一般社団法人日本レコード協会(にほんレコードきょうかい、英: Recording Industry Association of Japan)は、日本国内のレコード会社により構成されている一般社団法人。主に記録媒体の識別番号であるISRC(国際標準レコーディングコード)を発行する団体である。
略称はRIAJで、「日レ協」「レコ協」と呼ばれる場合もある。協会内に、レコード倫理審査会(レコ倫、旧レコード制作基準倫理委員会)と呼ばれる倫理組織を持つ。
概要
レコード製作者の立場を代表して、「二次使用料請求権」(曲が放送された場合等)及び 「貸レコードの報酬請求権」を行使し、使用料等の徴収・分配を行っている。ダウンロード違法化に伴い、日本レコード協会に所属しているレコード会社・映像製作会社との正式な契約に基づいて配信を行っているサイトにエルマークを発行している[1]。
また、業界団体として日本ゴールドディスク大賞を実施しているほか、レコードに関する様々な調査研究の一環として、レコードの生産実績調査・ゴールド / ミリオン等の認定(後述)を行っている。
沿革
役員
正会員
2024年6月1日現在、正会員18社[3]。
ゴールド / ミリオン等認定
歴史と概要
日本レコード協会は、1989年に音楽作品のゴールド等の認定制度を開始した。それ以来、累計で一定の出荷枚数(正味売上枚数と称される)を超えたCDアルバムやシングルに対して、それぞれの基準に応じたゴールド、プラチナ、ミリオン等の称号が与えられている。対象とされるのは原則として、同協会に加盟するレコード会社から1989年1月21日以降に発売された商品に限られているが、それ以前に初版が発表されたものに関しても、制度導入以降の出荷分にもとづいてゴールド等が授与されている[4]。認定された商品は、2か月後に協会が月刊で発行する機関誌『THE RECORD』上に掲載される。近年ではそれに加えて、前の月の認定分を公式サイト上で毎月10日に告知しており、2003年下半期以降のほとんどの認定作品一覧が確認できる[4]。 また、2014年現在、同協会は公式サイト上において1994年以降の機関誌のアーカイブをPDF化して公開しており、そこから1993年11月から2002年12月までの認定分を確認することができる[5]。
2003年の下半期からは音楽ビデオ(VHS/DVD)認定が追加され、2006年8月には有料音楽配信認定(現・「ダウンロード認定」)が創設された[6]。音楽配信はそれぞれのフォーマットごとに分かれていたが、2014年1月度からは「着うたフル」と「PC配信」が統合され、「シングルトラック」として認定されるようになった[7]。2020年4月度からは「定額制音楽配信」を対象にした、「ストリーミング認定」を追加した[8][9]。
なお、日本レコード協会の示す「正味売上枚数」とは、オリコンやサウンドスキャンなどの調査会社によって集計される「推定売上枚数」とは全く別物である。オリコンランキングと、協会認定との差異は下記の通り。
象限 |
オリコンランキング |
日本レコード協会 |
注釈
|
カウントの対象
|
対象店舗での売上のみ |
工場出荷枚数の全てを含む |
⇒協会認定のほうが大となる要因[注釈 2]
|
イベント特例
|
販促イベントでの売上算入は3枚が上限 |
イベントを理由とした上限は設けず |
⇒協会認定のほうが大となる要因[注釈 3][10]
|
モニター対象店舗以外の枚数
|
含まない |
含む |
⇒協会認定のほうが大となる要因
|
チャート200位圏外分の枚数
|
含まない |
含む |
⇒協会認定のほうが大となる要因[注釈 4]
|
協会非加盟(インディーズ)
|
含む |
含まない |
⇒インディーズは協会認定の対象外。[注釈 5][11]
|
また、協会認定のほうがオリコンチャートよりも小となるケースもある[注釈 6]。また、いくつかの例においては、協会加盟分にもかかわらず、ダウンロード売上に係る日本レコード協会認定が全くなされないケースもある。[注釈 7]
認定基準の変遷
「邦楽と洋楽でそれぞれ基準が異なり、わかりにくい」という理由から、2003年7月に認定基準の簡略化が施行された[6]。2020年時点の認定基準は次のとおりである。
- ゴールドディスク認定、ダウンロード認定
- ゴールド:10万(枚)以上
- プラチナ:25万以上
- ダブル・プラチナ:50万以上
- トリプル・プラチナ:75万以上
- ミリオン:100万以上(以下、100万枚ごとに2ミリオン、3ミリオン…を認定)
2003年6月度認定分までの基準は以下のとおりであった[6]。
ジャンル |
ゴールド |
プラチナ |
ミリオン
|
邦楽
|
20万枚 |
40万枚 |
100万枚
|
洋楽アルバム
|
10万枚 |
20万枚 |
100万枚
|
洋楽シングル
|
5万枚 |
10万枚 |
100万枚
|
同年の下半期にすべてのフォーマットで基準が統一化されるまでは、プラチナ・ディスクに関しては、規定枚数の倍数ごとにそれぞれダブル[注釈 8]、トリプル[注釈 9]、クワドラプル[注釈 10]、クインティプル・プラチナなどの認定が授与されることもあった[12]。なお、米英をはじめとする諸外国における類似の制度とは異なり、それ以上のマルチ・プラチナは存在せず、200万枚以上の出荷を記録した作品については、現在と同じように100万枚ごとに2ミリオン、3ミリオンなどが与えられていた。
ミリオン認定作品
日本レコード協会でミリオン認定された作品は下記の通り(2000年代以降、カッコ内は認定年月)[13]。
シングル
- 2000年代
- 2010年代
- 2020年代
アルバム
- 2000年代
- 2010年代
- 2020年代
着うた
多数あり。(2006年8月の認定開始から2013年9月までに100作品を超える実績があったが、フル配信の進展により実質的に市場から消滅した。)
着うたフル
