ISUフィギュアスケート世界ランキングISUフィギュアスケート世界ランキング(ISU World Standings/Ranking for Single & Pair Skating and Ice Dancing)は、国際スケート連盟が発表するフィギュアスケートの世界ランキングのことをいう。国際スケート連盟理事会が認定するフィギュアスケートの世界ランキングには、ISU世界ランキング(ISU World Standings)と、ISUシーズン世界ランキング(ISU Season's World Ranking)の二つがある[1]。各大会における配点の見直しは何度かあるが、算出方法自体には変更がない[1][2]。またここではISUシーズンベストスコア(ISU Season Best Scores Statistics)についても記述する。 ISU世界ランキングISU世界ランキング(ISU World Standings)は、過去の複数の大会の成績を総合して算出される。2003-2004シーズンより運用される。順位による獲得ポイントの合計により算出されるが、大会カテゴリー及び出場したシーズンによって、対応するポイント数が異なる。 グランプリシリーズ及びISUイベント大会の派遣選手の選択基準としてISU理事会に考慮される場合がある。2012/2013年のグランプリシリーズの派遣基準では、シード選手、カムバックシード選手、招待選手、リターン選手で枠が埋まらなかった場合は、世界ランキングおよびシーズンベストスコア上位24名に出場権が成績順に1枠ずつ与えられる。 また、国際スケート連盟主催大会でショートプログラムの滑走順に影響を与える。グランプリシリーズでは滑走順(低い順に滑走)、ISU選手権ではグループ分けに使用される。 ランキングは対象となる大会終了後に随時更新される。そのため、ランキングが発表されたシーズンの世界選手権が終了するまでのランキングは未開催の競技会に出場予定の選手にとっては不利なものとなっており、全選手の実力を十分に反映したランキングとは言い難い。純粋にランキングで選手の実力を比較するためには、最新の世界選手権終了後から翌シーズンの大会開催前のランキングが最も効果的である。 ISUシーズン世界ランキングISUシーズン世界ランキング(ISU Season's World Ranking)は、ランキング発表時のシーズンにおける、選手達の現在の実際の競争力の示すためのランキングである。2010-2011シーズンより運用されている。最新シーズンに各選手がどれだけ世界ランキングポイントを獲得したかで表す。世界ランキングボーナス制度に利用される。現在、このランキングは各大会終了後に順次更新されている。シーズン世界ランキングは、ISU世界ランキングに従属する世界ランキングであるが、過去のシーズンに大会に参加できなかった選手を守るためのものではないという点で異なる。世界ランキングと同様にグランプリシリーズ及びISUイベントの派遣基準としても使される。 目的国際スケート連盟はISUフィギュアスケート世界ランキングの目的を次のように述べている。
ISU世界ランキングの算出方法ISU世界ランキングは、ランキング発表時のシーズンと過去2シーズンの成績をポイント化し、そのポイント合計で算出される[3]。 大会種別および順位によって、大会毎の獲得ポイントは異なる。大会種別の同じ試合では、順位が1つ下がるごとに獲得ポイントが10%ずつ減少する。最新2シーズン分の各大会の獲得ポイントは100%で算出されるが、一番古いシーズンの各大会の獲得ポイントは本来の70%で算出される。算出された各大会の獲得ポイントは大会のカテゴリー別およびポイントが高い順に取捨選択され、ランキングに反映される。 シーズンランキングの対象となるのは、ランキング発表時のシーズンとそれに連続する過去2シーズン分の成績である。また、ISU世界ランキングにおける1シーズンは、シーズン最終戦後から次のシーズンの最終戦までを1シーズンとして算出されている。つまり、シーズン最後のISU主催大会(2012-2013シーズンでは世界フィギュアスケート国別対抗戦)終了後は、新シーズンに移行したとものして新しい世界ランキングが発表される。 ランキングポイントが獲得できる大会ランキングの対象となる大会は、大きく分けて3つのカテゴリーに分類される。ISUチャンピオンシップとオリンピック、ISUグランプリ大会、そして一定の条件を満たすISU公認のシニア国際大会の3つである。 これらの大会の成績上位者は、成績によってポイントが付与される。順位が下がるごとにポイントは10%ずつ下がっていく。開催シーズン、大会のカテゴリーと参加クラスよってポイントの比重が異なる。