名古屋駅
名古屋駅(なごやえき)は、愛知県名古屋市中村区名駅にある、東海旅客鉄道(JR東海)・日本貨物鉄道(JR貨物)・名古屋臨海高速鉄道・名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)の駅である。 概要中部地方・東海地方最大のターミナル駅であり、JR東海の広域輸送拠点となっている。JRは東海道新幹線の全列車が停車し、在来線は当駅を中心に各方面へ特急列車が発着している。市内各所を結ぶあおなみ線、名古屋市営地下鉄も乗り入れており、近接する名鉄名古屋駅や近鉄名古屋駅とあわせ、中京圏最大の鉄道ターミナルとして機能している。運営各企業ごとの区分のため、「JR名古屋駅」、「あおなみ線名古屋駅」、「地下鉄名古屋駅」(または「東山線名古屋駅」「桜通線名古屋駅」)と呼ばれることが多い。 略称の「名駅(めいえき)」は当駅周辺の地域名及び当駅が立地する行政上の町名となっており、中部地方最大の繁華街である栄と並ぶ名古屋を代表する繁華街・オフィス街として賑わっている。表玄関の東口は近年の再開発により日本有数の超高層ビル街にまで成長している。 JR東海本社も入居する駅ビル「JRセントラルタワーズ」は都市再開発によって1999年に竣工し、2010年現在、世界一売り場面積の広い駅ビルとしてギネス・ワールド・レコーズに申請されている。名古屋のランドマークとなり、利便性を生かして核テナントのJR名古屋タカシマヤは多大な集客力を誇っている。このビルを発端として、現在では2027年開業予定のリニア中央新幹線に向けて、今まで開発がされていなかった西口を含めて駅周辺は数多くの再開発計画が進められている[1]。 第2回中部の駅百選に選定されている。 乗り入れ・接続路線
次の駅と接続しており、乗り換えが可能となっている。 列車ダイヤJR東海新幹線は「のぞみ」を含め全列車が停車する。 東海道新幹線は、ほとんどの列車が当駅を跨いで運転されるが、一部当駅を始発・終着とする列車がある。早朝には東京行き、新大阪方面行きとなる「のぞみ」が、深夜には新大阪方面から当駅終着となる「のぞみ」が運行される。東京方面から1時間に2本運行される「こだま」のうち1本が当駅で折り返し、1時間に2本ある「ひかり」のうち1本は当駅から各駅停車になる。2006年3月18日のダイヤ改正以降[3]、当駅で「こだま」が「のぞみ」を待避し、緩急接続する事例は朝の下りと深夜の上りに限られていたが、2020年3月14日のダイヤ改正で、終日に渡って「ひかり」・「こだま」が「のぞみ」を待避する事例が見られるようになった(一部は臨時列車の待避となり、運転されない場合もある)[注釈 1]。 東海道本線は、早朝・深夜以外は当駅で快速系統と普通列車が緩急接続を行うダイヤになっている(日中は快速などの優等種別の5分後に普通が発車する)。ただし、2019年10月1日現在1番線(2018年3月17日から2019年9月30日までは2番線)の使用が停止されているため、上り列車はホームの移動が必要となる[5]。また、寝台特急サンライズ瀬戸・サンライズ出雲は上下列車とも当駅を通過する。 中央本線及び関西本線はすべての列車が当駅始発・終着である[6]。なお、かつて中央線の列車は東海道本線に直通していたが、2022年3月12日のダイヤ改正に伴い、中央線の列車は全て当駅始発・終着になった。 駅ビル→詳細は「JRセントラルタワーズ」および「JRゲートタワー」を参照
