『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』(めいたんていコナン ひとみのなかのあんさつしゃ)は、2000年4月22日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズの4作目にあたる劇場版アニメである。上映時間は100分。興行収入は25億円[1][2][3][4][5][6]。キャッチコピーは「蘭の瞳に隠された狙撃犯(スナイパー)を探せ!」[7]「Need not to know....」。20世紀最後の名探偵コナン劇場版シリーズでもある。
概要
作品概要
本作は、主人公・江戸川コナン(工藤新一)とヒロイン・毛利蘭の関係をメインにした内容になっている。そのため、アバンタイトルの回想シーンにおいて、テレビアニメ第1話「ジェットコースター殺人事件」で新一と蘭がトロピカルランドにてデートしているシーンが新たに描かれている。また、新一が蘭の頬にコーラの缶をくっつけるシーンがあるが、単行本4巻「大都会暗号マップ事件」の回想で登場するワンシーンと同じ構図で描かれている。このシーンは、テレビアニメ版ではカットされた。
冒頭の作品解説のうち、新一の新聞記事から体が縮んで蘭にコナンと名乗るまでのアニメーションは、本作から背景が変更されている。新一と蘭とウォッカが登場するシーンの背景は、トロピカルランドの城と床のデザイン・左右の店舗が変更されており、観覧車がなくなっている。
テレビアニメ版からは、警視庁捜査一課の刑事たち(佐藤美和子、千葉和伸)が初登場。また、前々作『14番目の標的』に登場した妃英理の秘書が、栗山緑という名前を与えられて再登場している。
劇場版シリーズの恒例となる小学生を対象としたアフレコ体験が、本作で初めて行われた。このアフレコ体験は、コナン役の高山みなみが直接指導をしている。
冒頭のメインテーマはテレビアニメ版からのアレンジであり、オープニング映像の容疑者たちのバックにはこれまで使用されたアニメ作品の主題歌のタイトルが英語やローマ字のキーワードとして流れている[8]。
白鳥任三郎を演じていた塩沢兼人は本作の公開1か月後の2000年5月10日に急死した(詳細は塩沢の記事を参照)[9]ため今作が最後の出演となり、次作『天国へのカウントダウン』以降は本作で風戸京介を演じた井上和彦が白鳥を演じている。
アメリカ合衆国ではファニメーションによる英語吹き替え版が制作された。英語名は「Case Closed: Captured in Her Eyes」[10]。
製作状況
今回の目玉はトロピカルランドであり、本作制作当時のテレビアニメ版では入口やお城などは描かれていなかったが、本作では徹底的に描こうと美術監督の渋谷幸弘ら背景スタッフは志摩スペイン村や富士急ハイランドなど[注 1]の日本各地の遊園地を取材したうえ[11]、UnoのCMに出たペンギンなどが出てくるアトラクションやパレードなどを加え、コナン版・東京ディズニーランドを完成させた。また、前作までのコナンたちが訪れた建造物はすべて爆破や放火によって壊滅しているが、本作はコナンと蘭がトロピカルランド内での逃避行を展開することからそういった被害はまったく受けず、爆発物が使われた理由も「ホテルのフロアを停電させるため」という非常に小規模なものになっている。
評価
2016年に開催された歴代映画19作品の人気投票では、第3位を獲得した[13]。
2020年1月に『金曜ロードSHOW!』で実施された人気投票(過去3年以内に放送された作品を除く歴代映画15作品)では、第1位を獲得した[14]。この結果を受け、同年2月7日には同枠での初放送が行なわれた[14]。なお、放送枠の尺の都合上、一部シーン並びにエンディングがカットされた。
ストーリー
ある雨の日、灰原哀を除く少年探偵団は、奈良沢治警部補が拳銃で撃たれたのを目撃する。コナンに犯人を尋ねられた奈良沢が自分の左胸を掴んで死亡したことに加え、犯人が右手で傘を持っていたという証言から、目暮警部らは犯人が左利きであると推理し、奈良沢の行動については懐中の警察手帳を示したものと解釈する。その日の夜、マンションの地下駐車場では芝陽一郎巡査部長が射殺される。毛利小五郎はその事件について目暮に電話するが、情報の提供を拒まれる。
