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
空知
石狩川
芦別川
芦別ダム
国土交通省
熊追
5,100
ダム水路式
一般
電源開発
1957
新桂沢ダム建設に伴い2022年設備改良[ 240]
空知
石狩川
空知川
金山ダム
国土交通省
金山
25,000
ダム水路式
一般
北海道電力
1967
空知
石狩川
夕張川
川端ダム
農林水産省
川端
4,200
ダム式
一般
北海道企業局
1962
空知
石狩川
夕張川
清水沢ダム
北海道
清水沢
3,400
ダム式
一般
北海道企業局
1940
空知
石狩川
幾春別川
新桂沢ダム
国土交通省
新桂沢
16,800
ダム水路式
一般
電源開発
2022
[ 240]
空知
石狩川
空知川
滝里ダム
国土交通省
滝里
57,000
ダム水路式
一般
北海道電力
1999
空知
石狩川
夕張川
夕張シューパロダム
国土交通省 農林水産省 北海道
シューパロ
28,470
ダム式
一般
北海道企業局
2015
石狩
石狩川
小樽内川
定山渓ダム
国土交通省
小樽内
7,000
ダム式
一般
北海道電力
1989
石狩
石狩川
豊平川
豊平峡ダム
国土交通省
豊平峡
51,900
ダム水路式
一般
北海道電力
1972
日高
静内川
静内川
高見ダム
北海道
高見
200,000
ダム式
揚水上部
北海道電力
1983
高見発電所の下部調整池は静内ダム (静内川・北海道電力)
日高
沙流川
沙流川
二風谷ダム
国土交通省
二風谷
3,000
ダム式
一般
ほくでんエコエナジー
1996
檜山
後志利別川
後志利別川
美利河ダム
国土交通省
ピリカ
4,000
ダム水路式
一般
北海道電力
1991
上川
天塩川
天塩川
岩尾内ダム
国土交通省
岩尾内
13,000
ダム式
一般
北海道企業局
1970
上川
石狩川
雨竜川
雨竜第一ダム
国土交通省 北海道電力
雨竜 朱鞠内
51,000 1,120
ダム水路式 ダム式
一般 一般
北海道電力 北海道電力
1943 2013
再生事業中(洪水調節 目的追加)
上川
石狩川
ウツナイ川
雨竜第二ダム
国土交通省 北海道電力
雨竜
51,000
ダム水路式
一般
北海道電力
1943
再生事業中(洪水調節目的追加)
上川
天塩川
サンル川
サンルダム
国土交通省
サンル
1,100
ダム式
一般
ほくでんエコエナジー
2019
[ 241]
上川
石狩川
石狩川
大雪ダム
国土交通省
大雪
20,000
ダム水路式
一般
北海道電力
1975
上川
石狩川
雨竜川
鷹泊ダム
北海道
鷹泊
5,700
ダム式
一般
北海道企業局
1953
上川
石狩川
忠別川
忠別ダム
国土交通省
新忠別
10,000
ダム式
一般
北海道電力
2006
十勝
十勝川
十勝川
屈足ダム
北海道
熊牛
15,400
ダム水路式
一般
電源開発
1987
十勝
十勝川
札内川
札内川ダム
国土交通省
札内川
8,000
ダム式
一般
電源開発
1997
十勝
十勝川
十勝川
十勝ダム
国土交通省
十勝
40,000
ダム式
一般
北海道電力
1985
東北
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
青森
岩木川
浅瀬石川
浅瀬石川ダム
国土交通省
浅瀬石川
17,100
ダム式
一般
東北電力
1988
青森
堤川
駒込川
駒込ダム
青森県
新上松沢
9,400
ダム水路式
一般
東北電力
2031
[ 242]
青森
岩木川
岩木川
津軽ダム
国土交通省
津軽
8,500
ダム式
一般
東北電力
2016
[ 243]
岩手
北上川
胆沢川
胆沢ダム
国土交通省
胆沢第一 胆沢第三
14,200 1,500
ダム式 ダム式
一般 一般
電源開発岩手県企業局
2014 2014
岩手
北上川
夏油川
入畑ダム
岩手県
入畑
2,100
ダム式
一般
岩手県企業局
1990
岩手
北上川
丹藤川
岩洞ダム
岩手県
岩洞第一 岩洞第二
41,000 8,600
ダム水路式 水路式
一般 一般
岩手県企業局 岩手県企業局
1960 1960
[ 244]
岩手
北上川
雫石川
御所ダム
国土交通省
御所
13,000
ダム式
一般
岩手県企業局
1981
再生事業中
岩手
北上川
北上川
四十四田ダム
国土交通省
四十四田
15,100
ダム式
一般
岩手県企業局
1967
再生事業中
岩手
久慈川
長内川
滝ダム
岩手県
滝
450
ダム式
一般
岩手県企業局
1982
岩手
北上川
猿ヶ石川
田瀬ダム
国土交通省
東和
27,000
ダム水路式
一般
電源開発
1954
岩手
北上川
稗貫川
早池峰ダム
岩手県
早池峰
1,400
ダム式
一般
岩手県企業局
2000
岩手
大沢川
大沢川
普代ダム
岩手県
普代ダム
28
一般
普代村
2016
[ 245]
岩手
北上川
簗川
簗川ダム
岩手県
簗川
1,900
ダム式
一般
岩手県企業局
2022
[ 246]
岩手
北上川
和賀川
湯田ダム
国土交通省
仙人 和賀川
37,600 15,500
ダム水路式 ダム水路式
一般 一般
岩手県企業局 東北自然エネルギー
1963 1963
[ 247]
宮城
鳴瀬川
鳴瀬川
漆沢ダム
宮城県
漆沢
3,000
ダム水路式
一般
東北電力
1980
再開発中
宮城
名取川
大倉川
大倉ダム
宮城県
大倉
5,200
ダム水路式
一般
東北電力
1962
宮城
名取川
碁石川
釜房ダム
国土交通省
釜房
1,200
ダム式
一般
東北電力
1970
宮城
北上川
三迫川
栗駒ダム
宮城県
玉山
2,800
ダム水路式
一般
細倉金属鉱業
1966
宮城
鳴瀬川