1999年に完成したJR名古屋駅の駅ビル「JRセントラルタワーズ」は54階建てで、百貨店やホテル、オフィスなどで構成される超高層複合商業ビルである。JR東海の本社も入居している。245mの高さを誇り、完成からの数年間は「世界一背の高い駅ビル」としてギネスブックに登録されていた。また、名古屋のランドマークとして人気スポットになっている。ジェイアール名古屋タカシマヤがキーテナントとして入居しており、栄の老舗百貨店である松坂屋を超える売上高を誇り、その規模は中部地方のみならず日本有数である。 歴史日本の東西両京を結ぶ鉄道路線計画は、東海道経由と中山道経由のいずれにするかが、明治10年代後半まで決定されていなかった。1884年(明治17年)に中山道ルートの採用が決定し(中山道幹線を参照)たが、その建設資材を搬入するため、太平洋側と中山道を結ぶ鉄道路線が同時に計画された。三河湾に面した知多半島の武豊港と岐阜を結ぶ路線(現在の東海道本線の一部及び武豊線)がそれで、武豊駅を起点に工事が進められた。 1886年(明治19年)4月1日に熱田 - 枇杷島(当時の駅名は清洲駅)間が開業し、その翌月の5月1日に名護屋停車場が開設された。現在の駅より200 mほど南方、当時の広井村笹島地内[7][8]-で葦が茫々と繁る湿地帯であった。金山付近は台地(熱田台地)のため線路を切土構造にして、そこで発生した土砂を運搬して湿地帯に盛土するという土木工事が行われた。これが名護屋駅開業が遅れた理由だという[9]。 開業の翌年には名古屋駅と改称されるが、当時は『笹島ステンション』(『ステン所』の意[10])と広く呼ばれていた[11][12]。 その後、東西両京を結ぶ幹線鉄道は碓氷峠など山岳地帯の工事が予想以上に難航するとみられたこと、さらに当時の名古屋区長(現在の市長格)である吉田禄在が中山道幹線では名古屋を通過しないことになり、名古屋の衰退を招くと、東海道経由への計画変更を政府へ働きかけたこともあり[13]、岐阜以東の幹線鉄道ルートは美濃路・東海道経由に変更され、名古屋は東海道幹線上の駅とされることとなった。またこの吉田により、名古屋駅の近くを通り、名古屋駅と市街地を結ぶ道となる広小路通も拡幅され、後の1898年(明治31年)には京都電気鉄道に次いで日本で2番目の路面電車となる名古屋電気鉄道(→名古屋市電)がこの通り上へ開通している(笹島 - 県庁前間)。 1892年(明治25年)には、前年の濃尾地震で倒壊した初代駅舎に代わって、2代目の駅舎が竣工。そして1895年(明治28年)には関西本線の前身となる私鉄の関西鉄道が当駅まで乗り入れ、1900年(明治33年)には現在の中央本線となる官営鉄道線が名古屋駅を起点に多治見まで開業し、複数路線が乗り入れるターミナル駅へと成長した。 なお、関西鉄道は後に名阪間輸送で官営鉄道と競うことを見込み、名古屋乗り入れ翌年の1896年(明治29年)には名古屋駅のすぐ南方、現在では名古屋車両区がある辺りに独自ターミナルの愛知駅を開設しているが、鉄道国有法に基づき関西鉄道が国有化されたことにより、国有化2年後の1909年(明治42年)に廃止されている。 1889年(明治22年)には日本の鉄道総延長1,000マイル (1,609 km) 達成記念、1906年(明治39年)には5,000マイル (8,046 km) 達成記念の祝賀行事がそれぞれ名古屋で開催された[14]。 1937年(昭和12年)には高架化工事が竣工し、駅は北へ200mほど移転した。新駅舎は鉄筋コンクリート造り、地上5階(一部6階)地下1階、延べ床面積7万㎡、国内最大級の駅舎だった。この駅舎は、セントラルタワーズの建設工事が始まる1993年(平成5年)10月まで使用された。 名古屋市営地下鉄東山線は、建設当初、国鉄との相互直通運転を行う計画があり、国鉄ホームの東側に地上ホームの設置計画があったが列車本数が増加することもあり断念。結局、東口の地下にホームが建設された。 将来は、リニア中央新幹線の駅が併設される[15]。JR東海は、将来の関西圏延伸までに大多数の乗客が行う既存新幹線や在来線各線との相互乗り換えに配慮し、名古屋駅新幹線ホーム北東直下の大深度に新駅を建設した場合に乗り換えにかかる移動時間が3分 - 9分であると試算報告し、既存の名古屋駅を拡張する計画である[16]。 年表JR東海