そんな中、白鳥警部の妹である沙羅の結婚を祝う会が開催され、コナン、毛利蘭、小五郎は妃英理とともに出席する。米花サンプラザホテルではホテルに設けられたパーティー会場には、小五郎の刑事時代の上司・小田切敏郎警視長をはじめとする警察官や、敏郎の息子でミュージシャンの小田切敏也、白鳥の主治医も務める心療科医師である風戸京介らの姿があった。コナンと小五郎は、高木刑事から芝も警察手帳を握って死んでいたことを聞き出すが、白鳥に「Need not to know」(知る必要の無いこと)という警察関係者の隠語を言われ、これ以上の詮索は止めるように促される。このことから、コナンは今回の事件には警察の上層部、あるいは警察組織全体が関与している疑いがあることを知る。
蘭と佐藤刑事がトイレに行くと、パーティー会場の階だけが停電する。化粧台の物入れ内に点灯した状態の懐中電灯を発見した蘭はそれを取り出すが、その光が犯人に照らしたことで佐藤が蘭を庇おうとした際に銃撃され、自分のせいだとショックをうけて蘭も気絶する。蘭と佐藤は救急車で病院に緊急搬送され、ホテルの全出入口が封鎖されるが、警察官を含む現場にいた全員から硝煙反応が出ず、コナンがパーティー会場で見かけた友成真と仁野環は、封鎖前に姿を消していた。
佐藤は重傷で命が危ぶまれ、蘭は外傷こそなかったものの記憶喪失を発症し、自分の名前すら思い出せない状態に陥る。蘭の記憶喪失が佐藤への銃撃の原因を作った責任を感じたためであることを知った目暮は、免職を覚悟で小五郎たちに捜査情報を話すことを決める。
昨年の夏、執刀ミスで患者に訴えられていた外科医・仁野保が死亡した事件を、友成信勝という警部が奈良沢や芝、佐藤と共に捜査していた。信勝たちは保が口論していたという男性の近所への張り込みに赴くが、その最中に信勝は心臓発作を起こし、奈良沢たちが救急車を呼ぼうとしたものの信勝は張り込み中であることを理由に拒んだ末、佐藤に連れられて病院へ行くも死亡した。一方、奈良沢と芝はその男性が敏也であることを知った。元々自殺の線が濃く、信勝の急死も重なって事件は自殺と断定されるが、保の妹である環は自殺を否定しており、信勝の息子である真は父の真意にかかわらず警察に恨みを持っていた。
奈良沢、芝、佐藤は独自にこの事件の再捜査をしていた。目暮たちはこれが今回の事件に関係があると見ており、真がその各現場付近で目撃されたうえに左利きだったことから、彼を指名手配する。また、保の死が他殺であるのならその犯人も左利きであるが、保と真に繋がりがないことから、左利きの敏也や敏郎がその容疑者として浮上する。
蘭の周辺に何者かの気配を感じたコナンは、蘭が犯人を見ていて命を狙われることを懸念し、高木と千葉刑事が交代で護衛に就くが、蘭は英理やコナンたちと買い物に出た際、高木の隙を突いた何者かによって線路へ突き落とされる。コナンに命懸けで救われた蘭はかすり傷程度で済むが、こちらから攻める必要性を感じたコナンは本格的に捜査を開始する。
パーティー会場に置かれていた傘を見て硝煙反応を出さずに銃を撃つトリックを見抜いたコナンは、敏也のいるライブハウスを訪ね、そこにいた環を見て彼女がパーティー会場にいた目的が敏也の尾行だったことを知る。コナンは環とともに敏郎の家を訪ね、敏郎から敏也が保を恐喝していたことや、奈良沢たちの再捜査が敏郎の命令によるものだったことを聞く。
蘭はかつて新一とともに行ったトロピカルランドに見覚えがあると言い出し、コナンを危険な目に遭わせることを懸念して彼には内緒で鈴木園子や小五郎とともにトロピカルランドへ行くことを決める。翌日、トロピカルランドを訪れた蘭に真が着ぐるみ姿で近付くが、少年探偵団から唐辛子入りの水鉄砲などで攻撃されて確保され、ナイフを持っていたために殺人未遂の現行犯で逮捕される。高木は真を本庁へ連行し、危険はなくなったと判断した小五郎も自身がいないほうが記憶を想起しやすいと考えて同行する。しかし、真がそれぞれの現場を訪れたのは犯人に呼び出されたためで、父の件で警察に不信感を持っていた真は小五郎に相談しようと近付いただけであり、ナイフも犯人への護身用ということだった。