筒砂子川
鳴瀬川ダム
国土交通省
鳴瀬川
2,300
ダム式
一般
東北電力
2034
[ 248]
宮城
北上川
江合川
鳴子ダム
国土交通省
鳴子
18,700
ダム水路式
一般
東北電力
1957
宮城
北上川
迫川
花山ダム
宮城県
川口第一 川口第二
1,550 1,500
水路式 ダム式
一般 一般
細倉金属鉱業 細倉金属鉱業
1957 1957
秋田
雄物川
皆瀬川
板戸ダム
秋田県
板戸
2,000
ダム式
一般
秋田県公営企業
1985
秋田
雄物川
三内川
岩見ダム
秋田県
岩見
5,400
ダム式
一般
秋田県公営企業
1978
秋田
雄物川
松川
大松川ダム
秋田県
大松川
1,000
ダム式
一般
秋田県公営企業
1999
秋田
米代川
粕毛川
素波里ダム
秋田県
素波里
6,300
ダム式
一般
秋田県公営企業
1970
秋田
雄物川
玉川
玉川ダム
国土交通省
玉川
23,600
ダム式
一般
秋田県公営企業
1990
秋田
子吉川
子吉川
鳥海ダム
国土交通省
鳥海
990
ダム式
一般
秋田県公営企業
2029
[ 249]
秋田
雄物川
成瀬川
成瀬ダム
国土交通省
成瀬
5,800
ダム式
一般
秋田県公営企業
2028
[ 250]
秋田
米代川
小阿仁川
萩形ダム
秋田県
杉沢 萩形
15,500 450
ダム水路式 ダム式
一般 一般
秋田県公営企業 秋田県公営企業
1966 2014
秋田
米代川
早口川
早口ダム
秋田県
早口
7,500
ダム水路式
一般
秋田県公営企業
1975
秋田
雄物川
皆瀬川
皆瀬ダム
秋田県
皆瀬
5,300
ダム水路式
一般
秋田県公営企業
1963
秋田
米代川
小又川
森吉ダム
秋田県
小又川第四
6,500
ダム式
一般
三菱マテリアル
1953
秋田
米代川
小又川
森吉山ダム
国土交通省
森吉
11,200
ダム水路式
一般
東北電力
2011
秋田
米代川
岩瀬川
山瀬ダム
秋田県
山瀬
2,100
ダム式
一般
秋田県公営企業
1991
秋田
雄物川
玉川
鎧畑ダム
秋田県
鎧畑
15,700
ダム水路式
一般
秋田県公営企業
1956
山形
温海川
温海川
温海川ダム
山形県
温海川
1,000
ダム式
一般
山形県企業局
1986
山形
赤川
赤川
荒沢ダム
山形県
倉沢
14,000
ダム水路式
一般
山形県企業局
1956
山形
赤川
梵字川
月山ダム
国土交通省
月山
8,800
ダム式
一般
東北電力
2001
山形
最上川
金山川
神室ダム
山形県
神室
420
ダム式
一般
山形県企業局
2017
[ 251]
山形
最上川
置賜野川
木地山ダム
山形県
野川第二
8,900
ダム水路式
一般
山形県企業局
1961
山形
最上川
寒河江川
寒河江ダム
国土交通省
本道寺
75,000
ダム水路式
一般
東北電力
1990
山形
最上川
置賜白川
白川ダム
国土交通省
白川
8,900
ダム式
一般
山形県企業局
1980
山形
最上川
丹生川
新鶴子ダム
土地改良区
鶴子
3,700
ダム式
一般
山形県企業局
1993
山形
最上川
鮭川
高坂ダム
山形県
大沢川
5,000
ダム式
一般
山形県企業局
1967
山形
最上川
置賜野川
長井ダム
国土交通省
新野川第一
10,000
ダム水路式
一般
山形県企業局
2010
山形
最上川
刈安川
水窪ダム
土地改良区
水窪ダム
798
ダム式
一般
土地改良区
2015
米沢平野土地改良区[ 252]
山形
荒川
横川
横川ダム
国土交通省
横川
6,300
ダム式
一般
山形県企業局
2008
福島
阿賀野川
阿賀野川
大川ダム
国土交通省
下郷 大川
1,000,000 21,000
ダム水路式 ダム式
揚水下部 一般
電源開発 東北電力
1988 1986
下郷発電所の上部調整池は大内ダム (小野川 ・電源開発)
福島
阿賀野川
濁川
大平沼ダム
土地改良区
大平沼
570
ダム水路式
一般
土地改良区
1991
会津北部土地改良区[ 253]
福島
夏井川
小玉川
小玉ダム
福島県
小玉川第一
2,800
ダム水路式
一般
東北電力
1996
福島
熊川
大川原川
坂下ダム
福島県
-
-
-
-
-
1973
福島第一原子力発電所 冷却水供給用[ 254]
福島
鮫川
四時川
四時ダム
福島県
四時ダム
470
一般
工営エナジー
2015
[ 255]
福島
阿武隈川
摺上川
摺上川ダム
国土交通省
摺上川
3,000
ダム式
一般
東北電力
2007
福島
阿賀野川
押切川
日中ダム
福島県
日中
1,700
ダム式
一般
東北自然エネルギー
1995
[ 256]
福島
真野川
真野川
真野ダム
福島県
真野
1,100
ダム式
一般
東北自然エネルギー
1991
[ 257]
関東
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
栃木
利根川
男鹿川
五十里ダム
国土交通省
川治第一 五十里
15,300 1,200
ダム水路式 ダム式
一般 一般
栃木県企業局 栃木県企業局
1956 2020
[ 258]
栃木
利根川
鬼怒川
川俣ダム
国土交通省
川俣
27,000
ダム式
一般
東京電力RP
1963
栃木
利根川
鬼怒川
佐貫頭首工
栃木県
風見
10,200
水路式
一般
栃木県企業局
1964
[ 258]
栃木
那珂川
箒川
塩原ダム
栃木県
塩原ダム
195
一般
工営エナジー
2015
[ 259]
栃木
利根川
大谷川
中禅寺ダム
栃木県
日光第一 日光第二 赤沢 所野第一 所野第二 所野第三 馬道 背戸山 細尾 上の代
1,080 1,200 1,200 3,600 5,000 5,400 7,600 790 15,700 5,800
