『名探偵モンク』(めいたんていモンク、原題: Monk)は、強迫性障害を患う私立探偵エイドリアン・モンクが事件を解決していくアメリカのミステリー・コメディドラマのシリーズ作品。より原語に近い表記はマンク[1]。
アメリカのケーブルテレビ局向けベーシックチャンネルであるUSAネットワーク(USA Network)による制作。1話完結型連続ドラマであり、数々の賞を獲得している。2002年7月12日に放送を開始し、2009年12月4日まで最終シーズンとなる第8シーズン[2]が放送された。
日本ではWOWOWとスターチャンネルで「名探偵Mr.モンク」のタイトルでパイロット版(第1話と第2話)を2002年テレビムービーとして放送、ビデオ発売レンタルもなされた。NHK-BS2では2004年3月30日からレギュラー放送を開始、2010年7月には最終第7シリーズ(米国ではシーズン8)を放送した。ミステリチャンネル(現AXNミステリー)でも2006年10月より放送を始める。BS日テレではNHK制作の吹替音声を伴うHDリマスター版を2013年7月5日から2014年2月5日までに2シーズン分(最終はNHK版「モンク2」第7回)、9ヶ月空いて同年11月5日から第3シーズン以降を2016年8月31日までにNHK放送分を全て放送した。最終シーズンではNHKの放映で付かなかった次回予告が15秒分、新たに制作されている。同じHDリマスター+NHKの吹替音声という形態でBS12が2022年1月26日から放送を開始。ソフト化は2003年6月27日から「モンク」のタイトルでビデオレンタルとしてVol.1〜6(全13話)が発売されていた。2011年7月6日からレンタル版とセル版のDVDが順次発売されている。
主人公エイドリアン・モンクは、ある事情により休職中の警察官。優れた観察力、記憶力、洞察力を持つ一方で、10代の頃から強迫性障害を患っており、それに加え妻を殺害されたことによるPTSDが原因でカウンセリングを受けている。全体的にコメディ的要素が強いが、彼の優れた能力や深刻な心の病状が引き起こす弊害を描くことでドラマにシリアスな面を与えている。[3]
なお、エピソードによっては刑事コロンボのような倒叙形式の展開で進む場合もある。
NHK版では米国放送とは区切りが異なっている(後述)。以下、「第○シリーズ」という表記の場合はNHK版を、「シーズン○」という表記の場合は米国版及び日本DVD版を指すものとする。
2020年に、実に11年ぶりとなる新作のミニエピソードが制作された(後述)。さらに2023年には、テレビシリーズのその後を描いた映画 "en:Mr. Monk's Last Case: A Monk Movie"(原題)が公開された。
サンフランシスコ市警察本部のエイドリアン・モンク刑事は、妻のトゥルーディーを自動車爆弾によって何者かに殺される。その犯人を検挙することができなかったモンクは、強迫性障害が深刻となり、刑事を休職し、自宅に三年間閉じこもる。その後、看護師であるシャローナ・フレミングをアシスタントとして採用、市警察のコンサルタントとして犯罪、そして様々な恐怖症と戦いながら、復職とトゥルーディー事件の解決を目指す。
シャローナは結局、元夫と再婚することを決意し、モンクのアシスタントを退職、息子のベンジーともどもサンフランシスコから去ってしまった。途方に暮れるモンクであったが、ある事件で出会ったナタリー・ティーガーと意気投合したことで、ナタリーを正式にシャローナの次のアシスタントに採用した。だが、長年の付き合いでモンクを知り尽くしたシャローナとは異なり、ナタリーとは一から関係を構築することを余儀なくされたため、コンビを組んだ当初のモンクとナタリーは様々な面で対立が目立つようになる。しかし、そうした対立を経て、二人で様々な修羅場を潜り抜けたモンクとナタリーは次第にお互いを信頼をするようになった。こうしてモンクは新たなパートナーのナタリーと共に、改めて犯罪捜査そしてトゥルーディー事件の解決の日々に身を投じるようになる。
NHK版では連続放送の区切りが異なっている。米国のシーズン1〜シーズン2の8話までがNHK版第1シリーズ、シーズン2の9話からシーズン3最終話までがNHK版第2シリーズ、シーズン4以降はシリーズ数が1つずつずれて放映された。日本で発売されているDVDや2013年のBS日テレでの放送では、米国と同じ区切りで収録・放送されている。
ウェビソード (Webisode) とは、ウェブサイト上で公開される数分程度の動画の短編ドラマシリーズ。名探偵モンクのウェビソードは7話作られている[1]。日本版DVDシーズン5に映像特典として4本が英語音声・日本語字幕の状態で収録された。
また、2009年にはエイドリアン・モンクの子供時代を描いた全10話のウェビソード Little Monk も作られている[2]。
2020年には、新型コロナウイルス感染症蔓延下のモンクを描いた新作の短編エピソードが放送され、ナタリー、ディッシャー、リーランドらメインキャストが久々に一堂に会した[8]。
アメリカでは、公式エピソード・ガイド本が出版されている。
このドラマの幾つかのエピソードを担当した脚本家リー・ゴールドバーグによるオリジナル小説が、2006年より刊行されている。