コナンは捜査資料を環に見せてもらい、芝の警察手帳の持ち方からこれが何者かによる偽装工作である可能性を指摘し、環の右利きが矯正したものでとっさに左手を使ってしまうことがあると聞いた結果、真相に気付く。蘭がトロピカルランドへ行ったことを知って急行したコナンは、園内の展望台から少年探偵団、さらには蘭を狙っている犯人を発見して少年探偵団に蘭を守るよう探偵団バッジで指令する。状況を理解した阿笠博士が蘭を庇い、周囲の人々を巻き込みたくない蘭は単独で逃走するが、コナンは合流に成功する。
コナンは蘭を連れて犯人から逃走しつつ、彼に真相を突きつけていく。犯人は記憶喪失に陥った蘭の主治医でもあった心療内科医の風戸京介だった。風戸は元々若手ながら優秀な外科医として活躍していたが、8年前の手術中に利き腕である左手の筋を保に切られる事故に遭い、執刀していた患者は死亡した上、風戸自身も手術の腕前を低下させてしまう。そのことで自身の外科医としてのプライドから外科医を続けることを諦めた風戸は、心療科に転向し利き腕を右に矯正して日々を過ごしていたが、再会した保から事故が故意だったことを知り彼を自殺に見せかけて殺害した。当初は風戸の目論見通り保の死は自殺として処理されたのだが、後にカウンセリングのために訪れた奈良沢の口から、風戸は保の事件の再捜査を進められていたことと真が警察に恨みを持っていることを知り、真を事件の犯人に仕立て上げた上で自身へ捜査が及ぶのを防ぐべく奈良沢たちをも襲撃したのだった。奈良沢が胸を押さえた真相は「心療科」の「心」を指そうとしたものであり、風戸が芝に手帳を握らせたのは刑事の息子である真を連想させるためだった。佐藤の事件の際に風戸から硝煙反応が出なかったのは、穴を空けた傘から手袋をはめた左腕を突き出して佐藤を撃ったためであり、蘭が傘をさす妃英理の姿を見て苦しんだのは、傘から拳銃を突き出して佐藤を撃つ風戸の姿を思い出しかけていたためであった。
コナンと蘭は広場に追い詰められるが、そこは定期的に噴水が吹き出すようになっており、それを知っていたコナンは噴水に守られ、その終了直後にキック力増強シューズで風戸を失神させる。しかし、風戸はまもなく意識を取り戻すとナイフでコナンに襲いかかる。それに際し、新一とのデートの思い出や、噴水から風戸の左腕だけが突き出された光景によって記憶を取り戻した蘭は、空手で彼を制圧する。まもなく、敏郎の再捜査で真相へたどり着いた警察が駆けつけて風戸を逮捕し、佐藤が意識を取り戻したという連絡も入る。敏也の脅迫事件を追及するよう目暮に指示した敏郎は、先に真相へたどり着いたコナンを不思議に思って声をかけるが、彼に「Need not to know, 僕はただの小学生だよ」と返され、敬礼して立ち去るのだった。
登場人物
レギュラーキャラクター
- 江戸川 コナン(えどがわ コナン)
- 声 - 高山みなみ
- 本作の主人公。本来の姿は「東の高校生探偵」として名を馳せている工藤新一だが、黒ずくめの組織に飲まされた毒薬・APTX4869の副作用で小学生の姿になっている。
- 記憶喪失になった蘭を犯人から守るために、独自に一連の事件の捜査に乗り出す。父・優作からハワイでモーターボートの操縦を教わっていた事が判明する。
- 毛利 蘭(もうり らん)
- 声 - 山崎和佳奈
- 本作のヒロイン兼キーパーソン。新一の幼馴染かつガールフレンド。都大会で優勝するほどの空手の達人。
- 犯人の銃撃で重傷を負う佐藤刑事に居合わせ、そのショックで記憶喪失になってしまう。その後、時間の経過と共に記憶が戻りかけ、犯人に狙われる事を恐れつつも、自分を取り戻すために勇気を奮ってトロピカルランドへ向かう決意をする。
- 記憶を取り戻した直後にしたことは、劇場版恒例の空手よる犯人への制裁だった。
- 毛利 小五郎(もうり こごろう)
- 声 - 神谷明
- 蘭の父親で「眠りの小五郎」の異名で有名な私立探偵。コナンの保護者。元警視庁捜査一課強行犯係の刑事。
- 記憶喪失になった蘭の身を案じ、トロピカルランドに同行する際は命に代えても守ると意気込む。
- 工藤 新一(くどう しんいち)
- 声 - 山口勝平
- コナンの本来の姿で高校生探偵。
- 新一としての登場は、アバンタイトルの回想シーン、蘭との電話の会話、コナンの声と重ね合わせる演出のみである。
- 目暮 十三(めぐれ じゅうぞう)
- 声 - 茶風林