水路式 水路式 水路式 水路式 水路式 水路式 水路式 水路式 水路式 水路式
一般 一般 一般 一般 一般 一般 一般 一般 一般 一般
東京電力RP 東京電力RP 東京電力RP 東京電力RP 東京電力RP 東京電力RP 古河日光発電 古河日光発電 古河日光発電 古河日光発電
1918 1893 1949 1897 1945 1952 1925 1953 1906 1935
[ 260] [ 261]
栃木
那珂川
宮川
寺山ダム
栃木県
寺山ダム
190
一般
工営エナジー
2013
[ 262]
栃木
那珂川
荒川
東荒川ダム
栃木県
東荒川
600
ダム式
一般
栃木県企業局
1990
栃木
那珂川
那珂川
深山ダム
栃木県
沼原
675,000
ダム水路式
揚水下部
電源開発
1973
沼原発電所の上部調整池は沼原ダム (電源開発)
群馬
利根川
赤谷川
相俣ダム
国土交通省
相俣 相俣第二 桃野
7,700 120 6,200
ダム式 ダム式 水路式
一般 一般 一般
群馬県企業局 群馬県企業局 群馬県企業局
1958 1998 1958
[ 263]
群馬
利根川
桐生川
桐生川ダム
群馬県
桐生川
470
ダム式
一般
群馬県企業局
1984
群馬
利根川
渡良瀬川
草木ダム
水資源機構
東 東第二 小平
20,300 240 36,200
ダム式 ダム式 水路式
一般 一般 一般
群馬県企業局 群馬県企業局 群馬県企業局
1976 2006 1976
[ 264]
群馬
利根川
湯川
品木ダム
国土交通省
湯川
8,200
ダム水路式
一般
群馬県企業局
1965
群馬
利根川
四万川
四万川ダム
群馬県
日向見
1,000
ダム式
一般
群馬県企業局
1999
群馬
利根川
神流川
下久保ダム
水資源機構
下久保 下久保第二
15,000 270
ダム式 ダム式
一般 一般
群馬県企業局 群馬県企業局
1968 2001
群馬
利根川
片品川
薗原ダム
国土交通省
白沢
26,600
ダム水路式
一般
群馬県企業局
1964
群馬
利根川
四万川
中之条ダム
群馬県
中之条 中之条ダム
11,000 51
ダム水路式 ダム式
一般 一般
群馬県企業局 群馬県企業局
1960 1998
群馬
利根川
楢俣川
奈良俣ダム
水資源機構
奈良俣
12,800
ダム式
一般
群馬県企業局
1989
再生事業中
群馬
利根川
利根川
藤原ダム
国土交通省
玉原 藤原
1,200,000 22,200
ダム式 ダム式
揚水下部 一般
東京電力RP 東京電力RP
1982 1956
玉原発電所の上部調整池は玉原ダム (発地川・東京電力RP) 再生事業中
群馬
利根川
利根川
矢木沢ダム
水資源機構
矢木沢
240,000
ダム式
揚水上部
東京電力RP
1965
矢木沢発電所の下部調整池は須田貝ダム (利根川・東京電力RP)
群馬
利根川
吾妻川
八ッ場ダム
国土交通省
八ッ場
11,700
ダム式
一般
群馬県企業局
2021
[ 265]
埼玉
荒川
浦山川
浦山ダム
水資源機構
浦山
5,000
ダム式
一般
東京発電
1998
埼玉
荒川
中津川
滝沢ダム
水資源機構
滝沢
3,400
ダム式
一般
東京発電
2007
[ 266] [ 267]
埼玉
荒川
荒川
玉淀ダム
埼玉県
玉淀
4,300
ダム式
一般
東京発電
1964
埼玉
荒川
荒川
二瀬ダム
国土交通省
二瀬
5,200
ダム式
一般
東京発電
1961
東京
多摩川
多摩川
小河内ダム
東京都水道局
多摩川第一
19,000
ダム式
一般
東京都交通局
1957
神奈川
相模川
中津川
石小屋ダム
国土交通省
愛川第二
1,200
ダム式
一般
神奈川県企業庁
1997
神奈川
相模川
相模川
相模ダム
神奈川県
相模
31,000
ダム式
一般
神奈川県企業庁
1945
神奈川
相模川
相模川
城山ダム
神奈川県
城山 津久井・1号
250,000 12,500
ダム式 ダム水路式
揚水下部 一般
神奈川県企業庁 神奈川県企業庁
1965 1943
城山発電所の上部調整池は本沢ダム (境川 ・神奈川県企業庁)
神奈川
相模川
相模川
沼本ダム
神奈川県
津久井・2号
12,500
水路式
一般
神奈川県企業庁
1943
[ 268]
神奈川
酒匂川
河内川
三保ダム
神奈川県
田ノ入
7,400
ダム式
一般
東京発電
1978
神奈川
相模川
中津川
宮ヶ瀬ダム
国土交通省
愛川第一
24,200
ダム式
一般
神奈川県企業庁
1997
中部
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
新潟
信濃川
破間川
破間川ダム
新潟県
破間川
5,100
ダム式
一般
電源開発
1985
新潟
桑取川
綱子川
後谷ダム
新潟県
高田 新高田
11,500 2,500
ダム水路式 ダム水路式
一般 一般
新潟県企業局 新潟県企業局
1968 1984
[ 269]
新潟
加治川
内の倉川
内の倉ダム
新潟県
内の倉
2,900
ダム式
一般
土地改良区
1990
加治川沿岸土地改良区連合
新潟
荒川
大石川
大石ダム
国土交通省
大石
10,900
ダム水路式
一般
荒川水力電気
1978
新潟
胎内川
胎内川
奥胎内ダム
新潟県
胎内第四
2,600
ダム式
一般
新潟県企業局
2019
[ 270]
新潟
三面川
三面川
奥三面ダム
新潟県
奥三面
34,500
ダム水路式
一般
新潟県企業局
2001
新潟
信濃川
笠堀川
笠堀ダム
新潟県
笠堀
7,200
ダム式
一般
新潟県企業局
1964
新潟
信濃川
刈谷田川
刈谷田川ダム
新潟県
刈谷田