名古屋臨海高速鉄道
名古屋市営地下鉄
その他
駅構造JR東海
在来線・新幹線ともに高架ホームとなっている。 新幹線は構内西側の島式ホーム2面4線(14番線 - 17番線)を使用する。このうち外側の14・17番線が本線、内側の15・16番線が副本線である。副本線の北方に引上線があり、さらにその北方からは新大阪方の名古屋車両所へ繋がる支線が分岐している。全列車が停車するため、東京駅などと同様に以前は固定式の安全柵が設置されていたが、2016年2月9日に可動式安全柵の設置が完了した[47]。 在来線は島式ホーム6面12線を使用する。9番線はホームのない中線[注釈 5][54] である。東海道本線は2・6番線、中央本線は7・8番線、関西本線は11・12番線が本線である。 リニア中央新幹線工事に伴い1番線は2019年10月1日から使用停止中であり[PR 3]、2021年3月までに転落防止用のフェンスが設置されている[注釈 6]。2023年以降はこの1番線の一部を活用し、期間を区切りながらビアガーデンやラーメン店などを出店させている[55][56][57][58]。12・13番線ホームは他のホームと比較して短く、エスカレーターが設置されていない(エレベーターは設置されている)ほか、階段の設置数も他のホームより少ない[59]。JRセントラルタワーズ建設に伴い、直下に位置する1・2番線ホームが造り直された。当駅の在来線の構内は軌道中心間隔が約4.6mと広く取られている(日本の改軌論争を参照)。 2024年1月11日の始発列車より、6番線の可動式安全柵が使用されている[PR 7]。 在来線13番線と新幹線14番線の間には、13番線側から名古屋車両区出入庫線[注釈 7]・稲沢線本線[注釈 8]がある[54]。構内には折り返し用の留置線が設けられているほか、分岐器も多数あり、各路線間の転線が可能な配線になっている。ただし、1・2番線は東海道本線上りの発着以外には使用できない。また13番線から東海道本線(上下とも)への発車など、配線上は可能でも信号上の進路が構成されていない組み合わせも一部ある。なお当駅構内の在来線で立体交差になっているのは駅南西側の西名古屋港線(あおなみ線)と関西本線および名古屋車両区出入庫線の交差のみである[54]。 長らく在来線ホームでは接近時、発車時に独自の発車ベルが使用されていたが、2012年9月9日に在来線運行管理システムの更新が行われ、独自の発車ベルは使われなくなり、アナウンス更新(英語アナウンスも導入)及び接近メロディが導入された。なお、アナウンスは2011年以降に導入された中央線、2014年11月に導入された東海道線のものとはやや異なる。 2020年から列車見張員に対して列車接近を確実に把握できるようにするため、在来線構内の線路に青色LED表示灯が設置された。ホームから約800メートルの範囲で東京方面に233個、大阪方面に159個、合計392個設置[61]。列車がいない間は点灯しているが、列車接近時になると点滅するようにしている[PR 8]。 2020年現在、前述したように中央新幹線の島式プラットホーム2面4線が東海道新幹線ホームの北東直下に東西方向で工事中である[62]。 駅長・駅員配置駅(直営駅)であり、管理駅として、尾頭橋駅・枇杷島駅の2駅を管理している。また事務管コードは、▲530116である。なお、名古屋市内の事務管コードは、▲539901が用いられている[63]。 のりば(JR東海)以下は2024年3月16日現在の内容[64][65][PR 3]。
(出典:JR東海:駅構内図)
新幹線配線図
改札口・出入口北通路に西から新幹線北口と同連絡改札・中央北口・桜通口があり、中央通路には西から新幹線南口と同連絡改札・南通路との連絡路や中央改札がある。 南通路には西から太閤通南口・あおなみ線連絡改札・中央通路との連絡路・近鉄連絡改札に至る階段・広小路口のそれぞれ在来線改札が並ぶ。 太閤北口はリニア中央新幹線の建設工事に伴い閉鎖され、その代わりに設置されたのが中央北口である。