- 警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係の警部。
- 一連の連続射殺事件が仁野保変死事件と関係している事を推理するも、当初は小五郎等には口をつぐんでいたが、佐藤刑事が銃撃された事態を受け首を切られる覚悟で全容を打ち明ける。
- 阿笠 博士(あがさ ひろし)
- 声 - 緒方賢一
- コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人で、発明家。
- トロピカルランドで蘭を庇って犯人の銃撃を受け、肩を負傷する。
- 妃 英理(きさき えり)
- 声 - 高島雅羅
- 蘭の母親で小五郎の妻。「法曹界のクィーン」の異名で有名な敏腕弁護士。
- 小五郎とは別居中だが、記憶喪失になった蘭の世話をするために、一時的に探偵事務所で同居する。
- 吉田 歩美(よしだ あゆみ)、小嶋 元太(こじま げんた)、円谷 光彦(つぶらや みつひこ)
- 声 - 岩居由希子(歩美)、高木渉(元太)、大谷育江(光彦)
- 少年探偵団の3人。
- 一連の事情を高木刑事から説明を受け、「蘭ねえちゃんを守り隊」を結成して蘭の護衛を務める。
- 灰原 哀(はいばら あい)
- 声 - 林原めぐみ
- 本来の姿は宮野志保。元黒の組織の一員かつAPTX4869の開発者で、コナンの正体を新一と知る数少ない人物の1人。
- 蘭の記憶喪失に複雑な感情を抱き、蘭やコナンたちの辛い心中は理解しつつも、「できるなら私も記憶を無くしたい」と自身の現状と過去への切ない心境をコナンに言うが、直後に「なーんてね」と笑いながらおどけて本心を曖昧にしていた[注 2]。
- 鈴木 園子(すずき そのこ)
- 声 - 松井菜桜子
- 蘭の同級生で親友。鈴木財閥の令嬢で、蘭や新一とは幼馴染でもある。
- 蘭が記憶喪失になった時に、「たとえ記憶が戻らなくても、あたしは一生友達だから」と涙を流し、終盤で蘭の記憶喪失が完全に治って再会した時は蘭を抱きしめて号泣する。
- 以上のことから序盤からラストまで、一連の事件に初めて深く関わった。
- 白鳥 任三郎(しらとり にんざぶろう)
- 声 - 塩沢兼人
- 警視庁捜査一課のキャリア組警部。
- 一連の事件を詮索しようとする小五郎に「Need not to know」(知る必要の無いこと)と突っぱねるが、最終的に折れた目暮の意思を尊重して小五郎たちに仁野保変死事件の概要を話す。
- 映画オリジナルキャラクターだったということもあり、前作までは出番が多かったが本作は佐藤刑事が銃撃されたことにより、実妹・沙羅が容疑者の一人になったため私情を挟まぬように捜査にはほとんど関わっておらず、友成真の指名手配を命じられた後は、佐藤刑事の意識の回復の報告まで全く登場しなかった。
- 高木 渉(たかぎ わたる)
- 声 - 高木渉
- 警視庁捜査一課の刑事で巡査部長。
- 本作公開時点では本編の時系列上、佐藤刑事に片想いしており、その想いを代わりに伝えようとした小五郎を制し、芝刑事の殺害現場の状況を伝える。その後、千葉刑事と交代で蘭の護衛を務める。
- 栗山 緑(くりやま みどり)
- 声 - 百々麻子
- 英理の秘書。本作で初めて名前が明かされた。
- 妃法律事務所に電話を掛けてきたコナンに英理が公判を終えてトロピカルランドへ向かった旨を伝える。
- 千葉刑事(ちばけいじ)
- 声 - 千葉一伸
- 警視庁捜査一課の刑事で巡査部長。本作が劇場版初登場となる。
- 高木刑事と交代で蘭の護衛を務める。
- フルネームは原作のFile.942「千葉の難事件」(アニメ847話「千葉のUFO難事件」)で判明するので、第20作『純黒の悪夢』から設定に反映されることとなる。
- 佐藤 美和子(さとう みわこ)
- 声 - 湯屋敦子
- 警視庁捜査一課の刑事で警部補。格闘技に長けて射撃の腕も一流。本作が劇場版初登場となる。
- 1年前に仁野保変死事件の捜査に携わっていた事が判明する。米花プラザホテルの化粧室で化粧直しを終えた直後に犯人の銃撃で瀕死の重傷を負い、救急車で病院に緊急搬送される。
オリジナルキャラクター
犯人
- 暗殺者
- 警察官連続射殺事件を引き起こした凶悪犯。コナン達の目撃証言から左利きであることはわかっているが、目的・動機などは一切不明。警察が捜査情報を明かさないことから、コナンは犯人が警察関係者なのではないかと考えている。