1,100
ダム式
一般
新潟県企業局
1990
新潟
信濃川
三国川
三国川ダム
国土交通省
五十沢第二
9,100
ダム水路式
一般
東北電力
1993
新潟
関川
関川
笹ヶ峰ダム
土地改良区
西野
3,000
ダム水路式
一般
東北電力
1929
[ 271]
新潟
阿賀野川
早出川
早出川ダム
新潟県
田川内
7,100
ダム式
一般
新潟県企業局
1978
新潟
信濃川
和田川
広神ダム
新潟県
広神
1,600
ダム式
一般
新潟県企業局
2011
新潟
三面川
三面川
三面ダム
新潟県
三面
30,000
ダム式
一般
新潟県企業局
1952
富山
小川
小川
朝日小川ダム
富山県
朝日小川第二
14,200
ダム水路式
一般
北陸電力
1990
富山
黒部川
黒部川
宇奈月ダム
国土交通省
宇奈月
20,000
ダム式
一般
関西電力
2000
富山
上市川
上市川
上市川ダム
富山県
上市川第一
4,800
ダム水路式
一般
富山県企業局
1964
富山
上市川
上市川
上市川第二ダム
富山県
上市川第二
4,300
ダム水路式
一般
富山県企業局
1985
富山
神通川
久婦須川
久婦須川ダム
富山県
久婦須川
3,100
ダム式
一般
日本海発電
2002
富山
神通川
熊野川
熊野川ダム
富山県
熊野川
7,000
ダム水路式
一般
日本海発電
1987
富山
庄川
境川
境川ダム
富山県
境川
24,200
ダム水路式
一般
関西電力
1993
富山
庄川
庄川
庄川合口ダム
関西電力
中野 雄神 庄川合口
6,700 14,000 570
ダム水路式 ダム水路式 ダム式
一般 一般 一般
関西電力 関西電力 土地改良区
1939 1967 2011
庄川沿岸用水土地改良区連合[ 272]
富山
小矢部川
小矢部川
刀利ダム
富山県
小矢部川第一
12,500
ダム水路式
一般
富山県企業局
1966
富山
庄川
利賀川
利賀川ダム
富山県
利賀川第一
15,400
ダム水路式
一般
関西電力
1973
富山
神通川
井田川
室牧ダム
富山県
室牧
22,000
ダム水路式
一般
富山県企業局
1961
富山
庄川
和田川
和田川ダム
富山県
庄東第二
7,400
ダム式
一般
富山県企業局
1968
石川
犀川
内川
内川ダム
石川県
新内川
7,400
ダム水路式
一般
金沢市企業局
1984
石川
大聖寺川
大聖寺川
九谷ダム
石川県
新枯渕
3,600
ダム式
一般
北陸電力
2006
石川
犀川
犀川
犀川ダム
石川県
上寺津
16,200
ダム水路式
一般
金沢市企業局
1966
石川
犀川
内川
新内川ダム
石川県
新内川
7,400
ダム水路式
一般
金沢市企業局
1984
内川ダム(新内川発電所)逆調整池[ 273]
石川
手取川
大日川
大日川ダム
石川県
大日川第一
9,000
ダム水路式
一般
北陸電力
1968
石川
手取川
手取川
手取川ダム
国土交通省 電源開発 石川県
手取川第一
250,000
ダム水路式
一般
電源開発
1979
石川
大聖寺川
大聖寺川
我谷ダム
石川県
新我谷
5,600
ダム水路式
一般
北陸電力
1966
福井
九頭竜川
九頭竜川
九頭竜ダム
国土交通省 電源開発
長野
220,000
ダム水路式
揚水上部
電源開発
1968
長野発電所の下部調整池は鷲ダム (九頭竜川・電源開発)
福井
九頭竜川
真名川
笹生川ダム
福井県
中島
18,000
ダム水路式
一般
北陸電力
1957
福井
九頭竜川
日野川
広野ダム
福井県
広野
1,400
ダム式
一般
北陸電力
1996
福井
九頭竜川
真名川
真名川ダム
国土交通省
真名川
14,000
ダム水路式
一般
北陸電力
1978
福井
九頭竜川
竹田川
龍ヶ鼻ダム
福井県
山口
1,900
ダム式
一般
北陸電力
1989
山梨
富士川
琴川
琴川ダム
山梨県
琴川第三
1,100
ダム水路式
一般
山梨県企業局
2008
[ 274]
山梨
富士川
塩川
塩川ダム
山梨県
塩川
1,100
ダム式
一般
山梨県企業局
1998
山梨
富士川
笛吹川
広瀬ダム
山梨県
広瀬
3,200
ダム式
一般
山梨県企業局
1975
山梨
相模川
葛野川
深城ダム
山梨県
深城
340
一般
山梨県企業局
2012
[ 275]
長野
信濃川
高瀬川
大町ダム
国土交通省
大町
13,000
ダム式
一般
東京電力RP
1985
再編事業中(容量変更)[ 119]
長野
信濃川
裾花川
奥裾花ダム
長野県
奥裾花 奥裾花第二
1,700 999
ダム式 ダム式
一般 一般
長野県企業局 長野県企業局
1979 2016
再生事業中[ 276]
長野
天竜川
片桐松川
片桐ダム
長野県
くだものの里 まつかわ
380
一般
長野県企業局
2021
[ 277]
長野
天竜川
小渋川
小渋ダム
国土交通省
小渋第一 小渋第二 小渋第三 小渋えんまん
3,000 6,500 550 199
ダム式 ダム水路式 ダム式 不明
一般 一般 一般 一般
長野県企業局 長野県企業局 長野県企業局 長野県企業局
1969 1969 2000 2021
[ 278]
長野
信濃川
神川
菅平ダム
長野県
菅平
5,400
ダム水路式
一般
長野県企業局
1968
長野
信濃川
裾花川
裾花ダム
長野県
裾花
14,600
ダム式
一般
長野県企業局
1969
再生事業中
長野
信濃川
高瀬川
高瀬ダム
東京電力RP (国土交通省)
新高瀬川
1,280,000
ダム水路式
揚水上部
東京電力RP
1979
再編事業中(洪水調節目的追加)[ 119]
長野
天竜川
三峰川
高遠ダム
長野県
春近 高遠
23,600 199
ダム水路式 ダム式