ランキングに採用される3シーズンの成績のうち、最も古いシリーズでの成績は本来与えられているポイントの70%分しか付与されない。 そして、同一カテゴリーの大会の獲得ポイントのうち、シーズンごとに数値が大きい順に1つまたは2つが選択されてランキング表に記載される。そのうち実際のランキングに反映されるのは、各カテゴリ2または4大会分の成績のみである。また、該当する大会に未出場、予選敗退、途中棄権、またはポイントが与えられないほど下位だった場合(グランプリ大会の8位以下など)は0ポイントと記載される。 大会の分類ISUチャンピオンシップおよびオリンピックこのカテゴリーの大会で成績のうち、最も高い獲得ポイントがシーズンごとにランキング表に記載される。そのうち、実際のランキングに反映されるのは、最もポイントが高い3大会分の成績である。このカテゴリーに分類される大会は以下の通りである。 ISUグランプリシリーズこのカテゴリーの大会で成績のうち、最も高い獲得ポイントのうち二つがシーズンごとにランキングに記載される。そのうち、実際のランキングに反映されるのは、最もポイントが高い6大会分の成績である。このカテゴリーに分類される大会は以下の通りである。
要件を満たすシニア国際大会2014-2015シーズン以前このカテゴリーに分類される国際大会は、国際スケート連盟の年間カレンダーに掲載された国際大会(カレンダーコンペティション)のうち、一定の要件を満たすものである。このカテゴリーの大会における成績のうち、最も高い獲得ポイントのうち二つがシーズンごとにランキングに記載される。そのうち、実際のランキングに反映されるのは、最もポイントが高い6大会分の成績である。これらの大会は、オリンピック最終予選会として国際スケート連盟が開催する場合を除いて、ISUのイベントカレンダーに載せられながら直前でキャンセルされることもある。また他の二つのカテゴリーの大会に比べるとランキングに反映されるポイント数は小さい。 過去に要件を満たし、このカテゴリーに分類された大会は、 ネーベルホルン杯、カールシェーファーメモリアル、フィンランディア杯、NRW杯、オンドレイネペラメモリアル、ニース杯、ゴールデンスピン、メラーノ杯、クリスタルスケート、パベルロマンメモリアル、エイゴンチャレンジ杯、トリグラフトロフィー、ウィンターゲームズニュージーランド、イスタンブール杯、USインターナショナルクラシック、デンコヴァ・スタビスキー杯などがある。なお、以前はヨーロッパでの開催が殆どであったが、最近になってヨーロッパ以外での開催も増えてきている。ヨーロッパ以外での開催で認定要件を満たした大会は、2009年のウィンターゲームズニュージーランドや、2011年のイスタンブール杯[4]、2012年USシニアインターナショナル[5]などがある。 認定要件ランキングポイントを得るためには、以下の要件を満たす大会である必要がある。
条件は種目単位で判断される。同じ大会でも一部種目のみがこのカテゴリーに該当することもある。 参加意義他のカテゴリーと異なり参加に対して国際スケート連盟が出場資格を問うISU主催大会ではない。ただし、ISU主催のオリンピック予選を除く。このカテゴリーの大会は、他のカテゴリーと比べて世界ランキングにおける点数配分は少なく、ランキングに与える影響は大きいとは言えない。ランキングの最上位になるために参加が必須となる大会ではなく、以前は開催地が古くから国際大会が多く開かれていたヨーロッパに限られていたため、欧州の一部の選手を除いて有力選手が出場しないケースが多かった。しかし現在では、ISUチャンピオンシップに出られなかったりグランプリシリーズで十分なポイントを得られなかった場合や、怪我からの復帰や休養明け、シーズン前や大きな大会前の調整のために世界中の有力選手が参加する例が増えている。 ランキングに与える影響の大きさこのカテゴリーの大会参加のみで、ISUグランプリシリーズの出場枠を得る可能性は非常に低い。このカテゴリで得られるポイントは最大で1000であり、他のカテゴリーの大会に出場できない場合にはシングルとアイスダンスで40から50位、ペアで28位あたりにしかならない。つまり、このカテゴリーの大会の出場成績のみで、世界ランキングによって出場枠を得る可能性は非常に低い。また基本的に国際スケート連盟主催競技会ではなく、[6]そのためスコアもオリンピック予選会である場合を除いて国際スケート連盟に公式認定されない。従ってシーズンベストスコアの上位24名に与えられるISUグランプリシリーズの出場枠もあまりない。 しかし、少なくとももう一つのカテゴリーの大会と合わせて出場した場合、成績によっては最上位にランキングされることは理論上可能である。