特記事項2006年3月末、自動体外式除細動器 (AED) が在来線ホーム・新幹線ホームに各1箇所、中央口・新幹線口・北口(新幹線側)に各1箇所設置された。 近鉄連絡改札口(近鉄名古屋駅の改札内)での係員による出札窓口は2017年10月31日で終了し、翌11月1日から「サポートつき指定席券売機」が設置されている[PR 9]。 7番・8番線には2025年にホームドアの設置が決定している。開閉方式は金山駅で採用された京浜急行電鉄等と同様のQRコード読み取り式を採用する[PR 10]。 在来線・新幹線ホーム共に名古屋名物のきしめんを販売する飲食店がある[69]。 かつて新幹線南口の精算所の横にはJR6社で唯一、入場券専用の自動券売機が1台設置されていた。ホームの飲食店できしめんなどを食べる客の需要が多いためであり、2014年時点で撤去の見込みは無いとしていた[70] が、新幹線南口の自動改札機の増設工事により、2015年9月27日に営業を終了した。
名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)
あおなみ線のプラットホームはJR在来線の西側に位置する稲沢線と西名古屋港線にまたがる形で本線上に置かれている。島式ホーム1面2線を有し、可動式ホーム柵が設置されている。なお、プラットホーム自体はかなり長くなっているが、列車が停車しない南側の部分は柵で覆われ、立ち入り禁止となっている。引き上げ線はなく、終端側はそのまま稲沢線の本線となるため構内に車止めも存在しない。 出札及び改札口はJR太閤通南口に隣接して設置されている。あおなみ線の改札口はこの1ヶ所のみで、プラットホームの北端に当たる。JRとの連絡改札口(無人改札、双方とも改札内に相手方の自動券売機を2台設置)も設けられているが、名鉄や近鉄、地下鉄東山線への乗り換えや駅東側へ至るにはJR名古屋駅の中央コンコース又は駅南側で交差する公道まで大きく迂回するか、JRの入場券を用意した上でJRの改札内を通り抜ける必要がある。 終日駅員が配置され、隣のささしまライブ駅を巡回駅として管理している。 のりば(あおなみ線)
(出典:あおなみ線:駅構内図)
名古屋市営地下鉄
改札口は桜通線側と東山線側に3ヶ所ずつある。地下鉄の駅名サインがある出入口は桜通線側に3ヶ所、東山線側に10ヶ所ある。桜通線への出入口はJR名古屋駅コンコースにも3か所(桜通口付近、太閤通口付近、うまいもん通り付近)ある。桜通線と東山線との乗り換えは連絡通路を経由することで可能である。連絡通路のエレベーターは2020年3月24日に供用された。 名古屋市営地下鉄では最も利用客の多い駅であり、東山線のみで乗車人員は11万人を超えている。東山線は当駅と伏見駅の間が最も混雑率が高く、桜通線が開業するまでは混雑率が250%に至ったこともあった。 名古屋市営地下鉄で唯一駅長室が2つある駅であり、東山線側と桜通線側にそれぞれ設けられている。東山線駅務区名古屋管区駅が管轄する駅であり、八田駅、中村公園駅 - 名古屋駅と、新栄町駅 - 本郷駅(今池、池下、本山、星ヶ丘を除く)の各駅を管理している[71]。 東山線コンコースの周囲には地下街が広がっている。エレベーターは、地上と地下鉄改札周辺とを結ぶものは中改札口近くから地上に直接出られるもののほか、ミッドランドスクエア内、大名古屋ビルヂング内、JRゲートタワー内、JPタワー名古屋内、名古屋ルーセントタワー内のものがある。 桜通線コンコースは東山線や名鉄名古屋本線よりも深い位置にあるために階段などでの上下移動が必要であるが、地上へ出ることなくエスカ地下街やユニモール地下街、ジェイアール名古屋タカシマヤ地下階へ繋がっている。
のりば(地下鉄)
(出典:名古屋市営地下鉄:駅構内図)