- 佐藤刑事を撃った際に蘭に顔を見られてしまい、以降、記憶を失った蘭の命を執拗に狙ってくる。拳銃は、9mm口径のオートマチックにサプレッサーを装着して使用しており、外観から「FN ブローニングM1910」と思われる。
容疑者
- 仁野 環(じんの たまき)〈27〉
- 声 - 深見梨加
- ルポライター。左利きだったが右利きに矯正した。
- 仁野保の妹。兄妹仲は良好ではなかったが、兄の死の真相を追うためコナンと協力して再調査を開始する。事件の調査をする理由をコナンから「兄のことを好きだからではないか」と推察されるが、本人は「真実が知りたいだけで兄なんて大嫌い」と述べている。犯人は小田切敏也だと睨んで、大勢の客がいるライブ会場で客席から挑発するという過激な行動を取っている。コナンとは、小田切敏郎の捜査で打ち解けて捜査資料を見せる仲にまでなるも、内密でトロピカルランドに潜入して敏也を見張っている。
- 犯人以外でコナンのことを「コナン君」と呼びかつエンディングに入る際の静止画に登場した初の女性ゲストキャラクターである[注 3]。
- 友成 真(ともなり まこと)〈25〉
- 声 - 森川智之
- フリーター。左利き。
- 友成信勝の息子。父が心臓発作を起こし亡くなった原因は同行していた刑事達の責任だと思い込み、警察を激しく恨んでいる。事件現場で度々目撃され、狙われたのが信勝と張り込んでいたメンバーだと発覚、さらに犯人と同じ左利きと判明したことで、全国に指名手配されるが足取りは掴めていない。その後は毛利小五郎との接触を図り、トロピカルランドでトロッピーに変装して接近するも、少年探偵団に妨害され、ナイフ所持と殺人未遂の現行犯で逮捕される。
- 小田切 敏也(おだぎり としや)
- 声 - 江川央生
- ロックバンド歌手。左利き。
- 警察幹部である父・小田切敏郎とは確執があり、パーティーでもお互いに罵り合っている姿を目撃されている。仁野保変死事件の捜査のため友成警部らが張り込むも、容疑者が敏也だと判明したため、事件とは無関係だと報告されていた。だが、保と口論している現場を目撃したと妹の環が証言しており、自宅からそれを証明するライターが発見された。敏郎によれば、保が薬の横流しをした事実を突き止め、現金と一緒に脅し取っていたようである。
- 風戸 京介(かざと きょうすけ)〈36〉
- 声 - 井上和彦
- 米花薬師野病院心療内科医師。両利き。
- 白鳥警部の主治医で、奈良沢警部ら多くの警察官がカウンセリングのために通っている名医。同じパーティーに参加していた縁から、記憶喪失に陥った蘭の診察も担当することになった。温和な性格で、気落ちしている蘭にも親身になって対応している。検査の結果、蘭は強いショックが原因でその前後の記憶を失う「逆行健忘」であり、自分のせいで佐藤刑事が撃たれたという精神的ショックから自身を救う為に発症したと診断した。その後、自身や事件の記憶が蘇ってきた蘭をトロピカルランドに行かせたいという提案が出され、特別に外出許可を出している。
- 小田切 敏郎(おだぎり としろう)〈56〉
- 声 - 中田浩二
- 警視庁刑事部部長(警視長[注 4])。左利き。
- 小五郎の元・上司。剣道の達人で、居合の試し切りでは見事な腕前を披露した。息子の敏也との仲は険悪で、パーティーで「野良犬が餌を漁るような真似はするな」と非難していたが、敏也に事件への関与が浮上する。コナンと環から事件の詳細を聞かれ、奈良沢警部補に再捜査を命じたと告白する。コナンは真相解明のため捜査資料の公開を頼むが、「真実を明らかにするのは我々警察の仕事だ」と要求を拒否した。
- 後の劇場版には第14作『天空の難破船』と第15作『沈黙の15分』にも登場(第22作『ゼロの執行人』にも登場するが、台詞は無い)。
- 名前の由来とキャラクターのモデルとなった人物は戦国武将の織田信長。キャラクター原案は原作者の青山剛昌が担当した。
被害者
- 仁野 保()〈享年35〉
- 声 - 内田直哉
- 東都大学付属病院外科医師。今回の事件の発端となった人物。