一般 一般
長野県企業局 長野県企業局
1958 2017
[ 279]
長野
信濃川
高瀬川
七倉ダム
東京電力RP (国土交通省)
新高瀬川
1,280,000
ダム水路式
揚水下部
東京電力RP
1979
再編事業中(洪水調節目的追加)[ 119]
長野
木曽川
王滝川
牧尾ダム
水資源機構
三尾
37,000
ダム水路式
揚水上部
関西電力
1963
三尾発電所の下部調整池は木曾ダム (王滝川・関西電力)[ 280] [ 281]
長野
木曽川
木曽川
味噌川ダム
水資源機構
奥木曽
4,800
水路式
一般
長野県企業局
1994
長野
天竜川
沢川
箕輪ダム
長野県
信州もみじ湖
199
ダム式
一般
長野県企業局
2021
[ 282]
長野
天竜川
三峰川
美和ダム
国土交通省
美和
12,200
ダム式
一般
長野県企業局
1958
再開発中
長野
信濃川
湯川
湯川ダム
長野県
森泉湯川
151
ダム式
一般
長野県企業局
2024
森泉湯川発電所建設中(ダムは運用中)[ 283]
長野
信濃川
裾花川
湯の瀬ダム
長野県
裾花 湯の瀬いとおしき
14,600 860
ダム式 ダム式
一般 一般
長野県企業局 長野県企業局
1969 2024
裾花ダム(裾花発電所)逆調整池 湯の瀬いとおしき発電所建設中(ダムは運用中)[ 284]
長野
天竜川
横川川
横川ダム
長野県
横川蛇石
199
ダム式
一般
長野県企業局
2020
[ 285]
岐阜
木曽川
阿多岐川
阿多岐ダム
岐阜県
阿多岐
190
ダム式
一般
中部電力
2015
岐阜
木曽川
馬瀬川
岩屋ダム
水資源機構
馬瀬川第一
288,000
ダム式
揚水上部
中部電力
1976
馬瀬川第一発電所の下部調整池は馬瀬川第二ダム (馬瀬川・中部電力)
岐阜
木曽川
亀尾島川
内ケ谷ダム
岐阜県
内ケ谷
720
ダム式
一般
中部電力
2025
[ 286]
岐阜
庄内川
小里川
小里川ダム
国土交通省
小里川
1,800
ダム式
一般
中部電力
2003
岐阜
木曽川
木曽川
新丸山ダム
国土交通省
丸山 新丸山
143,000 67,500
ダム水路式 ダム水路式
一般 一般
関西電力 関西電力
2029 2029
再開発中。運転開始年度はダム完成年を記す[ 287]
岐阜
木曽川
揖斐川
徳山ダム
水資源機構
徳山
163,300
ダム式
一般
中部電力
2014
岐阜
神通川
荒城川
丹生川ダム
岐阜県
丹生川
350
ダム式
一般
中部電力
2016
[ 288]
岐阜
木曽川
木曽川
丸山ダム
国土交通省
丸山 新丸山
125,000 63,000
ダム水路式 ダム水路式
一般 一般
関西電力 関西電力
1954 1971
再開発中
岐阜
木曽川
揖斐川
横山ダム
国土交通省
横山
70,000
ダム式
一般
中部電力
1964
静岡
天竜川
天竜川
秋葉ダム
電源開発
秋葉第一 秋葉第二 秋葉第三
45,300 34,900 46,900
ダム水路式 ダム水路式 ダム水路式
一般 一般 一般
電源開発 電源開発 電源開発
1958 1958 1991
静岡
天竜川
天竜川
佐久間ダム
電源開発 (国土交通省)
佐久間 新豊根
350,000 1,125,000
ダム水路式 ダム水路式
一般 揚水下部
電源開発 電源開発
1956 1972
再開発中(洪水調節目的追加)
静岡
天竜川
天竜川
船明ダム
電源開発
船明
32,000
ダム式
一般
電源開発
1977
愛知
天竜川
大入川
新豊根ダム
国土交通省 電源開発
新豊根
1,125,000
ダム水路式
揚水上部
電源開発
1972
愛知
矢作川
矢作川
矢作ダム
国土交通省
矢作第一 奥矢作第二
60,700 780,000
ダム式 ダム水路式
一般 揚水下部
中部電力 中部電力
1970 1980
奥矢作第二発電所の上部調整池は富永ダム (富永川・中部電力)
近畿
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
三重
安濃川
安濃川
安濃ダム
土地改良区
中勢用水
338
一般
土地改良区
2016
中勢用水土地改良区[ 245]
三重
淀川
青蓮寺川
青蓮寺ダム
水資源機構
青蓮寺
2,000
ダム式
一般
中部電力
1970
三重
櫛田川
蓮川
蓮ダム
国土交通省
蓮
4,800
ダム式
一般
中部電力
1991
三重
淀川
名張川
比奈知ダム
水資源機構
比奈知
1,800
ダム式
一般
中部電力
1998
三重
宮川
宮川
宮川ダム
三重県
宮川第一 宮川第二
25,600 28,600
ダム水路式 水路式
一般 一般
中部電力 中部電力
1957 1958
[ 289]
滋賀
淀川
姉川
姉川ダム
滋賀県
姉川ダム
900
一般
いぶき水力発電
2017
[ 290]
滋賀
淀川
犬上川
犬上川ダム
滋賀県
犬上
1,100
ダム水路式
一般
関西電力
1954
滋賀
淀川
愛知川
永源寺ダム
滋賀県
永源寺
5,000
ダム式
一般
関西電力
1973
京都
淀川
淀川
天ヶ瀬ダム
国土交通省
天ヶ瀬 喜撰山
92,000 466,000
ダム式 ダム式
一般 揚水下部
関西電力 関西電力
1964 1970
再開発中 喜撰山発電所の上部調整池は喜撰山ダム (寒谷川・関西電力)
京都
由良川
由良川
大野ダム
京都府
大野
11,000
ダム式
一般
京都府公営企業
1961
京都
淀川
名張川
高山ダム
水資源機構
高山
6,000
ダム式
一般
関西電力
1968
兵庫
洲本川
鮎屋川
鮎屋川ダム
土地改良区
鮎屋川ダム
16
一般
土地改良区
2016
兵庫県鮎屋川土地改良区[ 245]
兵庫
加古川
東条川
大川瀬ダム
