モンジュー(Montjeu、1996年4月4日 - 2012年3月29日[2])は、アイルランド生産、フランス調教[1]の競走馬・種牡馬。
1999年の凱旋門賞でエルコンドルパサーを破り、続くジャパンカップではスペシャルウィークの4着に敗れた。
主な勝ち鞍は1999年のジョッケクルブ賞(仏ダービー)、アイリッシュダービー、凱旋門賞、2000年のタタソールズゴールドカップ、サンクルー大賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス[1]。
現役時代
この項の出典は特筆なき限りJRA-VAN Ver.World[1]による。
2・3歳時代 (1998・1999年)
1998年9月18日フランス・シャンティイ競馬場芝1600mの条件戦でデビューし勝利したモンジューは続くアイソノミー賞(仏リステッド)も勝利し2歳シーズンを2戦2勝で終え。年が明け3歳となったモンジューは初戦のグレフュール賞(仏G2)を制し、一躍クラシック候補に躍り出る。ジョッケクルブ賞の前哨戦リュパン賞(仏G1)ではアヤの2着と敗れるも、迎えたジョッケクルブ賞本番では4馬身差をつける圧勝でフランス3歳馬の頂点に立った。続くアイリッシュダービーも2着のダリアプールに5馬身差の圧勝、その後休養に入り、秋に行われるヨーロッパ最大のレース凱旋門賞へと駒を進める事を決定する。
迎えた秋、緒戦のニエル賞(仏G2)をアタマ差で制し(2着ビエナマド)、凱旋門賞へと向かう。この年の凱旋門賞には他に日本馬エルコンドルパサー(蛯名正義騎乗)とデイラミ(ランフランコ・デットーリ騎乗)も出走していたが、当日レースの舞台となるロンシャン競馬場はペネトロメーター5.1というレース史上類を見ないほど大量に水分を含んだ状態の不良馬場だったため、道悪を苦としないエルコンドルパサーとモンジューの一騎討ちというのが戦前の評判であった[注 1]。ゴール前の直線では、逃げるエルコンドルパサーと追い込んだモンジューの2頭の勝負となるが、残り50mで逆転したモンジューが1/2馬身の差をつけて優勝した。
次に陣営が選んだのはジャパンカップで、名実ともに欧州最強馬ということや、凱旋門賞でエルコンドルパサーに勝利していたこともあり、日本でも非常に注目された単勝1番人気に支持される。しかし、レースではスペシャルウィークの4着に敗れ、初めて連対を外した[注 2]。陣営はレース前日の取材で「体調が戻るまであと3日はかかる」「早く連れてくればよかった」と答えており[3]、レース後のコメントにも、敗因は馬場ではなく輸送の疲れが抜けなかったことや調整不足を挙げた。こうして3歳シーズンを終え、この年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬を獲得した[2]。
4歳時代 (2000年)
年が明けて2000年、古馬になり5月のタタソールズゴールドカップ(愛G1)から始動。同レースは直線で進路がふさがる不利があったが、前が空くと騎手が手綱を持ったまま勝利。さらにサンクルー大賞(仏G1)は5馬身で圧勝すると、キングジョージ(英G1)でも持ったままでファンタスティックライトらを退けて勝利した。次走はアイリッシュチャンピオンステークスに出走予定であったがこれを回避し[注 3]、凱旋門賞連覇をかけてフォワ賞(仏G2)に出走し、これに勝利。しかし、凱旋門賞ではシンダー、エジプトバンド、ヴォルヴォレッタといった3歳勢の前に屈し、勝ち馬から7馬身差の4着と大敗した。その後も精彩を欠き、チャンピオンステークス、BCターフともにカラニシに敗れ、そのまま引退となった。
競走成績
この項の出典はJRA-VAN Ver.World[1]による。
種牡馬入り後
種牡馬入りした際には、同年に引退したジャイアンツコーズウェイと比べると約3分の1の種付け料に抑えられていた。しかし初年度産駒からダービーステークスを制したモティヴェーター[注 4]、父と2代続けて凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスを制したハリケーンランなどを輩出。初年度産駒がデビューしてわずか2年目にして2005年のフランスリーディングサイアーの座を手中にし、イギリス・アイルランドの種牡馬ランキングでも父を上回る2位につけた。残した12世代の産駒からダービーステークス勝ち馬を4頭輩出した。
2012年3月29日朝に敗血症による合併症で、16歳でこの世を去った[2]。
後継種牡馬としてハリケーンランは早々に死亡。モティヴェイターの代表産駒は歴史的牝馬と称されるトレヴ。オーソライズドはトルコに輸出された。プールモア産駒のウイングスオブイーグルスは2017年のダービーステークスに勝って種牡馬入りし、現在は障害用種牡馬となっている。キャメロット2018年の愛ダービー馬 Latrobeなど複数のG1勝ち馬を出している。
2013年の報道によると、ミオスタチン遺伝子型はガリレオと同じくTTの長距離タイプである[4]。
主な産駒
- 2002年産
- 2003年産
- 2004年産
- 2005年産
- 2006年産
- 2007年産
- 2008年産
- リサイタル(クリテリウムドサンクルー)
- プールモア(エプソムダービー)
- マスクドマーヴェル(セントレジャーステークス)
- 2009年産
- 2010年産
- 2011年産
- ブレスレット(アイリッシュオークス)
- ギャランテ(パリ大賞、シドニーカップ)
ブルードメアサイアーとしての産駒
- 2008年産
- 2009年産
- 2011年産
- 2012年産
- 2016年産
- 2017年産
- 2018年産
- 2020年産
血統表
脚注
注釈
- ^ 優勝候補の一角だったデイラミの陣営は直前まで出走を躊躇していた。
- ^ 出走した3歳馬の中では最も着順が高かった。
- ^ このレースは代わりに同じ馬主のジャイアンツコーズウェイが出走し、勝利している。
- ^ 2着のウォークインザパークもモンジュー産駒でワンツー決着となった。
- ^ 2007年と2008年のジャパンカップに出走している。
出典
外部リンク