桜通線ホームJR名古屋駅中央コンコースの真下地下4階に位置し東西に延びている。島式ホーム1面2線で可動式ホーム柵が設置されている。ホームの有効長は8両分あるが、列車は全て5両編成(乗車位置番号は、双方とも前から①・②の順で、最後尾5両目の4つ目のドアが⑳)であるため、列車が停車しない部分は柵で遮断されている。桜通線の各駅は、2011年(平成23年)度のホームドア設置以降順次「駅アクセントカラー」が設定されており、当駅のアクセントカラーはセピア■である。地下3階のコンコースとホームを結ぶエレベーターは中央と東端(徳重寄り)の2ヶ所設置されている。エレベーターのみを使用して東山線へ乗り換える場合、東端のエレベーターを使う必要がある。 東山線ホーム駅東側の名駅地下街(メイチカ)の真下地下2階に位置し、近鉄名古屋駅や名鉄名古屋駅と平行している。島式ホーム1面2線で12両分の有効長を持ち、南側半分(1957年の開業時より設置)を藤が丘方面行きホーム(6両分)、北側半分(1969年の中村公園延伸時に延長)を高畑方面行きホーム(6両分)が使用する千鳥配置になっている。列車が停車しない部分は柵等で遮断されている。2015年10月25日より可動式ホーム柵の使用を開始した[PR 5]。 亀島寄りに片渡り線がある。これは中村公園延伸の時に設置されたもので、それまでは伏見寄りに両渡り線が設置されていた。1976年までは名古屋駅での夜間滞泊があり、藤ヶ丘駅(現・藤が丘駅)行の初発電車と星ヶ丘駅発の最終電車が名古屋駅始発・終着であった[PR 11]。 当駅の開業から1969年の中村公園延伸の時まで使用された車止めは、名古屋市科学館に移設され保存車であるSL(2412号車)の車止めとして使用された[72]。 コンコースとホームを結ぶエレベーターは従来高畑方面ホーム北端、北改札口側にのみあり藤が丘方面ホームからは距離があったが、2020年3月13日に中改札口内にも増設された。 東山線配線図
貨物・荷物取扱貨物取扱2024年現在、名古屋駅は「臨時車扱貨物取り扱い駅」となっているが[74]、定期貨物列車の発着は無く、荷役設備や当駅に接続する専用線も存在しない。2023年度まで名古屋港駅発のレール輸送の到着駅となっており、概ね週3回機関車が牽引するキヤ97が到着して切り離し作業が行われていたが、名古屋港線の廃止に伴いこの輸送は終了した[75]。現在は、鉄道車両メーカなどと当駅に近接する名古屋車両区との車両輸送(甲種輸送)が稀に行われるのみである。近年であると2022年に豊川駅の日本車輌から東海旅客鉄道名古屋工場にHC85系が甲種輸送された事例がある[注釈 10][76]。 開業当初から名古屋駅は貨物の取り扱いがあり有蓋車などが多く発着しており、1936年時点で年間発送貨物量457.874トン、年間到着貨物量754.636トンとなっていた[77]。貨物取扱量の増加により設備が逼迫したため、中川運河の開削に合わせて南西の笹島地区に大規模な荷役設備が整備された。この貨物流通拠点は1937年(昭和12年)に名古屋駅から独立して笹島駅となった。しかしトラック輸送への転換や名古屋貨物ターミナル駅への鉄道貨物の集約に伴い、1986年に笹島駅は廃止となった。その笹島駅が廃止された翌年の1987年(昭和62年)3月31日(JR発足前日)に、貨物の取り扱いが書類上復活した。前述の名古屋港駅発のレールや各駅に発送される新聞紙など僅かな物資の発着が細々と続く形となった。