農林水産省
大川瀬ダム
199
一般
土地改良区
2016
東播用水土地改良区[ 245]
兵庫
市川
市川
黒川ダム
関西電力
奥多々良木
1,932,000
ダム式
一般
関西電力
1974
奥多々良木発電所の下部調整池は多々良木ダム (多々良木川・関西電力)
兵庫
加古川
志染川
呑吐ダム
農林水産省
呑吐ダム
275
一般
土地改良区
2016
東播用水土地改良区[ 245]
兵庫
揖保川
引原川
引原ダム
兵庫県
原
5,000
ダム水路式
一般
関西電力
1958
再生事業中[ 291]
奈良
紀の川
紀の川
大迫ダム
農林水産省
大迫
7,400
ダム式
一般
関西電力
1996
奈良
紀の川
紀の川
大滝ダム
国土交通省
大滝
10,000
ダム式
一般
関西電力
2003
奈良
新宮川
熊野川
猿谷ダム
国土交通省
西吉野第一
13,100
ダム水路式
一般
電源開発
1955
和歌山
古座川
古座川
七川ダム
和歌山県
佐田
7,200
ダム水路式
一般
関西電力
1956
和歌山
日高川
日高川
椿山ダム
和歌山県
美山
11,400
ダム式
一般
関西電力
1988
和歌山
有田川
有田川
二川ダム
和歌山県
岩倉 二川
11,000 199
ダム水路式 ダム式
一般 一般
関西電力有田川町
1966 2016
[ 292]
中国
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
鳥取
日野川
法勝寺川
賀祥ダム
鳥取県
賀祥
260
ダム式
一般
鳥取県企業局
2013
[ 293]
鳥取
千代川
佐治川
佐治川ダム
鳥取県
佐治
5,000
ダム水路式
一般
鳥取県企業局
1983
鳥取
日野川
印賀川
菅沢ダム
国土交通省
日野川第一
4,300
ダム水路式
一般
鳥取県企業局
1968
鳥取
千代川
袋川
殿ダム
国土交通省
袋川
1,100
ダム式
一般
鳥取県企業局
2011
[ 293]
島根
周布川
周布川
大長見ダム
島根県
大長見
199
ダム式
一般
島根県企業局
2019
[ 294]
島根
三隅川
三隅川
御部ダム
島根県
御部
460
ダム式
一般
島根県企業局
1990
島根
斐伊川
神戸川
志津見ダム
国土交通省
志津見
1,700
ダム式
一般
島根県企業局
2011
[ 295]
島根
斐伊川
飯梨川
布部ダム
島根県
飯梨川第一 飯梨川第二 飯梨川第三
3,000 1,400 250
ダム水路式 水路式 ダム式
一般 一般 一般
島根県企業局 島根県企業局 島根県企業局
1968 1968 1991
島根
江の川
八戸川
八戸ダム
島根県
八戸川第一 八戸川第二 八戸川第三
6,300 2,500 240
ダム水路式 ダム式 ダム式
一般 一般 一般
島根県企業局 島根県企業局 島根県企業局
1958 1976 2000
島根
斐伊川
山佐川
山佐ダム
島根県
山佐
199
ダム式
一般
島根県企業局
2020
[ 296]
岡山
旭川
旭川
旭川ダム
岡山県 (国土交通省)
旭川第一
18,700
ダム式
一般
岡山県企業局
1954
再生事業中
岡山
高梁川
小阪部川
大佐ダム
新見市
大佐ダム
510
ダム式
一般
岡山県企業局
1987
[ 297] [ 298]
岡山
高梁川
小阪部川
小阪部川ダム
土地改良区
小阪部
5,400
ダム式
一般
中国電力
1962
岡山
吉井川
香々美川
香々美ダム
鏡野町
越畑
200
ダム式
一般
岡山県企業局
1982
[ 298]
岡山
吉井川
梶並川
久賀ダム
久賀ダム等 管理協議会
久賀
190
ダム式
一般
岡山県企業局
1982
[ 298]
岡山
吉井川
倉見川
黒木ダム
岡山県
加茂 黒木えん堤
14,000 100
ダム水路式 ダム式
一般 一般
岡山県企業局 岡山県企業局
1967 1979
岡山
高梁川
西川
河本ダム
岡山県
新見
10,900
ダム水路式
一般
岡山県企業局
1963
岡山
高梁川
成羽川
新成羽川ダム
中国電力
新成羽川
303,000
ダム水路式
揚水上部
中国電力
1968
新成羽川発電所の下部調整池は田原ダム (成羽川・中国電力)
岡山
高梁川
高梁川
千屋ダム
岡山県
千屋
3,000
ダム式
一般
岡山県企業局
1998
岡山
吉井川
津川川
津川ダム
岡山県
津川
360
ダム式
一般
岡山県企業局
1995
岡山
吉井川
吉井川
苫田ダム
国土交通省
苫田
4,600
ダム式
一般
岡山県企業局
2005
岡山
高梁川
三室川
三室川ダム
岡山県
三室
460
ダム式
一般
岡山県企業局
2006
岡山
旭川
旭川
湯原ダム
岡山県 (国土交通省)
湯原第一 湯原えん堤
26,600 360
ダム水路式 ダム式
一般 一般
中国電力 中国電力
1954 1955
再生事業中
広島
八幡川
八幡川
魚切ダム
広島県
魚切
700
ダム式
一般
中国電力
1982
広島
黒瀬川
黒瀬川
二級ダム
広島県
広
4,800
ダム水路式
一般
中国電力
1944
広島
太田川
滝山川
温井ダム
国土交通省
温井
2,300
ダム式
一般
中国電力
2001
広島
江の川
江の川
土師ダム
国土交通省
可部
38,000
ダム水路式
一般
中国電力
1975
江の川水系から太田川水系へ導水
広島
芦田川
芦田川
三川ダム
広島県
三川 三川ダム
145 460
一般 一般
尾道市農協 広島県
1967 2016
[ 245] [ 297]
広島山口
小瀬川
小瀬川
小瀬川ダム
広島県 山口県
小瀬川
630
ダム式
一般
山口県企業局
1989
広島 山口
小瀬川
小瀬川
弥栄ダム
国土交通省
弥栄
7,000
ダム式
一般
中国電力