- 腕・性格共に悪く、裏で薬の横流しを行うなど素行にも問題があり、周囲の医療関係者からは煙たがれていた。1年前の夏、自宅マンションで飲酒泥酔したまま右の頸動脈を自分のメスで切り、失血死した変死体で発見される。亡くなる数日前、患者の家族に手術ミスを訴えられており、部屋のワープロにもそのことについて謝罪する文章が残っていたことから、警察は自殺と判断している。しかし、妹の環は「兄の保は患者のことなど全く考えない最低の医者で、手術ミスを詫びて自殺するなど有り得ない」と警察の捜査結果を否定していた。
- 奈良沢 治()〈48〉
- 声 - 島香裕
- 米花警察署所属の警部補。元・警視庁捜査一課所属で友成警部の部下。
- 現職警察官連続射殺事件の第一の被害者。青信号の点滅中に走って横断歩道を渡ろうした少年探偵団に「ちゃんと青になってからゆっくり渡りなさい!」と叱ったりと、警察官らしい人物(その直後の襲撃によるうめき声を除き、奈良沢の生前の台詞はこれのみ)。電話ボックスから出たところを、サイレンサーを装備した拳銃で射殺された。亡くなる直前に警察手帳の入った胸ポケットあたりに手を当てるダイイング・メッセージを遺した。
- 芝 陽一郎()〈31〉
- 声 - 山野井仁
- 城南警察署所属の巡査部長。元・警視庁捜査一課所属で友成警部の部下。
- 現職警察官射殺事件の第二の被害者。マンションの地下駐車場で射殺体となって発見される。奈良沢警部補と同じく警察手帳を示すように持っていたため、警察内部の犯行との見方が強まっている。
- 上記の通り、初登場で既に殺害されていたため台詞は目暮警部の回想シーンのみ。
米花サンプラザホテル
- 白鳥 沙羅(しらとり さら)
- 声 - 大原さやか
- 弁護士。白鳥警部の妹。
- 晴月光太郎と婚約パーティーを開催した。英理と知り合いで、蘭や園子と一緒に「小五郎からどのような告白をされたか」と詰め寄っていた。
- 晴月 光太郎(はれつき こうたろう)
- 声 - 山野井仁
- 画家。白鳥沙羅の婚約者。
- 小五郎は画家の上に「売れない」が付くだろうと予想していた。沙羅によれば、女性に対しての愛の告白は苦手な模様。
- 司会者
- 声 - 小上裕通
- 晴月光太郎と白鳥沙羅の婚約パーティーの司会を担当している友人。
- 新郎新婦の二人が登場するため、盛大な拍手で迎えるよう招待客に促していた。
- 友人
- 声 - 加瀬康之
- 婚約パーティーに参加した晴月光太郎と白鳥沙羅の友人。
- ワイングラスで乾杯の音頭を取り、祝われる二人に対して「結婚おめでとう」と祝っていた。
- クローク係
- 声 - 小池亜希子
- ホテルの女性クローク係。
- コナンに事件の重要な証拠品である傘を捨ててしまったと言うが、それは冗談でちゃんと取っといてあるとおどけてみせた。
トロピカルランド
- 中野(なかの)
- 声 - 長嶝高士
- トロピカルランドのアトラクション「氷と霧のラビリンス」にいた案内係。
- コナンに展望台は空いているかと聞かれ、来園客はパレードを見ていると教えていた。
警察関係者
- 友成 信勝(ともなり のぶかつ)
- 声 - 大山高男
- 警視庁捜査一課警部。友成真の父親で、目暮警部の先輩刑事に当たる。
- 1年前、仁野保変死事件の捜査で、倉庫を張り込んでいる最中に持病の心臓病発作を起こすも、張り込みを優先して救急車を拒否。単身捜査から抜け、タクシーを拾う直前に道端で倒れているのを発見した佐藤刑事が、東都大学付属病院に緊急搬送するも手術中に息を引き取った。この一件で息子の真は、救急車を呼ばなかった警察に不信感を抱き、仁野保の死は自殺として処理され、捜査を打ち切らざるを得なかった。
病院関係者
- 看護婦
- 声 - 斎賀みつき
- 仁野保のことを知る看護婦。
- 仁野を嫌な性格で腕は全然だと酷評して、ある手術ミスをコナンに聞かせる。毛利小五郎の大ファンらしくサインを頼んでいた。
メディア関係者
- アナウンサー
- 声 - 大田良平
- 奈良沢警部補射殺事件のニュースを伝えていた男性アナウンサー。
- 犯人は逃走して捜査本部は米花警察署に設置されたことを発表していた。
- 声を担当した大田良平は、よみうりテレビのアナウンサー。
- レポーター
- 声 - 横須賀ゆきの
- 蘭が病院で見ていたテレビでトロピカルランドの解説をしていた女性レポーター。
- このニュースが、蘭にトロピカルランドを思い出させる切っ掛けとなった。
