『おらおらでひとりいぐも』は、若竹千佐子の小説。2017年11月17日に河出書房新社から刊行され[1]、2020年6月25日に文庫化された[2]。第54回文藝賞、第158回芥川龍之介賞受賞作[3][4]。2018年2月時点で累計発行部数は50万部を突破している[5]
。
一人称と三人称が混交され、一人称は東北方言(南部弁)、三人称は標準語で書かれている[6]。タイトルは宮沢賢治の詩「永訣の朝」の一節[注 1]。
2020年11月6日に映画版が公開[8]。
あらすじ
75歳の老女桃子は、夫に先立たれ、娘とも疎遠の生活を送っている。その生活の中で、脳内で他者と会話をするようになる。桃子さんの心の声=寂しさたちと一緒に、郷里との別離、夫周造との出会い、必死だけど笑いの絶えない子育ての日々と、そしてひとりきりになった今を、行き来していく。孤独な桃子さんは、寂しさたちといつの間にかにぎやかな毎日に。そんな桃子さんの求めていたものは何か-
登場人物
| この節の 加筆が望まれています。 (2021年4月) |
書誌情報
- 単行本
- 文庫本
映画
2020年11月6日に公開[8][10]。監督は沖田修一[8]、主演は田中裕子[8](7年ぶり)。
第33回東京国際映画祭では特別招待作品として、11月3日にワールドプレミア上映が行われた[11]。
あらすじ
75歳の日高桃子は夫の周造に先立たれて一人暮らしをしている。病院と図書館通いの繰り返しで、借りた本から「地球46億年の記憶ノート」を作る趣味はあるものの、馴染の図書館職員からサークルに誘われても挑戦する気は起きない。
そんな桃子の前に、おばさんコスプレの三人の男が現れる。時に桃子の独り言に茶々を入れ、時に素直な気持ちを代弁する「寂しさ1~3」という“心の声”である。だから、妄想の世界では賑やかな毎日へと変わっていく。
時々若い頃を思い出す。1964年、田舎を逃げ出すように上京した桃子は、食堂で働くうち常連客の周造に出会い結婚する。言いなりにならない「新しい女」になると決心していたが、「愛は曲者で、古い生き方に絡めとられた」と今は思う。
あれから55年、子どもたちは巣立ち、夫との平穏な日々をと思っていた矢先の夫の死である。息子や娘は疎遠になり、それよりも時々訪れるお巡りさんや車の営業マンの方が近しい。
最初は独り言に茶々を入れる「寂しさ」たちを無視していた桃子だったが、やがて掛け合いのようになり、いつしか一緒に戯れるようになっている。
生きる意味を模索する桃子は、過去の幸せだった頃の家族との思い出をたどり、自分の心の声たちと対話し、好奇心に満ちた妄想に浸るうち、今の自分があるのは「周造の計らい」だったと思えてくる。
自分の人生を振り返ると、一番輝いていたのはここ数年である。娘時代の自分に戻り、一人で生きる自由を得て、今まで見えなかった世界に出会えたのだ。
夫の墓参りをして「おらひとりでいぐも」と誓い、それ以来、妄想はより過激になる。卓球サークルへの誘いにも応じることにし、そして「おらたち、おめだ」と合唱する“心の声”と一緒に踊り出した。
キャスト
スタッフ
脚注
注釈
- ^ 厳密には詩の本文では「Ora Orade Shitori egumo」とローマ字で表記されている[7]。この言葉は賢治の妹である宮沢トシの発話として記されたものである。
- ^ 東北弁で祖母を意味する。
出典
外部リンク
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1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回) |
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- 第83回 該当作品なし
- 第84回 尾辻克彦「父が消えた」
- 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人」
- 第86回 該当作品なし
- 第87回 該当作品なし
- 第88回 加藤幸子 「夢の壁」/ 唐十郎「佐川君からの手紙」
- 第89回 該当作品なし
- 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
- 第91回 該当作品なし
- 第92回 木崎さと子「青桐」
- 第93回 該当作品なし
- 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」
- 第95回 該当作品なし
- 第96回 該当作品なし
- 第97回 村田喜代子「鍋の中」
- 第98回 池澤夏樹「スティル・ライフ」/ 三浦清宏「長男の出家」
- 第99回 新井満 「尋ね人の時間」
- 第100回 南木佳士「ダイヤモンドダスト」/ 李良枝「由煕」
- 第101回 該当作品なし
- 第102回 大岡玲「表層生活」/瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」
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