1989
山口
阿武川
阿武川
阿武川ダム
山口県
新阿武川
19,500
ダム式
一般
山口県企業局
1975
山口
錦川
生見川
生見川ダム
山口県
生見川
1,800
ダム式
一般
山口県企業局
1984
山口
厚東川
薬師川
宇部丸山ダム
山口県
宇部丸山
130
ダム式
一般
山口県企業局
2016
[ 299]
山口
富田川
富田川
川上ダム
山口県
(名称未定)
330
ダム式
一般
山口県企業局
2024
発電所建設中(ダムは運用中)[ 300]
山口
錦川
錦川
向道ダム
山口県
錦川第一 間上 向道
4,000 5,600 500
ダム水路式 ダム水路式 ダム式
一般 一般 一般
中国電力 中国電力 中国電力
1924 1941 1952
錦川水系から富田川水系へ導水(間上発電所)
山口
厚東川
厚東川
厚東川ダム
山口県
厚東川 二俣瀬
4,000 600
ダム式 ダム式
一般 一般
UBE 山口県企業局
1950 1981
[ 301]
山口
木屋川
木屋川
木屋川ダム
山口県
木屋川
1,850
ダム式
一般
山口県企業局
1955
再開発中[ 299]
山口
佐波川
佐波川
佐波川ダム
山口県
佐波川
3,500
ダム水路式
一般
山口県企業局
1956
山口
末武川
末武川
末武川ダム
山口県
末武川
1,600
ダム式
一般
山口県企業局
1992
山口
錦川
錦川
菅野ダム
山口県
菅野
14,500
ダム式
一般
山口県企業局
1965
山口
錦川
錦川
平瀬ダム
山口県
平瀬
1,100
ダム式
一般
山口県企業局
2024
[ 299]
四国
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
徳島
吉野川
吉野川
池田ダム
水資源機構
池田
5,000
ダム式
一般
四国電力
1975
徳島
那賀川
那賀川
小見野々ダム
四国電力 (国土交通省)
蔭平
46,800
ダム水路式
揚水上部
四国電力
1968
再生事業中(洪水調節目的追加)
徳島
那賀川
那賀川
長安口ダム
国土交通省
蔭平 日野谷
46,800 62,000
ダム水路式 ダム水路式
揚水下部 一般
四国電力徳島県企業局
1968 1955
徳島
勝浦川
勝浦川
正木ダム
徳島県
勝浦
11,300
ダム水路式
一般
徳島県企業局
1977
愛媛
仁淀川
割石川
面河ダム
愛媛県
道前道後第一 道前道後第二 道前道後第三 畑寺
3,500 11,000 10,600 530
ダム式 水路式 水路式 不明
一般 一般 一般 一般
愛媛県公営企業管理局 愛媛県公営企業管理局 愛媛県公営企業管理局 愛媛県公営企業管理局
1964 1964 1964 2015
仁淀川水系から中山川水系へ導水[ 302]
愛媛
肱川
肱川
鹿野川ダム
国土交通省
肱川
10,400
ダム式
一般
愛媛県公営企業管理局
1958
愛媛
加茂川
加茂川
黒瀬ダム
愛媛県
黒瀬
2,000
ダム式
一般
住友共同電力
1982
愛媛
国領川
国領川
鹿森ダム
愛媛県
山根
6,700
ダム水路式
一般
住友共同電力
1966
愛媛
中山川
志河川
志河川ダム
土地改良区
志河川ダム
49
一般
土地改良区
2016
道前平野土地改良区[ 245]
愛媛
吉野川
銅山川
新宮ダム
水資源機構
銅山川第三
11,700
ダム水路式
一般
愛媛県公営企業管理局
1975
愛媛
吉野川
銅山川
富郷ダム
水資源機構
富郷
2,900
ダム式
一般
愛媛県公営企業管理局
2001
愛媛
吉野川
銅山川
別子ダム
住友共同電力
東平
20,000
ダム水路式
一般
住友共同電力
1966
吉野川水系から国領川水系へ導水
愛媛
吉野川
銅山川
柳瀬ダム
国土交通省
銅山川第一 銅山川第二
14,300 2,600
ダム水路式 ダム水路式
一般 一般
愛媛県公営企業管理局 愛媛県公営企業管理局
1953 1954
高知
仁淀川
仁淀川
大渡ダム
国土交通省
大渡
33,000
ダム水路式
一般
四国電力
1981
高知
鏡川
鏡川
鏡ダム
高知県
鏡川
3,300
ダム式
一般
四国電力
1966
高知
松田川
松田川
坂本ダム
高知県
坂本
1,100
ダム式
一般
四国電力
2000
高知
吉野川
吉野川
早明浦ダム
水資源機構
早明浦
42,000
ダム式
一般
電源開発
1972
再生事業中
高知
物部川
物部川
永瀬ダム
高知県
永瀬
22,800
ダム水路式
一般
高知県公営企業局
1955
九州
所在
水系
河川
ダム
ダム事業者
発電所
認可出力
発電形式
発電種類
電気事業者
運開年
備考
福岡
今川
今川
油木ダム
福岡県
油木
780
一般
北九州市上下水道局
1996
[ 303]
福岡
那珂川
那珂川
五ケ山ダム
福岡県
五ケ山ダム
420
一般
福岡県
2018
福岡
瑞梅寺川
瑞梅寺川
瑞梅寺ダム
福岡県
瑞梅寺ダム
110
ダム式
一般
糸島市
2016
[ 304]
福岡
矢部川
矢部川
日向神ダム
福岡県
大渕
7,500
ダム式
一般
福岡県企業局
1961
福岡
筑後川
巨瀬川
藤波ダム
福岡県
うきは藤波
162
一般
うきは市
2017
[ 305]
福岡
紫川
紫川
ます渕ダム
福岡県
ます渕
520
一般
北九州市上下水道局
1994
[ 303]
福岡
那珂川
那珂川
南畑ダム
福岡県
南畑 ちくし
1,600 550
水路式 ダム式
一般 一般
九州電力 福岡県企業局
1911 1992
佐賀
嘉瀬川
嘉瀬川
嘉瀬川ダム
国土交通省
嘉瀬川
3,000
ダム式
一般
九州電力
2012
佐賀
松浦川
厳木川
厳木ダム
国土交通省
天山
600,000
ダム水路式
揚水下部
九州電力
