ABEMAトーナメント
ABEMAトーナメント(アベマトーナメント)は、ABEMA・将棋チャンネルで配信される将棋の棋戦(非公式戦)。 本項では、表題の「ABEMAトーナメント」ほかに、派生した棋戦「女流ABEMAトーナメント」「ABEMA師弟トーナメント」「ABEMA地域対抗戦」についても説明する。 概要ABEMA将棋チャンネルのオリジナル番組第3弾。永世七冠の羽生善治の着想による、持ち時間が増減する「AbemaTVルール」を採用して実施される棋戦。トーナメント方式で優勝者を決める番組の実施はチャンネル初となる[2]。第3回からはプロの将棋界では珍しい団体戦の形で行われている。 2018年6月から9月に個人戦である第1回「AbemaTVトーナメント」が行われた。好評につき第2回大会の開催が決定、2019年4月28日より第2回大会の配信が開始される[3][4]。この第2回大会では「女流枠」が設けられた(第2回のみ、後述)。 第3回からは、リーダーによるドラフト会議で指名された3人1組のチーム同士による団体戦が採用された。優勝賞金1000万円[1]。第4回からは主催者の名称変更に合わせ棋戦名も「第〇回ABEMAトーナメント」と改められた。6回目の大会となる2023年実施の大会からは、西暦を付した「ABEMAトーナメント 202X」の名称で行われる。第1回大会では発案者の羽生に敬意を表し棋戦の正式名称には「Inspired by 羽生善治」を付していたが[2]、以降の回では「Inspired」以下の表記は外されている。 「Abemaトーナメント」から派生した非公式将棋棋戦としては「女流Abemaトーナメント」「ABEMA師弟トーナメント」「ABEMA地域対抗戦」がある。 まず、第1回「AbemaTVトーナメント」の好評を受け、女流棋士による「女流AbemaTVトーナメント」の第1回大会が2018年12月から2019年1月にかけて配信された[5]。この大会で優勝した女流棋士には第2回「AbemaTVトーナメント」の「女流枠」として出場権が与えられた(この回のみ)。「女流」大会は第2回から団体戦方式となり、個人戦の第1回と合わせて3回実施されている(2019、2021、2022年度)。 「ABEMA師弟トーナメント」は当時日本将棋連盟会長であった佐藤康光九段の発案により企画実施された大会で、知名度のある師弟棋士2人1組によるチーム戦として、これまでに2回(2021、2022年度)実施されている。 さらに2024年には連盟100年を記念し「ABEMA地域対抗戦」が開催された。 ルール持ち時間について、1手指すごとに一定の時間が追加される一方で、持ち時間を使い果たすと負けとなる、いわゆる「フィッシャールール」を採用。デジタル式対局時計使用で、ボタンは対局者自身が押す。元々チェスで用いられるルールだが、対局は通常の将棋と同じく正座形式で行う。1対局がおよそ20分前後[注 1]となるため、通常の棋戦などに比べるとスピーディーな展開となり、時間の逼迫した終盤戦ではいわゆる指運により形勢が大きく変化することもある。千日手・持将棋(24点法を採用)の場合は先後を入れ替えて指し直し局を行うが、持ち時間は補填されることなくそのまま引き継ぐため、場合によっては極めて短い初期持ち時間からの対局となることもある(一例として第3回予選Bリーグ渡辺明-佐藤天彦戦第1局では持将棋成立後、渡辺11秒-佐藤21秒の初期持ち時間から指し直し局が行われた)[注 2]。 個人戦 (第1回・第2回)持ち時間は「初期持ち時間が各5分、1手ごとに5秒が加算」。一度の顔合わせで三番勝負を行い、先に2勝した者が勝ち上がる。
予選・決勝とも、女流トーナメント優勝者・前回覇者以外の参加棋士については主催者側により選ばれており、特に予備予選等は行われない。 団体戦 (第3回以降)持ち時間は「初期持ち時間が各5分、1手ごとに5秒が加算」。3人1組のチーム同士による団体戦で行う。優勝賞金は1000万円[6]。 チーム編成にはチームリーダーによるドラフト指名方式[注 5]が導入され、ドラフトに参加する各チームのリーダーには、基準日時点(放送前年の12月末時点、第3回は2020年3月時点)のタイトルホルダーおよび順位戦の序列上位者が就いている。