荷物取扱荷物営業も、小荷物や旅客手荷物を中心に取り扱っていたが、1979年(昭和54年)3月までに「ブルートレイン便」や一部の新聞紙などを除く大部分の小荷物取扱機能を熱田駅に移転した。その後熱田駅の小荷物取扱は1986年(昭和61年)11月1日に廃止されている。残った「ブルートレイン便」は2005年(平成17年)3月1日に、東海道新幹線を使用する「レールゴー・サービス」も2006年(平成18年)3月18日に廃止された。これらとは別に1990年代後半までJR東海が名古屋駅で発生したゴミを有蓋車に積載してディーゼル機関車により八田駅まで輸送していた。この輸送車は「じんあい運搬車」「ゴミワム」などの愛称で呼ばれていたが、八田駅の高架化工事に伴い終了し、1998年にJR東海所属の有蓋車も全廃となった。新聞紙輸送は近鉄・名鉄と並んで国鉄でも古くから中央線・関西線・紀勢線・高山線向けなどで行われており[注釈 11]、現在は旅客列車を用いて新聞紙を取り扱っている。近年、JR東海は新幹線を用いた青果物などの輸送の実証実験をしており、2024年に法人向けの即日荷物輸送サービス「東海道マッハ便」が名古屋駅-東京駅・名古屋駅-大阪駅間が開始された[79]。 駅弁当駅は、複数の業者が激しい競争を繰り広げている駅弁激戦区である。また、リニューアルも激しく、新製品が登場から半年で消滅する例も珍しくない。かつては幕の内や寿司弁当が人気であったが、近年は「みそかつ」「名古屋コーチン」「ひつまぶし」など名古屋独自の食文化をストレートに弁当化したものが人気である。駅弁業者は松浦商店・名古屋だるま・ジェイアール東海パッセンジャーズの3社。
また、駅弁ではないが、前述のように新幹線・在来線ホームともきしめんの店が古くから営業され、人気である。 利用状況乗換駅である名鉄名古屋駅・近鉄名古屋駅を含めた名古屋駅全体の乗降客数は1日平均1,294,838人(2019年度)であり、中部地方において最多である。また、東海道新幹線のみの乗車人員に限ると1日約7万人で、東京駅、新大阪駅に次いで多い[81]。 2019年度の年間乗車人員(括弧内は一日平均)
上記の数字はいずれも、各社局内の駅の中で第1位である[注釈 12]。 2012年度の1日平均乗降者数
国鉄時代の1日平均乗車人員近年の一日平均乗車人員
駅周辺名駅(めいえき)名古屋駅の略称である名駅は、名古屋市中村区、西区の町名となっている。駅の表玄関である東口を中心に、栄とともに名古屋を代表する繁華街・オフィス街として知られ、1999年のJRセントラルタワーズ開業を契機に近年の再開発により日本屈指の超高層オフィス街にまで発展している。JRセントラルタワーズの核テナントであるジェイアール名古屋タカシマヤは、2011年以降栄の老舗百貨店である松坂屋の売上を上回る地域一番店となるまで成長し、店舗別売上高としては日本4位の売上を誇る。駅周辺では2027年のリニア中央新幹線開業に向けて、今まで再開発が遅れていた駅西側(太閤通口)を含めたさらなる再開発計画が進められている[1]。 住所としての名駅名古屋市中村区と西区に置かれている。中村区名駅は1丁目から5丁目まで、西区名駅は1丁目から3丁目まで設置されている。 名古屋駅は中村区名駅1丁目と西区名駅1丁目に跨っている(ただし、駅ビル(セントラルタワーズ)など駅建築施設の大半は中村区側にあり、西区に所在するのは駅構内のホーム下り側(岐阜方面)半分とゲートタワーの一部のみである)。 方面別の概要東側(桜通口・広小路口)旧来から名古屋の玄関口で、バス・地下鉄・近鉄・名鉄やJR間の乗り換え客などで人通りが多く商業施設も多い。 主な大型商業施設は、JRセントラルタワーズ内のジェイアール名古屋タカシマヤを筆頭に、近鉄パッセ・名鉄百貨店本店・ヤマダデンキLABI名古屋・ミッドランドスクエア・名鉄レジャックなどがある。また市バスターミナルの他、市内最大のバスターミナル「名鉄バスセンター」もある。地下にはサンロードやメイチカ・ゲートウォーク・ユニモール・ミヤコ地下街と広大な地下街が広がる。 西側(太閤通口)太閤通口は「新幹線口」「西口」「駅西」とも呼ばれる。また「駅裏」と呼ばれることもある。地下にはエスカ地下街がある。駅北西には名古屋市を本拠地とする河合塾などの大手予備校や学習塾が進出し学生街や若者街として発展している。