実際にグランプリシリーズや大陸選手権での成績がトップ選手より低く、選手権メダリストでもない選手が、このカテゴリーで得たポイント分で他選手をリードして最上位になったこともある。また最近では、世界選手権メダリストクラスの有力選手が多く出場しはじめており、ランキングに与える影響も徐々に増してきている。 2014-2015シーズン以降2014-2015シーズンに、多くの選手とジャッジに、国際レベルの試合の経験と世界ランキングのポイントを得られる機会を与えるために、国際スケート連盟(ISU)が承認するISUチャレンジャーシリーズが設立された。以降ISUチャレンジャーシリーズと要件をみたすカレンダーコンペティションが対象となった。 獲得ポイント大会区分と順位によって獲得できるポイント数が異なる。基本的見直しがされるのはポイントの配分方法である。現在の基準では、ポイントは順位がひとつ下がる毎に10%ずつ減少する。大会および順位に対応するポイント数は次の表の通りである。なお、2シーズン前のものには下記ポイントに0.7を掛ける。
配点の見直し近年では2007年8月、2010年7月に配点の分配基準が見直されているが、算出方法自体には変更がない[1][2]。 2010年7月の変更2010年7月に変更が加えられたのは以下の点である[1][2]。
2007年8月の変更2007年8月に変更が加えられたのは以下の点である[7][2]。
ランキングに反映されるポイントの選択方法
なお、ペア・アイスダンスでパートナーが変わった場合には以前のパートナーとで稼いだポイントは引き継がれない。 上位ランクインの条件ISUフィギュアスケート世界ランキングでより上位に格付けされるには、各カテゴリーの大会でよい成績を残す必要がある。仮に、ISUチャンピオンシップおよびオリンピックのカテゴリの大会にのみに出場し優勝を重ねたした選手やグランプリ大会にのみに出場して優勝を重ねた選手がいた場合、どちらもランキングポイントは最大2400であり、およそ12位前後にしか相当しない。つまり最低でも、二つ以上のカテゴリの大会に出場し、よい成績を残すことが最上位にランクインされるための絶対条件である。 しかし、ISUチャンピオンシップおよびオリンピックカテゴリの大会の出場枠はそれぞれの国(地域)のスケート連盟に対して最大3までしか与えられない。このことから、有力選手を多くかかえる強豪国や出場枠が少ない国の選手がこのカテゴリの大会に出場できなかった場合は、所属連盟によって一部の選手がISUランキングにおいて実力より低めに格付けされる可能性がある。 欠場のランキングへの影響毎シーズンの世界フィギュアスケート選手権の開催前までは、3シーズンのうち1シーズンの出場がなくとも大きく格付けは下がらない。これは獲得ポイントの全てがランキングに反映されるわけではないからである。ただし、シーズン最終戦後から翌シーズン大会の開始前までは、最新シーズンの成績が全て0として計算されているため、過去に1シーズンの欠場があるとフル出場をした場合よりも大幅にランキングが下がる。 ランキング結果の運用出場資格ISUフィギュアスケート世界ランキングは、一部のISU公式戦の出場資格を問う基準として利用される場合がある。 グランプリシリーズ2006-2007シーズン以降は24位以内にランクされることが翌シーズンのISUグランプリシリーズに優先して招待される条件のひとつになっている。なおこの規定は、2005-2006シーズン以前は36位以内だった。 ISUフィギュアスケート国別対抗戦世界フィギュアスケート国別対抗戦では、参加国の出場資格にランキングポイントの一部が利用される。 ショートプログラム滑走順
賞金の支給シーズン終了時に、ISUフィギュアスケート世界ランキングのポイントのうち1シーズンでのみ獲得したポイントを比較し、上位3名に賞金が支給される。国際スケート連盟はこの賞金のことを世界ランキングボーナス(ISU World Standing Bonus)と呼んでいる。賞金額は世界選手権上位3名の賞金と同じであり、グランプリファイナルのそれの約2倍である。この制度は2006-2007年シーズンに開始された[8]
シーズンベストスコアISUシーズンベストスコア(ISU Season Best Scores Statistics)は、ISUが発表している、各選手のシーズンパーソナルベストスコアの統計である。 歴代世界ランキング男子シングル女子シングルペアアイスダンス歴代シーズン世界ランキング男子シングル
女子シングル
ペアアイスダンス歴代シーズンベストスコア男子シングル
女子シングル
ペアアイスダンス脚注
参照
関連項目外部リンク |