第4回以降は15番目のチームとして、ドラフト対象外の棋士によるエントリートーナメント勝者3名が「エントリーチーム」を結成し、その他14チームと同列に参戦する。 第3回では、予選リーグは全12チームが3チームずつ4組に分かれ、各組からは2チームずつ、計8チームが本戦トーナメントに進出する。各試合ではメンバー3人が先鋒同士・中堅同士・大将同士での三番勝負を行い、1勝につき1ポイント、1敗につき-1ポイントとして合計点を競う(1・2局を連勝した場合は2ポイント獲得、連敗では-2ポイント)。リーグ終了時点でポイントが同点のチームがある場合はチームリーダー同士で1局のみの勝負を行い決着をつける[6]。 第3回の決勝トーナメントは5勝先取の9番勝負を実施。各対局直後に各チーム内で次局の対局者を決定する(ただし1人最大3局、5勝目又は5敗目の決着までに3人全員が最低1局は指す必要がある)。 第4回以降では、予選リーグは全15チームが3チームずつ5組に分かれ、各組から2チームずつ、計10チームが本戦トーナメントに進出する。予選リーグから第3回決勝トーナメントと同様の方式で行ない、1試合につき5勝先取の9番勝負を実施。勝数-敗数を各試合のポイント(得失点差)として2試合の成績合計で争う。リーグ終了時点で複数チームの勝敗が並んだ場合は、得失点差で順位を決定し、得失点差も並んでいる場合はチームリーダー同士で1局のみの勝負を行い、予選順位または本戦勝ち上がりチームを決定。 チーム名は第3回のAbemaドリーム以外、メンバー決定後に命名している。このため共通点を付けているチームが多い。番組上はこちらも第3回のAbemaドリーム・第4回のチームエントリー以外はチームリーダーの名を関した形で表記される[注 6]。第4回本戦トーナメントより、伊藤園とローソンが協賛となり、優勝チームには、副賞として『お〜いお茶 1年分』(伊藤園)と『ウチカフェスイーツ 1年分&鬼滅の刃将棋』(ローソン)も贈られることとなった。 なお佐々木勇気と渡辺明によれば、出場各棋士には対局料(全員一律)が支払われる他、対局に勝利するごとに勝利者に賞金が出るという[7]。 第3回大会(2020)チームリーダー
第4回大会(2021)第4回では第3回のリーダーから久保利明が外れ、新たに藤井聡太・菅井竜也・斎藤慎太郎を加えた14名[注 7](羽生善治も参加)で前年同様のドラフト会議を行いチームを決定。その後選出されなかった棋士でエントリートーナメントを行い、勝ち上がった3名により15チーム目が組まれる。 チームリーダー
第5回大会(2022)2022年3月3日、第5回大会を第3-4回と同様にチーム戦で行なうことが発表された。公表されているチームリーダー14名とドラフト指名(各チーム2名)によるメンバー28名は表のとおりとなる。なお、ドラフト会議の様子が2022年4月に配信された。 チームリーダー
2023年大会(第6回)2023年に実施される6回目の大会からは、大会名称に西暦を付した「ABEMAトーナメント2023」として行われる。 6回目となる本大会から、新たに5つの個人賞を設定。表彰部門はつぎのとおり。
また、大会に先んじて行われる「ドラフト会議」の予想投票を行なうサイト[35]を設置。 予想的中者に特典を与えるとしている。 チームリーダー
2024年大会2024年に実施される7回目の大会「ABEMAトーナメント2024」は、出場チーム数を前回までの15チームから変更しており、名人・A級棋士のチームリーダーが率いる11チームと、「エントリートーナメント」を勝ち抜いた上位3名による「エントリーチーム」の計12チームにより争われる[52]。2024年大会のドラフト会議の収録は、2024年1月4日に行なわれ[53]、同年4月27日に放送された。また、エントリーチームのメンバー3人を決定する「エントリートーナメント」は同年5月4日に放送され、同5月11日から予選リーグの模様がAリーグから順に放送となる。 チームリーダー