付近にはアニメショップや同人ショップが林立し、オタク街としての一面も持つ。また、会員制ツアーバスやジェイアール東海バスのバスが発着する。駅前広場はテレビ番組のロケでよく使用される。 桜通口や広小路口側に比べると開発が遅れていることから、少し入ると昔ながらの商店が多く残っている。かつて花街として栄え、現在は特殊浴場街である大門(おおもん)地区も徒歩圏内である。 南側(ささしまライブ24)→詳細は「ささしまライブ24」を参照 かつて名古屋駅南側に広がっていた笹島駅(貨物駅)の再開発エリア。東海道線と関西線に挟まれたエリアで、新都心を形成している。 主な施設
桜通口方面
広小路口方面
太閤通口方面
バス路線名古屋駅太閤通口JRハイウェイバスのりばJR名古屋バスターミナル[94] は、JR名古屋駅の太閤通口にあるジェイアール東海バスが管理運営する高速バスターミナルである。停留所名は名古屋駅(新幹線口)停留所。 駅に「新幹線口」という出口はないが、新幹線結節を分かりやすくするためこの名を名乗っており、案内図でも出口名より新幹線北改札口の至近にあることを強調している。現地では「JRハイウェイバスのりば」を目印に掲げている。 桜通口にあったバスターミナル(名古屋ターミナルビル)の取り壊しに伴い移転し、2010年12月9日より使用開始した。 桜通口に市バスターミナルが復活した後も引き続き使われており、元の場所には戻らなかった。但しJR東海バスが主催するつばめツアーの集合バスは市バスターミナルの12番のりばとなっている。 1番のりば
2番のりば
3番のりば
4番のりば
5番のりば
6番のりば
名古屋市営バス32番のりば33番のりば
34番のりばその他事業者
旧ツアーバス事業者太閤通口には、いわゆるツアーバスなど貸切バスや団体バス用の乗降スペースが2箇所ある(愛知県バス協会が管理)が、2013年7月31日から新高速バス制度施行に伴い、高速ツアーバスから移行した事業者が新たに停留所を設置した。なお、一部の便はささしまライブ駅近くの名古屋南バス停から発車する。 名古屋駅西口
名古屋駅(則武一丁目)
名古屋VIPラウンジ
名古屋駅桜通口名古屋ターミナルビル(名古屋バスターミナル)の1階にJRハイウェイバスのりば(JR東海バスなどが発着)、2階・3階に名古屋市営バスが発着していたが、ターミナルビル取り壊しのためJRハイウェイバスは2010年12月9日に太閤通口へ移転、名古屋市営バスは同年12月23日より駅周辺に移転していた。 2017年4月1日、JRゲートタワーとJPタワー名古屋の1階に新たに名古屋駅バスターミナルを整備。桜通口周辺に散らばっていた停留所が集約された。 →詳細は「名古屋駅バスターミナル」を参照
名古屋駅広小路口JR広小路口と名鉄名古屋駅西側の間(成城石井前)に所在し、JR東海バスが管理している。 現在定期バスの発車はなく、降車のほか貸切バスの乗車などで不定期に使用される。 ミッドランドスクエア前
名鉄百貨店前名鉄バスセンター名鉄バスセンターは、名鉄百貨店メンズ館3階・4階に所在し、名鉄バスや三重交通などの高速バス・路線バス・深夜・長距離バスなどが発着している。 →詳細は「名鉄バスセンター」を参照
笹島町停留所名古屋駅南側、笹島交差点付近に所在する。名古屋駅バスターミナルや名鉄バスセンターなどを発着しない路線バスへの接続停留所としての役割を担っている。 無料シャトルバス(無料送迎バス)桜通口付近
太閤通口付近
広小路口付近ミッドランドスクエア前(シャトルバス)笹島付近
登場作品など
隣の駅※新幹線各列車と、在来線の特急列車については各列車記事を参照のこと。
廃止区間
脚注注釈
出典
広報資料・プレスリリースなど一次資料
統計資料
参考文献
関連項目
外部リンク
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