- 声を担当した横須賀ゆきのは、よみうりテレビのアナウンサー。
スタッフ
テレビ放送
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム[要出典]。
音楽
主題歌
- 小松未歩「あなたがいるから」
- 作詞・作曲 - 小松未歩 / 編曲 - 池田大介
- エンディングの長さが短縮されたものなのは、第26作『黒鉄の魚影』までで最後の作品になっている。また、第1作『時計じかけの摩天楼』以来「コナンの目」が新規映像になっている[注 5]。
挿入歌
- 「キミがいれば(暗殺者バージョン)」
- 作詞 - 高柳恋 / 作曲・編曲 - 大野克夫 / 歌 - 伊織
サウンドトラック
本作トラックのTVシリーズへの汎用は、公開年の11月に『名探偵コナン オリジナルサウンドトラック4』の導入により、2001年5月14日放送の第233話「消えなかった証拠(前編)」となり、前作『世紀末の魔術師』と異なり公開から丸一年過ぎての流用となった。前作同様、数曲程TVシリーズのサウンドトラックのリアレンジ楽曲が存在する。前述にあるようにメインテーマはTVシリーズで当時採用されていたバージョンの微アレンジバージョンとなっている。
収録曲
- 暗殺者のテーマー事件の予感-
- 名探偵コナンメインテーマ(暗殺者ヴァージョン)
- トロピカルランド
- とっておきクイズ
- コナン組曲-Captured in Her Eyes-
- 事情聴取
- 黒い影-挑戦-
- トロピカルランドの想い出
- 暗殺者のテーマー忍び寄る魔手-
- 暗殺者のテーマー狙撃-
- 運命の瞬間
- 記憶喪失(影)
- 目暮警部の告白
- Need not to know.
- 顛末(TENMATSU)
- 新少年探偵団のテーマ
- 記憶喪失(光)
- 容疑者判明
- コナン行動開始!
- 蘭が危ない!
- 犯人(スナイパー)の正体
- 驚愕の真実
- 漆黒の殺意
- 洞窟内の逃走
- 5・4・3・2・1!
- キミがいれば(暗殺者ヴァージョン)
- 二人のデート
- THE END(あれまぁ~)
映像ソフト
関連本
出典本
フィルムブック
小説
絵本
脚注
注釈
- ^ 志摩スペイン村「パルケエスパーニャ」で本格的なロケハンを実施し、富士急ハイランドはEDムービー(実写映像)のロケ先として用いられている。
- ^ ただし灰原は次作で、自ら置かれた境遇に苦悩することとなる。
- ^ 本作の風戸京介(後述)を含め、コナンのことを「君付け」で呼んだゲストキャラクターは第1作『時計じかけの摩天楼』の森谷帝二(もりや ていじ。声 - 石田太郎。)、『14番目の標的』の沢木公平(さわき こうへい。声 - 中尾隆聖。)と全員、男性キャラクターかつ犯人である。
- ^ 現実においては警視監が着任する役職だが、作中では警視長とされている。
- ^ 前作、前々作は劇中の映像を引用。
出典
関連項目
外部リンク
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テレビアニメ |
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1960年代 1970年代 | | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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特別番組 |
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劇場アニメ |
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1970年代 |
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1980年代 |
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2000年代 |
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