国鉄タキ2800形貨車
国鉄タキ2800形貨車(こくてつタキ2800がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)及び1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に在籍した私有貨車(タンク車)である。 本形式から改造され別形式となったタサ4900形についても本項目で解説する。 タキ2800形タキ2800形は、カセイソーダ液専用の30t 積タンク車として1953年(昭和28年)6月24日から1966年(昭和41年)1月25日にかけて332両(コタキ2800 - コタキ2912、コタキ2915 - コタキ2999、コタキ12800 - コタキ12884、コタキ12887、コタキ12889 - コタキ12936)が日立製作所、汽車製造、三菱重工業、日本車輌製造、飯野重工業、造機車輌、富士重工業、新潟鐵工所、川崎車輛の9社にて製作された。この332両の内には多数の他形式(タキ400形、タキ1400形)からの改造編入車が含まれている。また逆に本形式から多数の車が種車となり他形式(タサ4900形(後述)、タキ200形、タキ2600形、タキ6700形、タキ8050形、タキ9150形)に改造された。 記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタキ」と標記する。 本形式の他にカセイソーダ液を専用種別とする貨車はタム900形(130両)、タキ1400形(104両)、タキ2600形(523両)、タキ7750形(289両)等実に29形式が存在した。 1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「侵81」(侵食性の物質、腐食性物質、危険性度合2(中))が標記された。 落成時の所有者は、鉄興社、東亞合成化学工業、宇部曹達工業、旭硝子、呉羽化学工業、大阪曹達、新日化産業、徳山曹達、東洋曹達工業、関東電化工業、大日本紡績、日本カーバイド工業、北海道曹達、錦商事、旭興業、日本レイヨン、信越化学工業、大和紡績、旭化成工業、三井化学(その後三井東圧化学へ社名変更)、旭電化工業、日新興業、三井物産、山陽パルプ(その後山陽国策パルプへ社名変更)、田中藍、電気化学工業の26社であった。 ドーム付き直円筒型のタンク体は、普通鋼(一般構造用圧延鋼材、SS41現在のSS400)製で内部に純度保持のためのエポキシ樹脂塗装が施され、断熱材を巻きキセ(外板)を装備した。荷役方式はタンク上部のマンホールからの上入れ、液出管と空気管使用による上出し方式であり、両管はS字管を装備している。 車体色は黒色、寸法関係は全長は9,700mm、全幅は2,531mm、全高は3,637mm、台車中心間距離は5,600mm - 6,550mm、実容積は20.0m3 - 23.0m3、自重は16.3t - 18.7t、換算両数は積車4.5、空車1.6であり、台車はベッテンドルフ式のTR41、TR41A、TR41Cと、平軸受・コイルばね式のTR41D-2、TR41D-4である。 1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には93両の車籍がJR貨物に継承され、1995年(平成7年)度末時点で10両(コタキ2816、コタキ2824、コタキ2866 - コタキ2868、コタキ2953、コタキ2991、コタキ12801、コタキ12884、コタキ12904)が現存していたが、2007年(平成19年)10月に最後まで在籍した1両(コタキ2824)が廃車となり同時に形式消滅となった。 タサ4900形
1966年(昭和41年)2月28日にタキ2800形より1両(コタキ2825)の専用種別が「サラシ液」に変更され、記号番号は新形式名であるタサ4900形(コタサ4900)とされた。その後本形式は増備されることなく1形式1両の存在であった。 記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタサ」と標記する。 本形式の他にサラシ液を専用種別とする形式には、タ4100形(3両)、タラ600形(2両)、タラ700形(2両)、タキ4900形(1両)、タキ4950形(4両)、タキ8050形(1両)、タキ16100形(4両)、タキ18500形(6両)の8形式があった。 所有者は、呉羽化学工業であり、常備駅は常磐線の勿来駅であった。 車体色は黒色、寸法関係は全長は9,200mm、全幅は2,400mm、全高は3,722mm、台車中心間距離は5,300mm、実容積は20.1m3、自重は16.5t、換算両数は積車4.0、空車1.6であり、台車はベッテンドルフ式のTR41Cである。 改造より約8年後の1973年(昭和48年)10月2日に廃車となり同時に形式消滅となった。 参考文献
関連項目 |