1986
天山発電所の上部調整池は天山ダム(天山川・九州電力)
佐賀
鹿島川
中川
中木庭ダム
佐賀県
中木庭
196
一般
九州電力九電工 西技工業
2016
[ 306]
佐賀
嘉瀬川
嘉瀬川
北山ダム
土地改良区
小関
5,600
ダム水路式
一般
九州電力
1957
熊本
球磨川
球磨川
市房ダム
熊本県
市房第一
15,100
ダム式
一般
熊本県企業局
1960
熊本
球磨川
球磨川
幸野ダム
熊本県
市房第二
2,300
ダム水路式
一般
熊本県企業局
1960
熊本
緑川
緑川
緑川ダム
国土交通省
緑川第一
28,500
ダム式
一般
熊本県企業局
1970
大分
五ヶ瀬川
北川
北川ダム
大分県
北川
25,100
ダム水路式
一般
大分県企業局
1962
大分
筑後川
津江川
下筌ダム
国土交通省
下筌
15,000
ダム式
一般
九州電力
1969
大分
大分川
芹川
芹川ダム
大分県
芹川第一
11,000
ダム水路式
一般
大分県企業局
1956
大分
筑後川
筑後川
松原ダム
国土交通省
松原
50,600
ダム式
一般
九州電力
1971
大分
山国川
山移川
耶馬渓ダム
国土交通省
耶馬渓
1,400
ダム式
一般
大分県企業局
1984
宮崎
大淀川
綾北川
綾北ダム
宮崎県
綾第一・北機
12,000
ダム水路式
一般
宮崎県企業局
1958
[ 307]
宮崎
大淀川
本庄川
綾南ダム
宮崎県
綾第一・南機
13,000
ダム水路式
一般
宮崎県企業局
1958
[ 307]
宮崎
大淀川
岩瀬川
岩瀬ダム
宮崎県 (国土交通省)
岩瀬川
18,600
ダム式
一般
宮崎県企業局
1967
再生事業中
宮崎
大淀川
綾北川
古賀根橋ダム
宮崎県
綾第二
28,000
ダム水路式
一般
宮崎県企業局
1959
宮崎
大淀川
綾北川
田代八重ダム
宮崎県
田代八重
5,600
ダム式
一般
宮崎県企業局
2000
宮崎
一ツ瀬川
三財川
立花ダム
宮崎県
立花
13,400
ダム水路式
一般
宮崎県企業局
1963
宮崎
小丸川
渡川
渡川ダム
宮崎県
渡川
12,000
ダム水路式
一般
宮崎県企業局
1955
宮崎
広渡川
酒谷川
日南ダム
宮崎県
酒谷
520
ダム式
一般
宮崎県企業局
2016
[ 307]
宮崎
五ヶ瀬川
祝子川
浜砂ダム
宮崎県
浜砂
2,400
ダム式
一般
宮崎県企業局
1992
宮崎
五ヶ瀬川
祝子川
祝子ダム
宮崎県
祝子 祝子第二
16,800 35
ダム水路式 ダム水路式
一般 一般
宮崎県企業局 宮崎県企業局
1973 2012
[ 307]
宮崎
小丸川
小丸川
松尾ダム
宮崎県
石河内第一
22,200
ダム水路式
一般
宮崎県企業局
1950
鹿児島
川内川
川内川
鶴田ダム
国土交通省
川内川第一
120,000
ダム式
一般
電源開発
1965
脚注
参考文献・出典
建設省河川局 『太田川水系工事実施基本計画』、1974年
建設省河川局編『日本における多目的ダムの概要』全国河川総合開発促進期成同盟会、1954年
建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第一巻、1955年
建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第二巻、1955年
建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第三巻、1957年
建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第四巻、1959年
建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第八巻、1964年
建設省河川局監修『多目的ダム全集』国土開発調査会、1957年
建設省河川局監修・財団法人 ダム技術センター 編『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』山海堂 、1990年
建設省河川局監修・財団法人ダム技術センター編『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』山海堂、1990年
建設省河川局監修・全国河川総合開発促進期成同盟会編『日本の多目的ダム 1963年版』山海堂、1963年
建設省九州地方建設局筑後川工事事務所編『筑後川五十年史』、1976年
建設省治水調査会編『北上川上流改訂改修計画』、1949年
建設省治水調査会編『利根川改訂改修計画』、1949年
国土交通省 中国地方整備局 中国地方ダム等管理フォローアップ委員会編『高瀬堰定期報告書』、2006年
財団法人日本ダム協会 『ダム年鑑 1991』、1991年
30年史編集委員会編『電発30年史』電源開発、1984年
占冠村役場編『占冠村史』、1963年
社団法人 中部建設協会編『天竜川 治水と利水』建設省中部地方建設局浜松工事事務所、1990年
社団法人日本河川協会監修『河川便覧 2004』国土開発調査会、2004年
高崎哲郎『湖水を拓く 日本のダム建設史』鹿島出版会、2006年 ISBN 4-306-09381-6
電源開発企画部編『10年史』電源開発、1962年
沼田市編『沼田市史』第五巻近代現代編、2005年
「北海道のダム」編集委員会編『北海道のダム 1986』北海道広域利水調査会、1986年
水資源開発公団編『水資源開発公団30年史』財団法人水資源協会、1992年
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
日本のダム に関連するカテゴリがあります。
外部リンク