2025年大会「ABEMAトーナメント2025」として8回目の大会が2025年に実施される[66]。例年ならば上位棋士としてリーダーに選出される渡辺明九段は、2024年12月から翌2025年1月にかけて休場したことにより今大会を欠場する[66]。 女流ABEMAトーナメント第1回(2018年)「第1回女流AbemaTVトーナメント」の名称で実施。 個人戦。持ち時間は「初期持ち時間が7分、1手ごとに7秒が加算」。8名の女流棋士によるトーナメント戦。8名の内訳は、シード枠5名・予選(AbemaTVで配信されない)通過者3名。優勝者には、直近に行われるAbemaTVトーナメント(男性棋戦)への出場権が与えられる[5]。 第2回(2021年)ABEMAトーナメント団体戦と同様の1チーム3名の団体戦。6名の女流棋士によりドラフト会議を行い、3名を決定する。各チーム監督棋士が選べ、相談できる「タイムアウト」制度などが導入された[67]。出場6チームのうち4チームが本戦進出。
20231チーム3名の団体戦。4名の女流棋士によりドラフト会議を行いメンバーを決定する[68]。
ABEMA師弟トーナメント日本将棋連盟会長の佐藤康光の発案による企画[69][70]。現役プロ棋士8名が、自らの弟子であるプロ棋士とコンビを組み早指し戦で戦う。予選は4チームずつ2組に分かれ、2勝勝ち抜き式のトーナメント(各対決は5番勝負で、先に3勝した方の勝利)で各2チームずつが本戦に進み、以後は通常のトーナメント形式となる。2022年1月に第1回が開催。同年11月に「ABEMA師弟トーナメント2022」として第2回を開催[71]。
ABEMA地域対抗戦2023年11月に公表[72]された「将棋連盟100周年企画」の棋戦(非公式戦)。第1回大会「2024」は2024年1月から放送・配信された。連盟会長の羽生善治の「"地域を背負う"をコンセプトに開催される団体戦」との発案に基づいており、企画名に「INSPIRED BY 羽生善治」が付されている。これまでのフィッシャールールを採用した9番勝負(5勝先取)の団体戦であるが、地域性を特色とした8チームで「勝ち抜き形式」の団体戦を行う。 大会形式は、各チームは「地域エントリー制度」により当該地域からの出場を希望する棋士から4人の「大会出場登録棋士」を指名、監督を含めた5名を1チームとする[73]。 「ABEMAトーナメント」と異なるルールとして、第1回大会「2024」のルールでは「対戦者の勝ち残りルール」を採用し[73]、チームメンバーの1人目対戦者が5局連続勝利した場合には他のメンバー4人は戦うことなく応援のみとなっていた。 第2回大会「2025」ではルールの一部を変更し、最大9局行う対局を二段階方式に分割[74]。最初の5局の「ステージ1」ではチームメンバー5人がいずれか1局を戦う[74]。続けて行なわれる「ステージ2」は「ステージ1」勝ち残りメンバーによる勝ち抜き戦(最大4局)を行う。敗れた対局者は当該試合での再出場は出来ず、「ステージ1」で一方のチームが5勝した場合は「ステージ2」を行わない[74]。 地域対抗戦2024今大会では、各試合には3名の先発出場棋士とその出場順、2名の控え棋士を決定(出場3番目の次は1番目に戻る)。対局に勝利した棋士が続けて次の対局に臨む「勝ち抜き形式」による9番勝負5勝先取の団体戦で対決する。先発棋士と控え棋士との交代は2度まで認められ、交代により試合から外れた棋士の当該試合での再出場は不可となる。 下記の8チームを4チームずつ2つのグループに分けて予選を実施[75]。変則トーナメントを2勝した2チームが本戦に進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦で行なわれる。 また、この地域対抗戦では対局配信日に、当該の地域でのパブリックビューイング(PV)を実施する[76]。PVには地域チームの棋士も参加する[76]。 8チームの地域ごとの区分と監督、地域チームごとの所属棋士は以下の表のとおり[77]。
地域対抗戦20252024年8月11日、ABEMA将棋chのXにて発表された。 8チームの地域ごとの区分と監督、地域チームごとの所属棋士は以下の表のとおり。
結果ABEMAトーナメント第3回までは「AbemaTVトーナメント」、
女流トーナメント
師弟トーナメント
地域対抗戦
スタッフ第3回AbemaTVトーナメント
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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