(有料音楽配信売上実績に基づく月次認定は2006年8月から開始。着うた、PC配信も同様)
PC配信との統合により2013年12月で終了。
PC配信
着うたフルとの統合により2013年12月で終了。
シングルトラック
(着うたフルとPC配信を統合し、2014年1月から認定開始)
- 2014年
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2019年
- 2020年
- 2021年
音楽ビデオ
ストリーミング認定
2020年4月度より、音楽ストリーミング市場拡大に鑑み、「ストリーミング認定」の公表を開始している。集計対象はAmazon Music Prime、Amazon Music Unlimited、Apple Music、auうたパス、AWA、KKBOX、LINE MUSIC、Rakuten Music、Spotify、TOWER RECORDS MUSIC powered by レコチョク、YouTube Music、YouTube Music Premium(12サービス)であり、市場上位[14]をほぼ網羅している状況となっている。
- ストリーミング認定
- ゴールド:5,000万回以上[15]
- プラチナ:1億回以上
- ダブル・プラチナ:2億回以上
- トリプル・プラチナ:3億回以上(「ダブル」「トリプル」の認定は2023年1月度から実施)[16]
- ダイヤモンド:5億回以上
ダイヤモンド
- 2021年
- 2022年
- 2023年
- 2024年
[17]
プラチナ
多数あり。(2020年4月開始以来、2023年末までに270作品以上の認定あり)[18]
ヒットチャート
かつては上述の「正味売上枚数」を基準に、シングル・アルバム(パッケージメディア)のオフィシャルヒットチャートを公表していた。但しオリコン等のランキングと比較すると発表が月に一度(毎月21日から翌月20日までの集計)のため速報性に欠けるほか、枚数表示の公表はジャンル別の1位の作品に限られていた[19]。2000年1月度(1999年12月21日〜2000年1月20日集計分)を最後に日本レコード協会におけるパッケージメディアのヒットチャートの公表は終了した。
その後は2006年8月度(2006年8月1日〜31日集計分)から2009年2月度(2009年2月1日〜28日集計分)に着うたを対象とした有料音楽配信チャート(月間)が、2009年4月1日〜4月7日集計分から2012年7月18日〜7月24日集計分に着うたフルを対象とした有料音楽配信チャート(週間)が発表されていた。
参加組織
関係諸団体
脚注
注釈
- ^ 他社に販売委託したままでの正会員認定企業である。
- ^ メーカーが発売と同時に大量に生産したにもかかわらず、実店舗での売れ行きが伸び悩んだ商品については、チャート上の売上枚数よりもはるかに多い枚数によって協会認定を得るケースがある。(例:小柳ゆきの『my all..』は、リリースされた月に協会からダブル・プラチナの認定を受けたものの、オリコン上でのセールスはそのわずか3割ほどにとどまった。) その他、宗教家など特殊事情によるものもある。(例:1991年に協会集計で旧認定のクワドラプル・プラチナ(160万枚突破)を獲得した宗教家・八島義郎の『恋の大阪』など。)
- ^ オリコンでは販促イベント時の売上集計ルールにより、2016年9月から1人上限2枚しかカウントしない事となったため(その後、3枚上限に改定)、イベントでの販売に依存する歌手の場合はオリコン側が低くなりやすい。(例:販促イベント型の代表格であるAKB48の場合、協会ではシングル2ミリオン認定が8件存在するが、オリコン上での2ミリオン達成は2023年末現在、0件である。)
- ^ 長いスパンに渡ってじわじわと出荷枚数を伸ばした作品は、チャート上の売上枚数よりもはるかに多い枚数によって認定を得るケースがある。例:オリコン上では10万枚前後のセールスにとどまったが、2000年代にそれぞれトリプル・プラチナを獲得したニルヴァーナの『ネヴァーマインド』、ABBAの『ゴールド』など。
- ^ オリコン上では200万枚を超えるセールスを記録したがリリース元が非会員であったために協会からいかなる認定も得ていないMONGOL800『MESSAGE』、レコチョク2012年間6位・2013年間1位となり、2012年時点で着うた累計100万DLを突破したと報じられているものの、リリース元が非会員であったために協会からいかなる認定も得ていないゴールデンボンバーの『女々しくて』など。
- ^ マライア・キャリー『デイドリーム』、DREAMS COME TRUE『サンキュ.』、EXILE『EXILE PRIDE 〜こんな世界を愛するため〜』など。また、2012年12月から2015年3月末まではミュージック・カードがオリコンチャート側にのみ算入され、協会には不算入であった。
- ^ 例として、レコチョクが、2004年秋のフル配信開始以来の平成の約14年間(2019年春まで)をオールタイムヒッツ形式で振り返った「レコチョク平成ランキング」において、「睡蓮花」「栄光の架橋」が上位にランクインしているが、これらは日本レコード協会側のダウンロード認定においては一切認定されていない。https://recochoku.jp/special/100792/
- ^ (当時、邦楽80万枚、洋楽アルバム40万枚、洋楽シングル10万枚)
- ^ (当時、邦楽120万枚、洋楽アルバム60万枚、洋楽シングル30万枚)
- ^ (当時、邦楽160万枚、洋楽アルバム80万枚、洋楽シングル40万枚)
- ^ a b c d e f g h i クワドラプルP、160万
- ^ a b c d e f g h i j k トリプルP、120万
- ^ SRCS-2384
出典
関連項目
外部リンク
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